強い会社はボトムで設ける
綱島邦夫「社員力革命―人を創る、人を生かす、人に任す」、日経新聞社(2006)
お奨め度:★★★★1/2
この5年くらいの間に日本企業のイメージはずいぶん変わったのではないかと思う。日本企業の強みは社員の質にあった。その分、マネジメントがおろそかになっていた企業が多い。
この5年間の本格的なバブルの負の資産の解消の際にこれがはっきりあわられたように思う。この本で書かれていること、ベストプラクティスは少なくともバブルの前までは多くの企業にあったように思う。しかし、この5年のリストラクチャリングを乗り越えた企業は少なく、この本で取り上げられている、トヨタ、武田薬品、松下電器などはいずれもマネジメント力をテコに、人材の強みを残しながら、リストラクチャリングに成功した企業である。人を作るトヨタ、人に任す武田、人を生かす松下である。
著者の綱島邦夫氏はマーサーの方だからかもしれないが、分析のフレームワークがラーニングオーガニゼーションになっている。日本には、自らを説明するフレームワークがない。特にこの3社のようにグローバル化に対応できる組織を展開するためのフレームワークがないのは非常に残念だ。ただ、この本の事例から分かるように、実践している企業は多い。
なんにしても、社員、プロジェクトといったボトムが強くないと儲からないというこの本の主張には強く共感する。
良い本である。
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