2005年9月18日 (日)

リーダーシップ魂

427000084809 トム・ピーターズ(宮本善一訳)「トム・ピーターズのマニフェスト(2) リーダーシップ魂」(トム・ピーターズのマニフェスト 2)、ランダムハウス講談社(2005)デザイン魂

お奨め度:★★★★1/2

待望のトム・ピータースの新作。相変わらずというか、やっぱり、いい!読むと心が洗われる思いだ。

以下の対立軸を見てほしい。一つでも、右側に共感できれば、ぜひ、読んでほしい!それを実現させるための具体的なアイディアが満載である!

部下を変える vs 部下を燃えさせる

指令と統制 vs 環境づくり

計画、計画、計画 vs 実践、実践、実践

きれいごと vs 矛盾だらけ

大もうけする vs 足跡をのこす

自分のイメージこそ大切 vs 自分の想像力の活用が大切

手出しする vs 部下に任せる

トップダウン vs 草の根式

仕事を指示する vs ストーリーを語る

同時発売で、同じシリーズでもう一冊ある。こちらもいいぞ!

427000083x09 トム・ピーターズ(宮本善一訳)「トム・ピーターズのマニフェスト(1) デザイン魂」(トム・ピーターズのマニフェスト 2)、ランダムハウス講談社(2005)

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プロジェクトマネジメント導入ってどうするの?

479810986x01 浦 正樹「失敗する前に読む プロジェクトマネジメント導入法」、翔泳社(2005)

お奨め度:★★★

プロジェクトマネジメントマガジンで連載されている記事の書籍化。

プロジェクトマネジメントの導入の問題指摘は、よく分析されているし、呼んでいて納得性が高い。その意味で、これからプロジェクトマネジメントの導入を考えている組織の人は一読に値する。

しかし、それに対する方法は、それだけでは片付かないだろういうものが目立つ。もっとも、一発でこれという方法はない分野なので、とりあえず、この本に書かれているようなアプローチをして、そこから、うまく問題解決をしながら定着させていくという切り口としてはよい。

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2005年9月13日 (火)

支援型リーダーシップを身につける

486063119609 堀公俊「ファシリテーション型リーダーシップが身につくスキル―自律型の人と組織が成果をつくる」、あさ出版(2005)

お奨め度:★★★★

プロジェクトマネジメントで必要になるのは、ファシリテーション型のリーダーシップである。これはプロジェクトにおけるメンバーとプロジェクトマネージャーの関係に起因する。つまり、プロジェクトにおいてメンバーはその道のプロフェッショナルであり、そのスキルでマネージャーを超越した存在であることが多い。そのため、マネージャーはメンバーに対して指示をするという形でプロジェクトを動かすことができず、ファシリテーションによって、チームを動かしていくしか方法がないのだ。

078797070001日本でファシリテーションが注目されだしたきっかけになったのは、フラン・リースの「The Facilitator Excellence Handbook」の翻訳が出版されたことだと思う。この本は、ファシリテーションの分野ではバイブル的は本の1冊である。

この本はファシリテーションの技術が書かれていると同時に、ファシリテーションの位置づけが綿密に書かれており、その重要性を日本に定着させた本である。ファシリテーションというと、会議術のようなイメージが定着してきたが、この本ではもう少し、広い視点から、リーダーシップのあり方としての重要性が説かれている。

翻訳書は

483341741309 フラン・リース(黒田由貴子訳)「ファシリテーター型リーダーの時代」、プレジデント社(2002)

であり、しっかりと翻訳されたよい本である。

それから、1年ほどして、日本ファシリテーション協会という組織ができた。その会長が堀公俊さんである。堀公俊さんは、ファシリテーションの普及のために数多くの著作をされているが、僕はこの本が一番よい本ではないかと思う。

ファシリテーションに興味のある人も、ない人も、ぜひ、一度、お読みいただきたい。

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贅肉を取ろう!

482224317609 ジェームズ・ウォーマック、ダニエル・ジョーンズ(稲垣公夫訳)「リーン・シンキング」、日経BP社(2003)

お奨め度:★★★1/2

アジャイルは、製造業では「リーン」と呼ばれることが多い。ムダがないという意味である。製造業でエンジニアリングに取り組む人がアジャイルの思想を知るには、この本が一番よいと思う。

この本で説かれていることは、アジャイルの基本になっている以下のプロセスである。

まず、最初のステップで、基本に立ち返り、顧客が何に本当の価値を見出しているかを問う。

次のステップで、具体的な製品について価値を生み出す活動を行う一方で、価値を生まない活動を排除する。

次に、デザインや製品が顧客からのプルによって、スムーズかつ急速に広がる流れを作り出す。

そして最後に流れとプルが実行されると、完成度を高めるための改良のサイクルを加速させる。

これをさまざまな事例を見ながら、解説している。

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2005年9月11日 (日)

図解主義!

4757303165アンドリュー・サター「図解主義!」、インデックス・コミュニケーションズ(2005)

お奨め度:★★★★

ユダヤ人の頭のなか」 でいちやく有名になった、アンドリュー・サターが図解思考法に焦点を当てて書いた本。

ユダヤ人の頭のなか」 は衝撃的ではあったが、実践性という意味で物足らなかった。この本は、図解という一つの分野に焦点が絞られているが、前作でもやもやとした部分で、こういうことだったのかというのは結構ある。その意味で貴重な本。

もちろん、前作を読まなくてもすばらしい1冊。今まで、図解475730241X本を読んで単なる表現技法だと思っている人は、ぜひ、この本を読んでみてほしい。図解により、ビジネスやシステムのアーキテクチャーが変わる可能性を示唆している。八百屋と大根の例など、それを分かりやすく教えてくれる。

日本人の書いた図解とはかなり視点が違うので、そのような目で見ながら読んでみるのもよいだろう。そのような読み方をする場合には、「ユダヤ人の頭のなか」と一緒に読んでみることがお奨め。「日本的」の打破に苦労している人、違った世界が見られるかもしれない。

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2005年9月 9日 (金)

フロー体験は偉大である

4309230563チャーリーン・ベリッツ、メグ・ランドストロム(菅靖彦訳)「パワー・オブ・フロー」、
河出書房新社(1999)

お奨め度:★★★★

最近、フロー体験に関する本を何冊か読んだが、チクセンチミハイルのフロー体験という概念を提唱した本は別格とすると、この本が秀作。

まず、フロー体験とは何かという話だが、これについては、こちらを参照してほしい。

この本は、ユングの提唱したシンクロニシティをフローと結び付けている。シンクロニシティは「共時性」とも訳され、複数の出来事が非因果的に意味的関連を呈して同時に起きる(共起する)ことをさしている。シンクロニシティの厳密な理解は難しいが、例えば、病院の窓から見える最後の一枚のはっぱが落ちたときに、患者が死んだとしよう。この2つの事象はまったく因果性はなく、単なる偶然なのだが、そこに意味づけをすることができる。これがシンクロニシティである。

このようなシンクロニシティの概念はフローをつくる上で不可欠なものである。如何に意味づけをできるかで、フロー体験をできるかどうかが、変わってくる。この意味づけの方法を、この本では、そのための9つの心の法則ということで紹介している。

後半は、フローで人生が変わるという内容。そんな例は結構見ているつもりだが、改めてこの本を読んでいると、そうだなあと思う。

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2005年9月 7日 (水)

心理学はマネジメントにどのように役立つか?

4806116122金井壽宏「組織を動かす最強のマネジメント心理学―組織と働く個人の「心的エナジー」を生かす、中経出版(2002)

お奨め度:★★★★

最近は、ずいぶん、心理学がマネジメントの枠組みの中で使われることが多くなってきた。古くから組織行動論といった考え方はあるが、どちらかといえば、心理的な側面より、「経験的にひとはこのように動くものだ」という考え方にたっており、そこで終わってしまう。
心理学を持ち込むことの魅力は、そこで終わらないで、それに対して、心理学として得られた知見を重ねあわせて、経験的な知見以外の新たな知見や、対応策が見つかることにある。

その流れを作った一人は金井壽宏先生である。その金井先生がやわらかく心理学と組織マネジメントの関係を書かれた1冊。

最近、チクセントミハイルの「フロー経験」といった概念が平気でマネジメントの本の中にでてくるようになってきた(アマゾンの書評に白牡丹さんが書かれているが、「昴」というコミックスにも出てきているらしが、、、)。金井先生のゼミを2年間受けたが、金井先生が教わった心理学の概念は10やそこらではないと思う。

そのような話が一冊の本で書いてあるので、組織論系の本を読む人は、とりあえず、一度、この本を読んでおいたらよいのではないかと思う。

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2005年9月 6日 (火)

気づく力を鍛えよう

4833450119畑村洋太郎ほか「気づく力」、プレジデント社(2005)

お奨め度:★★★1/2

この本は President books として、テーマを決め、過去のプレジデントの関連記事を編集して出版したものである。

この本のテーマは「気づく力」として、「気づく力」、「考える力」、「行動する力」の3つのパートでそれぞれ、10本程度の記事を収録している。ダイヤモンドもハーバードビジネスで同じことをやっているが、それと比較すると、気軽に読め、値段も安いのがよい(なんと、1000円である)。

内容は目次を見て戴きたいが、お奨め記事を何本か、ピックアップしておく。

大前研一「組織の思考を止める「上司の壁」」
橘川真彦「なぜ、人は「大切なこと」を見過ごすのか」
山田日登志「「停滞、繰り返し作業・運搬」にムダが潜む」
金出武雄「できない理由を考える前に、素直に行動してみる」
畑村洋太郎「なぜ人は、頭でわかっても動けないか」
田中義厚「雑用を任せられる社内人脈をつくれ」

気に入った記事に関しては、「読み足りない感」が残ると思うが、また、それがいいのかもしれない。後は、考えろってことで、、、

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2005年9月 2日 (金)

クリティカル・ワーカー

4478312184赤堀広幸「クリティカル・ワーカーの仕事力―ワークスアプリケーションズ問題解決型人材の挑戦」、ダイヤモンド社(2005)

お奨め度:★★★★

クリティカル・ワーカーという概念について、実際の事例に基づきながら、解説した本。

クリティカル・ワーカーというのは、新たな価値の創造を問題解決によるブレークスルーを中心に実行していく人たち。ソフトウエア開発会社を例にとって説明している。

興味深い点は、ソフトウエア産業の特徴かもしれないが、ボトムアップの価値創造ができる点。一般に価値創造はトップダウンのアプローチが適しているように思えるが、この本を読んでいるとそうでもないと思える。

業種やサービスは違うが、ノードストロームを思い出させる内容である。

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コーチングの実際が分かる

4569645577PHP研究所編集「リーダーのためのコーチング実践Q&A」、PHP研究(2005)

お奨め度:★★★1/2

こういう本が一冊ほしかったという感じの本。

コーチングの本を読んでも、枠組み(形式)はともかく、実際的なところがよく分からない。それで試してみても十分にできない。そこで、本格的なコーチのトレーニングを受けようかということになるが、「そこまではちょっと」という人も少なくないだろう。そんな人にぜひ読んでみて欲しい1冊である。

コーチングという枠組みに関係なく、リーダーシップを高める、コミュニケーション能力を高めるためにたいへんよいことが書いてあるし、ヒューマンソフトマネジメント一般に通じることが結構たくさん書いてある本である。

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2005年8月30日 (火)

文化をエンジニアリングする

4822244679ギデオン・クンダ(金井壽宏監訳、樫村志保訳)「洗脳するマネジメント~企業文化を操作せよ」、日経BP社(2005)

お奨め度:★★★★★

ハイテク企業のエスノグラフィーとして、クスノマ教授の「マイクロソフトシークレット」と並ぶ名作 " Engineering Culture Control and Commitment in a
high Tech Corporation"の翻訳。こちらは対象企業はDEC。

マイクロソフトシークレットが開発プロセスに注目しているのに対して、こちらは組織、特に、組織文化に注目している。

ギデオン・クンダのつけたタイトル Engineering Culture には2つの意味があるそうである。一つは文字通りに、エンジニアリングに適した組織文化という意味であり、もうひとつはカルチャーをエンジニアリングするという意味。

邦訳にこのようなタイトルをつけた経緯については、監訳者である金井先生が巻末に相当な分量の解説を書かれているが、その中で触れられている。

このエスノグラフィーを読むと、プロジェクトと組織の関係も含めたプロジェクトマネジメントにおいて、組織文化がどのような役割を果たしているか、そして、それをどのように構築していくかが手にとるように分かる。

これから組織の成熟度向上に取り組んでいこうという人にはお奨め。プロジェクトマネージャーの方には、むしろ、マイクロソフトシークレットの方をお奨めする。

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2005年8月28日 (日)

木を見る西洋人 森を見る東洋人

4478910189リチャード・ニスベット(村本由紀子訳)「木を見る西洋人 森を見る東洋人思考の違いはいかにして生まれるか」、ダイヤモンド社(2004)

お奨め度:★★★★1/2

まず、この本の原題は ”The Geography of thought”である。このタイトルも素晴らしいが、訳者の村本さんのつけられたタイトルはなんと素晴らしいのだろうと感動ものだ。

日本の比喩に「木を見て、森を見ず」という比喩がある。広辞苑によると

 細かな点に注意をし過ぎて大きく全体をつかまない

こととある。たぶん、10年くらい前までは、日本人の非常に重要な価値観であったように思うが、今は、あまり言われることがなくなった。

この本では、思考の普遍性に対するパラダイムの議論を、東洋と西洋という切り口からさまざまな視点で行っている。結論としては、普遍性がないということになるが、そこで取り上げられている事象は自分たちの立ち位置を確認するために非常に貴重な視点である。

好川は、第3章にある、自己に関する考察が興味深かったが、その人が興味を持っている事項が一通りを入っているのではないかと思う。

ここでは、米国人は

・ひとはそれぞれ、他者と違う個性を持っている。さらにひとは肝心な点で他者と違っていたいと思っている

・ひとは、だいたいにおいて自分の思うとおりに行動している。そして、自分の選択やこのみによって結果が決まると気分がよい

・・・

というのに対して、東洋では「出るくいは打たれる」というように、成功を集団目標とする傾向があるといった指摘から始まり、実にいろいろなことが指摘されている。

関連記事:森を見るか、木を見るか

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2005年8月26日 (金)

リスクの本質を知る

4621047868Nick W. Hurst(花井荘輔訳)「リスクアセスメント―ヒューマンエラーはなぜ起こるか、どう防ぐか」、丸善(2000)

お奨め度:★★★1/2

ちょっと難しい本だが、読めば、リスクマネジメントが、なぜ、プロジェクトや、あるいは組織で、なかなかうまく行かないかがよく分かるので、そのような問題を抱える人には一読の価値がある本である。

ひとことでいえば、リスクとは何かをきちんと考えずに、見よう見まねでうわべだけのリスクマネジメントを導入しようというところに問題があるというところだ。

特に、3章で

“リスク-工学”
“リスク-人間”
“リスクとシステムおよび文化”

の三つの視点について、リスクをどう定量化しているかを議論しているが、この部分はきちんと読んでみたい。

このような思想をきちんと理解しておくと、今、プロジェクトマネジメントの一貫として行われているプロジェクトリスクマネジメントが効果を発揮しない理由、どうすればよいかという方向性のようなものが見えてくる。

リスクマネジメント、特にPMOのような形でアセスメントに関わる人には読んでほしい1冊である。

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2005年8月24日 (水)

議論と内省と実践

4422100637金井壽宏「ニューウェーブ・マネジメント―思索する経営」、創元社(1993)

お奨め度:★★★1/2

金井先生が若いころの作品集。

マネージャーとしての内省、気づきを促す47の視点を提供している。

管理の基本的スタンスを自問する
唯一最善の組織やリーダーシップはない
人はなぜ変化を求め、変化を恐れるのか

など、まさに、今、問題になっていることが続々と出てくる。10年以上前にこれだけの本を書いたというのは本当に驚きである。もっとすごいことは、それに、金井先生やそのお弟子さんがいろいろと有益な意見を発し続けていることだが、、、

議論と内省と実践を通じて探してほしい「なにか」が並んでいる。これから、自分のマネジメントのスタイルを作っていきたい人は、ぜひ、読んでほしい



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2005年8月17日 (水)

楽観主義で行こう

4061856553マーティン・E.P. セリグマン(山村宜子訳)「オプティミストはなぜ成功するか「新装版」」    講談社文庫(1994)

お奨め度:★★★★

楽観主義が成功しやすい理由を心理学的な見地から書いた本。結構、小難しい本なのだが、途中に、自己診断などが入っており、結構、一挙に読める。

この本は悲観主義者が失敗しやすい理由を説明した後で、楽観主義者が成功しやすい理由を事例を引き出しながら書いているので、結構、納得しながら読める。

中でも興味を引かれるのは、過去のワールドシリーズで勝者となった選手や、選挙に勝利した大統領のコメントなどに着眼し、各人またはチームの楽観度を測り、そこから成功との相関性を探ろうとする部分。
 
この本を最初に読んだのは文庫化直後だったので、10年以上前であるが、経営者を見るときにこのような分析をする癖がついてしまった(笑)。おおむね、あたっている。

ただ、同時に、その間に、その人間に対する世間の「評判」を見ていると、必ずしもよくない。「考えが甘い」、「ポリシーがない」などと、徹底的にこき下ろさないと気がすまないらしい。きっと、日本人は楽観主義者が嫌いなのだと思う。

最近、この視点から注目しているのは小泉首相と、ホリエモン。小泉は冷酷だの、なんだのと言われているが、一番の本質はオプティミストだと思う。これが受け入れられるというのは国民性の変わる兆しか、、、

実は、この本の書評を書こうと思ったのは、来る総選挙で小泉首相がホリエモンにラブコールを送ったというニュースをみたから。注目!

※新装版が出ています。(鈴木)

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天才ファミリー・カンパニー

4344803183二ノ宮知子「天才ファミリー・カンパニー―スペシャル版 (Vol.1)」、幻冬舎コミックス(2003) 全6巻

お奨め度:★★★★

二ノ宮知子という漫画かも知らなかったし、幻冬舎がコミックスを出しているもの知らなかった。しかし、思いっきりはまってしまった。

90年代の終焉からバブルの崩壊の中で、天才高校生がビジネスを立ち上げ、成功するまでを描いたコミックス。非常に取材力と構想力があり、この時期の不良債権化、外資系企業の参入、ITベンチャーの成功などがうまく描かれている。高校生であるところがみそ。

が、それはつまみに過ぎず、人間が自立し、人間らしく生きるということがどういうことかというテーマに対して、強烈なメッセージを送っている。こちらがおそらく、メイン。

その中で、さらに、そのような生き方の中で、ビジネスとは何かということが再定義されている。この辺の構想がすごい。

読んだ後で、このタイトルの意味について考えてみたい!

ちょうど、年代的にライブドアの堀江社長と被っている。彼の動きを見ていると、まさに、このような世界に生きているんだなと思ってしまう。

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2005年8月12日 (金)

混戦(2005年7月ベストセラー)

ビジネス書の杜 7月の月間ベストセラーです。どうしようかと迷っているうちに、8月も中旬になってしましました。

売れる本の数は比較的毎月安定しているのですが、異様に売れる本がばらけてきました。1位のPMBOK3でさえ、売れたのは7冊でした。

5冊が順位で行くと3位なのですが、5冊売れた本が、14冊あります。とりあえず、今月は1位と2位だけお知らせします。

【2005年7月ベスト5】

第1位 A Guide To The Project Management Body Of Knowledge: Official Japanese Translation (7)

        https://mat.lekumo.biz/books/2005/02/a_guide_to_the_.html

第2位 アジャイルプロジェクトマネジメント 最高のチームづくりと革新的な製品の法則(6)

        

https://mat.lekumo.biz/books/2005/06/post_8e2b.html

第3位 多数!?

【今月の1冊】

この本がすばらしいです!PMBOKの中にもうまく収まります。

 

アジャイルプロジェクトマネジメント 最高のチームづくりと革新的な製品の法則

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臨床の知

400430203X僕が極めて大きな影響を受けた本に、

中村雄二郎「臨床の知とは何か」、岩波新書(1992)

という本がある。

科学に代表される近代の知の限界を指摘し、その限界を打破するには、「臨床の知」が必要だということを説いている。エンジニアだった僕がマネジメントの勉強をするのに、神戸大学の金井
壽宏先 生を選んだのは、たぶんにこの本の影響がある(と同時に、この時期に懇意にお付き合いをさせていただいていた、今井賢一先生からも臨床知の重要性を教わっ た)。今でも、状況はあまり変わらないが、少なくとも当時は、マネジメントで臨床知の重要性を説いておられたのは、神戸大学の478850197X金井先生、 暴走族のエスノグラフィー―モードの叛乱と文化の呪縛」という本でデビューされ、臨床的な方法でマネジメントの問題に取り組んでおられた一ツ橋大学の佐藤郁哉先生くらいだった。

その後、もうひとり、強力な臨床知派である一ツ橋大学の沼上幹先生が登場される。ちなみに、沼上先生は「
液晶ディスプレイの技術革新史:行為連鎖システムとしての技術」という論文で学位をとられ、それまでの研究体験から、行為の経営学―経営学における意図せざる結果の探究」という4561151265すばらしい臨床知論を書かれている。両方とも難物だが、機会があれば、読んでみてほしい。

話が脱線したが、中村先生の指摘は

=====
科学に代表される〈近代の知〉は大きな成果を生んだ。しかし今日、その限界も指摘されはじめている。人間存在の多面的な現実に即した〈臨床の知〉が構築されねばならない。
=====

といったものである。

臨床の知は、人間の多面的現実に即した知である。科学というのは、現象を捉えていると考えられ勝ちであるが、社会システムが複雑化し、そこに人間という構成要素が密接に絡んでくると、確かに、現象が多面化してくるため、現象を捉えるのは難しい。

このような問題を興味深く書いたのが、養老
孟司先生の「バカの壁」である。

さて、人間系が絡む問題解決においては、一刀両断のソリューションというものは存在しないことが多い。これは感覚的にお分かりいただけると思う。

そこで何が出てくるか。エスノグラフィーである。エスノグラフィーとは

 フィールドワークという調査の方法、或いは、その調査の全プロセス

である。

組織では、今まで、あまりにも観念的に問題解決を行ってきた。もちろん、現場では現象がある。ところが、それが組織の中で意思決定層に伝わる中で抽象化され、その抽象化された問題に対して、問題解決を行ってきたのだ。これは、しばしば、経営的問題と呼ばれる。

現場感覚のある人はこれが如何に無為なものかよく分かるだろう。それゆえに、問題が複雑化、多面化してくると、そもそも、抽象化そのものが難しく、また、抽象化したところでまともな答えは出てこない。これが、別の記事「答えのない問題に如何に対処するか」で指摘したことだ。

そこで必要になるのが、臨床知に基づく問題解決だ。そのための有力な方法論がエスノグファフィーであり、ディープスマートである。

ディープスマートについては最近、よい本が翻訳された。
「経験知」を伝える技術 ディープスマートの本質」という本である。

エスノグラフィーについては、まずは、佐藤郁哉先生の

46411616824788507889組織と経営について知るための実践フィールドワーク入門

という本を読んでみてほしい。
その上で、もう少し、深い知識を得たいと思ったら、同じく佐藤先生の本で

フィールドワークの技法―問いを育てる、仮説をきたえる

という本がある。これがお奨めだ。


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2005年8月10日 (水)

チームマネジメントのバイブル

4478430098ジョン・R. カッツェンバック、ダグラス・K. スミス(吉良 直人、横山 禎徳)「「高業績チーム」の知恵―企業を革新する自己実現型組織」、ダイヤモンド社(1994)

お奨め度:★★★★1/2

チームマネジメントの金字塔ともいえる1冊。

チームとは何かという議論から始まり、如何にチームを作っていくか、リーダーシップはどうあるべきか、チームの業績を如何に計測すべきかなど、チームマネジメントに関するあらゆる問題に対して、現在のチームマネジメント理論の下敷きとなる理論を唱えている。

ドラッカーが「マネジメントを発明した」とすれば、カッツェンバックは「チームマネジメントを発明した」といえる。この1冊を読まずして、チームマネジメントを語るべからず!

# この本は、例によって、絶版されています。さすがダイヤモンド社!

アマゾンではずっと品切れでしたが、たまたま、今、見たら、古本(ユーズド)が出品されていたので、記事を書きました。ただし、一番安いのが、6300円です。ちなみに定価は2900円です。これも良書の証明でしょう!

品切れになっていたらすみません。

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ファシリテーションの威力

B000ami0be01 Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 09月号

特集:ファシリテーション型リーダーシップ

詳細目次はこちら(アマゾンではありません。ダイヤモンド社のサイトですので、ご注意ください)。

好川が参考になった記事ベスト3

(1)ジェフ・ワイ、ジョナサン・ヒューズ「軋轢の解決が協働を育む」

真のコラボレーションを実現し、異なる視点や能力を生かすには「コンフリクト」に注目しなければならない。コンフリクトを阻害要因とみるよりも、むしろ、積極的に使い、マネジメントをしていく必要がある。この記事では、コンフリクトマネジメントの方法論について議論している。

(2)エイドリアン・J・スライウォツキー、ジョン・ドルジク「「戦略リスク」を体系的に管理する」

リスクマネジメントが進歩する中で、事業を混乱させ、企業価値を破壊しかねない「戦略リスク」に対しては、いまだに無防備である。この記事では、戦略リスクをマネジメントする方法について論じている。

(3)リチャード・タナー・パスカル、ジェリー・スターニン「ポジティブ・デビアンス:「片隅の成功者」から変革は始まる」

「ポジティブ・デビアンス」と呼ばれる「ほかの社員とは違うやり方でより優れた成果を上げている社員や手法」は組織の中に必ず存在する。社員たちにこのポジティブ・デビアンスをみずから発見させ、彼ら自身の意志と力で社内に浸透させることこそ、企業を変革する有効な方法である。

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