2005年10月 9日 (日)

時間へのスタンスを持とう!

447837504601 DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部「いかに「時間」を戦略的に使うか」、ダイヤモンド社(2005)

お奨め度:★★★★

ビジネスにおける時間の使い方は効率性ばかり言われるが、例えば、ドラッカーは、「プロフェッショナル条件」の中で戦略性の重要性について説いている。

現実を考えた場合、会社(ビジネス)のレベルでも、個人のレベルでも、効率的であることは重要だが、効率だけでは問題は解決しない。戦略性を持ち、限られた時間の使い方によって成果を大きくしていく努力をする必要がある。特に、プロジェクトのように有期性を前提にしている仕事では、この発想は大切である。

しかし、意外とこれは難しい。時間は無限の資源のような錯覚に陥ってしまうからだ。

もうひとつ、時間に関する問題で重要な問題は、創造性との兼ね合いである。時間の制約は創造性を損ねるのか、それとも、増幅するのか?明確な答えはないが、まったくの無関係ではなさそうである。

この本では、このような時間に関する問題を集めている。ハーバードビジネスレビューであるので、読んですぐに役立つというのはあまり期待しないほうがよいが、プロフェッショナルとして、自分なりに時間に対する「スタンス」を明確に持つためには非常に役に立つ論文が7編掲載されている。

お奨め!

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トリプルAのリーダーシップ論

B000bkf3zg01 Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー)2005年11月号

特集 トリプルAのリーダーシップ論

詳細目次はこちら(アマゾンではありません。ダイヤモンド社のサイトですので、ご注意ください)。

好川が参考になった記事ベスト3

(1)ラム・チャラン「CEOの「発掘・育成・選抜」のプロセス」

CEOの発掘・育成・選抜のプロセスは体系的なものではなく、概して場当たり的である。GEやP&G、J&J、コルゲートなど、好業績を持続している企業には、優れた後継者育成プログラムがある。この重要課題こそ、ベスト・プラクティスに学ぶべきだ。

(2)マーカス・バッキンガム「エクセレント・マネジャーの資質」

凡庸なマネジャーとエクセレント・マネジャーを分ける資質について、8万人に及ぶデータとインタビューから分析すると、「人々の個性を尊重する」能力に優れていることが判明した。このような能力を構成するスキルについて議論している。

(3)ハーミニア・イバーラ、ケント・ラインバック「キャリア転換を成功させるコミュニケーション術」

だれもがキャリアの転機に不安を感じるものだ。「ストーリー・テリング」の技術を使って、キャリアの転換期の不安を解放する方法を論じている。実在のケースをひもときながら、説得あふれる自分史づくりのコツを紹介している。

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2005年10月 7日 (金)

見える化

449253201301 遠藤功「見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み」、東洋経済新報社(2005)

お奨め度:★★★1/2

マネジメントでは「見える化」がブームである。マネジメントだけではなく、プロジェクトマネジメントでも同じようなブームが起こりつつある。

さて、では、何のために「見える化」をするのか?ここが、意外とはっきりしているようであって、はっきりしないところがある。一言でいえば、この本でも書かれているように、自律的な問題解決を可能にするためであるが、じゃあ、具体的にどういうことだと考えてみるとう~んとなる。

この本は思いっきり、見える化の事例を集めた本である。トヨタ、キヤノン、エプソン、松下電工、JR東日本といった著名な企業の見える化事例が紹介されている。その数34社。これだけでもこの本の価値は十分になる。

加えて、おそらく、可視化、見える化の本では、最も説得力がある。その理由は、遠藤氏は、先に、「現場力」という本で議論した現場力との関連付けられた議論をしていることにある。現場力を向上させるために、「見える化」が必要だと言う話。

とりあえず、誰もが読んでみて損はない本だ。

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羊の群れのようにチームを動かす

479421437509 ケヴィン・レーマン、ウィリアム・ペンタック「頑固な羊の動かし方―1人でも部下を持ったら読む本」、草思社(2005)

お奨め度:★★★★

3年くらい前に、「成功するオフィス・ポリティクス」というちょっと変わった本が出版されている。社内政治を積極的に活用しようという趣旨の本だが、とても気に入っている本の1冊である。

この本と同じ川村透さんの訳の本だったので、手にとってみたら、面白かった。羊のメタファでどこまで実感がわくか微妙であろうが、テーマパークとかで羊の群れを操る光景を見たことがある人には、この本に書かれていることは、行間も含めて、とてもよくわかるだろうし、その意味ではよい本である。

例えば、羊の群れを追うときには、全体を見るのではなく、個々の羊の性格を知ってコントロールしないとうまく行かないなどは、非常によくわかる。マネジメントでも基本中の基本である。

イメージ的に、管理術を想像されるかもしれないが、基本的には自律型チームのマネジメントに関する本である。この本に書かれているリーダーの心得を見ると

 ・相手を信頼して、目標を高く設定すること

 ・こちらから信頼しないかぎり、相手に信頼されることはない

 ・自分の価値、ビジョンを伝え続ける

 ・マイナス思考の人間を排除する

といったことが書いてある。

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セルフ・リーダーシップ

447836084709 K・ブランチャード、S・ファウラー、 L・ホーキンス(依田卓訳)「1分間セルフ・リーダーシップ」、ダイヤモンド社(2005)

セルフリーダーシップという言葉は耳慣れない言葉だと思うが、聞いた瞬間にすぐに意味が分かるのではないかと思う。

僕はこの言葉を、ソフィアヒューマンキャピタルの室伏順子さん の取材をさせて戴いたときに教わった。

取材の後で、インターネットを調べていたら、なんと、チャールズ・マンツが「なりたい自分になる技術―あなたを成功に導くセルフリーダーシップ」というタイトルの本を出していることが分かり、それ以来、僕の中では注目概念になっている。

言葉があまり普及しないので、使うのは控えていた。が、この本が、でてきた。ブランチャードの1分間シリーズで出たことは注目に値する。これからはこの言葉を使おう。

この本で言っていることは「ある意味で」単純である。訳者の依田さんのあとがきの表現をかりると

 思い込みの枠に挑戦し

 力のポイントを利用し

 成功に向けて協力しあう

の3つの「トリック」である。読めばなるほどと思える。

ところが、これは特に組織の中にいるとそう簡単なことではない。これについては、プロジェクトを成功させる仕事術でいずれ触れたい。

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時間に遅れないプロジェクトマネジメントとは?

432009633901 Robert C.Newbold(石野 福弥監訳)「時間に遅れないプロジェクトマネジメント―制約理論の応用」、共立出版(2005)

TOCプロジェクトマネジメント(CCPM)初といってもよい実用書。オビにIBMの富永さんとシャープの坂井さんが、口をそろえて、プロジェクトマネジメントを「科学」することの重要性を、その視点からのこの本の重要性を唱えてられている。

どのあたりのことを指して言われているのか分からないが、この本がよい本であることは間違いない。実際に、PMBOKの導入の現場にいて、議論をしているときに、CCPMで提唱しているプラクティスが必要だという話はよく出てくる。その代表がバッファマネジメントである。その意味で、どんな流儀のマネジメントであっても、CCPMのプラクティスは押さえておくとよい。

CCPMの本は何冊かあるが、この本が一番分かりやすいし、TOCの原則が随所に入っているので、プラクティスの意味がよく理解でき、うまく使えるだろう。

制約条件という考え方を理解しておく必要があるが、それさえあれば、誰が読んでも役立つプロジェクトマネジメントの本になっている。

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2005年10月 4日 (火)

チームマネジメントの最強テキスト

82011818 リチャード・ハックマン(田中滋訳)「ハーバードで学ぶ「デキるチーム」5つの条件―チームリーダーの〈常識〉」、生産性出版(2005)

お奨め度:★★★★1/2

日本でチームがリアリティをもって受け入れられない理由は、おそらく、話は分かるが実際どうするんだという素朴な疑問だと思う。

僕がマネジメント3点セットと呼んでいるリーダーシップ、(マネジメント)コミュニケーション、チームの中で、本当にみんなが試行錯誤しているのはリーダーシップであるが、チームとコミュニケーションについては、欧米では、相当、具体的な手法に踏み込んで本がたくさんある。

その中で、チームに関する極上の一冊がこの本である(ちなみに、コミュニケーションに関しては、同じシリーズで出ている「ハーバードで学ぶマネジメント・コミュニケーション」だと思う)。

この本では、いきなり、クイズが出てくる。オハイオ州の小学4年生のために作られた学力測定テストの問題である。

問3 ひとつの仕事(例えば家の建築)に数名で取り組む場合、この仕事はおそらく

 (1)1人でするよりも早く終わる

 (2)1人でするよりも時間がかかる

 (3)終わらない

という問題で、正解は(1)だそうである。そして、筆者はこれに首を傾げる。ここからこの本は始まる。

そして、

 ・チームのビジョンと方針

 ・チームの構造

 ・チームの制度

 ・チームに必要なコーチングの体制

という視点で、チーム作りのソリューションを提案している。さらに、この後、チームリーダーのあり方やものの考え方についても提案をしている。

この本を読んでみて、やっぱり、チームマネジメントなど必要ないと思えれば、それでいいと思う。そんな1冊である。

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2005年10月 3日 (月)

2006カレンダー~キース・ヘリングはいかが?

383270932001 Keith Haring 2006 Calendar

お奨め度:★★★★

Keith Haring のポスターカレンダー。なぜか、毎年、買っているなあ、、、

一昨年くらいから、ユニクロがキースヘリングのTシャツなどといった企画をしているので、若干、食傷気味ではあるが、まあ、なくてはならない一品ですな。

昔は入手に苦労したのだが、、、

2006カレンダー~シンプルな雰囲気を好む方に

082125704801 Ansel Adams 2006 Calendar 

お奨め度:★★★★

デザイン性:★★★★

実用性:★★★★

Ansel Adamsのモノクロの写真集カレンダー。使い出して何年になるか忘れたが、このカレンダーがないとさみしい。

ザ・プロフェッショナル

447837501109 大前研一「ザ・プロフェッショナル」、ダイヤモンド社(2005)

お奨め度:★★★★

「お~、ついに出た」と思い、手にしたが、次の瞬間にがっかりした。

プロフェッショナル論としては間違いなく一級品である。しかし、誰もが言っているようなことを大前流にまとめただけの本である。

大前は日本のビジネスマンでプロフェッショナルというときに、真っ先に出てくる一人であり、僕のもっとも尊敬するビジネスプロフェッショナルだけに、あえて、厳しい評価をしたい。

この本がで大前が言っているのは、先見する力、構想する力、分析する力(議論する力)、矛盾を適応する力、21世紀経済に対する正しい理解と洞察があって、ビジネスプロフェッショナルとなれるということである。

知りたいのは、どうすれば大前研一になれるかである。

大前研一は、80年代には間違いなく、トムピーターズと同じくらいの影響力を持っていたように思う。日本人では初めて、経営論のグルになる人だと思っていた。

しかし、年齢を重ねるとともに、普通の人になってきたように思う。それでも、同分野ではトップを走り続け、後塵を拝していないのだから、たいしたものだが、昔からの大前研一のファンは、だんだん欲求不満になっているのではないかと思う。

特に、ビジネススクールを作ってからはグルではなく、教育者になってしまったように思う。その延長線上にこの本があるように思える。

なぜ、大前研一があるのか?一般論的なプロフェッショナル論ではなく、彼の生き様をプロフェッショナルという視点から知りたい。次は、ぜひ、そんな本を出してほしい。

ちょっと書きすぎた嫌いもある。繰り返すが、大前研一の本としてみなければ、間違いなく一級のプロフェッショナル論である。

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ドラえもんはすばらしいメンターである

4872575997横山泰行「ドラえもんの「育て力」―人生に必要なことは、すべて「ドラえもん」が教えてくれた!」、イースト・プレス(2005) 

お奨め度:★★★★

まぐまぐの創始者の一人である大川さんは、インターネットを「どこでもドア」とたとえていた。彼が個人事業をやっていた当時のホームページは、今でも新しいのではないかと思う。

大川さんもすごいが、インターネットにたとえられるようなアイディアを出したドラえもんはすごいコミックスである。本当にアイディアの宝庫だ。いろいろなことに気づかせてくれる。

この本は、ドラえもんのストーリーの中から、ドラえもんがおもに、のび太にコーチング行動をとっている部分を取り出し、コーチングの基本について解説した本である。

「ほめる力」「叱る力」「気づかせる力」「経験させる力」「学ばせる力」、などなど、正直なところ、よくこれだけのネタがあるものだと思う。

ドラえもんを知らない人もいないと思うが、念のために書いておくと、子守用ロボットである。そして、のび太の”悲惨な未来”を”バラ色”に変えていく。

話は変わるが、メンタリングという概念がある。メンタリングは、ギリシャの詩人ホメロスの書いた叙事詩「オ. デュッセイア」に登場する老賢人「メントル」にちなんでメンタリングと呼ぶようになったという説がある。

僕がメンタリングという概念を知ったこととドラえもんを知ったのは、当然、ドラえもんの方が早い。実は、メンタリングを知ったときに、真っ先に連想したのが、ドラえもんだった。

この本は、まさに、そうだ!という思いで読んだ。プロジェクトマネージャーがドラえもんになれれば、納期遅れなどなくなるかもしれないが、とりあえず、のび太クンたちを動かしながらやるしかないとすれば、この部分だけでもドラえもんになりたいものだ。

ドラえもんになりたい方、ぜひ、読んでみよう!

エンジニアの優位性を活かす方法

427000093709 大滝令嗣「理系思考 エンジニアだからできること」、ランダムハウス講談社(2005)

お奨め度:★★★★

著者の大滝さんは、カリフォルニア大学サンディエゴ校で、電子工学科の博士課程を修了し、東芝を経て、コンサルティングの道に入った方である。その後、人材コンサルティングで有名なマーサーで会長まで上り詰めた人でもある。

僕が大滝さんの存在を知ったのは、

 営業プロフェッショナル高業績の秘訣―コンピタンシーモデルで解明する(1996)

を読んでからである。この本は、ちょうど、僕がコンピテンシーに興味を持つようになって来た頃に出た本で、日本ではコンピテンシーという概念紹介のさきがけになった本でもある。この本を読んですばらしいと思ったのは、極めて、論理的、分析的に書かれているからである。

コンピテンシーそのものについては、大学院で一通りのことは学んでいたが、当時、営業マネジメントのコンサルティングをしていた中で、マネジメントプロセスの実行に手を焼いていたときに、出会って衝撃を受けた本でもあった。ついでに言えば、その後の弊社のコンピテンシーがらみの事業はこの本に大きな影響を受けている。

さて、話が脱線したが、このパターンのビジネスマンは実に多い。このパターンというのは、いうまでもなく、エンジニアでキャリアを始め、キャリアを積んでいく中で、エンジニアリング以外の分野、例えば、経営で卓越した能力を発揮し、成功するというパターンである。最も著名なのは、おそらく、大前研一氏だろう。

この本を読んでみると、なぜ、そのようなキャリアが成立するかがよくわかる。エンジニアにはエンジニア独特のものの見方や考え方、仕事への興味の持ち方があり、そして、それが、例えば、人事マネジメントといった一見畑違いの分野であっても競争優位源泉になるのだ。

そんなことをいろいろな側面から教えてくれる1冊の本である。生涯1エンジニアでありたいと思っている人も、卒業して人の上に立つことを目指す人も、また、事業を目指す人にもぜひ、読んでいただきたい1冊である。

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2005年10月 2日 (日)

行動の原因を外部環境に求める

408720307701 杉山尚子「行動分析学入門―ヒトの行動の思いがけない理由」、集英社新書(2005)

お奨め度:★★★★

著者の杉山さんは、数年前に、同じ書名の専門書を出版している。

杉山尚子他「行動分析学入門」、産業図書(1998)

この本はすばらしい本なのだが、ちょっと難しいのと、高価なので、あまり人に紹介しなかった。ずっと、この本の新書がでないかなと思っていたが、8年経って、やっと出版された。これも「行動」への関心が高まっていることの証だろう。

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部下が何か失敗をしたときに、「あいつはやる気がない」ということを言ってみても、評価にはなるが、問題の解決にはならない。心理的な問題に関しては、この種の評価をするだけで終わっていくケースが多い。

しかし、これは本来、その人のもつ可能性の芽を摘んでいることになるかもしれないし、プロジェクトのような有期的な業務環境ではそのような評価を100回するより、その人をちょっとでもよいから変える方がはるかに意味がある。

そこで、注目されるのが「行動分析学」という手法である。この概念は、「行動随伴性」という概念によって、行動の原因を人間の内面(気持ち)ではなく、外的環境に求めようというものである。詳しい話は、こちらを参考にしてほしい。

プロジェクトマネージャーの方には、ぜひ、読んでほしい。また、マネジメントのツールではなく、セルフマネジメントのツールとしても使える。特に、習慣づけにおいては、この行動随伴性というのは重要な役割を果たしている。このあたりに興味を持つ方もぜひ、読んでいただきたい1冊である。

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多様性をいかす組織

31597178_4 谷口真美「ダイバシティ・マネジメント―多様性をいかす組織」、白桃書房(2005)

お奨め度:★★★1/2

たぶん、日本で始めてダイバシティーマネジメントだけについて書いた本。学術書なので内容は硬いが、サーベイが多く、また、事例研究が豊富なので、ビジネスマンにも十分に役立つ本。

谷口先生は専門の一つがジェンダーダイバシティということもあり、ジェンダー・ダイバシティに1章が割かれているが、全体的には、人種、民族、文化などによるダイバシティの話題の方が多くなっている。

2章ではサーベイが中心だが、ダイバシティがどのようにさまざまな企業のパフォーマンス指標にどのような影響を与えるかが議論されている。もし、プロジェクトの中に異なる国の人や異性がいれば、考えさせられるデータが満載という感じ。

4章もサーベイが中心だが、ダイバシティーをパフォーマンス向上に活かすことのできる組織の作り方が議論されている。プロジェクトのチームビルディングの際にも役立つ内容。

5章は、製造業1社、イオン、マツダの3社の事例が、非常に詳しく書かれている。読み応えがある。

学術書のためか、高いし、ビジネス書と較べると読みにくいので、誰もに読んで欲しいとは言いにくいが、ダイバシティについて感心を持つ人であれば、読む価値ありの1冊。

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2005年9月25日 (日)

アーロンチェアに座る人材

479810149409lzzzzzzz エド・マイケルズ、 ヘレン・ハンドフィールド=ジョーンズ、ベス・アクセルロッド(マッキンゼー・アンド・カンパニー、渡会圭子訳)「ウォー・フォー・タレント ― 人材育成競争」、翔泳社(2002)

お奨め度:★★★1/2

マッキンゼーの「ウォー・フォー・タレント」というキャンペーンの主張と、その背景になる調査をまとめた本。

表紙に注目してほしい。ハーマンミラーのワークチェア「アーロンチェア」である。要するに、この椅子に座れるリーダーをどれだけ作れるかが競争力な問題だと問いかけているが。この本で調査した結果わかったベストプラクティスには、

 「トップなどの意識や行動」

 「人材の引きつけ」

 「リクルーティング」

 「組織的アプローチ」

 「能力評価プロセスの確立」

 「実践への指南」

があるとしている。この本(調査)の主張として非常に興味深いのは、単に人材育成担当者が一生懸命やっているだけではだめで、トップコミットメントが必要だと説いている点。つまり、一番目の「トップなどの意識や行動」が必要だとしている点。

これらは、世界最大のリーダーシップ育成の機関、CCL(Center for Creative Leadership)の主張とも合致しているので、おそらく本質を突いているのだろう。ちなみに、CCLの主張は、「ハイフライヤー」に詳しく紹介されている。

なかなか、興味深い1冊である。

2005年9月20日 (火)

あなたはプロジェクトリーダーになれるか?

489684144109 梅森浩一「成果主義時代のリーダーになれる人なれない人」、IBCパブリッシング(2005)

お奨め度:★★★★

梅森浩一さんの本は何冊か読んだが、結構、刺さる本が多い。その中でもこの本はいい本だ。

梅森さんがこの本で言おうとしているのは

より少ない人数でより多くの仕事をこなすリーダーシップとはどんなものか

ということである。

第1章が梅森さんの真骨頂かもしれない。「リーダーシップの値段」。成果主義であれば、リーダーシップも値段がつく。階層型組織の末端までリーダーシップがあるかどうかによって、その企業の業績は大きな差がつく。では、リーダーシップは株価の何%の影響を持っているのか?答えは本を読んで戴くとして、この章がこの本では一番面白い。

2章以降は、そのようなリーダーシップの分析と構築方法。一応、第1章で述べたことに対して、向き/不向き、および、リーダーシップ行動がロジカルに述べられている。

議論そのものは、一般的な企業を対象にしているが、この本、実はプロジェクトリーダーにぴったりとはまっている。

プロジェクトリーダーの手前にいる人、ぜひ、読んでみよう。

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リーダーシップに「心理学」を生かす

447836085509 DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部「リーダーシップに「心理学」を生かす」、ダイヤモンド社(2005)

お奨め度:★★★★1/2

この本、お奨め!

本では読めないような論文がずらっと並んでいる。論文といってもそんなに読みにくくはない。素人の僕にはよく分からないが、背景にいろいろな心理学の理論があるのだと思うが、少なくとも表に出てきている内容は、「ほ~」という感じのことばかりで、引き込まれるように読めるものが大半だ。

特に、お奨めは2点。

マイケル・マコビーの「転移の力:フォロワーシップの心理学」。フォロワーシップの特性を転移という現象から議論している。

もうひとつは、エドガー・シャインの「学習の心理学」。学習とリーダーシップ、組織文化の関係を議論している。強制的な説得の怖さを指摘した上で、学習にも組織文化の構築にも強制的説得が必要なことを主張している。

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イノベーションのジレンマ、いよいよ完結

427000071601クレイトン・クリステンセン、スコット・アンソニー、エリック・ロス(宮本 喜一訳)「明日は誰のも のか イノベーションの最終解」、ランダムハウス講談社(2005)

お奨め度:★★★★

イノベーションのジレンマ」の完結編。

前作のイノベーションへの解では、あまり、インパクトのある破壊的イノベーションのソリューションを提示できなかったように感じたが、あれから2年が経過し、相当しっかりした理論になったというのが第一印象。

単にプラクティスではなく、具体的なプロセスの構築などについても言及しており、「イノベーションのジレンマ」を打ち破る方法としてやっと具現性を持ってきた。特に、非マーケット要因の分析の部分はすばらしいと思う。

今回から、出版社が変わっており、Harvard business school pressの本として、ランダムハウス講談社が翻訳を手がけた。この翻訳は前作2冊の翻訳より、翻訳として堅いように思う。僕には若干読みづらかったが、エンジニアなどが読むにはよいのかもしれない。訳者の宮本さんは、同じ出版社から出版された「トム・ピーターズのマニフェスト」や「ジャック・ウェルチ わが経営」(日経ビジネス人文庫)の翻訳をしていらっしゃる方であるが、こちらと較べると、おそらく、出版社の方針だろう。

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踊る大捜査線に学ぶ組織論

476126277x01lzzzzzzz金井寿宏、 田柳恵美子「踊る大捜査線に学ぶ組織論入門」、かんき出版(2005)

お奨め度:★★★1/2

金井寿宏先生の著書は経営学の中ではよく売れるらしいが、金井先生の著書(共著)の中でおそらく圧倒的に売れたのは、「働くひとのためのキャリア・デザイン」や「リーダーシップ入門といった人気書ではなく、おそらく、これ。

59402550ウルトラマン研究序説

21日の若手研究者がまじめに分析した本というキャッチで、40万部超えの大ヒット。ブーム的なものを巻き起こした。その後、文庫本化され、結構、売れているらしい。ウルトラマンファンからはいろいろな批判がでた本だが、売れればゆえだろう。

さて、今回の踊る大捜査線はこの本の共著者の中のお二人の共著である。研究(考察)成果を書いた本というよりは、教育目的で書かれた本のようなテーストなので、ウルトラマン研究序説のようなインパクトはないが、組織論の勉強にはもってこいだ。ただし、結構、金井流がふんだんに盛り込まれているので、ただの組織論ではない。金井先生のファンの方にはお奨めの1冊。もちろん、踊る大捜査線のファンの方には応えられない1冊だろう。

それにしても、このタイトル、一瞬、間違いかと思ってしまった(笑)。このタイトルなら、普通、入門はつかないでしょう。インターネット検索をしたタイトルなんだろうか。。。内容もオーソドックスな入門ではないですね。

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さて、この本を読んで映画をみて、組織論をイメージ的に理解するのもよいだろう。おりしも、こんなDVDが発売される。

踊る大捜査線 コンプリートDVD-BOX

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2005年9月18日 (日)

実践を重視したコミュニティとは

479810343809 エティエンヌ・ウェンガー、リチャード・マクダーモット、ウィリアム・スナイダ(櫻井祐子訳)「コミュニティ・オブ・プラクティス―ナレッジ社会の新たな知識形態の実践」、翔泳社(2002)

お奨め度:★★★1/2

戦略や計画を作っても実行できない。この問題に対する議論はさまざまな視点から行われているが、コミュニティ・オブ・プラクティスはその中で、学習と言う視点からの見識を与えるものである。

この本で提唱されているコミュニティ・オブ・プラクティスとは、ある分野における知識の習得や研さん、あるいは知識を生み出すといった活動のために、持続的な相互交流を行っている人々のコミュニティを指している。そして、仕立て屋を例に挙げて、伝統的な徒弟制度における学習の多くは、職人や上級徒弟の間の相互交流で行われていると分析し、「学習はコミュニティ・オブ・プラクティスへの参加の過程である」と結論づけた上で、コミュニティ・オブ・プラクティスの重要性を説いている。

ここで学習といっている内容がポイントで、学習とは技能や知識の習得ではなく、コミュニティ・オブ・プラクティスに参加することによって生まれる役割やプロセスの変化であり、ゆえにこれが実践コミュニティとして機能するというロジックになっている。

コミュニティ・オブ・プラクティスという考え方は、実行という点において非常に意味のあるものであり、多くの企業やプロジェクトが抱えている悩みを解決するポテンシャルを持つものである。

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