イノベーションのジレンマ、いよいよ完結
クレイトン・クリステンセン、スコット・アンソニー、エリック・ロス(宮本 喜一訳)「明日は誰のも のか イノベーションの最終解」、ランダムハウス講談社(2005)
お奨め度:★★★★
「イノベーションのジレンマ」の完結編。
前作のイノベーションへの解では、あまり、インパクトのある破壊的イノベーションのソリューションを提示できなかったように感じたが、あれから2年が経過し、相当しっかりした理論になったというのが第一印象。
単にプラクティスではなく、具体的なプロセスの構築などについても言及しており、「イノベーションのジレンマ」を打ち破る方法としてやっと具現性を持ってきた。特に、非マーケット要因の分析の部分はすばらしいと思う。
今回から、出版社が変わっており、Harvard business school pressの本として、ランダムハウス講談社が翻訳を手がけた。この翻訳は前作2冊の翻訳より、翻訳として堅いように思う。僕には若干読みづらかったが、エンジニアなどが読むにはよいのかもしれない。訳者の宮本さんは、同じ出版社から出版された「トム・ピーターズのマニフェスト」や「ジャック・ウェルチ わが経営」(日経ビジネス人文庫)の翻訳をしていらっしゃる方であるが、こちらと較べると、おそらく、出版社の方針だろう。
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目次
序章 変化を予測する
第1部 分析のために理論をどのように用いるか
第1章 変化のシグナル――ビジネスチャンスはどこにあるのか
第2章 競争のための戦い
第3章 戦略的な判断
第4章 非マーケット要因はイノベーションにどのように影響するか
第2部 理論に基づいた分析の実際
第5章 破壊的な卒業証書――教育の未来
第6章 破壊がその翼を広げる――航空の未来
第7章 ムーアの法則はいずこに――半導体の未来
第8章 超肥大業界を癒す――ヘルスケアの未来
第9章 海外のイノベーション――理論を応用して企業や国家の戦略を評価する
第10章 銅線を切る――通信の未来
結論 次は何か
付章 主な概念のまとめ
用語集
原注
索引
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