踊る大捜査線に学ぶ組織論
金井寿宏、 田柳恵美子「踊る大捜査線に学ぶ組織論入門」、かんき出版(2005)
お奨め度:★★★1/2
金井寿宏先生の著書は経営学の中ではよく売れるらしいが、金井先生の著書(共著)の中でおそらく圧倒的に売れたのは、「働くひとのためのキャリア・デザイン」や「リーダーシップ入門」といった人気書ではなく、おそらく、これ。
21日の若手研究者がまじめに分析した本というキャッチで、40万部超えの大ヒット。ブーム的なものを巻き起こした。その後、文庫本化され、結構、売れているらしい。ウルトラマンファンからはいろいろな批判がでた本だが、売れればゆえだろう。
さて、今回の踊る大捜査線はこの本の共著者の中のお二人の共著である。研究(考察)成果を書いた本というよりは、教育目的で書かれた本のようなテーストなので、ウルトラマン研究序説のようなインパクトはないが、組織論の勉強にはもってこいだ。ただし、結構、金井流がふんだんに盛り込まれているので、ただの組織論ではない。金井先生のファンの方にはお奨めの1冊。もちろん、踊る大捜査線のファンの方には応えられない1冊だろう。
それにしても、このタイトル、一瞬、間違いかと思ってしまった(笑)。このタイトルなら、普通、入門はつかないでしょう。インターネット検索をしたタイトルなんだろうか。。。内容もオーソドックスな入門ではないですね。
さて、この本を読んで映画をみて、組織論をイメージ的に理解するのもよいだろう。おりしも、こんなDVDが発売される。
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第1章 組織のダイナミズム
File1 事件は現場で起きている
「事件は会議室で起きているんじゃない、現場で起きているんだ」
File2 完全無欠なルールなどない
「……何がマニュアルだ……」
File3 現場が求める即興性
「勝手に動くなといいたまえ」
「もう(現場に)着いちゃいます」
FIle4 資源配分のジレンマ
「事件に大きいも小さいもない」
File5 集団圧力に負けない意思決定とは?
「おまえらは勝手に犯人像をふくらませ、自ら霧の中に迷い込んだ」
第2章 組織とミッション
File1 “使命”とは命を使うこと
「正しいことができないんだ。……自分の信念も貫けない」
File2 人はいかに組織に染まるか
「おれたちは逮捕するだけが仕事だ」
File3 社是社訓が組織文化のインプットになるとき
「人が事件を起こすんじゃない、事件が人を起こすんだ」
File4 頑張るミドルほど燃え尽きやすい
「あんたは、えらくなったんだ。何もしなくてよかったのによ」
File5 やりがいをどう設計するか
「誰のために働いてんだか……」
File6 夢がビジョンになりミッションになる
「頑張りましょうよ、おれたちの思い実現するまで」
第3章 組織のカタチ
File1 官僚制組織はなぜすぐれているのか?
「わたしに指揮権などない。指揮するのは、もっと上の官僚だ。」
File2 組織図の読み方
「本店の人たち来て、ここに泊り込むことになったら、弁当出して、お茶出して、タクシー代出すの、みんなうちなのよ」
File3 新テクノクラートの台詞
「さっすが、仕事早いね、係長」
File4 組織をダメにする官僚的態度
「レインボーブリッジを封鎖できません」
第4章 組織とリーダーシップ
File1 人はいかにしてリーダーになるのか
「みなさん、所轄の意地、見せてやりましょう」
File2 なぜリーダーに権威が必要なのか?
「室井さん、命令してくれ!おれはあんたの命令を聞く!」
File3 変革的リーダーシップの条件
「リーダーが優秀なら、組織も悪くない!」
File4 世代から世代へ受け継がれるメンターシップ
「おめえの信念貫いて、人の希望になってやれ……なんてな」
File5 進化する組織のための新しいリーダー像
「室井さん、しびれるような命令をありがとうございました」
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