ヒューマンソフトマネジメントスキル Feed

2006年1月25日 (水)

正しいメンタリングの仕方を身につける

453211093901lzzzzzzz 渡辺三枝子、平田史昭「メンタリング入門」、日本経済新聞社(2006)

お奨め度:★★★★

最近、メンタリングが注目されるようになってきている。コーチングブームからの派生だと思うが、あまりにも局所的な部分に焦点が当たりすぎているように思う。

ご存知の方も多いが、メンタリングという言葉は叙述詩「オデッセウス」の登場人物「メントール」という人物が語源だといわれている。オデッセウスが放浪の旅に出るときに,息子の養育を老賢人メントールに依託した。オデッセウスの期待に答え、メントールは見事に息子を育て上げたという話がある。

一人の子供、それも、王様の後継者を育てるという仕事を考えてみてほしい。さまざまな観点から、さまざまな対応をしなくてはならない。それがメンタリングである。あるときには、子供を信用して、全面的に見方をしてやる必要があるだろう。あるときには厳しく指導してやる必要があるだろう。あるときには友達になってあげる必要があるだろう。などなど。

その一因は、メンタリングという言葉や概念は普及してきたが、その方法については自己解釈、経験論が多く、メンターとしてきちんと勉強していない人が多いためだと思われる。

その意味でメンターになる人は、必ず、メンタリングの勉強をしてほしい。そんな人にぜひお奨めしたいのが、この本である。専門的な用語の使用を避け、わかりやすく、かつ、結構、網羅的に書かれている。事例もふんだんに掲載されている。

この本を読んで、興味をもったら、ぜひ、一度、本格的に勉強をしてみてほしい。それには、こちらがお奨め。

456126387x09lzzzzzzz キャシー・クラム(渡辺直登、伊藤知子訳)「メンタリング―会社の中の発達支援関係」、白桃書房(2003)

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2006年1月 3日 (火)

リーダーのためのとっておきの1冊

489451213009lzzzzzzz 石田淳(小阪裕司監修)「リーダーのためのとっておきのスキル」、フォレスト出版(2005)

お奨め度:★★★★

石田淳(小阪裕司監修)「リーダーのためのとっておきのスキル」、フォレスト出版(2005)4894512130

株式会社ウィルPMインターナショナルの石田氏が、自らのマネジメント理論である「IS行動科学マネジメント」についてまとめた書籍。

IS行動科学はパフォーマンスマネジメントの一種であるが、コンセプトも理解しやすく、非常に実行しやすい点がすばらしい。

書籍としては、最初にマネジメントに対する問題提起をし、それを解決するのがIS行動科学マネジメントであるという構成になっている。提起されている問題そのものはよく言われいていることが多いが、それらをある程度体系的にまとめている。これはあまり類を見ないのではないかと思う。行動科学のマネジメントにおけるカバー範囲が広いということの証でもあろうが、この部分だけでも一読に値する。

行動科学はマネジャーにとっては必須科目である。行動科学といえば必ず出てくる

「行動科学の展開―人的資源の活用」
https://mat.lekumo.biz/books/2005/04/post_1baf.html

といったバイブルもあるが、結構、難解である。また、パフォーマンスマネジメントについても、

「行動分析学入門―ヒトの行動の思いがけない理由」
https://mat.lekumo.biz/books/2005/10/post_22a9.html

といった読みやすい書籍があるが、体系が結構大きいので全体が把握できない部分も多い。このような分野をコンパクトにまとめ、独自の理論体系として纏め上げているので、非常に実用的である。マネジメントに悩むマネジャーには何度も繰り返し読んで欲しい1冊である。

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2005年11月28日 (月)

プロジェクトマネジメントにおけるコーチング

488373218509lzzzzzzz 大浦勇三「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」、ソフトリサーチセンター(2005)

お奨め度:★★★1/2

コーチングは、プロジェクトマネージャーのためのヒューマンマネジメントスキルの中で最も重要なものである。コーチングに関する本は多いが、プロジェクトマネージャーに焦点を当ててコーチングスキルをまとめた本はなかった。

個々の内容を読むと、少し、コーチングやファシリテーション、メンタリングの本をかじった経験のある人なら、どこかで読んだという感じだと思うが、プロジェクトマネージャーとしての適用方法、適用場面などに言及している点において意味のある本である。

まとめ方もよく工夫されており、自分の中で、自分のやっていること、やっていないことの整理をしながら、読み進めていくことができる。

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2005年10月 3日 (月)

ドラえもんはすばらしいメンターである

4872575997横山泰行「ドラえもんの「育て力」―人生に必要なことは、すべて「ドラえもん」が教えてくれた!」、イースト・プレス(2005) 

お奨め度:★★★★

まぐまぐの創始者の一人である大川さんは、インターネットを「どこでもドア」とたとえていた。彼が個人事業をやっていた当時のホームページは、今でも新しいのではないかと思う。

大川さんもすごいが、インターネットにたとえられるようなアイディアを出したドラえもんはすごいコミックスである。本当にアイディアの宝庫だ。いろいろなことに気づかせてくれる。

この本は、ドラえもんのストーリーの中から、ドラえもんがおもに、のび太にコーチング行動をとっている部分を取り出し、コーチングの基本について解説した本である。

「ほめる力」「叱る力」「気づかせる力」「経験させる力」「学ばせる力」、などなど、正直なところ、よくこれだけのネタがあるものだと思う。

ドラえもんを知らない人もいないと思うが、念のために書いておくと、子守用ロボットである。そして、のび太の”悲惨な未来”を”バラ色”に変えていく。

話は変わるが、メンタリングという概念がある。メンタリングは、ギリシャの詩人ホメロスの書いた叙事詩「オ. デュッセイア」に登場する老賢人「メントル」にちなんでメンタリングと呼ぶようになったという説がある。

僕がメンタリングという概念を知ったこととドラえもんを知ったのは、当然、ドラえもんの方が早い。実は、メンタリングを知ったときに、真っ先に連想したのが、ドラえもんだった。

この本は、まさに、そうだ!という思いで読んだ。プロジェクトマネージャーがドラえもんになれれば、納期遅れなどなくなるかもしれないが、とりあえず、のび太クンたちを動かしながらやるしかないとすれば、この部分だけでもドラえもんになりたいものだ。

ドラえもんになりたい方、ぜひ、読んでみよう!

2005年10月 2日 (日)

行動の原因を外部環境に求める

408720307701 杉山尚子「行動分析学入門―ヒトの行動の思いがけない理由」、集英社新書(2005)

お奨め度:★★★★

著者の杉山さんは、数年前に、同じ書名の専門書を出版している。

杉山尚子他「行動分析学入門」、産業図書(1998)

この本はすばらしい本なのだが、ちょっと難しいのと、高価なので、あまり人に紹介しなかった。ずっと、この本の新書がでないかなと思っていたが、8年経って、やっと出版された。これも「行動」への関心が高まっていることの証だろう。

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部下が何か失敗をしたときに、「あいつはやる気がない」ということを言ってみても、評価にはなるが、問題の解決にはならない。心理的な問題に関しては、この種の評価をするだけで終わっていくケースが多い。

しかし、これは本来、その人のもつ可能性の芽を摘んでいることになるかもしれないし、プロジェクトのような有期的な業務環境ではそのような評価を100回するより、その人をちょっとでもよいから変える方がはるかに意味がある。

そこで、注目されるのが「行動分析学」という手法である。この概念は、「行動随伴性」という概念によって、行動の原因を人間の内面(気持ち)ではなく、外的環境に求めようというものである。詳しい話は、こちらを参考にしてほしい。

プロジェクトマネージャーの方には、ぜひ、読んでほしい。また、マネジメントのツールではなく、セルフマネジメントのツールとしても使える。特に、習慣づけにおいては、この行動随伴性というのは重要な役割を果たしている。このあたりに興味を持つ方もぜひ、読んでいただきたい1冊である。

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2005年9月13日 (火)

支援型リーダーシップを身につける

486063119609 堀公俊「ファシリテーション型リーダーシップが身につくスキル―自律型の人と組織が成果をつくる」、あさ出版(2005)

お奨め度:★★★★

プロジェクトマネジメントで必要になるのは、ファシリテーション型のリーダーシップである。これはプロジェクトにおけるメンバーとプロジェクトマネージャーの関係に起因する。つまり、プロジェクトにおいてメンバーはその道のプロフェッショナルであり、そのスキルでマネージャーを超越した存在であることが多い。そのため、マネージャーはメンバーに対して指示をするという形でプロジェクトを動かすことができず、ファシリテーションによって、チームを動かしていくしか方法がないのだ。

078797070001日本でファシリテーションが注目されだしたきっかけになったのは、フラン・リースの「The Facilitator Excellence Handbook」の翻訳が出版されたことだと思う。この本は、ファシリテーションの分野ではバイブル的は本の1冊である。

この本はファシリテーションの技術が書かれていると同時に、ファシリテーションの位置づけが綿密に書かれており、その重要性を日本に定着させた本である。ファシリテーションというと、会議術のようなイメージが定着してきたが、この本ではもう少し、広い視点から、リーダーシップのあり方としての重要性が説かれている。

翻訳書は

483341741309 フラン・リース(黒田由貴子訳)「ファシリテーター型リーダーの時代」、プレジデント社(2002)

であり、しっかりと翻訳されたよい本である。

それから、1年ほどして、日本ファシリテーション協会という組織ができた。その会長が堀公俊さんである。堀公俊さんは、ファシリテーションの普及のために数多くの著作をされているが、僕はこの本が一番よい本ではないかと思う。

ファシリテーションに興味のある人も、ない人も、ぜひ、一度、お読みいただきたい。

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2005年9月 6日 (火)

気づく力を鍛えよう

4833450119畑村洋太郎ほか「気づく力」、プレジデント社(2005)

お奨め度:★★★1/2

この本は President books として、テーマを決め、過去のプレジデントの関連記事を編集して出版したものである。

この本のテーマは「気づく力」として、「気づく力」、「考える力」、「行動する力」の3つのパートでそれぞれ、10本程度の記事を収録している。ダイヤモンドもハーバードビジネスで同じことをやっているが、それと比較すると、気軽に読め、値段も安いのがよい(なんと、1000円である)。

内容は目次を見て戴きたいが、お奨め記事を何本か、ピックアップしておく。

大前研一「組織の思考を止める「上司の壁」」
橘川真彦「なぜ、人は「大切なこと」を見過ごすのか」
山田日登志「「停滞、繰り返し作業・運搬」にムダが潜む」
金出武雄「できない理由を考える前に、素直に行動してみる」
畑村洋太郎「なぜ人は、頭でわかっても動けないか」
田中義厚「雑用を任せられる社内人脈をつくれ」

気に入った記事に関しては、「読み足りない感」が残ると思うが、また、それがいいのかもしれない。後は、考えろってことで、、、

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2005年9月 2日 (金)

コーチングの実際が分かる

4569645577PHP研究所編集「リーダーのためのコーチング実践Q&A」、PHP研究(2005)

お奨め度:★★★1/2

こういう本が一冊ほしかったという感じの本。

コーチングの本を読んでも、枠組み(形式)はともかく、実際的なところがよく分からない。それで試してみても十分にできない。そこで、本格的なコーチのトレーニングを受けようかということになるが、「そこまではちょっと」という人も少なくないだろう。そんな人にぜひ読んでみて欲しい1冊である。

コーチングという枠組みに関係なく、リーダーシップを高める、コミュニケーション能力を高めるためにたいへんよいことが書いてあるし、ヒューマンソフトマネジメント一般に通じることが結構たくさん書いてある本である。

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2005年8月10日 (水)

ファシリテーションの威力

B000ami0be01 Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 09月号

特集:ファシリテーション型リーダーシップ

詳細目次はこちら(アマゾンではありません。ダイヤモンド社のサイトですので、ご注意ください)。

好川が参考になった記事ベスト3

(1)ジェフ・ワイ、ジョナサン・ヒューズ「軋轢の解決が協働を育む」

真のコラボレーションを実現し、異なる視点や能力を生かすには「コンフリクト」に注目しなければならない。コンフリクトを阻害要因とみるよりも、むしろ、積極的に使い、マネジメントをしていく必要がある。この記事では、コンフリクトマネジメントの方法論について議論している。

(2)エイドリアン・J・スライウォツキー、ジョン・ドルジク「「戦略リスク」を体系的に管理する」

リスクマネジメントが進歩する中で、事業を混乱させ、企業価値を破壊しかねない「戦略リスク」に対しては、いまだに無防備である。この記事では、戦略リスクをマネジメントする方法について論じている。

(3)リチャード・タナー・パスカル、ジェリー・スターニン「ポジティブ・デビアンス:「片隅の成功者」から変革は始まる」

「ポジティブ・デビアンス」と呼ばれる「ほかの社員とは違うやり方でより優れた成果を上げている社員や手法」は組織の中に必ず存在する。社員たちにこのポジティブ・デビアンスをみずから発見させ、彼ら自身の意志と力で社内に浸透させることこそ、企業を変革する有効な方法である。

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2005年8月 8日 (月)

説得ではなく、納得を!

4532312310久恒啓一「合意術 「深堀り型」問題解決のすすめ」、日本経済新聞社(2005)

お奨め度:★★★★

図解思考法の大家 久恒啓一氏が図解を用いることにより、説得ではなく、「納得型」の合意をすることのノウハウについて書いた野心作。

著者は、合意を問題解決だと捉え、そこに図解が有効であることを主張している。とくに、納得してもらうためには、全体について共通の認識を作り上げる必要があり、そのために、図解を使うことの有効性をといている。

読んでいると納得できる部分は多いが、実践しようとすると、ロジカルシンキングと図解に関する相当なスキルが必要なのではないかと思う。それ自体を書いているわけではないが、とりあえず、本書を読んでみて、納得できれば、ロジカルシンキングや図解の勉強をすればよいだろう。

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