センゲの5つのプリンシプルがすべてわかる!
熊平美香「チーム・ダーウィン 「学習する組織」だけが生き残る」、英治出版(2008)
お薦め度:★★★★1/2
ビジネス書の杜ブログの開設以来、売れた本ベスト5の第4位は、ピーター・センゲの「最強組織の法則」である。著名な書評ブログほどたくさん本が売れるわけではないが、その中で通算のベスト5はいずれも500冊は超えているので、一過性の大ヒットではなく、読み続けられている本だといえる。
熊平美香「チーム・ダーウィン 「学習する組織」だけが生き残る」、英治出版(2008)
お薦め度:★★★★1/2
ビジネス書の杜ブログの開設以来、売れた本ベスト5の第4位は、ピーター・センゲの「最強組織の法則」である。著名な書評ブログほどたくさん本が売れるわけではないが、その中で通算のベスト5はいずれも500冊は超えているので、一過性の大ヒットではなく、読み続けられている本だといえる。
臼井由妃「出会った人すべてを味方に変える技術」、日本実業出版社(2008)
お薦め度:★★★★
日本ほど長期にわたり、人が現場に執着する国はないのではないかとつくづく思う。70歳を超えても平気で現場にいる。経営にしろ、技術にしろ、である。こうなってくると、若くして頭角を現すには、相当な地力が必要である。その地力は、単に仕事ができるとか、頭がよいといったことだけでは済まない。もっと人間臭いものが必要である。
本書の著者の臼井由妃さんもその若くして成功した一人ではないかと思うが、その秘訣を垣間見ることができるのがこの一冊。
藤沢あゆみ「「愛され社員」で行こう! 」、日本実業出版社(2008)
お薦め度:★★★★
『モテ本』でおなじみの、自称「恋愛・自己実現分野の作家」、「恋愛マニアリーダー」の藤沢あゆみさんが書いたビジネス本。発売されたころにさっと目を通したが、ちゃんと読んでみたいとずっと思っていた本。
パット・ハイム、スーザン・ゴラン(坂東智子訳)「会社のルール 男は「野球」で、女は「ままごと」で仕事のオキテを学んだ」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2008)
お薦め度:★★★★1/2
以前、
エイドリアン・メンデル(坂野尚子訳)「女性(あなた)の知らない7つのルール―男たちのビジネス社会で賢く生きる法」、ダイヤモンド社(1997)
を紹介したが、この本よりインパクトのある本だ。
発想は同じ。まず、男性と女性は、その経験から異なったルールを持っている。ビジネスの世界は男性社会なので、女性は自分たちのルールでいくら成果を上げても、決して認められることはない。
この本が面白いのは、だから、男性に合わせるのではなく、男性のルールを観察し、熟知することによって、最低限、併せるところを決めればよいと指摘している点。それを7つのルールとしてまとめている。
7つのルールを紹介する前に、どう違うのかを紹介しておこう。男性が経験してきたのは、野球(ゲーム)で、女性が経験してきたのはままごと(遊び)だという。そのルールの違いは、以下のようなものだという。
【野球のルール】
・一番大事なのは勝つこと
・作戦をたてなければゲームには勝てない
・勝つことがすべて。だからズルも大目に見られる
・会話を通して、問題を解決する
・内心はどうあれ、とにかく強気にふるまう
・権力があれば、自分の考えを押し通すことができる
【ままごとのルール】
・究極のゴールはみんなを満足させること
・ベストを尽くせば、うまくいく
・フェアなのが一番。だからルールは守るべき
・会話を通して、友情を築く
・笑みをたやさず、感じよくふるまう
・相手を動かすには交渉が必要
この違いを克服し、ビジネスで認められるには
ルール1 トップの言うことには逆らわない
ルール2 対立を恐れない
ルール3 チームプレイに徹する
ルール4 リーダーらしくふるまう
ルール5 自分を有利に見せる
ルール6 批判されてもめげない
ルール7 ゴールをめざす
の7つのルールを守ればよいというのが、この本の主張だ。この中の、3つ~4つはエイドリアン・メンデルのルールと同じだ。
この本を読んでも、はやり、日本は女性社会だと思ってしまった。日本は女性の価値観で、子供たちにゲームを教えている。社会が女性社会なら、それを生かしていくというのが道理というものだ。つまり、グローバルな活動の中で最小限必要な考え方だけ取り入れていけばよい。そんな使い方もある本ではないかと思う。
鈴木義幸「セルフトーク・マネジメントのすすめ」、日本実業出版社(2008)
お薦め度:★★★★1/2
日本のビジネスコーチングの祖である鈴木義幸氏がセルフコントロールについてまとめた一冊。もともと、臨床心理学の専門の鈴木氏だけあって、周辺分野も含めて体系的に述べているので、説得力のある一冊になっている。
この分野に興味を持っている人なら、ティモシー・ガルウェイのインナーゲームという本をご存じの方は少なくないだろう。もう30年以上前にテニスのコーチ理論をテーマにして書かれた本で、スポーツにおける指導に衝撃を与えた本で、コーチングの原点だとも言われている本である。
ティモシー・ガルウェイ(後藤 新弥訳)「インナーゲーム」、日刊スポーツ出版社(2003)
ティモシー・ガルウェイが示した理論は、テニスプレイヤーには、自分自身に話しかけ、叱責し、支配している自分と、その命令によってボールを打つ自分がいる。前者の口数が少なくなればなるほど、実際のプレイがよくなることを臨床的に証明した理論である。
その後、この理論をゴルフや、仕事に応用した本が出版されている。
ティモシー・ガルウェイ(後藤 新弥訳)「インナーワーク―あなたが、仕事が、そして会社が変わる。君は仕事をエンジョイできるか! 」、日刊スポーツ出版社(2003)
さて、鈴木氏の本は、ティモシー・ガルウェイの理論を拡張し、「自分の心の中の会話(セルフトーク)」をコントロールすることによって、セルフコントロールをするセルフトークマネジメントという方法論を示したものである。
セルフトークマネジメントが何かを理解するには、本書の最初に示されている例がよい。部下が約束を守らないとどなりちらす事業部長がいる。この事業部長の心理的な動きを分析すると
(1)まず、「許せない」というささやきが自分の中で生まれる
(2)すると、目の前の部下以外は誰も見えなくなる
(3)胸の辺りが圧迫され、息が詰まる
(4)大爆発!
というフローが起こっていることがわかった。そこで、事業部長に「許せない」と思うのではなく、「何があったんだろう」とささやいてみてはどうかと相談したところ、その後、事業部長の爆発はなくなったという例が述べられている。
「許せない」、「何があったんだろう」というのがセルフトークであり、それをうまくコントロールすることにより自分の行動をコントロールするのが、セルフトークマネジメントである。
このようなセルフマネジメントが有効な理由として鈴木氏は以下のような理由を述べている。人間の反応というのは
刺激
→ブリーフ(価値観、アイデンティティなど)
→セルフトーク
→感情
→行動
のような反応をする。行動を変えるためには、このうちのいずれかを変える必要がある。ここで、ブリーフを変える自己啓発セミナー、感情を変えるアフォーメーション、ポジティブシンキングなどは、なかなか、定着しない。また、認知行動療法は一人では難しい。そこで、セルフトークをコントロールするのが現実的な方法である。
この本では、セルフトークには感情を呼び起こし「反応」を引き起こすもの(セルフトークA)と、理性を呼び起こし、「対応」を引く出すもの(セルフトークB)がある。そして、セルフトークAにはポジティブな感情を引き出すものとネガティブな感情を引き出すものがある。
セルフトークをコントロールすためには以下のような方策がある。
セルフトークを「変える」……ネガティブな感情から脱する方法
セルフトークを「使う」……行動を強化・修正する方法
セルフトークを「減らす」……集中力を高める方法
セルフトークを「なくす」……最高の実力を発揮する方法
本書では、それぞれについて具体的な方法の述べている。それぞれ、どういう方法が有効なのかは本を読んで頂くとして、支援のない環境で取り組むには、この本で述べられている方法は極めて現実的で、試してみる価値のある本だ。
この本で書かれている手法が有効になるのは、自分自身が解放されることが前提になっていると思われる。これは言うのは簡単だが、結構、難しい。性格の問題があると思う。ここをどう克服していくかは課題である。
最後に少し、脱線したい。鈴木氏は、究極的な状況は4番目のセルフトークをなくすことだという。これはスポーツであればゾーンであり、一般的にはフローである。
フローは、最近リーダーシップの分野でシンクロニシティとの関連が議論されており、セルフトークマネジメントは、セルフマネジメントを超える可能性がある感じた。その点でも興味深い一冊である。
この点についてはこの記事を参考にしてほしい。
ロバート・サットン(矢口誠訳)「あなたの職場のイヤな奴」、講談社(2008)
お薦め度:★★★★1/2
原題:No Asshole Rule
この10年間で僕が影響を受けた本の1冊は、ロバート・サットンの「The Knowledge Doing Gap」である。この本は、組織における成員の知識と行動のギャップについて問題指摘をし、解決方法を提案したものである。日本では、この本は2000年に一度、「変われる会社、変われない会社―知識と行動が矛盾する経営」として流通科学大学出版より出版され、2005年に講談社から「実行力不全」のタイトルで復刊されている。
専門は組織行動論、組織管理論、イノベーション理論などを専門とするサットン教授が、心理的な側面から描いた組織論である。
そのサットンの新作がこの本。実行力不全よりももう少しミクロな視点で、個人の行動と人間関係に注目してどのように対処するかを通じて、組織をどのように運営していけばよいかを語っている。
たとえば、こんなひとがでてくる。
・人の神経を逆なでするひと
・いるだけでまわりにダメージを与えるひと
・自分より弱い相手をいじめる
・ときには取引先にも被害をおよぼす
誰もが、自分のことも含めて、心当たりがあることばかりではないかと思う。その意味で、平社員は自身の行動マニュアルとして読むことができ、管理職は組織運営マニュアルとして読める本である。
組織行動論には、ステファン・ロビンスの
ステファン・ロビンス(高木晴夫、永井 裕久、福沢 英弘、横田 絵理、渡辺 直登訳)「組織行動のマネジメント―入門から実践へ」、ダイヤモンド社(1997)
という名著がある。この本はマクロアプローチもミクロアプローチの両方について解説しているし、実務家にも研究者やコンサルタントにも支持されている本だ。
サットンの本はもちろん、単独で読んでも役立つが、余裕があればステファン・ロビンスの本を読んでみて、ミクロアプローチのヒントとしてサットンの本を読んでみると一段とサットンの本の価値が上がるように思う。
村中 剛志「 「先読み力」で人を動かす~リーダーのためのプロアクティブ・マネジメント」、日本実業出版社(2008)
お薦め度:★★★★
プロアクティブという概念はプロジェクトマネジメントで真っ先に出てくる概念である。にもかかわらず、説明に苦労する。日本語では、この本でつかわれている「先読み」とか、「先手必勝」とか「用意周到」とかそんな言葉を当てている人が多いが、ピンとこないという人が多い。
この本は、それを見事に、(一般的な)リーダー向けの行動レベルで書き切っている。特に、個人レベルの話もさることながら、チームマネジメントの方法を述べた第3章は非常に参考になる。プロアクティブとは何かという以前に、この本に書いてあるようにやることがプロアクティブだと言えるようなレベルまで落とし込んであるのは素晴らしい!
本書では、まず、最初にプロアクティブ(先読み)するというのはどういうことかを業務効率やコストなど、いろいろな視点から説明している。
第2章以降は、たいへん、具体的だし、著者の持つノウハウを惜しみなく出してあり、分かりやすい。第2章は個人レベルのタイムマネジメントを具体的なツールとともに、示している。基本は段取り変えを如何になくすかにある。それを著者の独特のノウハウとツールで説明するとともに、実行する際にポイントになるところを丁寧に解説している。
第3章は冒頭にも書いたチーム編である。ここでは、3週間スケジュールとTOP5というツールを使い、チームでの情報共有によって、プロアクティブな段取りのコントロールを行う方法を説明している。さらに、原理を示すだけではなく、実践編として、実際にチームとしてそのような活動に取り組んでいく際の普及ステップまで示されており、たいへん、実践的である。
4章はミーティングマネジメントを如何にプロアクティブにしていくかについて、これまた、さまざまな工夫が紹介されている。基本的にはアジェンダ管理をプロアクティブに行うような仕組みになっている。
第5章はステークホルダマネジメントをプロアクティブに行う際の留意点。内容的には相手に求められる前に対応することが基本。レポートマネジメント、事前相談などについて述べられている。こちらは2~4章と比べると若干、Tips的である。
第6章ではリーダーのこころということで、「リードする」、「援助する」、「感謝する」という3つのこころがプロアクティブな行動を可能にするという著者の信念のようなものを書いている。
最後のまとめとして、村中さんはプロアクティブとは、思考法でも、マインドでも、リスク回避でもない。考え方、心構え、スタイル、姿勢であると書いている。結局、プロアクティブとは、個別の行動や思考、思考にたいして、これはプロアクティブ、これはリアクティブという風に考えていくものなのだろう。そういう意味で、プロアクティブとは何かという根本的なもやもやは消えないかもしれないが、すっきりするのではないかと思う。
最後に一つ、よけいなことを書いておく。この本で、プロアクティブの必要性として例に使っている例え話を僕もよく使う。野球で守備位置をバッターによって変え、常に真正面で捕球する野手と、常に横っとびで派手に捕球する野手はどちらがファインプレイをしているかという話だ。セミナーなどのつかみでこの話をすると、必ず、出てくる意見は「評価されるのは後者」とおうものだ。
もちろん、おかしいのだが、プロフェッショナルでない多くの日本組織では、この話は個人とかチームだけで切り離しできる話ではないのだ。組織もプロアクティブという「価値観」を持ち、顧客もまた同じ価値観を持っていないと、ジレンマが起こりかねない。非常に実践的な本なので、すぐにやってみる人もいると思うので、あえてその点をコメントしておきたい。特にチームマネジメントの中で実践する際には要注意だ。もちろん、その覚悟を持って実践してほしいという意味である。
泉正人「最少の時間と労力で最大の成果を出す「仕組み」仕事術」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2008)
お薦め度:★★★★1/2
作業系と考える系を区別、仕組みにより作業系の生産性を上げることにより考える時間を作り、仕事の質を上げることを推奨する一冊。
本書の前半は仕組みとはどういうものかを例をあげながら、なぜ、仕組みづくりが重要かを簡潔に述べている。
それによると、仕組みづくりは
・才能に頼らない
・意志の力に頼らない
・記憶力に頼らない
の3つを原則(黄金律)とし、仕組みによって、作業だけではなく、マネジメント(チームを動かす)こともできると指摘する。
考え方として面白いのは、失敗への対処を仕組みかする、続けることを仕組みで実現するなど、広い範囲で仕組みをとらえていること。本質はルーチンワークを仕組みにするということではなく、考えることが価値を生まない仕事はルーチンワーク化し、仕組みを作ることによって合理的に実行していくことにあるといったことだろう。
後半は自身の取り組んでいる事例で、具体的な方法を述べている。ひとつはチェックリスト。もう一つはOutlookをうまく使う方法。いずれも、ポイントは一元化にあるとしている。つまり、チェックリスト化することにより、重複を防ぐ。また、メール、仕事などの各種の情報を一元管理する。
実例だけに、説得力がある。
この本で一番印象に残ったのは、失敗を仕組みで考える(改善する)ということだ。仕組みにより考えることにより、同じ(類)の失敗を繰り返すことがなくなる。これは改善の原点でもあるが、これにより実現される効率化は大きいのはないかと思う。
最後に仕組みで考える人の7つの習慣というのが示されている。これがなかなか深い。深いから、極める価値があるのだろう。
(1)楽することにこだわる
(2)シンプルに考える
(3)記憶せずに、記録する
(4)わからないことは聞く
(5)自分の時間を時給で判断する
(6)うまくいっている人の真似をする
(7)自分を型にはめる
この本を読んで、似通った発想だと思ったのが、この本。
三田紀房「個性を捨てろ!型にはまれ! 」、大和書房(2006)
併せて読んでみよう。
金井壽宏「やる気!攻略本」、ミシマ社(2008)
お薦め度:★★★★
実務家向けのMBAコースではケースメソッドが中心になるが、リーダーシップやモチベーションなどのヒューマン系のケースとして最も意味のあるのが、すぐれたリーダーやマネジャーの「持論」であるというのがこの本の著者である金井壽宏先生の考えで、その考えの中で、このブログでも紹介した「働くみんなのモティベーション論」が書かれている。
この本は、その続編として位置づけられた本である。最後に述べるようにこの本の制作過程に多少かかわったのだが、そのときは、そういう話だったので、結構、固めの本だと思っていたのだが、出来上がりを見てびっくりした。
内容的には
(1)モチベーションのケースとしての持論の紹介
(2)持論に関係する理論の紹介
を金井先生自身の経験と、インタビューに基づいてまとめているのだが、それらをロールプレイングゲーム風に見ていきながら、区切り区切りでやる気TIPS(あなたはここでこのような視点を手にいれました)を得るという形で整理しながら、まとめられている。また、最後に、やる気語録が掲載されている。
僕はハウツー本が嫌いなので、ほとんど読まないし、このブログでもほとんど取り上げない。仮に、金井先生が書かれた本でもハウツー本であれば取り上げない。この本をハウツー本だと読んでしまう人もいると思うが、そのように読んでほしくない。この本はやる気を探す旅を本というメディアの中に構築した本だ。TIPSは一種のハウツーだと見えなくもないが、思考のもとであり、それを得たことにより、また、違った視点を持って次の旅に出る。そんな本である。
この本の特徴は、この構成にあるように思う。
モチベーションの本というのはリーダーシップと同じように恐ろしくたくさん出ている。本がたくさん、出ている分野というのは、いろいろな考え方がある分野であると同時に、これといった決定打がない分野でもある。モチベョンもそんな分野である。
この本のアプローチがすべての人に有効だとは思わないが、いろいろなアプローチがあるのなら、こんなアプローチにはまる人もいると思う。
その意味でよい本だと思う。もちろん、内容そのものはフィールドワークでは日本の第一人者の金井先生の作られた本であるので、文句なくよい。エピソードの切り込み方は絶品である。
最後に、この本を作るにあたって、金井先生からの依頼でインターシビューイの1人にならせて戴いた。編集者の方とライターの方が来られ、
人と組織の活性化研究会、加護野忠男、金井壽宏 「なぜあの人は「イキイキ」としているのか―働く仲間と考えた「モチベーション」「ストレス」の正体」
で提案されている「イキイキ・サイクル・チャート」(この本では「やる気チャート」と呼んでいる)を書いてくれと言われて、書けなかった。デコボコがないのだ。
「イキイキ・サイクル・チャート」で落ち込んでいるところから立ち直るまでのところを分析したかったのだと思うが、僕の持論はプロフェッショナルは「やる気に左右されない」ということに尽きるので、やる気を意識しないようにしている。無駄足にしてしまったなと、そんな贖罪の思いを持ちながら読んだ。
河合 太介、高橋 克徳、永田 稔「不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか」、講談社新書(2008)
お薦め度:★★★★1/2
・直接対話しようとしない
・関心を持てくれない、協力してくれない
・調整がうまくできない、連携できない
・かかわってくれない、放任されているだけ
・仲間になれない、仲間にしてもらえない
といったことが職場で頻繁に起こるようになり、職場がおかしくなり、人が壊れつつある。
そんな問題意識から「協力関係」を考えるフレームを定義し、職場が不機嫌になった理由を説明している。
この本で提案している協力のフレームワークとは
・役割構造
・インセンティブ
・評判情報
の3つであり、職場が不機嫌になった理由をこのフレームワークを使って
・組織のタコツボ化
・評判情報の流通と情報共有の低下
・インセンティブ構造の変化
を上げ、それらを解消する工夫をすることによって、協力関係の構築ができるとしている。さらに協力をうまくやっている組織として、、グーグル、サイバーエージェントやヨリタ歯科クリニックという3つの事例を使って、協力関係の構築がいかに業績に寄与しているかを説明するとともに、工夫のベストプラクティスの抽出をしている。
今、本当に多くの人が困っている問題に対して、シンプルなフレームワークを示すとともに、事例により対応方法のプラクティスを教えてくれる大変よい書籍である。最近、多く見られるEES(従業員満足)をあつかった書籍の中でもよい本である。
ただ、プラクティスはいずれもカリスマ的な経営者が存在する企業であり、一般的な企業で適用できるプラクティスかどうかは若干気になるところだ。この点は割り引いて読んだ方がよいかもしれないが、
・一方的な指示を出してきて、こちらの対応が遅いとキレる。
・隣の席にいる人とも、やりとりはメールのみ。
・「おはよう」等の挨拶がない。
・派遣社員、パート社員を名前で呼ばない。
・誰もきちんと対応してくれない。
こんなことの起っている職場のリーダーは一読をお勧めする。
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