職場の機嫌を直そう!
河合 太介、高橋 克徳、永田 稔「不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか」、講談社新書(2008)
お薦め度:★★★★1/2
・直接対話しようとしない
・関心を持てくれない、協力してくれない
・調整がうまくできない、連携できない
・かかわってくれない、放任されているだけ
・仲間になれない、仲間にしてもらえない
といったことが職場で頻繁に起こるようになり、職場がおかしくなり、人が壊れつつある。
そんな問題意識から「協力関係」を考えるフレームを定義し、職場が不機嫌になった理由を説明している。
この本で提案している協力のフレームワークとは
・役割構造
・インセンティブ
・評判情報
の3つであり、職場が不機嫌になった理由をこのフレームワークを使って
・組織のタコツボ化
・評判情報の流通と情報共有の低下
・インセンティブ構造の変化
を上げ、それらを解消する工夫をすることによって、協力関係の構築ができるとしている。さらに協力をうまくやっている組織として、、グーグル、サイバーエージェントやヨリタ歯科クリニックという3つの事例を使って、協力関係の構築がいかに業績に寄与しているかを説明するとともに、工夫のベストプラクティスの抽出をしている。
今、本当に多くの人が困っている問題に対して、シンプルなフレームワークを示すとともに、事例により対応方法のプラクティスを教えてくれる大変よい書籍である。最近、多く見られるEES(従業員満足)をあつかった書籍の中でもよい本である。
ただ、プラクティスはいずれもカリスマ的な経営者が存在する企業であり、一般的な企業で適用できるプラクティスかどうかは若干気になるところだ。この点は割り引いて読んだ方がよいかもしれないが、
・一方的な指示を出してきて、こちらの対応が遅いとキレる。
・隣の席にいる人とも、やりとりはメールのみ。
・「おはよう」等の挨拶がない。
・派遣社員、パート社員を名前で呼ばない。
・誰もきちんと対応してくれない。
こんなことの起っている職場のリーダーは一読をお勧めする。
目次
第1章 いま、職場で何が起きているのか
第2章 何が協力関係を阻害しているのか―協力関係を阻害する「構造的要因」(進む組織のタコツボ化;評判情報流通と情報共有の低下;インセンティブ構造の変化)
第3章 協力の心理を理解する
第4章 協力し合う組織に学ぶ(グーグル;サイバーエージェント;ヨリタ歯科クリニック)
第5章 協力し合える組織をつくる方法―協力関係再構築に必要な姿勢/経営者の責務(役割構造に対する工夫;評価情報に対する工夫;インセンティブに対する工夫)
最終章 協力への第一歩の踏み出し方
松山さん、コメントありがとうございます。僕もそう思います。
特効薬はない問題だと思いますので、いろいろな人が出してくれる知恵をうまくつかっていきたいですね。
その点で、この本の協力フレームワークというのも、結構、使えるような気がします。
投稿: 家主 | 2008年3月 7日 (金) 23:22
偶然ですが、この本、昨日、購入して読み始めております。
個人的にビジネス・リーダーの方のお悩みを聞くので、ここに書かれていることは、決して誇張ではないと思います。
いつもありがとうございます!
投稿: 松山淳 | 2008年2月28日 (木) 10:38