人材マネジメント Feed

2006年2月12日 (日)

ビジネス・プロフェッショナル

Businessprofesshonal 大久保幸夫「ビジネス・プロフェッショナル―「プロ」として生きるための10話」、ビジネス社(2006)

お奨め度:★★★★

リクルートワークス研究所の大久保所長の新著。ワークス研究所ではここ何年か、プロフェッショナルを共通研究テーマにしている。個別のテーマの成果は都度「Works」で発表されているが、その集大成のような本。

新しい概念として、「ビジネス・プロフェッショナル」という概念を提案している。プロフェッショナルという言葉の最も狭い定義は、職業独占をしている資格を持つ人だと思う。例えば、建築士のような資格である。

これに対して、一番広い定義は、「その道のプロ」といった言い方がされるような人を指す言葉で、何か、課題を自己責任において、相手が満足できるようなレベルで達成できる人のことだろう。ビジネス・プロフェッショナルという概念はどちらかというとこれに近い。例えば、プロのサラリーマンという言い方があるが、そのような感じだ。

さて、この本だが、冒頭に述べたようなワークス研究所の研究の集大成のような位置づけになっているので、プロフェッショナルを目指す個人に向けた話と、プロフェッショナルな組織を作る人事系の人に向けた話がごちゃ混ぜになっているような感じがある。

個別には、どちらの側面からも非常によくまとまっており、説得力があるので、どちらの分野の人にもぜひ読んで欲しいのだが、その点をきちんと整理して読んでいく必要がある。

特にお奨めしたいのが、個人の方には第3話~第8話。これは、大久保所長が2年暗い前に書かれた

482224409109lzzzzzzz仕事のための12の基礎力~「キャリア」と「能力」の育て方~」、日経BP社(2004)

を視点を変えて、補強したような内容になっている。分かりやすさという点では、こちらの本を併せて読まれた方がよいかもしれない。

人事系の人へお奨めしたいのは、第1話と第9話である。

プロフェッショナリズムというのは本来組織が雇用者に対して求めるものではない。利用すべきものであり、そのための仕組みがプロフェッショナル制度である。その当たりをもう一度、考えながら読んでみて欲しい。

==========

banner_04人気ランキング投票! → クリック!

続きを読む »

2006年1月 3日 (火)

コンピテンシーを開発する

482074064409lzzzzzzz JMAMコンピテンシー研究会、古川久敬「コンピテンシーラーニング―業績向上につながる能力開発の新指標」、日本能率協会マネジメントセンター(2002)

お奨め度:★★★

古川久敬先生が中心に行われたコンピテンシーの研究会のレポート。第2部、第3部はさほど、目新しくはないが、第1部のコンピテンシー学習の概念提案は一読に値する。

コンピテンシーを学習することとはどういうことかということを研究論文的にまとめ、フレームワークの提案をしている。学習方法ではなく、学習によるコンピテンシーの変化について言及したうえで、学習方法に関する提案をしている点が説得力があって、非常に興味深い。

もう少し、具体的に知りたいという人には、こちらの本がお奨め。

4889163751 高木史朗(ニッコンアセスメントセンター編)「コンピテンシー評価と能力開発の実務―成果主義時代の人材アセスメント手法と展開方法」、日本コンサルタントグループ(2004)

こちらも実務書というレベルではないが、コンピテンシーをベースとした評価および能力開発について、概念、定義、手法等を網羅的に解説しているので、コンピテンシーラーニングよりはもう少し具体的なレベルで、頭の整理はできる。

==========

banner_04人気ランキング投票! → クリック!

続きを読む »

2005年10月13日 (木)

次世代リーダーの育成

490324104109lzzzzzzz 亀井敏郎「「経営職」を育成する技術」、ファーストプレス(2005)

お奨め度:★★★1/2

タイトルに惹かれて読んだ。

期待とは外れたが、組織論としては結構よく書けていると思う。分かりやすいし、理論的にもしっかりしている。

簡単にいえば、経営職育成プロジェクトと変革実践プロジェクトを通じて、「徹底して考え抜いた戦略を社内で実現していくプロセス体験」をさせ、経営職を育てるという話である。

ただ、具体的にどのようにするのかというところにまで言及されていないので、タイトルのように「技術」について論じているわけではない。

リーダー育成の具体的な方法論であれば、やはり、ハイフライヤーがよい。

https://mat.lekumo.biz/books/2005/06/post_da08.html

==========

banner_04人気ランキング投票! → クリック!

続きを読む »

2005年9月25日 (日)

アーロンチェアに座る人材

479810149409lzzzzzzz エド・マイケルズ、 ヘレン・ハンドフィールド=ジョーンズ、ベス・アクセルロッド(マッキンゼー・アンド・カンパニー、渡会圭子訳)「ウォー・フォー・タレント ― 人材育成競争」、翔泳社(2002)

お奨め度:★★★1/2

マッキンゼーの「ウォー・フォー・タレント」というキャンペーンの主張と、その背景になる調査をまとめた本。

表紙に注目してほしい。ハーマンミラーのワークチェア「アーロンチェア」である。要するに、この椅子に座れるリーダーをどれだけ作れるかが競争力な問題だと問いかけているが。この本で調査した結果わかったベストプラクティスには、

 「トップなどの意識や行動」

 「人材の引きつけ」

 「リクルーティング」

 「組織的アプローチ」

 「能力評価プロセスの確立」

 「実践への指南」

があるとしている。この本(調査)の主張として非常に興味深いのは、単に人材育成担当者が一生懸命やっているだけではだめで、トップコミットメントが必要だと説いている点。つまり、一番目の「トップなどの意識や行動」が必要だとしている点。

これらは、世界最大のリーダーシップ育成の機関、CCL(Center for Creative Leadership)の主張とも合致しているので、おそらく本質を突いているのだろう。ちなみに、CCLの主張は、「ハイフライヤー」に詳しく紹介されている。

なかなか、興味深い1冊である。

2005年9月20日 (火)

イノベーションのジレンマ、いよいよ完結

427000071601クレイトン・クリステンセン、スコット・アンソニー、エリック・ロス(宮本 喜一訳)「明日は誰のも のか イノベーションの最終解」、ランダムハウス講談社(2005)

お奨め度:★★★★

イノベーションのジレンマ」の完結編。

前作のイノベーションへの解では、あまり、インパクトのある破壊的イノベーションのソリューションを提示できなかったように感じたが、あれから2年が経過し、相当しっかりした理論になったというのが第一印象。

単にプラクティスではなく、具体的なプロセスの構築などについても言及しており、「イノベーションのジレンマ」を打ち破る方法としてやっと具現性を持ってきた。特に、非マーケット要因の分析の部分はすばらしいと思う。

今回から、出版社が変わっており、Harvard business school pressの本として、ランダムハウス講談社が翻訳を手がけた。この翻訳は前作2冊の翻訳より、翻訳として堅いように思う。僕には若干読みづらかったが、エンジニアなどが読むにはよいのかもしれない。訳者の宮本さんは、同じ出版社から出版された「トム・ピーターズのマニフェスト」や「ジャック・ウェルチ わが経営」(日経ビジネス人文庫)の翻訳をしていらっしゃる方であるが、こちらと較べると、おそらく、出版社の方針だろう。

==========

banner_04人気ランキング投票! → 

続きを読む »

踊る大捜査線に学ぶ組織論

476126277x01lzzzzzzz金井寿宏、 田柳恵美子「踊る大捜査線に学ぶ組織論入門」、かんき出版(2005)

お奨め度:★★★1/2

金井寿宏先生の著書は経営学の中ではよく売れるらしいが、金井先生の著書(共著)の中でおそらく圧倒的に売れたのは、「働くひとのためのキャリア・デザイン」や「リーダーシップ入門といった人気書ではなく、おそらく、これ。

59402550ウルトラマン研究序説

21日の若手研究者がまじめに分析した本というキャッチで、40万部超えの大ヒット。ブーム的なものを巻き起こした。その後、文庫本化され、結構、売れているらしい。ウルトラマンファンからはいろいろな批判がでた本だが、売れればゆえだろう。

さて、今回の踊る大捜査線はこの本の共著者の中のお二人の共著である。研究(考察)成果を書いた本というよりは、教育目的で書かれた本のようなテーストなので、ウルトラマン研究序説のようなインパクトはないが、組織論の勉強にはもってこいだ。ただし、結構、金井流がふんだんに盛り込まれているので、ただの組織論ではない。金井先生のファンの方にはお奨めの1冊。もちろん、踊る大捜査線のファンの方には応えられない1冊だろう。

それにしても、このタイトル、一瞬、間違いかと思ってしまった(笑)。このタイトルなら、普通、入門はつかないでしょう。インターネット検索をしたタイトルなんだろうか。。。内容もオーソドックスな入門ではないですね。

B000axqqf009

さて、この本を読んで映画をみて、組織論をイメージ的に理解するのもよいだろう。おりしも、こんなDVDが発売される。

踊る大捜査線 コンプリートDVD-BOX

==========

banner_04人気ランキング投票! → クリック!

続きを読む »

2005年7月11日 (月)

なぜ、スターバックスに行くと気持ちよいのか

4785502703 毛利英昭「勝ち組の人材マネジメント―スターバックス急成長を支える自律型組織に学ぶ」、商業界(2005)

お奨め度:★★★★

スターバックスの人材マネジメントについて、非常に詳細に説明すると同時に、そのような人材マネジメントが、戦略実行の中で果たしている役割を説明している。

読んでいるとなぜ、こんなことができるのだろういう疑問を持つが、現実にスターバックの店舗に言ってみると、確かに、スタッフは人材システムが望むような行動をしていることが分かる。つまり、空絵ごとではなく、現実にできているのだ。

キーワードはコミットメントにあるようだ。ぜひ、一度、読んでみてほしい。

2005年5月31日 (火)

人を活かし、組織を成長させる

4526052175 Bill Curtis, Sally A. Miller, William E. Hefley(前田卓雄訳)「People CMM―人を生かし組織を成長させる能力成熟度モデル」、日刊工業新聞社(2003)

お奨め度:★★★1/2

people CMMは組織の人的能力を示す指標である。この考え方はちょっとわかりにくい点がある。個人の能力だけではなく、総体としての組織としての能力を問題にしている点である。つまり、個人に帰属する知識・スキルだけではなく、組織に帰属するプロセス能力を合わせて、人的組織の力として定義している。

people CMMは、米国では、IBM、インテルなど、いくつかのエクセレントカンパニーで活用されている。米国以外でも、例えば、インド最大IT企業であるタタ・コンサルタンシー・サービシズは、ソフトウェアCMMでレベル5、People CMMでレベル3を認定されている。

本書は、people CMMのガイドの翻訳。ケーススタディを交えてあるので実践的なイメージがつかめる。

問題は9千円という値段だ、、、マネージャーであれば思い切って購入する価値はあるかもしれない。

==========

banner_04人気ランキング投票! → クリック!

続きを読む »

2005年5月27日 (金)

ここからはじまる人材育成

4502375403 中原淳編纂「ここからはじまる人材育成―ワークプレイスラーニング・デザイン入門」、中央経済社(2004)

お奨め度:★★★★

実用性:★★★★

中原淳氏は、教育の情報化や、ワークプレイスラーニングについて見識を持つ、教育学の若手研究者である。その中原淳氏が編纂したワークプレイスラーニングの事例研究書。

人財は宝、人材育成が大切と、口でいうのは簡単である。また、その方法論も多種多様である。しかし、実際にそれを実行するには、難しい。したがって、人材育成はオープンプロブレムになっており、現実の世界では、「やらないよりまし」というスタンスで取り組んでいる企業が多いのが事実だろう。

中原氏の問題意識は、如何に、人材育成を具現化していくことにあるようで、さまざまなアプローチを試みているようだ。その中で発見したベストプラクティスを集めた本である。

まさに、人材育成の第一歩に読んでほしい本だ。

ちなみに、取り上げられている事例は以下のとおり。

富士ゼロックス(株)における人材育成事例―「やる気の素」を追い求めて ゼロからの出発
(株)オートバックスセブンの人材育成事例―誰のためのコンテンツ?
東京海上火災保険(株)の人材育成事例―人生最大の変化をデザインする
マイクロソフト(株)の人材育成事例―自分をマーケティングする場をつくる
富士通(株)における人材育成事例―FUJITSUらしさをつくる―企業内大学の挑戦
(株)デンソーにおける人材育成事例―チーム力を復活せよ!管理職へのコーチング教育

2005年5月21日 (土)

エグゼクティブ・コーチング

4820741578 キャサリン・フィッツジェラルド, ジェニファー・ガーヴェイ・バーガー, 日本能率協会コンサルティング「エグゼクティブ・コーチング」、日本能率協会マネジメントセンター(2005)

お奨め度:★★★1/2

エグゼクティブ・コーチングというのはあまり耳慣れない言葉かもしれないが、企業が成長してゆくために、より効果的な経営のオペレーションを実施できるよう経営者や、経営スタッフが受けるコーチングのことである。

コーチングを受けることによって考え方を多様化し、コミュニケーションの方法を変え、さらには、習慣や、コミュニケーション・スタイルを変革しながら、ハイパフォーマンスな経営のトップやチームとなることが目的である。

この本は、そのための具体的な方法を体系的に書いた本である。内容的には

エグゼクティブ・コーチングの展望
エグゼクティブ・コーチングの実践
組織におけるエグゼクティブ・コーチングのマネジメント
エグゼクティブ・コーチングの課題
特定のコーチング場面についての解説

などがカバーされており、実際に使える内容になっている。

エグゼクティブ・コーチングは、プロジェクトマネジメントに対するコーチングとしても使える。むしろ、一般的なコーチングよりは有効である。PMO、母体組織のマネージャーなどはぜひ読んでいただきたい1冊である。

アメリカの本らしい、プラクティカルな1冊だ。

PMstyle 2025年7月~10月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

アクセスランキング

カテゴリ

Powered by Six Apart

Powered by Google

  • スポンサーリンク
  • サイト内検索
    Google