【ビジネス書の杜】2010年売れ筋ベスト10
2010年のベスト1は、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」でした。昨年最後のメッセージにも書きましたが、まあ、ドラッカーの年でしたので、妥当なところでしょう。ちなみに、エッセンシャル版も5位に入っています。
といいたいところですが、実は、ここ2年、前年のビジネス書の杜Awardに選んだ本が第1位になるという流れがありましたので、その意味ではちょっと波乱です。Award2009の「「決める」マネジメント」は、10位に留まりました。Awardセミナーは好評でしたが、ちょっと、本は難しかったのかもしれません。
2位は「20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義」でした。今年は、この本がきっかけになり、マイケル ・サンデル教授の
マイケル・サンデル(鬼澤 忍訳)「これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学」、早川書房(2010)で流れができ、後半は大学講義録本の出版の嵐になったような感じがあります。
ビジネス書の杜でも、2位のスタンフォード大学以外に、11月発売の「ハーバードの人生を変える授業」が9位に入っています。これも書籍紹介は書いておらず、Twitterの紹介のみです。
さて、第3位には、楠木先生の「ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件」が入りました。この本は戦略解説本の概念を変える、新しいスタイルの名著だと思います。日本には戦略の読本がほどんとないので、このヒットをきっかけに今後、戦略読本のような本がたくさん出てくることを期待しています。楠木先生の本を読めばすぐに分かりますが、戦略は読本が向く領域だと思います。読本をたくさん読むことによって、戦略コンピテンシー、戦略センスが向上します。
僕は楠木先生の講義やセミナーを受けたことがありませんのでよくわかりませんが、この本、ひょっとして、講義の語りをテープ起こしして本にしたのではないかと読みながら思っていました。500頁は臨場感ではないかと。ひょっとすると、これも講義録のカテゴリーかも?
実は、この3位の本、実はビジネス書の杜に紹介記事を書いていません。夏の読書お奨め本として紹介した以外はTwitterで紹介しただけです。これは年間ベストセラー史上、始めてです。1月1日にベストセラーを集計して、急きょ、紹介記事を書いた次第です。
第4位は、「スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則」でした。この本もよく売れた本ですね。プレゼンテーションでは、プレゼンテーションZenも8位に入りました。
こう並べてみると、今年は珍しく、世の中の流れとビジネス書の杜があまり、かわらない感じです。おそらく、記事をあまりかけず、紹介している本自体が売れている本の比率が多かったためだと思います。今年は、一昨年までのようにビジネス書の杜だけのベストセラーというのをつくっていけるようにしたいと思っています。
なお、ビジネス書のAward2010は1月10日前後に発表の予定です。お楽しみに!
【第1位】
岩崎 夏海「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」、ダイヤモンド社(2009)
https://mat.lekumo.biz/books/2008/12/post-dd24.html
【第2位】
ティナ・シーリグ(高遠裕子訳、三ツ松新解説)「20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義」、 阪急コミュニケーションズ(2010)
https://mat.lekumo.biz/books/2010/03/innovation.html
【第3位】
楠木 建「ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件」、東洋経済新報社(2010)
https://mat.lekumo.biz/books/2011/01/story.html
【第4位】
カーマイン・ガロ(井口耕二訳、外村仁解説)「スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則」、日経BP社(2010)
https://mat.lekumo.biz/books/2010/09/presentation.html
【第5位】
P・F. ドラッカー(上田 惇生訳)「マネジメント - 基本と原則」、ダイヤモンド社(2001)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478410232/opc-22/ref=nosim
【第6位】
ロバート・ボルトン( 米谷 敬一訳)「ピープル・スキル 人と“うまくやる”3つの技術」、宝島社(2010)
https://mat.lekumo.biz/books/2010/04/poeple.html
【第7位】
ダニエル・ピンク(大前 研一訳) 「モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか」、講談社(2010)
https://mat.lekumo.biz/books/2010/07/drive.html
【第8位】
ガー・レイノルズ「プレゼンテーション Zen」、ピアソンエデュケーション(2009)
https://mat.lekumo.biz/books/2009/09/post-0a1b.html
【第9位】
タル・ベン・シャハー(成瀬 まゆみ訳)「ハーバードの人生を変える授業」、大和書房 (2010)
https://mat.lekumo.biz/books/2011/01/happier.html
【第10位】
リクルートHCソリューションユニット、太田芳徳「 「決める」マネジメント――人を活かす職場をつくる」、英治出版(2009)
https://mat.lekumo.biz/books/2009/11/post-d73a.html
コメント