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2010年4月26日 (月)

「対人関係」改善のバイブル、ついに日本に上陸

4796669531 ロバート・ボルトン( 米谷 敬一訳)「ピープル・スキル 人と“うまくやる”3つの技術」、宝島社(2010)

お奨め度:★★★★★

4月4日にリーダーシップの世界的テキスト「リーダーシップ・チャレンジ」を紹介したが、対人関係においても世界的なテキスト「ピープル・スキル」がついに翻訳された。日本でこの分野でこれだけ体系的な本はない。すべてのビジネスマンに対人関係改善の「バイブル」としてお勧めしたい本。この2冊を読んでおけば、「人間的スキル(ヒューマンスキル)」は万全だ。

この本は4部構成になっており、第1部はまず、人と人の溝を埋めるスキルとして、この本で取り上げるスキルの人間関係での位置づけを説明している。その上で、なぜ、コミュニケーションがうまくいかないのかというテーマで、人間関係を破壊するリスクの大きい12の対応として

・批判
・悪口
・診断
・賞賛
・命令
・脅迫
・説教
・質問・尋問
・忠告
・ごまかし
・論理的説得
・元気づけ

を指摘している。これを見て間違いではないかと思った人がいると思う。賞賛、元気づけ、論理的説得などであるが、行動科学では、これらはコミュニケーションを破壊するリスク要因だとされているそうだ。説明を読めば、なぜ、そうなのかはすぐに納得できるだろう。

そして、13番目の要因がある。

相手の対応のまずさを「指摘」すること

だそうだ。この本は、このようなまずい対応によるコミュニケーションの障害を取り除くことためのスキルを身につけるためのものである。

本書が教えてくれる基本的なスキルは3つ、

・リスニング(傾聴)スキル
・アサーション(自己主張)スキル
・コンフリクトマネジメント(対立解消)スキル

である。それぞれを1部ずつを割いて説明している。内容の紹介の前に、ひとこと。対人関係スキルを身につける場合に重要なことは、スキルをMECEに捉えることである。MECEの軸は、コミュニケーションのスタイルである。この本の構成を見ると、ちょっとこの分野の勉強をしている人であれば、「コーチングスキルは」、「ネゴシエーションスキルは」、「フォードバックスキルは」と知っているいろいろなスキルがないことを不安に思うかもしれない。しかし、その心配は必要ない。対人スキルのきり方はいろいろあるので、どこかで必ず、みなさんの知っているスキルは入ってくる。問題は、MECEであるかどうかだ。僕自身がこの本は20年近く愛用していることもあるので、贔屓が入るかもしれないが、この3つ以外に対人スキルをMECEに体系化する方法はないのではないかと思っている。

ということで、この本を手にいれたら、ほかの本に浮気せずに、この本だけですべての対人関係の問題を解消するヒントを得るようにすることをお勧めする。

さて、内容だが、まずは、傾聴スキル。3つのリスニングスキルについて解説している。

・アテンディング(向き合い)スキル
・フォローイング(うながし)スキル
・リフレクティング(反映)スキル

である。この中でとくに有効な方法として、リフレクティングスキルと取り上げ、有効な理由と、リフレクティングスキルを強化するためのガイドラインについて解説している。たとえば、

・わかったふりをしない
・「気持ちがわかる」という言い方はしない
・応答の言い回しを変えてみる
・感情に注意を向ける

などである。
また、リスニングスキルの中で、ボティ・ランゲージの重要性とその読み方についても触れている。また、ガイドラインも紹介している。これ、結構、役立つ。

二番目はアサーションについてである。この本では、対人関係は3つの型があることを前提にしている。服従型、攻撃型、自己主張型である。そして、自己主張の方法について、かなり具体的なアドバイスをしている。自己主張には6つのステップがあり、

(1)準備する
(2)メッセージを送る
(3)沈黙して間をとる
(4)防衛反応に、リフレクション型のリスニングで対応する
(5)必要に応じて(2)~(4)を繰り返す
(6)解決策に焦点を当てる

である。自己主張をうまく行うためには、自己主張の選択肢を増やすことが重要であり、選択肢として

・「自然な」自己主張
・自己開示
・具体的事実に基づく評価
・関係を強化する自己主張

など12の選択肢を提示している。

三番目はコンフリクトマネジメントである。ここでは、対立は避けられないものだという前提のもとで、対立が人間関係を破壊するまで発展することを防ぐための方法を説明している。また、対立の感情的な要素を分析し、

(1)敬意をもって相手に接する
(2)相手の立場を理解するまで話を傾聴する
(3)自分の意見、要望、感情などを述べる

という3ステップのコンフリクトの解消をアドバイスしている。また、対立に対して、よく使われる、否定、回避、屈服、支配、妥協のいずれでもない問題解決として、対立が発生したときにお互いが納得できる解決策を一緒に見つける協調型の問題解決について

(1)解決策ではなく要求という点から問題の本質を明らかにする
(2)解決策についてブレーンストーミングを行う
(3)当事者双方の要求をもっとも満足させる案を選ぶ
(4)誰が、何を、どこで、いつまでに行うかを計画する
(5)計画を実行する
(6)問題解決のプロセスを評価し、後日解決策の効果を検証する

の6ステップからなる方法を教えてくれている。

最後にまとめとして、このようなスキルを身につけても、必ずしもすべてのコミュニケーションの問題解決にはならず、究極の人間関係の問題解決には

・誠実さ
・無私の愛
・共感

が不可欠であることを述べている。

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