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2009年8月

2009年8月31日 (月)

擦り合わせのフレームワークってできるんだ【ほぼ日読書日記 2009年8月30日】

選挙報道を見ていた。最初、朝日をつけていたら、8時に200議席以上を出した。統計的な有意性があるだけの出口調査をして当確を出しているのだろうが、ちょっと違うのではないかと思う。

ザッピングしていると、他局が朝日が当確を出した事務所の中継をすると、まだ、真剣に推移を見守っているというのは、何か異様さを感じる。

そんなところで、興味がなくなり、本を読みながら、選挙結果を見ていた。この本。

日本的を米国がフレームワークにするというのは、カンバンに代表されるように多い。これもそうか。

ロジャー・マーティン(村井 章子訳)「インテグレーティブ・シンキング」、日本経済新聞出版社(2009)

擦り合わせという発想は日本人しか受け入られないものだと思っていたが、そうでもないってことらしい。フレームワークにすれば、使おうとするんだ。

っていうか、重要性があると思っているようだ。

それにしても、このフレームワークはすごいと思う。言葉にすると、全然、イメージが変わってしまうが、よく考えてみると擦り合わせそのものである。

ただ、これが対話だと言われると違和感があるかな。矛盾や対立からイノベーティブな解決策を見出しているという点では対話であるが、弁証法的ではない。どちらかというと、談合に近いような気がする。

2009年8月29日 (土)

ドラッカーへ旅をした【ほぼ日読書日記 2009年8月28日】

12時間ワークショップ。

さすがに終わったあとは仕事をする気にならず、とりあえず、食事をして、ホテルで伊坂 幸太郎の新作「あるキング」を読み出した。

が、なかなか、集中できず、放棄。で、一緒に買った本をなんとなくぱらぱらと見ていたら、意外と面白く、はまった。

ジェフリー・クレイムズ(有賀 裕子訳)「ドラッカーへの旅 知の巨人の思想と人生をたどる」、ソフトバンククリエイティブ(2009)

ドラッカーの教えを解説した本、あるいは、伝える本は山のように出ている。しかし、ドラッカー自身について書いた本というのはあまり見かけない。

昔から不思議に思っていることの一つだが、社会科学、人文科学というのは客観性はあるかもしれないが、真理はない。その意味で、理論を世に出した人がどのような人生を送った人かというのは、非常に重要な気がしている。ドラッカーであれば、日本では上田先生が断片的に紹介してくれているが、ドラッカーという人物のイメージを想像するまでには至っていないように思う。

ある意味で、理論が一人歩きするというのはすごいことだと思うが、やっぱり、何を背景にしてそのようなことを言っているのかは知りたいなあと思う。

著者は、ウェルチの本を何冊か書いており、それが認められ、ドラッカー自身について書いた本を世に出すことになる。非常に面白いし、この本を読んで、ドラッカーをもう一度読み直したと思ったくらい!

2009年8月27日 (木)

技術ブランドとは何か?【ほぼ日読書日記 2009年8月26日】

車で移動して、結構、疲れて帰ってきたのだが、読み出したら面白かったので、一挙に読んでしまった。

宮崎 洋、高井 紳二「技術ブランド戦略~コアテクノロジーの分析・選択・展開・管理」、日本経済新聞出版社(2009)

技術ブランドという言葉は、言い得て妙である。プロデュースの必需品。

日本の高度成長から、一挙に成長が停滞した理由の一つはこの議論ではないかと思う。このもっとも典型的な例が半導体だろう。技術的には先行する。そこでその技術を使って何か製品を作り、その製品でブランド構築をしようとする。

ところが、製品になってしまうと、技術は隠れてしまう。結局のところ、縁の下の力持ちのような存在になってしまうし、技術者にもそのような動機付けをしてしまう。

一方で、インテルという会社はテレビコマーシャルをしている。inside intelである。商品を告知するわけでもないし、技術をアピールするわけでもない。パソコンの中にはインテルが入っているいう主張だけだ。これが、コンピュータ業界の中でポジショニングに効果があるように見える。インテルを中心にロードマップが動いている。

日本で見ていてうまいと思うのは、液晶かな。液晶は見える技術なので、半導体よりは、商品ブランドに近いのかもしれないが、、、

次は環境だ。環境もやはり、半導体の初期と似ているように思えるのだが、状況は違う。例えば、ハイブリッドエンジンではトヨタがブランドを気づきつつある。日本企業がどのような技術ブランドを気づいていくか、楽しみだ。

2009年8月24日 (月)

信頼について考える【ほぼ日読書日記 2009年8月23日】

一緒に仕事をしているアイ・ツー・マネジメントの岡野智加さんと、PMIの日本フォーラムの公募枠で発表することになっている。資料を作るのに、この本をもう一度ゆっくりと読み直した。

山岸 俊男「日本の「安心」はなぜ、消えたのか―社会心理学から見た現代日本の問題点」、集英社インターナショナル(2008)

安心社会「統治の倫理で閉鎖系社会」
信頼社会「市場の倫理で開放系社会」

ずっと山岸先生が主張されていることを、社会心理学のさまざまな実験、今の社会問題、経済問題を取り上げながら、対比し、説明されている。

管理は安心社会の維持の仕組みである。これを信頼社会の仕組みである、マネジメントに変化させていかないと、歪みが起こる。特に、経営では、安心社会と信頼社会のそれぞれの エッセンスを混在させるという手法がよく採られるが、山岸先生はこれは社会を腐敗させると指摘する。信頼社会の皮を被った安心社会で、人材が腐敗している企業は掃いて捨てるほどある。

さあ、どうするのだろうか。

2009年8月23日 (日)

マネジメントへの認識が一変する【ほぼ日読書日記 2009年8月22日】

愛媛県の松山から、山口県の柳井まで、2時間半の船旅。船旅というのは何年かに1度あるかどうか。飛行機の中ではビジネス書は読まない主義なので、船は特に決めていないので、どうしようかと迷って、結局、読んだのが、この本

佐藤悦子「SAMURAI 佐藤可士和のつくり方」、誠文堂新光社(2007)

僕的には、佐藤可士和さんより、奥さんの佐藤悦子さんの活動により興味があり、たいへん、楽しく読めた。

興味深いのは、やはり、マネジメントによって新しい付加価値が生まれると信じている点。プロデュースという言葉がはやり始めたが、人に対して、プロデュースという言葉を当てはめることに限って言えば、マネジメント以外の何者でもないと思う。

もし、違和感があるとすれば、それはマネジメントのとらえ方がずれているのだと思う。まさに、そんなことを教えてくれる本。例えば、スケジュール管理をきちんとやればこそ、よい意味でのスラックが生まれ、仕事の品質が上がる。クリエイティビリティが高まる。

マネジメントへの認識を一変させる本だった。

2009年8月21日 (金)

劇場型のリーダーシップ【ほぼ日読書日記 2009年8月20日】

京都に戻る。久しぶりに真っ昼間に移動。雪を冠さない富士山はなんとなく座りが悪い。人間の感覚ってこんなものだろうと思う。

新幹線が結構混んでいたが、旅行客かと思いきや、名古屋でごっそりと降りていった。名古屋は景気は戻ったのだろうか。

車中2冊本を読む。1冊目。演出家であり、劇作家でもある平田オリザさんと蓮行さんの書かれた演劇ワークショップの本。

平田オリザ、蓮行「コミュニケーション力を引き出す」、PHP研究所(2009)

演劇ワークショップの流れをコミュニケーション能力の開発に使おうという提案だが、平田オリザさんの演劇とビジネスのアナロジーの議論は参考になる。今までの本よりも、少し、踏み込んだ感じの本。

劇場型のビジネスといったところか。

もう一冊。

大木豊成「ソフトバンク流「超」速断の仕事術―1か月かかる仕事を1週間でやり遂げる!」、ダイヤモンド社(2009)

久しぶりに読む価値のあるプロジェクトマネジメント本に当たったような気がする。

ソフトバンクグループに勤務し、Yahoo!BBの立ち上げに関わった大木豊成氏が、孫正義社長の要求にどのように答えてきたかをいろいろなエピソードを引きながら紹介し、大木さんなりの教訓にまとめている。

本を読むと、たぶん、大木氏は優秀なビジネスマンであり、優秀なプロジェクトマネジャーであることはよく分かる。この本で主張している戦略的な仕事の仕方をしようというのも100%共感する。

しかし、もっと印象に残ったのは、彼の能力を引き出した孫正義社長のスポンサーシップ(大木さんはファシリテーティブなリーダーシップと呼んでいる)である。孫社長のやっていることを、普通にやれば、下はつぶれると思う。つぶさないためには、信頼関係の構築がもっとも重要である。これが実にうまく出来ている。

ソフトバンク流というのは、結局、そういうことだろう。

一つだけ、かなり重要な見解の相違がある。この本で、大木氏はサーバントリーダーシップの時代は終わったような記述をされているが、この本に書かれている孫社長のリーダーシップはサーバントリーダーシップそのものである。行動が派手な人だからそう見えないが、こういうサーバントリーダーシップの形もあるのだと思う。

まさに、劇場型のサーバントリーダーシップだね。

2009年8月20日 (木)

プロジェクトファシリテーション【ほぼ日読書日記 2009年8月19日】

久しぶりに一人で夕食。夕食の前に本屋によって、1冊、ピックアップして、読み始める。

白川 克、関 尚弘「プロジェクトファシリテーション」、日本経済新聞出版社(2009)

古河電工の人事業務の変革をテーマにした、ノンフィクションノベル。抵抗勢力を出さない、カリスマ不在、楽しいを目標に、プロジェクトファシリテーションの手法を使って、5年間かけて、丹念にプロジェクトを進めていくストーリー。コンサルタントとクライアントが一緒に本を書くってすごいし、結構、生で書いているので、面白い。

プロジェクトとファシリテーションというのは、非常に相性が良さそうで、実際にはあまり、これというマリアージュにお目にかかれない。たとえば、「実務で役立つプロジェクトファシリテーション」という本があるが、マリアージュとは言い難い(この本はいい本だと思うが)。

ファシリテーションにかかわらず、コミュニケーションをよくすればプロジェクトはうまく行くだろうという仮説の元、プロジェクトと対話だとか、プロジェクトと質問会議 だとか、興味を持つ人は多いが、本質的なソリューションになるに至っていない。

理由はうすうす感じていたのだが、この本を読んで確信に変わった。この先は、また折りをみて、「プロジェクトの補助線」というブログに書くことにする。

とりあえず、この本を読めば、ファシリテーションとは何か、ファシリテーションとプロジェクトを如何にマリアージュさせればよいかがよく分かる。

ちなみに、PMBOKのファシリテーティングプロセス、そして、ドラッカーのコミュニケーションの4原則を意識しながら読むとよい。

2009年8月19日 (水)

伝説のエバンジェリストの起業本を読む【ほぼ日読書日記 2009年8月18日】

この本があるのは知っていた。しかし、手にとったことはなかった。ガイ・カワサキの名前すら目に入らなかった。

月曜日に話題になって、早速、今日、新幹線に乗る前に購入して読んだ。

ガイ・カワサキ(三木俊哉訳)「完全網羅 起業成功マニュアル」、海と月社(2009)

ガイ・ガワサキはMacintosh好きには、ある意味で、ジョブス以上のビッグネーム。冷静に考えてみると、Macintoshが今、シェアを持っているのはすごいことだ。それに対してもっとも重要な役割を果たしたのは、彼だと思う。エバンジェリストを作り、アップル・フェローを作った。ガイ・ガワサキのいたアップルは、すばらしいソフトがあふれていた。そして、熱狂的なファンを獲得した。

そのビッグネームにふさわしい内容の起業本。なんと、「イノベーションのジレンマ」のクレイトン・クリステンセン先生の推薦がついている。

「愉快で完璧、そして極めて実用的」

ゲリラ・マーケティング」のジェイ・コンラッド・レビンソン氏、「キャズム」のジェフリー・ムーア先生の推薦もある。これらを活かす起業のノウハウだ。

それにしても、なぜ、「完全網羅 起業成功マニュアル」なんだ。原題は、

The Art of the start

である。

2009年8月18日 (火)

元気サプリ本【ほぼ日読書日記 2009年8月17日】

移動中に軽く読む。

村上 玄一「ニッポンの底力がわかる本」、青春出版社(2009)

ビジネスマンのうんちくには、とてもよい本。また、キャッチにあるように「読むだけで力がわいてくる50の事実」というのも納得。事実をニュートラルな視線で書いてあるので、とりあえず、それで本を作った目標はクリアできたということなのだろう。

不況の閉塞感を吹き飛ばすサプリ。

これだけの事例を集めたこと自体、すごいことだ。ただ、読んでいてふと思ったのは、これだけの事例を視座なしにピックアップできるとは思えない。章構成は、どちらかというと、整理のラベルになっているので、情報収集の視座を知りたいなあ。

視座と同時に、このような事実をどう読むのか?という続編を読みたい!

もう一冊。事情があって読んだ。

石井 淳蔵「ビジネス・インサイト―創造の知とは何か」、岩波書店(2009)

コメントはしないが、この本だけ読むと何を言いたいのは分からないというか、意図が誤解されるような気がする。この本と一緒に読むとよいのではないだろうか。

マックス ヴェーバー「社会科学と社会政策にかかわる認識の「客観性」」、岩波書店 (1998)

2009年8月17日 (月)

ファシリテーションに魂を入れる【ほぼ日読書日記 2009年8月16日】

お盆の最後の日を使ってじっくりと読んだ。

エドガー・H・シャイン(金井壽宏監修、 金井真弓訳)「人を助けるとはどういうことか 本当の「協力関係」をつくる7つの原則」、英治出版(2009)

プロセスコンサルテーションそのもの、あるいは、その中でもっとも重要な支援関係に焦点を当てた本。すばらしい!

シャイン先生のプロセスコンサルテーションの本を最初に読んだのはこれ。

エドガー・シャイン(稲葉 元吉、岩崎 靖、稲葉 祐之訳)「新しい人間管理と問題解決―プロセス・コンサルテーションが組織を変える」、産能大学出版部(1993)

当時はほとんど注目されていなかった。そのあと、

エドガー・シャイン(稲葉 元吉、尾川 丈一訳)「プロセス・コンサルテーション―援助関係を築くこと」、白桃書房 (2002)

かなり、実践的な内容になってくる。

ファシリテーションがはやってきたのはこのあとだ。プロセスコンサルテーションと比較すると、あまり、深みというか、哲学を感じない。プロセスコンサルテーションの持つ哲学の部分をきちんと整理して取り出したのが、この本。ファシリテーションに関与している人は必読だな。

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