お盆ですなあ。お盆やお正月はアクセス数がいつもの半分くらいになる。
始めたころには、お正月はともかく、お盆はアクセスが少なくならいような本を取り上げようかと煩悩があったが、最近は選書がよいというメッセージを戴くことがあるので、だんだん、無くなってきた。
そういうえば、最近、
長野慶太「TIME×YEN 時間術 (タイムエン時間術) すべての時間を成果に変える31の鉄則」、草思社(2009)
についての手書きの手紙を戴き、選んでいる本の筋がいいみたいなことが書いてあったし、うれしかった。長野さん、メッセージありがとうございます。
今日はこれまた、ずっと取っておいた本を読んだ。
ニティン・ノーリア、ジェイムズ チャンピー(重茂 達訳)「人が「やらないこと」をやる人! 」三笠書房(2009)
なぜ、日本の出版社はこういう本をあまり作らないのか?
啓蒙書を買う人にとって、もっとも欲しいのは半歩先を見せてくれる本だと思う。一歩先にいくと、他人ごとになって急激に興味が薄れるように思う。勝間・本田・神田というのはいろいろと売るために工夫をしているということを指摘する人もいるが、この原則は崩していないから売れるのだろう。
そこで、一歩先をいく内容の本を作るときには、如何に半歩だと見せるかに工夫をする。ある意味で、編集の腕の見せ所。たとえば、昨年のAwardに取り上げた、佐々木直彦さんの
佐々木 直彦「プロデュース能力 ビジョンを形にする問題解決の思考と行動」、日本能率協会マネジメントセンター(2008)
などはそういう作りになっている。
その工夫が難しいテーマであれば専門書と位置づけるしかない。
専門書だから売れないかというとそうでもない。例えば、大学の先生に本の執筆を頼むときには、教科書で使うというのが大前提になっていたが、最近は大学の先生は、自分の研究を世の中に広めていくことに興味を持つ人も多いので、専門書の形態を取らない専門書を書く人が増えてきた。この代表格が金井先生だろう。
こういう本は、一般的に言って、わかりにくいというよりは、専門性が高いので、その人の本をずっと読んでいれば別だが、単発の本をとしては読みづらいものが多い。やはり、立場上、「まちがい」はかけないので、どうしても説明が複雑になる傾向があるようだ。そもそも、その先生が専門とするテーマ自体が狭く、深いというのもある。
こういう本で誰もが読めるのは、「シンプル」に書かれた本だ。立場上、まちがいはかけないとすれば、これはたぶん、十八番のようなところまで磨き上げられた隙の話でないとそんな本にはならない。
そういう意味で非常によく出来た本だと最初に思ったのはやはり、これ。
加護野 忠男「「競争優位」のシステム―事業戦略の静かな革命」、PHP研究所(1999)
そのあともぼちぼちとあるが、職業柄かどうかしらないが、マーケティング系の本が多いような印象がある。
最近だと、書籍プレゼントをして貰った、小川進先生の
小川 進、平井 孝志「3分でわかる クリティカル・シンキングの基本」、日本実業出版社(2009)
などはその部類に入ると思う。
前置きが長くなったが、半歩ではなく、一歩進んだ本、あるいは、ジャンプしている本というのは、シンプルで、磨き上げられた芸のごとく書かないと受け入れられないだろう。その意味で、この本はすごい。
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