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2009年6月

2009年6月18日 (木)

そろそろ変わった方がいいですよ【ほぼ日読書日記 2009年6月17日】

就寝前にこの本を読んだ。ミシマ社の本というだけの理由なのだが、おもしろかった。

清水 浩「脱「ひとり勝ち」文明論」、ミシマ社(2009)

清水さんのほかの本も読んだことがあるので、僕的には内容はそんなに目新しいって感じではなかったが、本の作りは明るくていい。

環境問題の本っていうのは、書き方や作り方が小難しいものが多くて、市民を巻き込むという肝心の役割にコミットしている本が少ないように思うが、この本は間違いなく、その役割を果たすだろう。

「変われない理由もわかりますし、その事情ももっともですけど、そろそろ、変わった方がいいですよ」

ということだそうだ。

「感性が論理を支える」経営

4899772416 渡辺 英夫、「超感性経営」編集委員会「超感性経営―ソニー伝説のストラテジストが授けるデザインマネジメント・メソッド:25」、ラトルズ(2009)

ソニーファンで、マネジメントに興味のある人には、垂涎の一冊。

ある方から頂戴し、あっという間に読んだ。おもしろい。

プロダクトマネジメントに携わっている人であれば、渡辺英夫氏の名前を知らない人はいないと思うが、昨年、病気で他界された。闘病中、デザインマネジメント論をまとめておきたいという願いをもち、同僚や後輩に託したまま、他界されたそうだ。

渡辺氏の机のなかから、出てきたノートの最初のページに書いてあった「感性経営」という言葉を頼りに同僚や後輩たちは本作りを始めた。

しかし、誰一人として、渡辺氏から「感性経営」とは何かということを聞いた人はおらず、渡辺氏の残した資料や講義録、そして元部下や同僚のインタビューから、感性経営を編集し、できあがったのがこの本。ちなみに、「超」とついたのは、この分野が今後、渡辺氏の思想のさらなる広がりと飛躍を祈ってとのこと。

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2009年6月17日 (水)

ポジティブ心理学を読む【ほぼ日読書日記 2009年6月16日】

タメ日記第二弾。

今日は、某社でPMOスタッフの方に、プロジェクトワークアウトセッションの進行指導。自分でファシリテータをやった方がずっと楽。

結構、疲れてかえってきて、癒しの読書。

こういう時代なので、本格的に勉強してみようと思って、ポジティブ心理学の勉強を始めた。とりあえず、今回の東京出張に本棚から引っ張り出してきた本を2冊持参。

1冊目。金井先生のゼミで、課題図書になって感動して何度も読んだ「オプティミストはなぜ成功するか」のマーティン・セリグマン博士の

マーティン・セリグマン(小林 裕子訳)「世界でひとつだけの幸せ―ポジティブ心理学が教えてくれる満ち足りた人生」、アスペクト(2004)

を手始めに読む。イマイチ。

で、もう一冊。

ドナルド・クリフトン、トム・ラス「心のなかの幸福のバケツ」、日本経済新聞社(2005)

こっちは良かった。先日、どこかの本屋で勝間さんの推薦帯がついたものをみかけたが、古い本でも勝間さんの推薦で売れるというのはすごいなあ。

昨日読んだ太田先生の本と、通じているところもある。ネガティブ1回でポジティブ13回以上は生産性が落ちるというデータもあった。バケツというのはなかなか、おもしろいメタファだ。

ポジティブなら寿命が10年延びるそうだ。

バッチリ波長の合う本に出会う【ほぼ日読書日記 2009年6月15日】

午前中、大阪で打ち合わせ。昼食を取って、東京に。

東京に着くなり、丸の内で1件クライアントとの打ち合わせを済ませて、夕方から「質問会議」の清宮さんにお会いする。プロジェクトマネジメント系の人が、「質問会議」にシンパシーを感じているという話をされていた。昨年、12月にイベント、やった甲斐があったというものです。

新大阪駅で2冊購入。東京へ来る新幹線で読む。

岩田 徹、内山 英俊「スッキリと「考える」技術」、ファーストプレス(2009)

いいな、この本。波長がばっちりあった。

フレームワークで思考停止するな、自分で考えたことはすべて正しい! すばらしい!
副題もいいぞ!

 考えて、考えて、考え抜いた答えは、周囲を巻き込んで解決に導いてくれる

考えるというのと、考え抜くというのは違うと我々も常々言っている。我々の答えはこちら

時間があったので、もう一冊。

太田 肇「認め上手 人を動かす53の知恵」、東洋経済新報社(2009)

若干、飽きてきた感じもしたが、褒めることと、認めることの違いをこれだけ明確に書いた本は初めてだと思うので、その点はよかったかな。もちろん、太田流全開で、読み応えもあった。

で、、、清宮さんとの打ち合わせの後に読んだ本。

久野康成、井上ゆかり「母性の経営」、出版文化社(2009)

なんとなく、空気がこんな経営を求めるようになってきているなあと感じる。プロジェクトにも母性型リーダーがいた方がよいと思う今日この頃でした。この本、究極のコンサルティングファームの宣伝本なのだが、鼻につかないで読めた。これも母性のおかげか?!

深く、実践的なチームマネジメント論

4904086902_2 吉村 啓邦「チームの生成と開発」、北辰堂出版(2009)

お奨め度:★★★★★

チームマネジメントのバイブルといわれる

ジョン・カッツェンバック、ダグラス・スミス(吉良 直人、横山 禎徳訳)「「高業績チーム」の知恵―企業を革新する自己実現型組織」、ダイヤモンド社(1994)

という本がある。この本は300ページ以上ある本だ。ジョン・カッツェンバックなどによって確立されているチームマネジメント論をベースに、自らの新しい知見と実践論を交え、発展させ、200ページ強の本にまとめた密度の濃いチームマネジメント論。

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2009年6月15日 (月)

恋愛コミュニケーション本【ほぼ日読書日記 2009年6月13日】

書くのが遅くなってしまったが、土曜日に読んだ本。まず、これ。

久米 信行「がんばっているのに報われない人のための 「認められる!」技術」、日本実業出版社(2009)

恋愛コミュニケーション術の本だな、これは。

内容はかなり、高度だし、うまく体系化されているように思う。ベストセラーになったらしい前書「考えすぎて動けない人のための 「すぐやる!」技術」より、こちらの本の方がおもしろかったし、本としてもできがよいのではないか。

最初、太田先生の「承認欲求」の逆張り本かと思って読み始めたが、そうでもない。自己啓発書の中では、これまであまり無かったカテゴリーで、よい切り口の本だと思う。

このブログの開始以来、3番目に売れている本、アラン・コーエン博士と、デビッド・ブラッドフォード博士の書いた「影響力の法則」という本があるが、これをハウツーっぽく作るとこんな感じになるのではないだろうか。

ただ、この久米信行さんは、ハウツーでビジョンを書く術を持っていらっしゃる方で、この本も単なるハウツー本ということではない。

この先に何があるか楽しみだ。

もう一冊。

藤屋 伸二「図解で学ぶ ドラッカー入門」、日本能率協会マネジメントセンター(2009)

上田先生の「ドラッカー入門」書籍があるが、趣が違う。上田先生の本はドラッカーの思想を「伝える」ことに焦点が置かれているが、この本は「活用」に焦点が当てられているように思う。そのような視点からドラッカー思想の編集がされている。

ある意味で、実用書に仕立てられている。ドラッカーというと、洞察することに読む価値があるという人が多いが、こういう本があっても良いと思う。

それにつけても、ドラッカーは思想家なのだなあとつくづく思う。

2009年6月12日 (金)

恐るべし、日本実業出版社の開発力【2009年6月11日】

この1年くらいでも、日本実業出版から思考法の出版が目につく。ビジネス書の杜でも、

山下 貴史「3分でわかるラテラル・シンキングの基本」、日本実業出版社(2008)

高橋 浩一「レバレッジ・ポイントを見つけ出せ! 問題発見力養成講座 “木を見て森も見る”システム・シンキング」、日本実業出版社(2009)

の2冊はプレゼントしてもらった。このほかにも、「3分でわかる」には、

大石 哲之「3分でわかる ロジカル・シンキングの基本」、日本実業出版社(2008)

があるし、「3分でわかる」シリーズの集大成のような本、

小川 進、平井 孝志「3分でわかる クリティカル・シンキングの基本」、日本実業出版社(2009)

もある。クリティカルシンキングはプレゼントにして戴く予定になっている。

また、堀内さんの

堀内 浩二「必ず最善の答えが見つかるクリエイティブ・チョイス」、日本実業出版社(2009)

もあるし、

極めつけは、思考フレームワークの使い方に言及した、手塚さんの

手塚 貞治「戦略フレームワークの思考法」、日本実業出版社(2008)

といった本まである。これ、すべて1年以内。

出版社の場合には、「製品開発力」とは言わないのだろうが、まあ、すごい出版力だ。ラインナップの作り方は、なんだか、日経BPの雑誌群を連想させる。少しずつテーマをドリフトして、網を張っていくような感じ。雑誌と違って身内で作っているわけではないので、これを外部の著者を使ってやるというのは、大したものだなあ。

その日本実業出版から、全体の集大成と思えるような本がでた。定性分析の本。

中村 力「ビジネスで使いこなす〈入門〉定性分析」、日本実業出版社(2009)

個人的な感想は別にして、人には勧めやすい、よく作り込まれた本。おまけに、この本を読んでいると、たぶん、上に並べた本のうちの何冊かは読みたくなると思う。当然、競合の本はあるが、この作りで、これだけのラインナップを持っているところはないので、当然、日実にいくだろう。

集中といい、クロスセリングといい、エクセレントな戦略だ。

2009年6月11日 (木)

経営の神は細部に宿る

4569709303 清水 勝彦「経営の神は細部に宿る」、PHP研究所(2009)

お奨め度:★★★★1/2

ユニークなマネジメント論を展開するテキサス大学の清水 勝彦先生の極めつけの経営論。

建築の分野での言葉で、「神は細部に宿る」というのは、誰が言ったか、そしてどんな意味で言ったかについては、いくつかの説のある言葉。設計の本質は細かなところにあるとも言われるし、画竜点睛のような意味だという人もいる。

どっちでもいいが、これを文字って、「経営の神は細部に宿る」とはよく言ったもの。清水先生の本らしく、これをコンセプトに、「戦略に関わること」、「人に関わること」、「考え方に関わること」と3つのカテゴリーに分けて、事例を取り上げている。

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ブラハラードを読む【ほぼ日読書日記 2009年6月10日】

このところ、移動中にしか本を読んでいない気がする。

東京から京都まで新幹線で2時間20分。

東京駅で席に座ったらすぐに読み始めて、読み終わったのが東山のトンネル。途中で何度かやめようかと思いつつ、最後まで読んだ。

M.S.クリシュナン、C.K.プラハラード(有賀 裕子訳)「イノベーションの新時代」、日本経済新聞出版社(2009)

コア・コンピタンス経営」を読んだときには、「おお~」と思ったが、今、読んでみると当たり前のことになっている。「ネクスト・マーケット」も当たり前とまでは言わないが、ぼんやりとしていたものがクリアになってきている。

けなしているわけではない。だから、「世界でもっとも影響力のあるビジネス思想家」第1位の座にあるのだと思う。

が、この本は微妙。フレームワークに新鮮さはあるが、紹介されている事例はもう一つ落ちなかった。なぜか、よく分からない。たぶん、読み込みが足らないのだと思うので、改めて読んで紹介記事を書くことになるのだろう。

2009年6月 8日 (月)

戦略が現場の努力を台無しにする【ほぼ日読書日記 2009年6月7日】

夜の新幹線で東京に。車中、2冊。

一冊目は、ちょっとずつ読んでいた本。

ウィリアム・ホルスタイン(グリーン裕美訳)「GMの言い分」、PHP研究所(2009)

GMという会社の名前や、T型フォードは知っていても、会社の実態は意外と知らないものだなと思った。1927年にGMがT型フォードというドミナントモデルで創った「車」というパラダイムが終わったことがよく分かる。

日本のマスコミでは、「あぐらをかいていた」的な傲慢さを指摘する報道が多かったような印象を持っているが、けっしてそうではない。パラダイムの変化に気がつかなかっただけだというのが、この本を読めばよく分かる。

経営は難しいよなあ。

もう一冊。

森谷 正規「戦略の失敗学―経営判断に潜む「落とし穴」をどう避けるか」、東洋経済新報社(2009)

著者の森谷正規先生は、尊敬する技術マネジメントの研究者。だいたい、書籍は読んでいるが、この本も現場と経営のバランスの問題を指摘している。経営が現場の足を引っ張るというのはそんなに珍しくないが、日本の現場が強いのは、それでも何とかするという印象を持っていた。つまり、現場のやってきたことを台無しにするというのはそんなにないと思っていたが、この本で認識が変わった。経営より、現場の人に読んでほしい本。

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