戦略が現場の努力を台無しにする【ほぼ日読書日記 2009年6月7日】
夜の新幹線で東京に。車中、2冊。
一冊目は、ちょっとずつ読んでいた本。
ウィリアム・ホルスタイン(グリーン裕美訳)「GMの言い分」、PHP研究所(2009)
GMという会社の名前や、T型フォードは知っていても、会社の実態は意外と知らないものだなと思った。1927年にGMがT型フォードというドミナントモデルで創った「車」というパラダイムが終わったことがよく分かる。
日本のマスコミでは、「あぐらをかいていた」的な傲慢さを指摘する報道が多かったような印象を持っているが、けっしてそうではない。パラダイムの変化に気がつかなかっただけだというのが、この本を読めばよく分かる。
経営は難しいよなあ。
もう一冊。
森谷 正規「戦略の失敗学―経営判断に潜む「落とし穴」をどう避けるか」、東洋経済新報社(2009)
著者の森谷正規先生は、尊敬する技術マネジメントの研究者。だいたい、書籍は読んでいるが、この本も現場と経営のバランスの問題を指摘している。経営が現場の足を引っ張るというのはそんなに珍しくないが、日本の現場が強いのは、それでも何とかするという印象を持っていた。つまり、現場のやってきたことを台無しにするというのはそんなにないと思っていたが、この本で認識が変わった。経営より、現場の人に読んでほしい本。
コメント