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2005年10月

2005年10月 7日 (金)

見える化

449253201301 遠藤功「見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み」、東洋経済新報社(2005)

お奨め度:★★★1/2

マネジメントでは「見える化」がブームである。マネジメントだけではなく、プロジェクトマネジメントでも同じようなブームが起こりつつある。

さて、では、何のために「見える化」をするのか?ここが、意外とはっきりしているようであって、はっきりしないところがある。一言でいえば、この本でも書かれているように、自律的な問題解決を可能にするためであるが、じゃあ、具体的にどういうことだと考えてみるとう~んとなる。

この本は思いっきり、見える化の事例を集めた本である。トヨタ、キヤノン、エプソン、松下電工、JR東日本といった著名な企業の見える化事例が紹介されている。その数34社。これだけでもこの本の価値は十分になる。

加えて、おそらく、可視化、見える化の本では、最も説得力がある。その理由は、遠藤氏は、先に、「現場力」という本で議論した現場力との関連付けられた議論をしていることにある。現場力を向上させるために、「見える化」が必要だと言う話。

とりあえず、誰もが読んでみて損はない本だ。

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羊の群れのようにチームを動かす

479421437509 ケヴィン・レーマン、ウィリアム・ペンタック「頑固な羊の動かし方―1人でも部下を持ったら読む本」、草思社(2005)

お奨め度:★★★★

3年くらい前に、「成功するオフィス・ポリティクス」というちょっと変わった本が出版されている。社内政治を積極的に活用しようという趣旨の本だが、とても気に入っている本の1冊である。

この本と同じ川村透さんの訳の本だったので、手にとってみたら、面白かった。羊のメタファでどこまで実感がわくか微妙であろうが、テーマパークとかで羊の群れを操る光景を見たことがある人には、この本に書かれていることは、行間も含めて、とてもよくわかるだろうし、その意味ではよい本である。

例えば、羊の群れを追うときには、全体を見るのではなく、個々の羊の性格を知ってコントロールしないとうまく行かないなどは、非常によくわかる。マネジメントでも基本中の基本である。

イメージ的に、管理術を想像されるかもしれないが、基本的には自律型チームのマネジメントに関する本である。この本に書かれているリーダーの心得を見ると

 ・相手を信頼して、目標を高く設定すること

 ・こちらから信頼しないかぎり、相手に信頼されることはない

 ・自分の価値、ビジョンを伝え続ける

 ・マイナス思考の人間を排除する

といったことが書いてある。

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セルフ・リーダーシップ

447836084709 K・ブランチャード、S・ファウラー、 L・ホーキンス(依田卓訳)「1分間セルフ・リーダーシップ」、ダイヤモンド社(2005)

セルフリーダーシップという言葉は耳慣れない言葉だと思うが、聞いた瞬間にすぐに意味が分かるのではないかと思う。

僕はこの言葉を、ソフィアヒューマンキャピタルの室伏順子さん の取材をさせて戴いたときに教わった。

取材の後で、インターネットを調べていたら、なんと、チャールズ・マンツが「なりたい自分になる技術―あなたを成功に導くセルフリーダーシップ」というタイトルの本を出していることが分かり、それ以来、僕の中では注目概念になっている。

言葉があまり普及しないので、使うのは控えていた。が、この本が、でてきた。ブランチャードの1分間シリーズで出たことは注目に値する。これからはこの言葉を使おう。

この本で言っていることは「ある意味で」単純である。訳者の依田さんのあとがきの表現をかりると

 思い込みの枠に挑戦し

 力のポイントを利用し

 成功に向けて協力しあう

の3つの「トリック」である。読めばなるほどと思える。

ところが、これは特に組織の中にいるとそう簡単なことではない。これについては、プロジェクトを成功させる仕事術でいずれ触れたい。

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時間に遅れないプロジェクトマネジメントとは?

432009633901 Robert C.Newbold(石野 福弥監訳)「時間に遅れないプロジェクトマネジメント―制約理論の応用」、共立出版(2005)

TOCプロジェクトマネジメント(CCPM)初といってもよい実用書。オビにIBMの富永さんとシャープの坂井さんが、口をそろえて、プロジェクトマネジメントを「科学」することの重要性を、その視点からのこの本の重要性を唱えてられている。

どのあたりのことを指して言われているのか分からないが、この本がよい本であることは間違いない。実際に、PMBOKの導入の現場にいて、議論をしているときに、CCPMで提唱しているプラクティスが必要だという話はよく出てくる。その代表がバッファマネジメントである。その意味で、どんな流儀のマネジメントであっても、CCPMのプラクティスは押さえておくとよい。

CCPMの本は何冊かあるが、この本が一番分かりやすいし、TOCの原則が随所に入っているので、プラクティスの意味がよく理解でき、うまく使えるだろう。

制約条件という考え方を理解しておく必要があるが、それさえあれば、誰が読んでも役立つプロジェクトマネジメントの本になっている。

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2005年10月 4日 (火)

チームマネジメントの最強テキスト

82011818 リチャード・ハックマン(田中滋訳)「ハーバードで学ぶ「デキるチーム」5つの条件―チームリーダーの〈常識〉」、生産性出版(2005)

お奨め度:★★★★1/2

日本でチームがリアリティをもって受け入れられない理由は、おそらく、話は分かるが実際どうするんだという素朴な疑問だと思う。

僕がマネジメント3点セットと呼んでいるリーダーシップ、(マネジメント)コミュニケーション、チームの中で、本当にみんなが試行錯誤しているのはリーダーシップであるが、チームとコミュニケーションについては、欧米では、相当、具体的な手法に踏み込んで本がたくさんある。

その中で、チームに関する極上の一冊がこの本である(ちなみに、コミュニケーションに関しては、同じシリーズで出ている「ハーバードで学ぶマネジメント・コミュニケーション」だと思う)。

この本では、いきなり、クイズが出てくる。オハイオ州の小学4年生のために作られた学力測定テストの問題である。

問3 ひとつの仕事(例えば家の建築)に数名で取り組む場合、この仕事はおそらく

 (1)1人でするよりも早く終わる

 (2)1人でするよりも時間がかかる

 (3)終わらない

という問題で、正解は(1)だそうである。そして、筆者はこれに首を傾げる。ここからこの本は始まる。

そして、

 ・チームのビジョンと方針

 ・チームの構造

 ・チームの制度

 ・チームに必要なコーチングの体制

という視点で、チーム作りのソリューションを提案している。さらに、この後、チームリーダーのあり方やものの考え方についても提案をしている。

この本を読んでみて、やっぱり、チームマネジメントなど必要ないと思えれば、それでいいと思う。そんな1冊である。

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2005年10月 3日 (月)

2006カレンダー~キース・ヘリングはいかが?

383270932001 Keith Haring 2006 Calendar

お奨め度:★★★★

Keith Haring のポスターカレンダー。なぜか、毎年、買っているなあ、、、

一昨年くらいから、ユニクロがキースヘリングのTシャツなどといった企画をしているので、若干、食傷気味ではあるが、まあ、なくてはならない一品ですな。

昔は入手に苦労したのだが、、、

2006カレンダー~シンプルな雰囲気を好む方に

082125704801 Ansel Adams 2006 Calendar 

お奨め度:★★★★

デザイン性:★★★★

実用性:★★★★

Ansel Adamsのモノクロの写真集カレンダー。使い出して何年になるか忘れたが、このカレンダーがないとさみしい。

ザ・プロフェッショナル

447837501109 大前研一「ザ・プロフェッショナル」、ダイヤモンド社(2005)

お奨め度:★★★★

「お~、ついに出た」と思い、手にしたが、次の瞬間にがっかりした。

プロフェッショナル論としては間違いなく一級品である。しかし、誰もが言っているようなことを大前流にまとめただけの本である。

大前は日本のビジネスマンでプロフェッショナルというときに、真っ先に出てくる一人であり、僕のもっとも尊敬するビジネスプロフェッショナルだけに、あえて、厳しい評価をしたい。

この本がで大前が言っているのは、先見する力、構想する力、分析する力(議論する力)、矛盾を適応する力、21世紀経済に対する正しい理解と洞察があって、ビジネスプロフェッショナルとなれるということである。

知りたいのは、どうすれば大前研一になれるかである。

大前研一は、80年代には間違いなく、トムピーターズと同じくらいの影響力を持っていたように思う。日本人では初めて、経営論のグルになる人だと思っていた。

しかし、年齢を重ねるとともに、普通の人になってきたように思う。それでも、同分野ではトップを走り続け、後塵を拝していないのだから、たいしたものだが、昔からの大前研一のファンは、だんだん欲求不満になっているのではないかと思う。

特に、ビジネススクールを作ってからはグルではなく、教育者になってしまったように思う。その延長線上にこの本があるように思える。

なぜ、大前研一があるのか?一般論的なプロフェッショナル論ではなく、彼の生き様をプロフェッショナルという視点から知りたい。次は、ぜひ、そんな本を出してほしい。

ちょっと書きすぎた嫌いもある。繰り返すが、大前研一の本としてみなければ、間違いなく一級のプロフェッショナル論である。

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ドラえもんはすばらしいメンターである

4872575997横山泰行「ドラえもんの「育て力」―人生に必要なことは、すべて「ドラえもん」が教えてくれた!」、イースト・プレス(2005) 

お奨め度:★★★★

まぐまぐの創始者の一人である大川さんは、インターネットを「どこでもドア」とたとえていた。彼が個人事業をやっていた当時のホームページは、今でも新しいのではないかと思う。

大川さんもすごいが、インターネットにたとえられるようなアイディアを出したドラえもんはすごいコミックスである。本当にアイディアの宝庫だ。いろいろなことに気づかせてくれる。

この本は、ドラえもんのストーリーの中から、ドラえもんがおもに、のび太にコーチング行動をとっている部分を取り出し、コーチングの基本について解説した本である。

「ほめる力」「叱る力」「気づかせる力」「経験させる力」「学ばせる力」、などなど、正直なところ、よくこれだけのネタがあるものだと思う。

ドラえもんを知らない人もいないと思うが、念のために書いておくと、子守用ロボットである。そして、のび太の”悲惨な未来”を”バラ色”に変えていく。

話は変わるが、メンタリングという概念がある。メンタリングは、ギリシャの詩人ホメロスの書いた叙事詩「オ. デュッセイア」に登場する老賢人「メントル」にちなんでメンタリングと呼ぶようになったという説がある。

僕がメンタリングという概念を知ったこととドラえもんを知ったのは、当然、ドラえもんの方が早い。実は、メンタリングを知ったときに、真っ先に連想したのが、ドラえもんだった。

この本は、まさに、そうだ!という思いで読んだ。プロジェクトマネージャーがドラえもんになれれば、納期遅れなどなくなるかもしれないが、とりあえず、のび太クンたちを動かしながらやるしかないとすれば、この部分だけでもドラえもんになりたいものだ。

ドラえもんになりたい方、ぜひ、読んでみよう!

エンジニアの優位性を活かす方法

427000093709 大滝令嗣「理系思考 エンジニアだからできること」、ランダムハウス講談社(2005)

お奨め度:★★★★

著者の大滝さんは、カリフォルニア大学サンディエゴ校で、電子工学科の博士課程を修了し、東芝を経て、コンサルティングの道に入った方である。その後、人材コンサルティングで有名なマーサーで会長まで上り詰めた人でもある。

僕が大滝さんの存在を知ったのは、

 営業プロフェッショナル高業績の秘訣―コンピタンシーモデルで解明する(1996)

を読んでからである。この本は、ちょうど、僕がコンピテンシーに興味を持つようになって来た頃に出た本で、日本ではコンピテンシーという概念紹介のさきがけになった本でもある。この本を読んですばらしいと思ったのは、極めて、論理的、分析的に書かれているからである。

コンピテンシーそのものについては、大学院で一通りのことは学んでいたが、当時、営業マネジメントのコンサルティングをしていた中で、マネジメントプロセスの実行に手を焼いていたときに、出会って衝撃を受けた本でもあった。ついでに言えば、その後の弊社のコンピテンシーがらみの事業はこの本に大きな影響を受けている。

さて、話が脱線したが、このパターンのビジネスマンは実に多い。このパターンというのは、いうまでもなく、エンジニアでキャリアを始め、キャリアを積んでいく中で、エンジニアリング以外の分野、例えば、経営で卓越した能力を発揮し、成功するというパターンである。最も著名なのは、おそらく、大前研一氏だろう。

この本を読んでみると、なぜ、そのようなキャリアが成立するかがよくわかる。エンジニアにはエンジニア独特のものの見方や考え方、仕事への興味の持ち方があり、そして、それが、例えば、人事マネジメントといった一見畑違いの分野であっても競争優位源泉になるのだ。

そんなことをいろいろな側面から教えてくれる1冊の本である。生涯1エンジニアでありたいと思っている人も、卒業して人の上に立つことを目指す人も、また、事業を目指す人にもぜひ、読んでいただきたい1冊である。

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