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2005年10月

2005年10月30日 (日)

当たり前のことほど、実行が難しい

475690935301lzzzzzzz 浜口直太「あたりまえだけどなかなかわからない組織のルール」、明日香出版社(2005)

お奨め度:★★★1/2

浜口直太さんの「あたりめだけど」シリーズ第2弾。101のルールが書かれている。

475690880201lzzzzzzz5万部を超える大ベストセラーになった前作の「あたりまえだけどなかなかできない仕事のルール」は、誰が考えてもそうだよなという内容だったが、今回の組織のルールは半分くらいは、「いてもらいた人になる」をテーマに、かなり、思い切ったことを言っているルールがある。例えば、

ルール4:団結を乱す人は組織から外そう

などは異論がある人も多いと思う。そんなルールが結構ある。こうなると、ルールの全体的な整合性が問題になるが、その辺は勢いで書いているような気がする。

そんなアラが目についたが、その点を差し引いても前作よりよい本だと思う。特に、自律型の組織を目指す人には7~8割のルールは書いて壁に貼っておきたいような内容だ。

ところで、このシリーズのタイトルだが、いいことは書いてあるが、当たり前といわれるとどうかなと思う。これは前作も一緒。むしろ、できればすごいという気がする。あまり前のことほど、やるのが難しいと言うことか、、、

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2005年10月29日 (土)

思考と行動のエッセンス

31608250 井上明人「30歳からの進化論―仕事の仕方を成長させる29の知的ノウハウ」、文芸社(2005)

著者の井上明人さんがキャリアの中で培われてきた仕事のノウハウを1冊の本としてまとめられている。面白いのは、思考ノウハウと、行動ノウハウにきちんと分けてあること。こういう本を読んでコンピテンシーを高める上で、この区別をきちんと認識して読んでいくことは極めて大切で、それを表示してあるのはすばらしい。

内容は、キャリア(ビジネスマン人生)、問題解決力、コミュニケーション力、メンタル力という4つの視点で整理されており、数はそんなに多くないが、凝縮されたものが多い。

例えば、問題解決力の思考ノウハウの最初に

鳥のように上空から大きく全体を眺めて方向性を絞り、対象を見つけたらそこへ一気にズームアップして具体策の仕上げを行う

というのがある。大局観であるが、大局観をこのような凝縮された言葉で表現できるというのは並大抵のことではない。このような凝縮したノウハウが29個(行動7、思考22)、並んで、事例も提示しながら、解説されている。

1冊読めば、コンピテンシーは間違いなくあがるだろう。

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「理系ビジネスマン」になろう!

488759360009lzzzzzzz 泉通博「理系ビジネスマンが書いた ― 人生をプロジェクトマネジメントしよう!」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2005)

お奨め度:★★★1/2

著者の泉さんは電子機器メーカーでPMの仕事をされている方である。その泉さんが、よい仕事ができれば幸せな人生を送れるという前提で書かれた広い意味でのキャリア本。

タイトルの人生のプロジェクトマネジメントというのはちょっとしたお遊びだが、実は、この本の特徴をより現している言葉は「理系ビジネスマン」という言葉。技術者でも、エンジニアでも、理系サラリーマンでもなく、「理系ビジネスマン」。「理系ビジネスマン」とは何かという定義をした本でもある。

内容は、エンジニアらしく、論理的に構成されており

「思考の基本鉄則」⇒「行動の基本鉄則」⇒「実生活の応用鉄則」

という順序で考えていけるようになっている。書かれていることにも説得力があるし、納得できる。何よりも、著者の真摯な面がひしひしと伝わってくる。日本の強みを作っている現場を垣間見るような本である。

僕もエンジニアというのはこういう人生を送ってほしいなと思うし、エンジニアの方にはぜひ手にとって読んでみてほしい本である。

実際に、僕のクライアントにはメーカが多い。現場でエンジニアリングを担当している人には泉さんのようなタイプの人が多い。僕も技術者だった時分にはこういう考え方をしていた。

同時に、メーカの中心になるエンジニアがこのようなキャリア観を持っていることが、青色発行ダイオードの中村修二さんのようなトラブルを起こす企業風土を作っている一面も生み出している。

その辺りで、これからのエンジニアの人には十分なダイバーシティを持ってほしいなと思う。この泉さんの本は、その点のヒントも隠されているように思う。

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2005年10月28日 (金)

ザ・ゴール

447842040809lzzzzzzz エリヤフ・ゴールドラット(三本木亮訳)「ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か」、ダイヤモンド社(2001)

お奨め度:★★★★

A級のビジネス小説。

いまさらという気がしないでもないが、最近、事情があって読み直した。やっぱり、よい本です。

この本、どうしても手法解説本として読んでしまうが、制約論理の枠を超えてものの考え方や、企業とは何かを考えるのに有益な本だと思う。そんな視点でぜひ、一度読んでみたい。

続編も何冊かでている。

447842041609lzzzzzzz

エリヤフ・ゴールドラット(三本木亮訳)「ザ・ゴール2 ― 思考プロセス」、ダイヤモンド社(2002)

こちらは、制約論理の思考プロセスについて書いた本。を自分で体験したかのように理解できる」というウリ。「変化を起こし、実行に移すための手法」。思考プロセスは立体的な問題解決プロセスだが、確かに、これもストーリー形式で書かれているので、知らない間に理解できる。思考プロセスは特に制約論理に限らず、何にでもつかる。

447842044009lzzzzzzz エリヤフ・ゴールドラット(三本木亮訳)「チェンジ・ザ・ルール!」、ダイヤモンド社(2002)

で、第3弾がこれ。ERP開発会社を舞台にして、TOCを成功させる秘訣を書いている。タイトルの通り、ルールを変えてしまうことが必要という話。これは、システムを変える必要はないことを意味している。仕組みより運用ということだ。小説としてはこれが一番面白い。

447842045909lzzzzzzz エリヤフ・ゴールドラット(三本木亮訳)「クリティカルチェーン―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?」、ダイヤモンド社(2003)

で、最後がこれ。クリティカルチェーンプロジェクトマネジメントについて書いた本。4冊の中で、この本が一番価値があるのではないかと思う。納期直前まで作業を始めない「学生症候群」、結局は無駄になる「セーフティー(時間的余裕)」など、通常のプロジェクトマネジメントの問題を洗い出し、その問題への対処を述べている。

思想的には、ムダの排除だが、PMBOKを持ってきても、何を持ってきても適用できる考え方であるところがミソ。

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2005年10月22日 (土)

氷山の水面下に潜む動機

82011816 デイビッド・マクレランド(梅津祐良、薗部明史、横山哲夫)「モチベーション―「達成・パワー・親和・回避」動機の理論と実際」」、生産性出版(2005)

コンピテンシーの概念の発明者であるデビッド・マクレランドによるモチベーション論の名著。

このマクレランドはコンピテンシーを理解する上での基本として「人間の能力は氷山のようなものである」という考えをとっている。水面上に見ることのできる氷山は、全体のごく一部であり、水面下の、目に見えない部分が、実は圧倒的に大きいというイメージである。

人間の「能力」も、実は水面下の見えない部分が支配的な影響力を持っていて、水面から上の部分は知識・技術・スキルといったもので、後から身につけることができ、またテストで簡単に測定できる。ところが、水面から下の部分は、よりその人の人間性に近い要素であって、外からは捉えにくい。また、水面から下の部分についても、より下に潜んでいる部分、たとえば基本的動機といったものほど重要であるという考えである。

このような能力観でのモチベーションについて論じた本である。

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2005年10月19日 (水)

プロ・サラリーマン

488474723201lzzzzzzz 高橋忠之「プロ・サラリーマン―組織の中で人生目標を達成するための13か条」、致知出版社(2005)

お奨め度:★★★★

いろいろなプロフェッショナル論を読んできたが、組織の中に所属してプロフェッショナルを目指す論としては、傑出した本だと思う。

まず、著者の高橋 忠之氏について抜粋。


志摩観光ホテル元総支配人・総料理長。昭和16年三重県生まれ。32年中学校卒業後、志摩観光ホテルに料理人見習として入社。46年29歳で料理長となり、従来の洋食メニューを一掃、独自の料理を交えて本格的フランス料理をメニューに据える。伊勢志摩の海の幸だけを基本素材とする料理哲学と味に対する芸術家的姿勢により名声が高まる。のちに総料理長、総支配人に就任。平成13年退任。

というキャリアの方である。このキャリアが半端ではない。ホテル業界は縦割りの社会で、料理人のキャリアから、総支配人というジェネラルマネージャーに昇進するのは、異例のことらしい。製造業でいえば、工員で入社して、社長になったようなもの。

この本を読んで、縦に突き抜ける人事制度か、従来型の人事制度かという議論が空虚に思えた。 どっちでもよく、組織が必要とする人であれば、組織に影響を与えることができるのだろう。

ここで高橋氏が提唱しているプロ・サラリーマンとは、

 スペシャリストの領域を持ちながら、同時に全体がわかるゼネラリスト

のこと。プロジェクトマネージャーはこうありたいものだ。タイトルになっている組織の中で人生目標を達成するための13か条(実践心得)とは

 その1  リーダーには絶対服従 

 その2  仕事は雑用と思え        

 その3  伸びない三要素は「バカ・ケチ・キタナイ」 

 その4  大仕事でひと皮むける

 その5  心のうちを未来指向型ストレスで満たす   

 その6  一日の設計図をつくる

 その7  本代をケチらない

 その8  波風を立てるのは新人の役目

 その9  ライバルは要らない

 その10  組織内の「いじめ」はいじめられる方に問題あり

 その11  部長の席は「なりたい」人ほど遠のく

 その12  会社のベクトルとずれた時-それまでの実績があなたを助ける

 その13  姿勢に生きざまが出る

である。

この本の中でとてもいいなあと思ったのは、むしろ、この13か条よりも、覚悟

 ・「のめりこむ」覚悟

 ・「むなしさ」に耐える覚悟

 ・創造力とは「捨てる」覚悟

 ・「変わり続ける」覚悟

 ・「超一流」をめざす覚悟

 ・「美しさ」を求める覚悟

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2005年10月13日 (木)

次世代リーダーの育成

490324104109lzzzzzzz 亀井敏郎「「経営職」を育成する技術」、ファーストプレス(2005)

お奨め度:★★★1/2

タイトルに惹かれて読んだ。

期待とは外れたが、組織論としては結構よく書けていると思う。分かりやすいし、理論的にもしっかりしている。

簡単にいえば、経営職育成プロジェクトと変革実践プロジェクトを通じて、「徹底して考え抜いた戦略を社内で実現していくプロセス体験」をさせ、経営職を育てるという話である。

ただ、具体的にどのようにするのかというところにまで言及されていないので、タイトルのように「技術」について論じているわけではない。

リーダー育成の具体的な方法論であれば、やはり、ハイフライヤーがよい。

https://mat.lekumo.biz/books/2005/06/post_da08.html

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ビジネスサプリ

477940022801lzzzzzzz ギル・バート「ビジネスサプリ」、ライブドアパブリッシング(2005)

お奨め度:★★★1/2

「ビジネス成功者から抽出した、一飲みできるサプリが52錠」

ベストプラクティスの抽出にこんな方法があるんだなと思った。いいかもしれない。サプリメントのように、仕事の合間にちょっと飲むとかするのが効果ありそう。

<効能・効果>

仕事効率、目標達成、営業能力、企画力、判断力、分析力、起業力、ビジネスセンス、負けん気、プロ意識、新規開拓力、プレゼン能力、時間有効活用、モチベーション上昇、部署内の士気高揚、その他ビジネスにおける辛さ、困難などの諸症状

だそうです。

<サンプル錠>

挨拶という基本があってこそ、いろんなサービスが生まれる。

アイディア企業ほど、基本を大事にする!!

(MKタクシー 青木定雄氏より抽出したサプリ)

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2005年10月 9日 (日)

時間へのスタンスを持とう!

447837504601 DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部「いかに「時間」を戦略的に使うか」、ダイヤモンド社(2005)

お奨め度:★★★★

ビジネスにおける時間の使い方は効率性ばかり言われるが、例えば、ドラッカーは、「プロフェッショナル条件」の中で戦略性の重要性について説いている。

現実を考えた場合、会社(ビジネス)のレベルでも、個人のレベルでも、効率的であることは重要だが、効率だけでは問題は解決しない。戦略性を持ち、限られた時間の使い方によって成果を大きくしていく努力をする必要がある。特に、プロジェクトのように有期性を前提にしている仕事では、この発想は大切である。

しかし、意外とこれは難しい。時間は無限の資源のような錯覚に陥ってしまうからだ。

もうひとつ、時間に関する問題で重要な問題は、創造性との兼ね合いである。時間の制約は創造性を損ねるのか、それとも、増幅するのか?明確な答えはないが、まったくの無関係ではなさそうである。

この本では、このような時間に関する問題を集めている。ハーバードビジネスレビューであるので、読んですぐに役立つというのはあまり期待しないほうがよいが、プロフェッショナルとして、自分なりに時間に対する「スタンス」を明確に持つためには非常に役に立つ論文が7編掲載されている。

お奨め!

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トリプルAのリーダーシップ論

B000bkf3zg01 Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー)2005年11月号

特集 トリプルAのリーダーシップ論

詳細目次はこちら(アマゾンではありません。ダイヤモンド社のサイトですので、ご注意ください)。

好川が参考になった記事ベスト3

(1)ラム・チャラン「CEOの「発掘・育成・選抜」のプロセス」

CEOの発掘・育成・選抜のプロセスは体系的なものではなく、概して場当たり的である。GEやP&G、J&J、コルゲートなど、好業績を持続している企業には、優れた後継者育成プログラムがある。この重要課題こそ、ベスト・プラクティスに学ぶべきだ。

(2)マーカス・バッキンガム「エクセレント・マネジャーの資質」

凡庸なマネジャーとエクセレント・マネジャーを分ける資質について、8万人に及ぶデータとインタビューから分析すると、「人々の個性を尊重する」能力に優れていることが判明した。このような能力を構成するスキルについて議論している。

(3)ハーミニア・イバーラ、ケント・ラインバック「キャリア転換を成功させるコミュニケーション術」

だれもがキャリアの転機に不安を感じるものだ。「ストーリー・テリング」の技術を使って、キャリアの転換期の不安を解放する方法を論じている。実在のケースをひもときながら、説得あふれる自分史づくりのコツを紹介している。

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