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2005年11月

2005年11月28日 (月)

プロジェクトマネジメントにおけるコーチング

488373218509lzzzzzzz 大浦勇三「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」、ソフトリサーチセンター(2005)

お奨め度:★★★1/2

コーチングは、プロジェクトマネージャーのためのヒューマンマネジメントスキルの中で最も重要なものである。コーチングに関する本は多いが、プロジェクトマネージャーに焦点を当ててコーチングスキルをまとめた本はなかった。

個々の内容を読むと、少し、コーチングやファシリテーション、メンタリングの本をかじった経験のある人なら、どこかで読んだという感じだと思うが、プロジェクトマネージャーとしての適用方法、適用場面などに言及している点において意味のある本である。

まとめ方もよく工夫されており、自分の中で、自分のやっていること、やっていないことの整理をしながら、読み進めていくことができる。

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2005年11月26日 (土)

IT分野のPMBOK3版解説本

PMBOK第3版の日本語版が出版されて1年足らずだが、第3版対応のPMBOK解説書が目立ってきた。さすがに、内容はともかく、PMBOK解説という雰囲気の本はなくなり、応用について多少なりとも、言及されるようになってきた。

応用分野は、圧倒的にITが多い。何冊か、取り上げてみよう。

4883732193 佐藤義男「PMBOKによるITプロジェクトマネジメント実践法―PMBOKガイド第3版対応」、ソフトリサーチセンター(2005)

まずは、定番本。JPMF(PMAJ)の副会長の佐藤義男さんの書かれた本。この本については、改めて触れるまでもないが、PMBOKのITへの適用という点ではもっとも実用的である。

本の出来た背景に、JPMFの研究会での1年に渡る議論があったということなので、納得できる。この後、PMBOKのIT応用の本は何冊も出ているが、その地位は揺るがない。

僕も自習書でよく使って貰っているが、もう少し、詳しく書いてほしいという要望をよく聞く。この辺は、ビジネス的な配慮があるようである。実際のところ、この本の4章以降を読むには、相当なITのスキルが必要である。アマゾンなどで、この本の酷評を見かけるが、一つは詳細度の問題があるが、もう一つは、ITのスキルの低い人には価値のわかりにくい本だという面があると思われる。

4274066150 次は、新しく出た本で、

広兼修「プロジェクトマネジメント標準PMBOK入門」、オーム社(2005)

最近出版されたITプロジェクトマネジメントの本の中では、最もよい本ではないかと思う。非常によくまとまっており、ITのスキルレベルが低い人でも読めるような内容になっているし、もちろん、ITのスキルが高い人が呼んでもPMBOKに関するいろいろな知識習得ができる。佐藤さんの本がPMBOKの概要+ITへの応用という構成なのに対して、全体をITにフォーカスした解説にしてあるので、その分、少なくともIT分野の人にはPMBOKのイメージがわきやすい。

ぜひ、IT以外の分野の方で、PMBOKに興味がある人も手にとってみてほしい。

479810984301lzzzzzzz つぎはこの本。

久手堅憲之「ITエンジニアのための PMBOK 2004 がわかる本」、翔泳社(2005)

日本でもやっとこの手の本が出たかと思う、PMBOKのダイジェスト本。もちろん、今までも佐藤さんの本を初めとして、PMBOKの解説をしている本は多いが、重要だと思う部分だけを紹介するという趣のものが多かった。もちろん、それはそれで重要なのだが、PMBOKガイドがだんだん重くなる中で、情報を探しにくくなってきたし、何よりも持ち歩くのが大変(笑)になってきていたので、こんな本があればと思っていた本。

非常にフェアにダイジェスト化されている。著者はPMI翻訳監修委員会のコアメンバーの一人だったとのことで、PMBOKに対する高い見識が伺われる。

1冊手元にあると便利だが、ただし、高い!!

この本で3千円(正確には2940円)はないだろうという感じ。佐藤さんの本が2100円、広兼さんの本が2310円。この本で3千円出すなら、PMBOKガイドを買うわって感じなので、あくまでも、サブガイドみたいな位置づけどまり。PMBOKなので高くなる理由はわかるが、出版社(翔泳社)にはもう少し、頑張ってほしいなあ。。。

2005年11月21日 (月)

マスコミは三流から脱却できるか

B000bt7wl009lzzzzzzz COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) という雑誌が創刊された。外国人記者が、日本で話題になっているトピックスなどについて書いた記事からなる雑誌。

「日々起こる世界中のニュースを、海外の現地メディアはどう報じているのか」とコンセプトに創刊された雑誌。フランスの週刊誌『クーリエ・アンテルナショナル』と提携し、全世界1000メディア以上の有力メディアから記事を厳選し、日本の既存メディアが伝えない情報を月2回届けようという雑誌だ。

かつて、経済一流、政治は二流、マスコミは三流という言葉があった。今は、経済も政治も1.5流くらいではないかと思うが、マスコミはあまり変わらないように思う。NHK記者の放火、相次ぐ捏造記事があっても、そんなに驚かない。ただ、こういう雑誌を創刊したことは少し、状況が変わってきたのかなと思わないでもない。

実際にいろいろな国のニュースを読むといっても、英語圏だけで、フランスやドイツは手がでなかったので、非常にありがたい雑誌である。

2005年11月19日 (土)

トヨタウェイの実践

482224477609lzzzzzzz ジェフリー・K・ライカー(稲垣公夫訳)「ザ・トヨタウェイ 実践編 (上)」、日経BP社(2005)

ジェフリー・K・ライカー(稲垣公夫訳)「ザ・トヨタウェイ 実践編 (下) 」、日経BP社(2005)

お奨め度:★★★★

ジェフリー・K・ライカー教授の「ザ・トヨタウェイ」の実践編。トヨタウェイを実践するために必要なツール、手法、ノウハウについて詳細に解説されている。特に、暗黙知の部分が分析的に解説されており、大変、参考になる本である。

482224415609lzzzzzzzザ・トヨタウェイ」では、アメリカの製造業に「リーン生産方式」として多大な影響を与えたトヨタ生産方式をその事業哲学にまで遡って分析したしている。

この本ではトヨタ方式を導入しようとする場合にどのような問題が発生するかを、さまざまな視点から解説している。実際のところ、トヨタ生産方式を導入することは難しい。カンバンなどの表面的なプロセスを見ても、うまく行かないからだ。

その部分について言及している本は少なくないが、本書ほど、体系的かつ、実践的にその部分に切り込んでいる本はない。この1冊で、トヨタ生産方式が導入できるかどうかは微妙であるが、逆に、これ以上の情報は書籍の形では提供できないだろうと思われる1冊であることは間違いないだろう。

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2005年11月14日 (月)

6人で9人分の仕事をする

4569616232 インタービジョン総合研究所, 小林 惠智「プロジェクトリーダーのための入門チームマネジメント―6人で9人分の仕事をする組織最適化の法則」、PHP研究所(2001)

お奨め度:★★★★

FFS(Five Factors & Stress)理論をベースにしたチームマネジメントの入門書。

FFS理論とは組織人事心理学者の小林惠智先生が提唱された理論体系である。1979年から米国国防機関の依頼で人事関連費用(人件費・教育訓練費等)を押さえつつ、労働強化なしに組織生産性を上げる事を目的として開発された理論。

その際の成果として検証されたデータでは、無作為で集めたチームは、10名集めても約6名分のアウトプットしか達成されなかったが、FFS理論で設計したチームでは、同質型人材を集めた場合は6名集めた時に約9名分、異質な人材で補完関係が成立するチームを集めた場合は8名で12名分のアウトプットを達成したという有名なデータがあり、これがFFS理論を有名にした。

この本は、一般的なチームマネジメントの問題、それにFFS理論が如何なる答えを与えるかをわかりやすく解説している。FFS理論はツールがASP提供されており、気軽に使えることも魅力である。

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2005年11月 9日 (水)

技術経営の定番

4820118064_1 藤末健三「技術経営論」、生産性出版(2005)

お奨め度:★★★★

最近ではMOTの本は山ほどある。古くから技術経営の定番だったのは山之内昭夫先生の「新・技術経営論」(日本経済新聞社)だが、1992年の本で、その後、クリステンセンの破壊的イノベーション概念の登場があったり、あるいは、ITに代表されるような昔は見られなかった性格の技術の台頭があったりで、少し、古くなってきた感がある。

技術経営の本の多くはあまりバランスがよくない。その中で、比較的バランスがいいと思っていたのが、著者の前著である「技術経営入門」である。この本そのものは入門書であ482224387709lzzzzzzzり、突っ込み方が浅く、定番というにはちょっとという感じで、次の本格解説本が待たれた。その後、東京大学で教鞭をとられていた著者は、民主党より参議院議員となられたので、諦めていたら、なんと、いきなり、出てきたのが本書。

技術経営の課題が、ほぼ、網羅されており、技術に関わる仕事をしている人はぜひ、読んでおきたい1冊である。

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2005年11月 3日 (木)

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!マインドマップ

447876099309lzzzzzzz トニー・ブザン(神田昌典訳)「ザ・マインドマップ」、ダイヤモンド社(2005)

お奨め度:★★★★1/2

最近、注目されているマインドマップだが、提唱者のトニー・プザンの原典がついに翻訳出版される。訳が、神田昌典氏というのも心憎い。最後に神田氏による解説もある。

この本はマインドマップというツールの唯一の公式書であり、出版ライセンスだけではなく、マインドマップのディストリビューターライセンスのようなものが必要らしく、それを今回、ダイヤモンド社が取得し、書籍の出版にこぎつけたらしい。

日本では、トニー・ブザンの本としては、放射思考によるノート術というのが最初だと思う。例のドラゴン桜で話題になった方法を紹介した本である。

487771052309lzzzzzzz トニー・ブザン(田中孝顕訳)「人生に奇跡を起こすノート術―マインド・マップ放射思考」、きこ書房(2000)

この本はアマゾンでは極めて評判がよい。

ところがこの後、ブザンのコミュニケーションの本が出ている。

487771135x01lzzzzzzz トニー・ブザン(田中孝顕訳)「コミュニケーションに奇跡を起こす マインドマップ活用術」、きこ書房(2005)

なのだが、この本はあまり、評判がよくない。書かれていることはともかくとして、書いてあることとマインドマップとの関係が分からないという意見が多い。

しかし、今回、出版された、原典を読めば、この本で言っていることもちゃんとマインドマップの思想を組んでいることが分かる。

マインドマップはツールだと思っている人が多い。もちろん、ツールなのだが、どのような思想で設計されたツールなのかを知るには、この原典を読むのが一番である。

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