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2005年9月

2005年9月25日 (日)

アーロンチェアに座る人材

479810149409lzzzzzzz エド・マイケルズ、 ヘレン・ハンドフィールド=ジョーンズ、ベス・アクセルロッド(マッキンゼー・アンド・カンパニー、渡会圭子訳)「ウォー・フォー・タレント ― 人材育成競争」、翔泳社(2002)

お奨め度:★★★1/2

マッキンゼーの「ウォー・フォー・タレント」というキャンペーンの主張と、その背景になる調査をまとめた本。

表紙に注目してほしい。ハーマンミラーのワークチェア「アーロンチェア」である。要するに、この椅子に座れるリーダーをどれだけ作れるかが競争力な問題だと問いかけているが。この本で調査した結果わかったベストプラクティスには、

 「トップなどの意識や行動」

 「人材の引きつけ」

 「リクルーティング」

 「組織的アプローチ」

 「能力評価プロセスの確立」

 「実践への指南」

があるとしている。この本(調査)の主張として非常に興味深いのは、単に人材育成担当者が一生懸命やっているだけではだめで、トップコミットメントが必要だと説いている点。つまり、一番目の「トップなどの意識や行動」が必要だとしている点。

これらは、世界最大のリーダーシップ育成の機関、CCL(Center for Creative Leadership)の主張とも合致しているので、おそらく本質を突いているのだろう。ちなみに、CCLの主張は、「ハイフライヤー」に詳しく紹介されている。

なかなか、興味深い1冊である。

2005年9月20日 (火)

あなたはプロジェクトリーダーになれるか?

489684144109 梅森浩一「成果主義時代のリーダーになれる人なれない人」、IBCパブリッシング(2005)

お奨め度:★★★★

梅森浩一さんの本は何冊か読んだが、結構、刺さる本が多い。その中でもこの本はいい本だ。

梅森さんがこの本で言おうとしているのは

より少ない人数でより多くの仕事をこなすリーダーシップとはどんなものか

ということである。

第1章が梅森さんの真骨頂かもしれない。「リーダーシップの値段」。成果主義であれば、リーダーシップも値段がつく。階層型組織の末端までリーダーシップがあるかどうかによって、その企業の業績は大きな差がつく。では、リーダーシップは株価の何%の影響を持っているのか?答えは本を読んで戴くとして、この章がこの本では一番面白い。

2章以降は、そのようなリーダーシップの分析と構築方法。一応、第1章で述べたことに対して、向き/不向き、および、リーダーシップ行動がロジカルに述べられている。

議論そのものは、一般的な企業を対象にしているが、この本、実はプロジェクトリーダーにぴったりとはまっている。

プロジェクトリーダーの手前にいる人、ぜひ、読んでみよう。

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リーダーシップに「心理学」を生かす

447836085509 DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部「リーダーシップに「心理学」を生かす」、ダイヤモンド社(2005)

お奨め度:★★★★1/2

この本、お奨め!

本では読めないような論文がずらっと並んでいる。論文といってもそんなに読みにくくはない。素人の僕にはよく分からないが、背景にいろいろな心理学の理論があるのだと思うが、少なくとも表に出てきている内容は、「ほ~」という感じのことばかりで、引き込まれるように読めるものが大半だ。

特に、お奨めは2点。

マイケル・マコビーの「転移の力:フォロワーシップの心理学」。フォロワーシップの特性を転移という現象から議論している。

もうひとつは、エドガー・シャインの「学習の心理学」。学習とリーダーシップ、組織文化の関係を議論している。強制的な説得の怖さを指摘した上で、学習にも組織文化の構築にも強制的説得が必要なことを主張している。

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イノベーションのジレンマ、いよいよ完結

427000071601クレイトン・クリステンセン、スコット・アンソニー、エリック・ロス(宮本 喜一訳)「明日は誰のも のか イノベーションの最終解」、ランダムハウス講談社(2005)

お奨め度:★★★★

イノベーションのジレンマ」の完結編。

前作のイノベーションへの解では、あまり、インパクトのある破壊的イノベーションのソリューションを提示できなかったように感じたが、あれから2年が経過し、相当しっかりした理論になったというのが第一印象。

単にプラクティスではなく、具体的なプロセスの構築などについても言及しており、「イノベーションのジレンマ」を打ち破る方法としてやっと具現性を持ってきた。特に、非マーケット要因の分析の部分はすばらしいと思う。

今回から、出版社が変わっており、Harvard business school pressの本として、ランダムハウス講談社が翻訳を手がけた。この翻訳は前作2冊の翻訳より、翻訳として堅いように思う。僕には若干読みづらかったが、エンジニアなどが読むにはよいのかもしれない。訳者の宮本さんは、同じ出版社から出版された「トム・ピーターズのマニフェスト」や「ジャック・ウェルチ わが経営」(日経ビジネス人文庫)の翻訳をしていらっしゃる方であるが、こちらと較べると、おそらく、出版社の方針だろう。

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踊る大捜査線に学ぶ組織論

476126277x01lzzzzzzz金井寿宏、 田柳恵美子「踊る大捜査線に学ぶ組織論入門」、かんき出版(2005)

お奨め度:★★★1/2

金井寿宏先生の著書は経営学の中ではよく売れるらしいが、金井先生の著書(共著)の中でおそらく圧倒的に売れたのは、「働くひとのためのキャリア・デザイン」や「リーダーシップ入門といった人気書ではなく、おそらく、これ。

59402550ウルトラマン研究序説

21日の若手研究者がまじめに分析した本というキャッチで、40万部超えの大ヒット。ブーム的なものを巻き起こした。その後、文庫本化され、結構、売れているらしい。ウルトラマンファンからはいろいろな批判がでた本だが、売れればゆえだろう。

さて、今回の踊る大捜査線はこの本の共著者の中のお二人の共著である。研究(考察)成果を書いた本というよりは、教育目的で書かれた本のようなテーストなので、ウルトラマン研究序説のようなインパクトはないが、組織論の勉強にはもってこいだ。ただし、結構、金井流がふんだんに盛り込まれているので、ただの組織論ではない。金井先生のファンの方にはお奨めの1冊。もちろん、踊る大捜査線のファンの方には応えられない1冊だろう。

それにしても、このタイトル、一瞬、間違いかと思ってしまった(笑)。このタイトルなら、普通、入門はつかないでしょう。インターネット検索をしたタイトルなんだろうか。。。内容もオーソドックスな入門ではないですね。

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さて、この本を読んで映画をみて、組織論をイメージ的に理解するのもよいだろう。おりしも、こんなDVDが発売される。

踊る大捜査線 コンプリートDVD-BOX

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2005年9月18日 (日)

実践を重視したコミュニティとは

479810343809 エティエンヌ・ウェンガー、リチャード・マクダーモット、ウィリアム・スナイダ(櫻井祐子訳)「コミュニティ・オブ・プラクティス―ナレッジ社会の新たな知識形態の実践」、翔泳社(2002)

お奨め度:★★★1/2

戦略や計画を作っても実行できない。この問題に対する議論はさまざまな視点から行われているが、コミュニティ・オブ・プラクティスはその中で、学習と言う視点からの見識を与えるものである。

この本で提唱されているコミュニティ・オブ・プラクティスとは、ある分野における知識の習得や研さん、あるいは知識を生み出すといった活動のために、持続的な相互交流を行っている人々のコミュニティを指している。そして、仕立て屋を例に挙げて、伝統的な徒弟制度における学習の多くは、職人や上級徒弟の間の相互交流で行われていると分析し、「学習はコミュニティ・オブ・プラクティスへの参加の過程である」と結論づけた上で、コミュニティ・オブ・プラクティスの重要性を説いている。

ここで学習といっている内容がポイントで、学習とは技能や知識の習得ではなく、コミュニティ・オブ・プラクティスに参加することによって生まれる役割やプロセスの変化であり、ゆえにこれが実践コミュニティとして機能するというロジックになっている。

コミュニティ・オブ・プラクティスという考え方は、実行という点において非常に意味のあるものであり、多くの企業やプロジェクトが抱えている悩みを解決するポテンシャルを持つものである。

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リーダーシップ魂

427000084809 トム・ピーターズ(宮本善一訳)「トム・ピーターズのマニフェスト(2) リーダーシップ魂」(トム・ピーターズのマニフェスト 2)、ランダムハウス講談社(2005)デザイン魂

お奨め度:★★★★1/2

待望のトム・ピータースの新作。相変わらずというか、やっぱり、いい!読むと心が洗われる思いだ。

以下の対立軸を見てほしい。一つでも、右側に共感できれば、ぜひ、読んでほしい!それを実現させるための具体的なアイディアが満載である!

部下を変える vs 部下を燃えさせる

指令と統制 vs 環境づくり

計画、計画、計画 vs 実践、実践、実践

きれいごと vs 矛盾だらけ

大もうけする vs 足跡をのこす

自分のイメージこそ大切 vs 自分の想像力の活用が大切

手出しする vs 部下に任せる

トップダウン vs 草の根式

仕事を指示する vs ストーリーを語る

同時発売で、同じシリーズでもう一冊ある。こちらもいいぞ!

427000083x09 トム・ピーターズ(宮本善一訳)「トム・ピーターズのマニフェスト(1) デザイン魂」(トム・ピーターズのマニフェスト 2)、ランダムハウス講談社(2005)

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プロジェクトマネジメント導入ってどうするの?

479810986x01 浦 正樹「失敗する前に読む プロジェクトマネジメント導入法」、翔泳社(2005)

お奨め度:★★★

プロジェクトマネジメントマガジンで連載されている記事の書籍化。

プロジェクトマネジメントの導入の問題指摘は、よく分析されているし、呼んでいて納得性が高い。その意味で、これからプロジェクトマネジメントの導入を考えている組織の人は一読に値する。

しかし、それに対する方法は、それだけでは片付かないだろういうものが目立つ。もっとも、一発でこれという方法はない分野なので、とりあえず、この本に書かれているようなアプローチをして、そこから、うまく問題解決をしながら定着させていくという切り口としてはよい。

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2005年9月13日 (火)

支援型リーダーシップを身につける

486063119609 堀公俊「ファシリテーション型リーダーシップが身につくスキル―自律型の人と組織が成果をつくる」、あさ出版(2005)

お奨め度:★★★★

プロジェクトマネジメントで必要になるのは、ファシリテーション型のリーダーシップである。これはプロジェクトにおけるメンバーとプロジェクトマネージャーの関係に起因する。つまり、プロジェクトにおいてメンバーはその道のプロフェッショナルであり、そのスキルでマネージャーを超越した存在であることが多い。そのため、マネージャーはメンバーに対して指示をするという形でプロジェクトを動かすことができず、ファシリテーションによって、チームを動かしていくしか方法がないのだ。

078797070001日本でファシリテーションが注目されだしたきっかけになったのは、フラン・リースの「The Facilitator Excellence Handbook」の翻訳が出版されたことだと思う。この本は、ファシリテーションの分野ではバイブル的は本の1冊である。

この本はファシリテーションの技術が書かれていると同時に、ファシリテーションの位置づけが綿密に書かれており、その重要性を日本に定着させた本である。ファシリテーションというと、会議術のようなイメージが定着してきたが、この本ではもう少し、広い視点から、リーダーシップのあり方としての重要性が説かれている。

翻訳書は

483341741309 フラン・リース(黒田由貴子訳)「ファシリテーター型リーダーの時代」、プレジデント社(2002)

であり、しっかりと翻訳されたよい本である。

それから、1年ほどして、日本ファシリテーション協会という組織ができた。その会長が堀公俊さんである。堀公俊さんは、ファシリテーションの普及のために数多くの著作をされているが、僕はこの本が一番よい本ではないかと思う。

ファシリテーションに興味のある人も、ない人も、ぜひ、一度、お読みいただきたい。

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贅肉を取ろう!

482224317609 ジェームズ・ウォーマック、ダニエル・ジョーンズ(稲垣公夫訳)「リーン・シンキング」、日経BP社(2003)

お奨め度:★★★1/2

アジャイルは、製造業では「リーン」と呼ばれることが多い。ムダがないという意味である。製造業でエンジニアリングに取り組む人がアジャイルの思想を知るには、この本が一番よいと思う。

この本で説かれていることは、アジャイルの基本になっている以下のプロセスである。

まず、最初のステップで、基本に立ち返り、顧客が何に本当の価値を見出しているかを問う。

次のステップで、具体的な製品について価値を生み出す活動を行う一方で、価値を生まない活動を排除する。

次に、デザインや製品が顧客からのプルによって、スムーズかつ急速に広がる流れを作り出す。

そして最後に流れとプルが実行されると、完成度を高めるための改良のサイクルを加速させる。

これをさまざまな事例を見ながら、解説している。

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