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2005年10月

2005年10月 2日 (日)

行動の原因を外部環境に求める

408720307701 杉山尚子「行動分析学入門―ヒトの行動の思いがけない理由」、集英社新書(2005)

お奨め度:★★★★

著者の杉山さんは、数年前に、同じ書名の専門書を出版している。

杉山尚子他「行動分析学入門」、産業図書(1998)

この本はすばらしい本なのだが、ちょっと難しいのと、高価なので、あまり人に紹介しなかった。ずっと、この本の新書がでないかなと思っていたが、8年経って、やっと出版された。これも「行動」への関心が高まっていることの証だろう。

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部下が何か失敗をしたときに、「あいつはやる気がない」ということを言ってみても、評価にはなるが、問題の解決にはならない。心理的な問題に関しては、この種の評価をするだけで終わっていくケースが多い。

しかし、これは本来、その人のもつ可能性の芽を摘んでいることになるかもしれないし、プロジェクトのような有期的な業務環境ではそのような評価を100回するより、その人をちょっとでもよいから変える方がはるかに意味がある。

そこで、注目されるのが「行動分析学」という手法である。この概念は、「行動随伴性」という概念によって、行動の原因を人間の内面(気持ち)ではなく、外的環境に求めようというものである。詳しい話は、こちらを参考にしてほしい。

プロジェクトマネージャーの方には、ぜひ、読んでほしい。また、マネジメントのツールではなく、セルフマネジメントのツールとしても使える。特に、習慣づけにおいては、この行動随伴性というのは重要な役割を果たしている。このあたりに興味を持つ方もぜひ、読んでいただきたい1冊である。

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多様性をいかす組織

31597178_4 谷口真美「ダイバシティ・マネジメント―多様性をいかす組織」、白桃書房(2005)

お奨め度:★★★1/2

たぶん、日本で始めてダイバシティーマネジメントだけについて書いた本。学術書なので内容は硬いが、サーベイが多く、また、事例研究が豊富なので、ビジネスマンにも十分に役立つ本。

谷口先生は専門の一つがジェンダーダイバシティということもあり、ジェンダー・ダイバシティに1章が割かれているが、全体的には、人種、民族、文化などによるダイバシティの話題の方が多くなっている。

2章ではサーベイが中心だが、ダイバシティがどのようにさまざまな企業のパフォーマンス指標にどのような影響を与えるかが議論されている。もし、プロジェクトの中に異なる国の人や異性がいれば、考えさせられるデータが満載という感じ。

4章もサーベイが中心だが、ダイバシティーをパフォーマンス向上に活かすことのできる組織の作り方が議論されている。プロジェクトのチームビルディングの際にも役立つ内容。

5章は、製造業1社、イオン、マツダの3社の事例が、非常に詳しく書かれている。読み応えがある。

学術書のためか、高いし、ビジネス書と較べると読みにくいので、誰もに読んで欲しいとは言いにくいが、ダイバシティについて感心を持つ人であれば、読む価値ありの1冊。

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