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2005年8月

2005年8月 8日 (月)

エラーを起こす人間的側面

4817191511ジェームズ・リーズン、アラン・ホッブズ(高野 研一、佐相 邦英,、弘津 祐子,、上野 彰)「保守事故―ヒューマンエラーの未然防止のマネジメント」、日科技連出版社(2005)

お奨め度:★★★★

保守エラーが引き起こす事故をヒューマンファクターの観点から未然に防ぐエラーマネジメントの原則や手法を解説している。

エンジニアリングの領域の話であるが、
ヒューマンエラーを含めた人的側面に焦点を当て、その管理方針、管理手法、具体的管理ツールについて、考え方、問題解決のプロセスを提供している。

このため、エンジニアリングに限らず、マネジメントでも非常に有益な本である。

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経営を可視化すると何がみえるか

4861301025石橋博史「可視経営―仕事が見えれば会社は変わる」、日経BP社(2005)

お奨め度:★★★1/2

可視化により、企業の組織や業務のどこに問題があり、どこをどう改革すればいいのかが判る。ホワイトカラーに仕事を可視化することにより、企業改革ができることをといている。

中でも、成果主義を導入したがうまく行かない、情報化したがうまく行かないという最近の企業を悩ませている2つの投資課題について、相当、深く、言及している。

ベースには、一環してトヨタ生産方式・IEを元にした業務革新の実践および支援ツール「HIT」の開発・導入があるが、この手法を抜きにしても、参考になる部分が多い本である。

プロジェクトマネジメントでも可視化の重要性は認識があるが、可視化するというのがどういうことかよく理解できていない議論が多い。PMOの人は一読の価値あり。

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経営者の格付け

4794214219有森隆「経営者を格付けする」、草思社(2005)

お奨め度:★★★

とりあえず、よみものとしてとても面白い。

日本を代表する46社の経営者を、「状況判断力」「目標設定力」「後継者育成力」「遂行力」「決断力」の5つの指標で斬っている。

その上で、勝ち組と負け組みを分けるものは何かを考察している。取り上げられている経営者には

張富士夫―トヨタ自動車・副会長
カルロス・ゴーン―日産自動車・社長兼CEO
鈴木修―スズキ・会長兼CEO
中村邦夫―松下電器産業・社長
秋草直之―富士通・会長
出井伸之―ソニー・前会長兼CEO
御手洗冨士夫―キヤノン・社長
永守重信―日本電産・社長
和田紀夫―NTT・社長
後藤卓也―花王・会長

などがいる。

この本の特長はエピソードをふんだんに盛り込んで、考察している点にある。とりあえず、立ち読みコーナーにライブドア堀江社長の章の一部があるので、読んでみてほしい。

堀江貴文(ほりえ・たかふみ)  ライブドア 社長兼CEO

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説得ではなく、納得を!

4532312310久恒啓一「合意術 「深堀り型」問題解決のすすめ」、日本経済新聞社(2005)

お奨め度:★★★★

図解思考法の大家 久恒啓一氏が図解を用いることにより、説得ではなく、「納得型」の合意をすることのノウハウについて書いた野心作。

著者は、合意を問題解決だと捉え、そこに図解が有効であることを主張している。とくに、納得してもらうためには、全体について共通の認識を作り上げる必要があり、そのために、図解を使うことの有効性をといている。

読んでいると納得できる部分は多いが、実践しようとすると、ロジカルシンキングと図解に関する相当なスキルが必要なのではないかと思う。それ自体を書いているわけではないが、とりあえず、本書を読んでみて、納得できれば、ロジカルシンキングや図解の勉強をすればよいだろう。

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2005年8月 7日 (日)

ストレスに負けない

4534039433田中ウルヴェ京、奈良雅弘「ストレスに負けない技術-コーピングで仕事も人生もうまくいく!」、日本実業出版社(2005)

お奨め度:★★★

最近、注目されているストレス対処行動 コービングについてわかりやすく解説した本。

自己診断テストで自分自身のストレスパターンをチェックし、適切かつ効果的なコーピング手法が学べるような工夫がされている。

7つのパターンとは、イライラ型(焦燥型)、ビクビク型(不安型)、ムカムカ型(立腹型)、クヨクヨ型(後悔型)、ヘトヘト型(消耗型)、イジイジ型(内攻型)、ウツウツ型(憂鬱)型の7つで、パターンごとにコービング手法が紹介されている。

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何もしないことに全力をつくす

4569639372河合隼雄、谷川浩司「無為の力―マイナスがプラスに変わる考え方」、PHP研究所(2004)

お奨め度:★★★1/2

リーダーのアクティブ・ノンアクションの解消方法は、ただ、動き回ることではない。動かないことがアクションになることも多い。たとえば、問題に直面してしまったメンバーに対しては動かない方がよい場合がある。このような場合、「何もしないことに全力を尽くす」ことが求められる。

この本は、臨床心理学の第一人者の河合先生と将棋の谷川名人が何もしないことの効果を「無為の力」としてさまざまな視点から議論した大変興味深い本である。特に、創造的な活動をする準備としての何もしないことの重要性をといている。

本書では、

・ものを忘れることで豊かになる
・嫉妬心には可能性がある
・思考をやめたときに名案が浮かぶ
・「ある」だけで十分ではないか
・ものがないほうが想像力は豊かになる

といった視点から議論する。キャリアだけではなく、人生のためにも読んでほしいなと思う1冊だ。 

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世界最強のファシリテーターが書いた本

4532312280ロジャー・シュワーツ(寺村真美、松浦良高訳)「ファシリテーター完全教本 最強のプロが教える理論・技術・実践のすべて」、日本経済新聞社(2005)

お奨め度:★★★★

米国の著名ファシリテータ ロジャー・シュワーツ博士のファシリテーションの教本。実践的であり、かつ、体系的。

ファシリテーションに興味を持つ人、ファシリテーションを実行したい人は必読!

この本が面白いのは、ファシリテーションの進め方の解説。ファシリテーションとか、コーチングなどを試みた経験のある人であればよくわかると思うが、心の声と、実際の行動(会話)のギャップをコントロールすることがひとつのポイント。つまり、どこまで、どのような表現で考えていることを言うかというところ。コミュニケーションの基本でもあるが、この本では、ケースの中で、この二つを比較しながら書いてあるものが結構あって、非常に参考になる。

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2005年8月 2日 (火)

ディープスマート

4270000694 ドロシー・レナード、ウォルター・スワップ(池村千秋訳)「「経験知」を伝える技術 ディープスマートの本質」、ランダムハウス講談社(2005)

お奨め度:★★★★

本書の原書のタイトルであるディープスマート(Deep Smarts)とは、その人の直接の経験に立脚し、暗黙の知識に基づく洞察を生み出し、その人の信念と社会的影響により形作られる強力な専門知識のことを言っている。

本書はディープスマートを如何に計画的に蓄積していくかについて議論した、ナレッジマネジメントの書籍である。

著者は多くの企業の人材開発プログラムには人間の学習方法に関する洞察が欠けていると主張している。目に見える技能や経営知識ばかりを詰め込み、ディープ・スマートを継承する仕組みがなっていないと指摘している。

ディープスマートの蓄積の方法として、システマティックな徒弟制度の有効性を主張している。単に「俺の背中を見て技術を盗め」ではなく、学ぶ者がレセプター(脳内の受動器)を形成しつつ経験させることを促すのである。その方法論が、指導の下での経験、指導の下での観察、指導の下での問題解決、指導の下での実験である。

この発想は、「経験により人を育てる」ことと深く関連している。CCLなどが提唱している経験による学習においても、経験の体系化とシステマティックな指導を中心にしており、その意味で単にナレッジマネジメントの方法論というより、もう少し、深い意味合いのある手法である。

その意味で、注目に値する。

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あなたの企業は個を活かしていますか?

4478372772 スマントラ・ゴシャール、クリストファー・バートレット(グロービスマネジメントインスティテュート訳)「個を活かす企業―自己変革を続ける組織の条件」、ダイヤモンド社(1999)

お奨め度:★★★1/2

戦略論の異才 スマントラ・ゴシャールが書いた組織論の本。

これからの企業のあり方を求め、20社以上の企業を調査し、たどり着いた結論が「個を活かす企業」であった。また、そのような企業を構築するためには、マネジャーの役割を新たに創出しなければならず、そこから会社と個人の新しい関係が生まれてくるというのが本書で主張されていることである。

このための具体的な方策として、ハードウエアである3S(戦略、組織、経営システム)から、ソフトウエアである3P(目的:Perpose、経営プロセス:Process、人:People)に関心を変える必要があることを具体的な例を引きながら主張している。

スマントラ・ゴシャールは2004年に他界したが、グローバル化が進んでいく中で、スマントラ・ゴシャールの主張はおおむねあたっているように思える。すばらしい先見性である。

なお、スマントラ・ゴシャールは、この後、「意志力革命」という本を書いた。これは3Pのプロセスをどのように構築していくかを具体的に議論した本である。併せて、読んでみてほしい。

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組織は戦略に従う

4478340234 アルフレッド・チャンドラーJr.(有賀裕子)「組織は戦略に従う」、ダイヤモンド社(2004)

お奨め度:★★★★

「組織は戦略に従う」という言葉を知らない人はいないだろう。ドラッカーと並ぶ経営学のグル、アフフレッド・チャンドラーの言葉である。本書はその出典となった本である。

GM、デュポン、スタンダード石油、シアーズといった大企業の組織形成過程を調査し、これらの企業が第二次世界大戦後の経済成長の中で多角化戦略を展開していく際に、経営の複雑性と多様性をより合理的に管理するために機能別の組織を捨て、事業部制組織というプラクティスを導入したことを発見し、それをもって、「組織は戦略に従う」という名言を残した。

日本では、40年前に出版され、今回、ダイヤモンド社から復刊された。このような経営学の金字塔ともいえる本が読める状況になったのは喜ばしいことである。

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