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2012年5月11日 (金)

日本組織の抱えるジレンマ

4478016879鈴木 博毅「「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ」、ダイヤモンド社(2012)

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お奨め度:★★★★

facebook記事:なぜ、日本は同じ過ちを繰り返すのか


一応、組織論の名著「失敗の本質」の入門本と謳った本。「失敗の本質」は、MBAで授業で課題図書になっていたので、かなり読み込んだ。実は、この本をさっと読んで、失敗の本質を引っ張り出してきてもう一度、読んでみた。なぜかというと、そんなことを書いてあったかと思わせる箇所が結構あったからだ。

結論としては、そういう箇所はあるが、それはそれとして、指摘されているジレンマ、また、その指摘のために取り上げているビジネスにおける事例は面白く、日本軍の行動と、現在の企業の行動を比較して「変わらない」という発見は貴重なものだと思う。

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2011年1月 2日 (日)

語りの戦略論

4492532706 楠木 建「ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件」、東洋経済新報社(2010)

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お奨め度:★★★★★

戦略は要素ではなく、ストーリーとして語られなくてはならないという考えに基づき書かれた戦略読本。戦略論のテキストに見られる概念的な説明ではなく、また、戦略実践書に見られるフレームワークを中心にした説明やベストプラクティスの羅列でもない。戦略とは何か、よい戦略というのはどのように考えてつくられているかを自分の言葉で淡々と事例をふんだんに使って語っている。新しいタイプの戦略の名書である。非常に巧みな語りで、さしむき、語り部による戦略論といった趣の一冊。500ページというボリュームのある本であるが、ボリュームを感じないのは語りの巧みさだろう。

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2010年3月18日 (木)

自分自身に許可を与える

4484101017 ティナ・シーリグ(高遠裕子訳、三ツ松新解説)「20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義」、 阪急コミュニケーションズ(2010)

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お奨め度:★★★★★

この本は、スタンフォード大学アントレプレナー・センターのエグゼクティブディレクターであるティナ・シーリングが、自身の体験、創造性開発プログラムでの受講者のパフォーマンス、自分でみた企業の事例など、極めて豊富な事例に基づき、自分への許可をどのように与えるかについて体系的に述べたものである。

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2010年1月 2日 (土)

ドラッカー「マネジメント」の本質が理解できる、エンターテイメント

4478012032 岩崎 夏海「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」、ダイヤモンド社(2009)

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お奨め度:★★★★1/2

放送作家から、ビジネスのマネジャーへという異色のキャリアを持つ著者が、ドラッカーの「マネジメント」を高校野球という舞台で実践する様子をエンターテイメントとして書いた一冊。

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2008年2月20日 (水)

ドラッカーを実践する

4478003343 ピーター・ドラッカー (著)、ジョゼフ・マチャレロ(上田惇生訳)「プロフェッショナルの原点」、ダイヤモンド社(2008)

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お薦め度:★★★★★

原題:The Effective Exective in Action

ドラッカーの最大の理解者であり、ドラッカーの教えを30年に渡り、教えてきたジョゼフ・マチャレロ教授がドラッカーの言葉を原題のテーマで、95のアドバイスに再構成した本。

この本を理解するためには、この本で最初の項目に取り上げられているドラッカーの言葉を知っておくとよい。

「経営者の条件」に書かれている言葉で

今日の組織では、自らの知識あるいは地位ゆえに組織の活動や業績に実質的な貢献をなすべき知識労働者は、すべてエグゼクティブである

という一節である。エグゼクティブという言葉は、通常、組織上の役職を示す言葉として使われるが、ドラッカーは上の抜粋の通り、別の意味で使っており、そこにこの本全体を貫くスタンスがある。このような前提で読むべき本である。

さて、本書は成果を上げる人のバイブルとしてまとめられたもので、

(1)時間をマネジメントする
(2)貢献に焦点を合わせる
(3)強みを生かす
(4)重要なことに集中する
(5)効果的な意思決定を行う

という5つの習慣を身につけるために書かれている。ゆえにこれまで、何冊かある、ドラッカー語録のような本とは多少違った趣がある。

それは上の5つについていくつかのポイントが示されている中で

 ・とるべき行動
 ・身につけるべき姿勢

の2つの視点から、コンピテンシーの強化についての記述があり、これを意識することによって習慣化できるようなつくりになっている点だ。これこそ、マチャレロ教授がドラッカー学を教えてきたノウハウだといえよう。

ひとつ例をあげておく。上にのべたようにこの本の第1章の1項目目は

「なされるべきことをなす」

というエグゼクティブであれというアドバイスなのだが、ここでの行動と姿勢は

【とるべき行動】
 自らの組織においてなされるべきことは何か?自らがなすべきことは何か?
【身につけるべき姿勢】
 常になされるべきことから考えることを癖にする。手本となる人はいるか?

といったもの。

ドラッカーの膨大な著作は秀逸なものばかりだが、実践ということでいえば、この一冊に勝る本はないだろう。購入し、擦り切れるまで使いこんでほしい!

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2005年12月 7日 (水)

ドラッカー 365の金言

447830073909lzzzzzzz P.F.ドラッカー(ジョゼフ・マチャレロ編、上田 惇生訳)「ドラッカー 365の金言」ダイヤモンド社(2005)

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お奨め度:★★★★★

The Daily Drucker!

つい最近、逝去したドラッカー先生の言葉から375点を選び出した金言集(ドラッカー逝去:https://mat.lekumo.biz/pm/2005/11/post_911d.html)。

ドラッカー先生の名言集は2003年に一度、出版されている。

P.F.ドラッカー(上田 惇生訳)「仕事の哲学」、ダイヤモンド社(2003)
P.F.ドラッカー(上田 惇生訳)「経営の哲学」、ダイヤモンド社(2003)
P.F.ドラッカー(上田 惇生訳)「変革の哲学」、ダイヤモンド社(2003)
P.F.ドラッカー(上田 惇生訳)「歴史の哲学―そこから未来を見る」、ダイヤモンド社(2003)

これを全部買っているでの、迷ったが、装丁がきれいだし、選ばれている言葉も好きなものが多かったので、結局買った。ドラッカーファンであれば持っておきたい1冊。

365なので、タイトルのごとく、デイリーなのだが、結局、買った日に読んでしまった(笑)。ドラッカーの言葉はメールマガジンを書くときに本当にインスピレーションを与えてくれる。いい本が出た。447833103009lzzzzzzz447833102209lzzzzzzz447833104909lzzzzzzz447833105709lzzzzzzz

2005年7月31日 (日)

テクノロジストの条件

4478300720 ピーター・ドラッカー(上田惇生訳)「テクノロジストの条件    はじめて読むドラッカー (技術編)」、ダイヤモンド社(2005)

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お奨め度:★★★★★

ドラッカーの著作を読んでいると、その端々に、技術に対する非常に深い造詣を感じることがある。ただ、その全体像が見えなかった。

このように著作集として整理されると、改めて、ドラッカーの技術に対する造詣の深さに改めて驚かされるばかりである。

MOTにかかわっている人はもちろんであるが、技術者として、目先の技術を追いかけるだけではなく、高い志をもち、技術による社会貢献に取り組んで行きたいと考えている人に特にお奨めしたい。

また、最近、MOTブームの一方で、飛行機や鉄道などでは、技術軽視によると思われる災害、事故が目につく。また、携帯電話などの電子商品では技術、あるいは技術者の社会的な責任を全うしていない事例が目につく。もう一度、技術者、あるいは技術のスタンスを考え直す時期に来ている。

そのような時期にぜひ読んでみたい1冊である。

また、あわせて、

プロフェッショナルの条件~いかに成果をあげ、成長するか

https://mat.lekumo.biz/books/2005/02/post_4.html

チェンジリーダーの条件~みずから変化をつくりだせ!

https://mat.lekumo.biz/books/2005/06/post_7754.html

イノベーターの条件~社会の絆をいかに創造するか

https://mat.lekumo.biz/books/2005/06/post_234dB0084066JM.html

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2005年6月 1日 (水)

イノベーターの条件

4478300623 ピーター・ドラッカー(上田惇生訳)「 イノベーターの条件―社会の絆をいかに創造するか」、ダイヤモンド社(2000)

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お奨め度:★★★★★

ドラッカーの論文集第3弾で、社会構造の変革について述べた著作を集めている。ひとつひとつの論文を見ると、さすが、ドラッカーという含蓄の深い論文ばかりであり、また、言及している範囲も経済だけではなく、政治、教育など、非常に広範な範囲で言及されており、深く読むと、これらが、非常に深く関連していることが分かる。

ドラッカーの社会論の中で興味深いのは、NPOの議論である。NPOの重要性を古くから訴えてきた一人がドラッカーであるが、ここにきてやっと、予測した未来が現実のものになりつつある。その流れを検証するにも絶好の1冊である。

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2005年2月28日 (月)

イノベーションのジレンマ

4798100234.09.LZZZZZZZクレイトン・クリステンセン「イノベーションのジレンマ 増補改訂版」、翔泳社(2001)

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お奨め度:★★★★★

 イノベーションマネジメントの分野では歴史的名著になった感のある本である.本書を読むと,イノベーションというのが,単に技術開発だけでは成り立たないことを容易に理解することができる.

 本書では,新しい技術の誕生により,優良企業の中で戦略的なジレンマが起こり,優良であるがゆえに小さな市場においそれと出て行くことができず,気が付いたらその市場が大きくなっており自社製品の市場を侵食しているという現象を,事例に基づき,そのメカニズムを徹底的に分析している.このような現象を引き起こす技術を著者は破壊的技術と呼んでいる.本書の中で中心的に取り上げられている破壊的技術はハードディスク技術,,掘削技術の2つである.この2つの事例については非常に詳細に書かれており,読み物としても面白い.例えば,ハードディスクでは,8インチから5.25インチ,そして3.5インチへの推移と,そのハードディスクを主に使うメインフレーム,ミニコンピュータ,パーソナルコンピュータの推移を関係付けて,ハードディスクメーカがそれぞれの時期にどのように振舞ったかを分析してある.主張自体,非常に明快で,かつ示唆に富んでいる.

 技術イノベーションを中心にして,経営革新を図ろうとしている企業の経営者,ベンチャー企業の経営者,これらの支援をするコンサルタントの方にはぜひお奨めしたい一冊である.

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2005年2月15日 (火)

プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか

4478300593.09.LZZZZZZZ P.F.ドラッカー「プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか」、ダイヤモンド社(2000)

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お奨め度:★★★★★

ドラッカーの小論文を 自己実現という観点からまとめた1冊である。

横串のテーマで見ると改めてドラッカーの知見の深さに感動するし、また、体験談をベースに書かれている部分は、ドラッカーの生き方そのものに感動を覚える。

しかし、本としてみれば少し物足りない気がする。 その物足りなさは、一つ一つの論文が深いにもかかわらず、前後に並んでいる論文との関連性が薄いという編集上の問題である。また、少し全体的に散漫な気もした。すでにドラッカーの本を何冊か読んでいる人にとって、ドラッカーの価値を高める一冊にはなりにくいだろう。

ただし、タイトルにあるように「はじめて読むドラッカー」というコンセプトなので、このコンセプトであればまあ、納得できるレベルである。

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