組織マネジメント Feed

2007年1月19日 (金)

感情は経営資源である

4777105679_01__aa240_sclzzzzzzz_v4801363 野田稔「燃え立つ組織」、ゴマブックス(2007)

お奨め度:★★★★1/2

「感情のマネジメント」をテーマにした野田先生の新著。

最近のビジネスにおけるEQの注目度をみても、感情がマネジメントにとって無視できない存在であるという認識は定着してきたように思える。

4062562928_09__aa240_sclzzzzzzz_ ダニエル・ゴールマン(土屋 京子訳)「EQ―こころの知能指数」、講談社(1998)

しかし、それらは多くの場合、セルフマネジメント、あるいは、ソフトマネジメントの対象であり、マネジメントの対象として扱われることはなかった。この野田先生の本は、真正面からそこに切り込み、

 正しく使われた「感情」は経営資源である

とまで言い切っている。

その上で、プロジェクトには「感情のV字回復がある」ことを発見し、その谷を乗り越えるための方法論として、モチベーションマネジメントを位置づけている。

モチベーションマネジメントにおいては、野田先生の得意のコミットメントという視点から、リーダーシップ、人材育成などの問題について述べている。また、リクルートHCの高津氏、リンクアンドモチベーションの小笹氏といった著名人をゲストに読んで彼らの持論を語ってもらっている部分も読み応えがある。

なお、野田先生の主張するコミットメントマネジメントについてはこちらの本を読んでみられることをお奨めしたい。

4569628125_1 野田稔「コミットメントを引き出すマネジメント―社員を本気にさせる7つの法則」、PHP研究所(2003)

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2007年1月10日 (水)

意図された混乱

4478307040_01__aa240_sclzzzzzzz_v4801519 ヘンリー・ミンツバーグ(DIAMONDハーバード・ビジネスレビュー編集部編)「H. ミンツバーグ経営論」、ダイヤモンド社(2007)

お奨め度:★★★★

日本でも紹介されているミンツバーグのいくつかの著作を編集した本である。

456124218x09lzzzzzzz_1 マネジャーの仕事

戦略サファリ―戦略マネジメント・ガイドブック

の2冊がベースに、HBRのインタビューなどが加えられて一冊の本になっている。編集がよくて、ミンツバーグの特徴がよく現れた一冊になっている。

4492530649_09__aa240_sclzzzzzzz_このブログでもマネジャーの仕事は何度か紹介しているが、ミンツバーグは考えるネタを提供してくれる著作が特徴である。マネジメントは複雑であるという思いがあるのだそうだ。

この本の原題は、邦題より大きく書いてある「Calculated Caos」である。意図された混乱とでもいえばよいのだろうか?意図して混乱させ、考えさせる。そこにミンツバーグの著作の本質があるといえる。

この記事を書くのにアマゾンのページを見たら、take_dさんという方が、司馬遼太郎を読むような感覚で読んでみてはどうかと書かれていて、なるほどと思った。

日本人はこの手の考えさせる本は好きではない。ノウハウもの以外は本に金を払う価値はないと思っている人が多いように思う。しかし、言われてみると、時代小説は好んで読み、それをマネジメントや自分の仕事に活かすというのは好んでする人が多い。

時代小説には答えが書いてあるわけではないが、刺激がたくさんあるのだろう。確かにミンツバーグをそのような感じで読めば、非常に面白い著作が多いのは間違いない。ナイスアイディアだ。

2007年1月 3日 (水)

死の谷を如何に乗り越えるか

4641162530_01__aa240_sclzzzzzzz_ 榊原清則「イノベーションの収益化―技術経営の課題と分析」、有斐閣(2006)

お奨め度:★★★★

R&Dにおける「死の谷」問題に着目し、実際の日本企業のサーベイを通じて、この問題への解決の方向性を提案している。提案は、クリステンセン先生の『イノベーションのジレンマ」や、東大藤本先生の『アーキテクチャの位置取り戦略』をベースの理論としており、これらに対する簡単な解説も含まれている。

理論的な解説をこの問題に絞っているので、MOT全般を扱う本にはなっていないが、簡潔に、実に的を得た実感を持てる問題分析と提案になっている。

また、この本の三分の二を占める内外のベストプラクティスを分析する形で、提言が構成されているので、納得性も高く、読んで面白い本である。

MOTのとってつけたようなケースではなく、このように本格的なケースを踏まえて、論理構成をする榊原先生のセンスには感動すら覚える。

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2006年11月 1日 (水)

日産のダイバーシティマネジメント

488759504201 西澤正昭「コーチングが組織(ダイバーシティ)を活かす」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2006)

お奨め度:★★★1/2

日産のゴーン改革の重要な一端をに担った人材育成、組織変革について、担当責任者であった西澤正昭氏がまとめた本。

取り組みの全体像も興味深いが、この本のテーマでもある、その活動の中のポイントになるところで、コーチングがうまく機能しているのが興味深い。猫も杓子もコーチングといった風潮が見られるが、組織としてコーチングを導入するときには、何に使うかが大切であることを実感させられる一冊だ。

日産改革のポイントになったのがダイバーシティマネジメント。その担い手であるリーダーにゴーンが求めたことは

(1)リーダーは戦略を立てること

(2)戦略を誰にでも分かるようにシンプルに伝えること

(3)戦略実行のための組織をつくり、そのメンバーをモチベートしながら最大のアウトプットを出すこと

の3つである(著者によると、このリーダーシップの一番の実行者はゴーン氏自身だとのことだ)

そして、このダイバーシティーリーダーシップを浸透させるためにリーダーにコーチング研修を実施し、組織内に展開していった。これが日産改革を支えたというのがこの本の筋書きであり、その具体的な取り組みが書かれている。

コーチングに関わらず、組織マネジメントに関わる人であれば興味深く読めると思う。ただし、書けないのかもしれないが、取り組みの事実の羅列的な部分があり、どのように変わったかという点がぼんやりしている。その意味で、変革ゴールのイメージを探しているような人にはあまり役に立たないかもしれない。

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2006年10月25日 (水)

技術者のためのマネジメント入門

453213324601 伊丹敬之, 森健一編「技術者のためのマネジメント入門―生きたMOTのすべて」、日本経済新聞社(2006)

お奨め度:★★★★1/2

仕事柄、エンジニア出身のマネジャーにマネジメントの勉強をすることをお奨めすることが多い。確かにその目的に適う書籍は、日本にも結構あるのだが、視座がマネジメントにある本がほとんどである。つまり、経営の中でどのように技術を役立てていくかという視点がある。

しかし、この本は珍しく、視座が技術にある。技術を中心に経営をしていくにはどうしたらよいかを説明している。技術者に薦めたい本である。

内容もとてもよい。そんなに高度な内容ではないが、必要最小限の問題として、戦略のあり方、マーケティング活動のあり方、組織のあり方、プロジェクトマネジメントなど一通りの経営プロセスの解説がある。同時に、新事業創造、マーケティングコミュニケーション、ビジネスモデルといった事業マネジメントについても触れられている。

書き方も事例を中心にかかれており、実践的である。

特に、素晴らしいと思うのは、日本のMOTの本はなぜかあまり正面からプロジェクトマネジメントを取り上げていない。この本は経営プロセスの一つとして1章を割いて解説されている。拍手したい!

最後に、どうでもいいが、著者もなんとも豪華。編者の伊丹敬之先生、森健一先生は、もちろんだが、常盤文克先生、徳重桃子先生、佐々木圭吾先生、坂本正典先生、宮永博史先生、齊藤友明先生、西野和美先生。

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2006年10月21日 (土)

偉大なる経営論

B000ion7te01 Harvard Business Review2006年 11月号

 【創刊30周年記念号】偉大なる経営論

お奨め度:★★★★★

ハーバードビジネスレビューの創刊30周年記念号。30年間に発表された名論文の中から30本が採録されている。下にリストがあるので見てほしい。経営学にまったく縁のない人でも4~5人くらいは知っている人が多いのではないかと思う。

ほとんどの論文が実践の中で使われるようになってきた概念を示したものだ。これはすごいことだと思う。かつ、この2~30年の間に新しく生まれたマネジメント手法はほぼ、網羅されている。

つまり、そのくらいハーバードビジネスレビューは実務家のマネジメントに貢献している学術論文誌である。

マネジャーという肩書きのある人、あるいは、将来マネジャーを目指している人、いずれも、この記念号はぜひ持っておき、通勤の行き帰りにでも読んでほしい。

最後に神戸大学の加護野先生の「マネジメントの古典に触れる」という提言がある。この提言も味がある。

ちなみに、東京で本屋を探したが、最初の3件は売り切れだった。よく売れているようだ。

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2006年10月 3日 (火)

ファシリテーションによる組織変革

449253218801 堀公俊「組織変革ファシリテーター―「ファシリテーション能力」実践講座」、東洋経済新報社(2006)

お奨め度:★★★★

ファシリテーションの日本の第一人者堀公俊さんの書かれた、ファシリテーションによる組織変革方法論。

これまで、あまり、フォーカスされていなかった分野にファシリテーションの技術を適用している。大変実践的で、まさに、待望の一冊。

3章構成になっており、まず、第1章では、ファシリテーションの考え方を組織変革にどのように生かしていくかを解説している。

第2章では、組織を変えるために有効はファシリテーションの技術として、コミュニティビルディング、ビジョンメイキング、プロセスチェンジの3つについて、ファシリテーション技術を使ったアプローチを解説している。

第3章では、具体的な組織変革の進め方を説明している。

この本に書かれているような話は、断片的にはどこかで聞いたことがある内容が多いが、体系的に使って初めてインパクトがあることが分かる。その意味で、一度読んでおいて損のない本だ。

なお、堀さんは同じシリーズから

4492531580問題解決ファシリテーター―「ファシリテーション能力」養成講座」(2003)

という本を出されている。ファシリテーションの書籍の中では文句なしのNo1だと思う。関連性が深い内容なので、本書と併せて読まれることをお奨めしたい。

【堀公俊さんの書籍のほかの記事】

支援型リーダーシップを身につける

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2006年10月 1日 (日)

超現場主義で商売繁盛

4774507601 上野和夫「人事のプロが書いた商売繁盛学 ”超現場主義”のすすめ」、現代書林(2006)

お奨め度:★★★★

著者の上野氏は西武百貨店人事部で30年のキャリアを積まれた方で、その上野氏が小売業の「儲かるサービス現場」にこだわって書き上げた一冊である。事例などは小売業を事例に書いてあるが、顧客接点のあるビジネスを展開している企業においては、非常に学ぶところの多い本である。

この本では顧客接点で高い付加価値を生み出す人材をたくさん育成し、顧客から「ありがとう」といわれるプロのサービスを提供する企業をサービスカンパニーと定義し、サービスカンパニーを目指すために必要な人材育成、人事制度について提案されている。

第1章ではサービスカンパニーを作るための超現場主義10か条が提案されている。これが非常に興味深い

1)体制作りの目的は顧客価値創造の一点に向けられている

2)そのためにもっとも効果的で効率的な仕事の仕組みをくつくること

3)顧客価値創造に直接関係しない仕事は徹底的にそぎ落とすこと

4)個々人の能力を最大限発揮させるための仕組みをつくりあげること

5)個人には自己責任の原則が確立していること

(あと、5つあります)

第2章では、プロフェッショナルについて論じられている。西武、プロフェッショナルというと常に出てくるのが、伝説のシューフィッター久保田美智子さんであるが、彼女のプロフェッショナル論が社内研修の内容をベースにして紹介されている。今まで雑誌などで何度が読んだが、よく分からなかった部分が良くわかった。

小売業のプロフェッショナル論というのはITなどの専門性の高いプロフェッショナル論とは異なる部分が多いと思っていたが、この本を読んでそうではないことが明確になり、この本の主張そのものが、どんな分野でも通用するものだという認識に至った。

実は、この本を読む2週間くらいまえに、ある大手IT企業の事業部長さんと話をする機会があり、顧客からの要件がうまく聞きだせない、どうすればよいだろうかという相談を受けた。その際に、小難しい話(要件定義の方法論)はそれはそれで必要だが、もっと根本的に、人間同士が話をするのだから、その場でどういう態度を取るかは極めて重要で、この部分にサービス業や小売業からもっとベタなベストプラクティスを引っ張ってきたほうがいいのではないかという持論を展開したところ、露骨にいやな顔をされた。この部長さんにぜひ、お奨めしたい一冊である。

後半は人事制度について議論されている。前半の主張に整合する形の人事制度の提案であり、なるほどと納得できる内容である。

2006年9月30日 (土)

強い会社はボトムで設ける

453231293001 綱島邦夫「社員力革命―人を創る、人を生かす、人に任す」、日経新聞社(2006)

お奨め度:★★★★1/2

この5年くらいの間に日本企業のイメージはずいぶん変わったのではないかと思う。日本企業の強みは社員の質にあった。その分、マネジメントがおろそかになっていた企業が多い。

この5年間の本格的なバブルの負の資産の解消の際にこれがはっきりあわられたように思う。この本で書かれていること、ベストプラクティスは少なくともバブルの前までは多くの企業にあったように思う。しかし、この5年のリストラクチャリングを乗り越えた企業は少なく、この本で取り上げられている、トヨタ、武田薬品、松下電器などはいずれもマネジメント力をテコに、人材の強みを残しながら、リストラクチャリングに成功した企業である。人を作るトヨタ、人に任す武田、人を生かす松下である。

著者の綱島邦夫氏はマーサーの方だからかもしれないが、分析のフレームワークがラーニングオーガニゼーションになっている。日本には、自らを説明するフレームワークがない。特にこの3社のようにグローバル化に対応できる組織を展開するためのフレームワークがないのは非常に残念だ。ただ、この本の事例から分かるように、実践している企業は多い。

なんにしても、社員、プロジェクトといったボトムが強くないと儲からないというこの本の主張には強く共感する。

良い本である。

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2006年9月11日 (月)

PMBOKの原点を知る

487268567901  188041030301プロジェクトマネジメント協会(PMI東京支部訳)「プロジェクトマネジメント プリンシプル - 変革の時代を生き抜くための人と組織の挑戦」、アイテック(2006)

お奨め度:★★★1/2

10年前に米国PMIが纏めたPMの名著
The Principles of Project Management

をついにPMI東京の有志の方が翻訳し、日本でも出版された。一説によると、PMBOKガイドを意識して、PMBOKガイドのプアな部分を重点的に書かれたという本。

PMBOKの功罪はさまざまで、トータルすると圧倒的に功が大きい。その中で、罪の部分で最も大きいのは、プロジェクトマネジメントを矮小化している点だ。これはPMBOK自体の問題というよりも、PMBOKガイドの書き方による部分も大きいが、本来、プロジェクトマネジメントはプロジェクトだけの活動ではなく、組織全体の活動である。

それがプロジェクトチームを中心にした説明をしているので、すべてがプロジェクトマネジャーやプロジェクトマネジメントチームのタスクだと誤解されている傾向が強い。

決してそんなことはなく、プロジェクトマネジメントを有効に実施するためにはこの整理から始める必要がある。その原点を整理するには最高の本である。まさに原理である。

僕がこの本の原書を読んだのは6~7年前だが、当時感じたことと較べて感じたことが2つある。

一つは、当時、目からウロコのなんと素晴らしい本だと思ったが、今はこのレベルの本は何冊かある(残念ながら、和書ではないが)。もう一つは、経営学(マネジメント論)で議論されるようになってきたことが相当多いことだ。

いずれも、プロジェクトマネジメントが世の中に普及し、進歩してきたことによるものと思われるが、これらはこの本の価値を損なうものではない。

ただし、一つだけ苦言がある。この内容の本を日本で3500円で出されると高い。この点が★一つ減。値段が気にならない人には、この本は★★★★1/2 である。

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