組織マネジメント Feed

2007年6月 8日 (金)

ビジョンマッピング

4569655505 吉田 典生「ビジョンマッピング やる気を創る技術」、PHP研究所(2006)

お奨め度:★★★★

吉田典生さんというと、斬新な視点からの人材育成論が印象的である。たぶん、最も多くの人が読んでいるのは

吉田典生「なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか? 」、日本実業出版社(2005)

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4534040741吉田典生「 「できる人」で終わる人、「伸ばす人」に変わる人」、日本実業出版社(2006)

の2冊ではないかと思うが、この本は、これらの本の本質が何かを明確に教えてくれる一冊である。

展開の中で、いまもっとも大切な「ビジョンマッピング」へ落とし込む。その具体的な手法と意義をつかみ、自分に応用できることを目的に書かれている。

ある自動車販売代理店で生じた危機からの再生物語をネタにして

危機―会社が消える

出発―何のための仕事なのか

火種―生命力の源

接続―意味づける力

連携―協働する場

促進―ギャップを埋める

共創―一枚の絵を全員で描く

管理―変わらない姿勢で変え続ける

の流れの中で、「思い」がいかに凄い力を持つかを説こうとしている。ストーリー仕立てで、かつ、簡潔に書かれているので、ポイントが手に取るように分かる。

「仕事が面白くない」、「部下にやる気がない」、「組織力をもっと高めたい」といった悩みを持つマネジャーにお奨め。

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2007年5月30日 (水)

1+1が10にも100にもなる

4887595476_3 ローレンス・ホルプ(ディスカバリー・クリエイティウブ編)「マジマネ2 伸びるチームをつくる! 」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2007)

お奨め度:★★★★1/2

チームマネジメントの入門書として定評のある「Managing terms」の翻訳。チームリーダーのミッションを6つにまとめ、それぞれ、簡潔に説明されている。

興味深いのは、この知見は、1989年に米国企業としてははじめてのデミング賞を受賞したフロリダ電力の品質管理プログラムの中で、変化にうまく対応できたリーダーの特性であったということ。

・チームの活動を調整する

・優先順位をつける上でアドバイスを与える

・チームに必要なものを供給する

・問題解決のためのコーチングをする

・実行をサポートする

・公式もしくは非公式に部下の功績を評価する

の6つである。これを中心にチームマネジメントの方法をまとめた本で、各ミッションで3~4個のポイントを挙げている。

気楽に読める割には、結構深いことが書いてある一冊である。

なお、この本は、「マジマネ」シリーズとして刊行されており、第1弾はすでにこのブログで紹介した「できるマネジャーになる!」である。

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2007年5月25日 (金)

ネガティブと戦う

447800109x BJ・ギャラガー、スティーブ・ベンチュラ(梅森 浩一)「ノーの中からイエス!を探せ」、ダイヤモンド社(2007)

お奨め度:★★★★1/2

「ネガティブと戦う」をテーマにした一冊。

自分も含めて、自分が関わっている人には、ネガティブな人がたくさんいる。このような人の攻略法をストーリーと、解説の二本立てで伝えようとする本。

第1部のストーリーは、「ノーの国」の物語。いろいろなネガティブキャラが登場し、ノーを繰り広げていく。この物語によって、ノーということがどういうことか、ノーという人がどういう思考をするかに気づくようになっている。

その上で、第2部では、ノーをイエスに変える方法を提案している。

このようなスタンスを取れば、きっと自分も、周囲もポジティブになれる。そんなことを感じさせてくれる一冊である。

参考にもなるが、ノーの国で元気をなくしているあなたに元気を与えてくれる。そんなニーズをお持ちの方、読んでみよう!

2007年5月19日 (土)

リーダーシップからスポンサーシップへ

4532313260 柴田昌治「なぜ社員はやる気をなくしているのか~働きがいを生むスポンサーシップ」、日本経済新聞社(2007)柴田昌治

お奨め度:★★★★1/2

スコラ・コンサルティング代表の柴田さんが、自らの組織変革のコンサルティングの経験から、経営のスポンサーシップのあり方について述べた一冊。スポンサーシップは分かりにくい概念であるが、この本で提唱されているものは非常に合理的で、また、的を得ていると思う。

この本では(強い)リーダーシップの弊害について指摘し、それに変わるチームをまとめる概念としてスポンサーシップを定義している。最初、読んだときにピンとこなかったが、よく考えてみるとその通りだと思った。この本ではスポンサーシップを

リーダーシップの一種。ただ、引っ張っていくリーダーシップではなく、部下が主役になりうる機会を演出することで「質の高いチームワーク」をつくり出して行くリーダーシップ

と定義している。要するにどうだということはいえないような微妙な話である。捉え方によってはファシリテーションリーダーシップやサーバントリーダーシップと似た概念であるが、似て非なるものである。やはりスポンサーシップである。

具体的なスポンサーシップの機能としては

(1)個人のセーフティネット作り

(2)対話でビジョンを描き、共有する

(3)対話力で一緒に答えを作る

(4)当事者としての姿勢と自己革新

を一緒にあげている。

柴田さんは以前から、プロセス変革、組織変革の中で、スポンサーシップの重要性を説かれていた。

4532192048 柴田昌治「なぜ会社は変われないのか―危機突破の風土改革ドラマ」、日本経済新聞社(2003)

この本はここが中心になっている。この本だけ読むと、スポンサーシップで会社が変わるというように読めなくもないが、そういうことではないと思う。ただ、本当にこの部分にフォーカスしないと会社が変わらないということを事例などを通じて切実に伝えてくれる本である。

組織変革に関わっている人はもちろんだが、プロジェクトスポンサーシップを発揮しなくてはならない人はぜひ読んで欲しい。具体的に何をすればよいかが分かるだろう。

2007年5月 9日 (水)

コミットメントを熟知しよう

4478000999 DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部編集「コミットメント 熱意とモラールの経営」、ダイヤモンド社(2007)

お奨め度:★★★★

ハーバードビジネスレビューの中から、コミットメント経営に関する論文をまとめた論文集。コミットメントというのは日本語でいえば、公約である。

日本では公約というのがそうであるように、コミットメントというのがどうも、かなり精神的な約束として理解されている気配がある。このため、人によっては、コミットメントを忠誠といった訳しかたをする人もいる。コミットメントとロイヤリティは強い関係があるが、別の概念である(この議論はこの本の8章でも出てくる)。

例えば、プロジェクトマネジメントの分野でコミットメントは計画に基づいて行われる。つまり、定量的な目標に対して、その達成を約束するのがコミットメントの管理である。

ある意味でわかりにくい概念であるが、この本は8つの論文をうまく集めて、コミットメントマネジメントを実行するために必要な要素をつまくつむいでいる。チームマネジメントの中核にコミットメントマネジメントをおきたい人にはお奨めした一冊である。

ハーバードビジネスレビューの論文集なので、決して読みやすい本ではないが、苦労して読めば、それなりの対価は得られるだろう。

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2007年3月31日 (土)

組織コミットメントの構造

4820118536_01__aa240_sclzzzzzzz_v2508852_4 鈴木 竜太「自律する組織人―組織コミットメントとキャリア論からの展望」、生産性出版(2007)

お奨め度:★★★★1/2

新進気鋭の組織論の研究者が、一般の人に向けて書いた組織コミットメント論。組織論の専門家でなくてもわかる言葉で、非常に研究者らしい視点からかかれており、一般的な啓蒙書に比べると考えさせられる部分が多い。

帯に以下のような質問がある。

・希望に溢れた新入社員のコミットメントが2~3年で低下し、その後、持ち直すのはなぜか

・いやな会社でも長く居れば居るほど、転職しづらく感じるのはなぜだろうか

・チームで勝利するためには、スタメンのやる気ではなく、補欠選手のモチベーションを上げるのが有効なのはなぜか

・成果主義を徹底すると、職場の生産性が落ちてしまうのはなぜだろうか?

といった興味半分で知りたいことは、深刻な問題まで解く鍵がコミットメントにあるというのがこの本で紹介されるさまざまな研究からわかる。特にキャリア論から、コミットメントについて考察している。

人事担当者だけではなく、マネジャーやプロジェクトマネジャーならぜひ、読んでおきたい一冊だ。

2007年3月21日 (水)

トヨタの秘密

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ジェームズ・モーガン (著), ジェフリー・ライカー(稲垣公夫訳)「トヨタ製品開発システム」、日経BP社(2007)

お奨め度:★★★★1/2

トヨタウエイの著者 ジェフリー・ライカーによるトヨタの製品開発システムのエスノグラフィ。日米の研究開発拠点12箇所で40人の開発担当者から延べ1000時間に及ぶ聞き取り調査を実施して書き上げた本。

トヨタウエイについてはこちらの記事を参照。

トヨタウエイの実践

トヨタといえば現場とよい意味で泥臭い改善活動の印象がつよい。しかし、マネジメントの研究者のレベルでは、むしろ、製品開発システムに関心が高かった。東京大学の藤本先生、神戸大学の延岡先生をはじめとし、多くの経営学の研究者がトヨタのシステムを研究し、論文を書いている。実際のところ、初代イプサムに代表されるリードタイムの大幅な短縮など、興味深い点は多い。

それらの本と比べるとこのライカーの本は実務者にとって参考になる。あまり、大きな仮説を設定せずに、エスノグラフィーとして淡々と調査、観察したことが書かれており、本当のところの実態がよくわかる。

チーフエンジニア制度、セットベースのコンカレント・エンジニアリング、平準化プロセスなど、トヨタ独自のシステムが丁寧に解説されているので、読んでいて、上記の論文ではわからないことがわかる部分がずいぶんある。特に興味深いのはこれらの制度の背景にあるルールを以下のような原則としてまとめていることである。

 プロセスのサブシステム:リーン製品開発システム原則の1~4
   原則1 付加価値とムダを分離できるように、顧客定義価値を設定する
   原則2 選択肢を十分に検討するため、製品開発プロセスを設計上の自由度が一番高い初期段階にフロントローディングする
   原則3 平準化された製品開発プロセスの流れをつくる
   原則4 厳格な標準化を使ってばらつきを減らし、フレキシビリティーと予測通りの結果を生む

 人のサブシステム:リーン製品開発原則の5~10
   原則5 開発を最初から最後までまとめるチーフエンジニア制度をつくる
   原則6 機能別専門能力と機能間統合をバランスさせる組織を採用する
   原則7 すべての技術者が突出した技術能力を持つようにする
   原則8 部品メーカーを完全に製品開発システムに組み込む
   原則9 学習と継続的改善を組み込む
   原則10 卓越性とあくなき改善を支援するカルチャーを醸成する

 ツールと技術のサブシステム:リーン製品開発システム原則の11~13
   原則11 技術を人やプロセスに適合させる
   原則12 組織全体の意識をシンプルで視覚的なコミュニケーションで合わせる
   原則13 標準化と組織的学習に強力なツールを使う

ただし、このようなトヨタ方式が有効かどうかを判断するのは読者である。これが有効であるという証拠、論拠はない。唯一あるのは、もうすぐ、世界一の自動車メーカになるだろうということだけだ。

逆にいえば、別の業界の人(たとえば、製薬)がベストプラクティスとして読んでも訳に立つ内容ではないかと思う。

それから、いくつかの開発ケースが採録されている。これらは読み物としても面白い。

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2007年3月19日 (月)

イノベーションを成功させる組織

4901234986_01__aa240_sclzzzzzzz_v4414069 トニー・ダビラ、マーク・エプスタイン、ロバート・シェルトン(スカイライトコンサルティング訳)「イノベーション・マネジメント 成功を持続させる組織の構築」、英治出版(2007)

お奨め度:★★★★1/2

イノベーションのマネジメントを組織の視点から書いた本。イノベーションは偶発するものではなく、管理するものであるいうスタンスに立ち、具体的な方法を述べている。

その中心になるのが経営陣の「7つのルール」。

(1)イノベーションの戦略とポートフォリオを決定する際に、強力なリーダーシップを発揮する

(2)イノベーションを階差の基本精神に組み込む

(3)イノベーションの規模とタイプを経営戦略に合わせる

(4)創造性と価値獲得のバランスをうまくコントロールする

(5)組織内の抵抗勢力を抑える

(6)社内外にイノベーションのネットワークを構築する

(7)イノベーションに適切な評価指標と報奨制度を設ける

の7つである。

この本では、この7つのルールを実行していくための具体的な方策について解説している。経営者や組織マネジャーはもちろんであるが、現場のマネジャーにも読んでいただきたい一冊である。

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2007年2月 2日 (金)

ミンツバーグのエッセンス

4478307040_01__aa240_sclzzzzzzz_ ヘンリー・ミンツバーグ(DIAMONDハーバード・ビジネスレビュー編集部)「H・ミンツバーグ経営論」、ダイヤモンド社(2007)

お奨め度:★★★★★

異端の経営学者ミンツバーグの

マネジャーの仕事

戦略サファリ

などの代表的な著書から、経営論として編集しなおした一冊。

ミンツバーグの素晴らしさは、無理やり答えを出さず、ありのままでのものごとを見て、考察をすることである。学者とは本来こうあるべきだろうが、やはり、結論ありきの「戦略的仕事」をする学者の方が圧倒的に多い中で、異端の存在だといえる。鬼才 トム・ピーターズはミツバーグを20世紀最高の経営思想家だと評している。

一ツ橋大学の伊丹先生は

唯一最善解はない。ミンツバーグは子どもの目を持ち、老大家の頭を持った、異能の人である。彼の論考に制激されて、読者の頭脳もさまざまな汗をかくであろう。

と称している。最近はだれもがマネジメントには正解はないという。しかし、実感を持ってこの言葉を語る人は10人に1人もいればいいところだろう。9人の人は正解を求めたがる。するとアプローチを誤り、失敗する。

ミンツバーグはその豊富なフィールドワークから、その証拠をいやというほど見せ付けてくれる。そんな一冊でもある。マネジメントに正解はないということを本当に感じたい人はぜひ、読んでみてほしい。読んだ瞬間から、世界が変わるだろう。

この本でミンツバーグに共感できたら、ぜひ、この本を読んでみてほしい。この本にミンツバーグの思想の全てがあるのではないかと思う。

4478170258_09__aa140_scmzzzzzzz_ ヘンリー・ミンツバーグ(北野利信訳)「人間感覚のマネジメント―行き過ぎた合理主義への抗議」、ダイヤモンド社(1991)

版元の絶版で、アマゾンではトンでもない価格がついている一冊だが、本物のマネジャーを目指す人であればこれだけのお金を出しても意味があるだろう。

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2007年1月30日 (火)

金より名誉?!

4492532250_01__aa240_sclzzzzzzz_v4847397 太田肇「お金より名誉のモチベーション論 <承認欲求>を刺激して人を動かす」、東洋経済新報社(2007)

お奨め度:★★★★1/2

太田肇先生と最初にお会いしたのは、神戸大学の大学院で学んでいたときで、太田先生が滋賀大学にいらっしゃった。まだ、今ほど、一般には知られていない時代だった。学位論文になった書籍

プロフェッショナルと組織―組織と個人の「間接的統合」

に共感を覚え、神戸大学のOBだったこともあって、インタビューをさせて戴いた。 金井先生を除くと、おそらく、僕がもっとも影響を受けた経営学者である。

太田先生の得意は、日本人の特性をよく理解し、利用する人材マネジメント論であり、少なくもと現実的であるということでは、東京大学の高橋先生と双璧だろう。

その太田先生の書かれた人材マネジメント論は

ホンネで動かす組織論

認められたい!―がぜん、人をやる気にさせる承認パワー

個人尊重の組織論―企業と人の新しい関係

など、ユニークなものが多い。その中で、最高傑作ではないかと思うのがこの本だ。

組織で働く個人が認められるということに対するこだわり、その安直な方法としてのほめるということの弊害など、独自の視点で、突出を許さないに本の企業の中でいかに個人のモチベーションを高めていくかを述べられている。

非常に面白いのだが、この本によると、承認欲求を満たす方法で、ポストを与える以外の方法はないということも述べられている。

ただし、その代わりに社会から承認を受けようとするというのは確かにプロフェッショナルの感覚だと思うので、結局、それを積極的に認めることが承認欲求を刺激することになるのだろう。そう考えると、積極的に社外講演を認めるとか、学会発表を推進するとか、資格や学位の取得を支援するとか、日本の企業がいろいろやっているなと思う。

非常に面白いモチベーション論であるので、ぜひ、一読をお奨めしたい。

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