組織マネジメント Feed

2006年9月 8日 (金)

和して同ぜず

449244329001 T.W. カン「日本企業改革開放論―中国人の上司とうまくやれますか」、東京経済新報社(2006)

お奨め度:★★★1/2

全体的なできはどうかなと思うが、第3章の同質型チームワークと多様型チームワークの指摘は非常に面白い。

著者は、アジアでビジネスを展開するに必要なのは、「和を以って尊しとなす」ではなく、「和して同ぜす」であるという。中国は個人主義だとよく言われるが、欧米と較べると和を重視する。これは韓国にも言えることだ。欧米が徹底的な個人主義であるのに対して、中国や韓国は中間にある。

これはチームワークに顕著に現れる。日本は同質型のチームワークを重んじ、中国や韓国は欧米と同じ多様型のチームワークを重んじる。

米国と中国を較べたときに、中国に親和性を感じるのはこのあたりだろう。

著者は日本型を今後、維持するのは難しいだろうと指摘している。その上で、欧米型を目指すか、アジア型を目指すかが問題だと指摘する。

この問題を、歴史的視点や、国際経営の視点から議論している。結論はアジアとうまくやるには、「和して同せず」のスタンスが必要だという。確かに、日本らしさを生かし、国際社会に適応していく方法かもしれない。

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2006年8月 7日 (月)

ヤクザに学ぶプロジェクトマネジメント

448006255601_1 山平重樹「ヤクザに学ぶ組織論」、筑摩書房(2006)

お奨め度:★★★1/2

この種の本をどのように評価するかは難しいところだ。いくら、ヤクザのシノギが経済活動になったといっても、ビジネス組織とヤクザ組織はまったく違うだろう。極端な例で、役に立たない。まずは、こういう評価があるだろう。

一方で、組織としての本質は変わらない。コンプライアンスに目をつぶれば、組織としてうまく行っていることは事実であるので、大いに参考になるという評価もあるだろう。

一ついえることは、山平重樹氏はよく業界を知っており、読み物として非常に面白い。これは間違いない。

実は、ビジネスを睨んだ本はこれが初めてではない。非常に話題になったのはこの本。

434440312601 山平重樹「ヤクザに学ぶ交渉術」、幻冬舎(2002)

この本の内容もさることながら、アマゾンの書評を見て非常に興味を持った。役に立つ、くだらないという意見が二分されているのだ。

僕自身がどう思ったかというと、ヤクザというのは組(織)を背景にして動いているのだと思っていたが、意外とそうでもないなということ。ビジネスでいえば、ベンチャー企業などはこういう発想でやらないとなかなか、既成ビジネスや大きな企業に対抗できないだろう。

逆に大企業の発想でいけば、品がない、まともな発想ではないという理屈になる。実際に、ベンチャー企業を「ヤクザ呼ばわり」する大企業の社員には、何度となくお目にかかったことがある。

もう一冊、こんな本も出ている。

4344403657 山平重樹「ヤクザに学ぶ指導力」、幻冬舎(2003)

こちらも同じような感じ。

さて、肝心の今回の新書だが、上の2冊は幻冬舎のアウトロー文庫というやや、際物シリーズから出たものであるが、今回は、筑摩新書である。その分、書き方はおとなしく、読み物としてはそんなに面白くない。その分、考察が多くなっており、ちゃんとした組織論の本である。

違う見方をすれば、前の2作は人の行動を問題にしたものに対して、今回は組織なので、その違いもあろう。

しかし、プロジェクトの組織マネジメントをするときに、非常に役に立つ内容である。

プロジェクトマネジメントのコンサルティングをしていると、組織の品格がプロジェクトとしては足かせになっていると感じることがちょくちょくある。「お行儀がよい」というやつ。もう少し、タフなネゴをすればいいのにと思うようなことも少なくない。

ちょうど、今、「テレビで行列のできる法律相談所」をやっていて、「電気屋で16万3千円のテレビを競合店で15万円で売っているとうそをいって、値引きさせたら詐欺になるか」という問題で、意見が真っ二つに割れているが、結局、こういうレベルの交渉をどう考えるかだ。コンプライアンスに問題ありだと考えるか、方便だと考えるか?

法律的な問題はよくわからないが、ビジネスとしてみれば、15万円で売って赤字がでるなら、期末決算期のような特別な状況を除くと、値引き交渉には応じないだろう。仮に何らかの理由で応じたとしても、何らかの利益はあるのだ。それは間違いない。ビジネスとはそういうものだ。そう考えると、必ずしもビジネスエシックスを逸しているとも言い切れない部分がある。あくまでも、CIのレベルの問題だろう。

組織の品格を保ち多少の経済的犠牲はよしとするか、タフなネゴをして何とかしてプロジェクトを成功させるかは自由だ。ただし、両立ができるケースは少ないということはキモに命じておく必要がある。

まあ、死に物狂いで、対面をきにぜすに、しかし、エシックスは保ちながらプロジェクトを薦めていくようなプロジェクトマネジメントをするのであれば、この3冊は、全て役に立つ本だと思う。

2006年8月 5日 (土)

プロジェクトマネジメント危機脱出マニュアル

447837521601 デイビッド・ニクソン、スージー・シドンズ(中嶋秀隆訳)「プロジェクト・マネジメント 危機からの脱出マニュアル―失敗ケースで学ぶ」、ダイヤモンド社(2006)

お奨め度:★★★★1/2

さっと読んでみて、いよいよ、こんな本が出てくるようになったかという思いを持った一冊。さすが、PMに対する独自の視点と見識をもたれる中嶋秀隆さんが選んで翻訳された本という感じ。

プロジェクトの失敗をきちんと体系的に整理し、問題領域を特定し、問題領域に対してソリューションを提供している。同じ狙いで書かれた本に、伊藤健太郎さんのベストセラー

伊藤健太郎:「プロジェクトはなぜ失敗するのか―知っておきたいITプロジェクト成功の鍵

https://mat.lekumo.biz/books/2005/01/it.html

がある。この本は今でも一番売れたPM本らしい。

伊藤さんの本はプロジェクトマネジャー向けに書かれているのに対して、この本は、組織マネジャー、あるいはプログラムマネジャー向けに書かれた本である。プロジェクトマネジャーに役に立たないという意味ではないが、ソリューションがプロジェクトマネジャー一人では実行できないようなものがかなり入っているし、問題分析の視点も組織からの視点である。また、人事制度とのプロジェクト失敗の関係、PR(パブリックリレーション)との関係にまで言及されており、広範な内容をコンパクトに纏めた非常に参考になる本である。

特にプログラムマネジャーにお奨めしたい本だ。ただし、2つ注意がある。マニュアルと書かれているが、コンパクトに纏めるためか、記述の抽象度が高い。原書を読んでないのでなんともいえないが、訳は読みやすいと思うので、原書の書き方の問題だと思う。2つめは、これにもつながるが、相当、マネジメントに関する基本的な知識を持たないと読みこなせない本である。これはプロジェクトマネジャーより組織マネジャーを対象にした本だからだと思う。

久しぶりに★5つをつけようと思いとどまった。理由はエンパワーメントとガバナンスに関する踏み込んだ議論がないことだ。これらの問題に触れてないわけではなく、いろいろな側面から触れている。また、このような構成になる理由も分かる。しかし、これだけ工夫された本であるので、もう少し頑張って欲しかったなと思う。そこだけが、若干、不満であるが、それ以外、文句なし。

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2006年7月 2日 (日)

学習する組織のバイブルから、未来のマネジメントのバイブルへ

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ピーター・M. センゲ:「最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か」、徳間書店(1995)

お奨め度:★★★★★

組織学習のバイブル。組織がシステムであることを正視させる本。組織論の分野でも大きな影響を与えている1冊である。

この本では、学習する組織では

自己マスタリー(personal mastery)
メンタル・モデルの克服(mental models)
共有ビジョン(shared vision)
チーム学習(team learning)

の5つの原理と、これらを統合するシステム思考(systems thinking)の5つの原理が必要だと述べている。

組織論として、ひとつの理論だが、ビジネスシステムという概念で企業やビジネスを見た場合、本書のような視点で組織を捉える意味は大きく、また、発展性がある。90年代終わりからずっとビジネス、とりわけ組織に大きな影響を与えてきた1冊であるが、真価がはっきりするのはむしろ、これからかもしれない。

ビジネスマンとしては、ぜひ、読んでおきたい1冊である。

また、この本には、2冊のフィールドブックがある。

453231075x09 一冊は5つの法則を如何に適用していくかを解説した本である。

ピーター・センゲ(柴田昌治訳)「フィールドブック 学習する組織「5つの能力」 企業変革を進める最強ツール」、日本経済新聞社(2003)

フィールドブックであるので、5つの原則が何を言っているのかが具体的な行動像を通じてよく分かる。もちろん、フィールドブックとして実際に使えるようなレベルのものである。

もう一冊は、5つの原則を実行するために、組織にはどのような変革課題があるかを解説し、その課題を解消するためのフィールドブックがある。上のフィールドブックとの関係としては問題解決編453231131409_1という位置づけになっている。

ピーター・センゲ(柴田昌治、牧野元三、スコラコンサルト訳)「フィールドブック 学習する組織「10の変革課題」―なぜ全社改革は失敗するのか?」、日本経済新聞社(2004)

学習する組織の構築の具体的なヒント、フィールドワークの指針も得られる貴重な本だ。必ず併せて読みたい。

(初稿:2005年3月2日)

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2006年6月23日 (金)

新しい変革マネジメントAI

456965438x01 デビッド・L.クーパーライダー「AI「最高の瞬間」を引きだす組織開発―未来志向の“問いかけ”が会社を救う」、PHPエディターズ・グループ(2006)

お奨め度:★★★★

アクリティアティブ・インクエリー(AI)は大きな変革を目指したプロセス管理の新しい方法である。AIには「4Dサイクル」と呼ばれるサイクルがあり、それがプロセス管理の中心になっている。4Dサイクルは

・ディスカバリー(潜在力発見)

・ドリーム(理想像構築)

・デザイン(変革設計)

・デスティニー(変革実現)

の4つのプロセスからなるサイクルである。ディスカバリーは、何が組織の潜在力を活性化させるのかを評価する。ドリームでは、組織はどういう姿になるべきかを明確にする。デザインは理想の未来像を明確にする。そして、最後にデスティニーは権限委譲、学習、適応の方法を考える。

組織変革のマネジメントにおいて、問題解決型ではなく、ビジョン駆動型により潜在力を活かしていくという新しいスタイルを提唱した本。

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2006年5月12日 (金)

プロダクトストラテジー

4822244423マイケル・E・マクグラス(菅正雄, 伊藤武志 訳)「プロダクトストラテジー~最強最速の製品戦略」、日経BP社(2005)

お奨め度:★★★★1/2

戦略、マーケティングマネジメント、技術マネジメントのバランスがよく取れたプロダクトマネジメントの本。米国のビジネススクールの定番テキスト。

マイクロソフト、IBM、デル、インテル、シスコ、アップル、ゼロックスなどグローバルなハイテク企業は、どうやって競争力のある製品を生み、育てたのかという切り口で、ベストプラクティスとなる戦略パターンを提示している。

製品戦略に留まらず、タイミング、計画立案、コンティンジェンシープラン、マーケティングや資金面での検討事項、などといった製品戦略に付随する様々なプロセスについても言及されているので、非常に実践的な内容になっている。

テキストとして書かれているので、それなりに知識がある人が読むと、説明が冗長であり、まどろっこしい部分があるが、初心者が最初に読み、なおかつ、それなりに深い知識を得るには絶好の本である。

特に、戦略、マーケティングマネジメント、技術マネジメントのバランスについて適切な知識が得られると思うので、プロダクトマネジャーになる人にお奨めしたい本である。

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2006年3月19日 (日)

トヨタ版7つの習慣

447930017109lzzzzzzz_1 若松義人「最強トヨタの7つの習慣―なぜ「すごい工夫」が「普通」にできるのか」、大和書房(2006)

お奨め度:★★★★1/2

トヨタの組織マネジメントのコンピテンスを7つの習慣になぞらえて書いている。著者はカルマンの若松社長だが、彼はトヨタについて数多くの分かりやすい著書があるが、この本が一番、気に入った(すべての著書を読んでいるわけではないが10冊は読んでいる)。

さて、トヨタの7つの習慣とは以下の7つである。

第1の習慣 「ケタちがい」の発想から入る
第2の習慣 「わが社」を主語にしない
第3の習慣 「なぜ」を五回繰り返す
第4の習慣 成功体験をリセットする
第5の習慣 成功より成長を目ざす
第6の習慣 忙しさを恥じる
第7の習慣 「みんなの力」を心から信じる

いずれもトヨタウェイとして有名なものである。コヴィーの7つの習慣は明らかに理論的な体系があるが、トヨタの7つの習慣は7つ大切なものを書き出してみたという感じであり、多くのエピソードの支えられている。

その分、凄みがあると思う。

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2006年3月14日 (火)

コスト削減が社員を元気にする

447837510009lzzzzzzz 村井哲之「社員のやる気に火をつける! コスト削減の教科書」、ダイヤモンド社(2006)

お奨め度:★★★★

コストに関する取り組みをたくさんあげて、それが如何に社員に影響を与えているかを解説している。

興味深いのは、何かとネガティブなことが多いコスト削減をポジティブに捉えていること。この本では、

・過去1年間のデータを基に、コスト構造の「全体像」を描き出す
・常に、「契約の中身そのもの」にさかのぼり、そこからの改善を考える
・どんな経費項目であっても、削減の取り組みの順番を守る
・コスト削減のために新たな投資はしない
・コスト削減のための、外部の最先端ナレッジを徹底的に活用する

の5つを実行することにより、社員が動機付けられ、会社が元気になると述べている。コストカットというとなんとなく押し付けられるようなイメージがあるが、経験所、実際に、現場が主導して行う活動の中で、みんなが喜々として取り組むのがコスト削減である。

それをうまく組織マネジメントに使おうというのはまさに、コロンブスの卵的な発想であり、特にプロジェクト組織のマネジメントには有効だと思う。

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2005年12月28日 (水)

実感としてわかる組織論

447843022509lzzzzzzz_2 野田稔「組織論再入門―戦略実現に向けた人と組織のデザイン」、ダイヤモンド社(2005)

お奨め度:★★★★

組織論というのは難しい。その難しさは何だろうと考えてみて、思い当たることは、マクロ組織論とミクロ組織論の遊離にあるように思える。組織に属する人が、組織論を実感を持って理解するには、マクロとミクロの関連付けが必要で、そのような組織論の本というのはありそうでなかった。

マクロ組織論を学んだ人も、ミクロ組織論を学んだ人も、新しい視点で組織論を学ぶことができるという意味で、まさに再入門書に適している。

その意味で、組織論のテキストとしては画期的な一冊である。マネジャーはマクロ的な視点から、平社員はミクロ的な視点なら、それぞれの別の世界が見えるような工夫がされているので、ほ~と思って読める組織論の本になっている。

著者の野田先生の本に

4569628125 野田稔「コミットメントを引き出すマネジメント―社員を本気にさせる7つの法則」、PHP研究所(2003)

という本がある。この組織論再入門の組織観はこの辺にあるように思えるので、併せて読まれることをお奨めしたい。この本は

●第1章 コミットメントの引き出し方
●第2章 今なぜコミットメントなのか
●第3章 コミットメント経営のベストプラクティス
●第4章 コミットメントマーケティング~コミットメントの組織浸透

といった内容であるが、とてもよい本であるので、組織論に興味がない人にもこちらの本は薦めたい。

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2005年12月27日 (火)

言行一致の組織を作る

427000099609lzzzzzzz ジェフリー・フェファー、ロバート・サットン(長谷川喜一郎、菅田 絢子訳)「実行力不全 なぜ知識を行動に活かせないのか」、ランダムハウス講談社(2005)

お奨め度:★★★★1/2

5年ほど前に一冊の本が出た。非常に目立つ表紙で、タイトルは「変われる会社、変われない会社」。表紙の背景には、大きく

          019280680000   The Knowing Doing Gap

とある。流通科学大学の出版ででたが、話題になることもなく、絶版された。この本、米国ではベストセラーになった本である。内容は、このタイトルからぼんやりとわかるだろう。

  知っていることと、実行することのギャップ

当時は、日本では、戦略病の発病期だった。あるところで、この本を使って、マネジャー研修を提案したところ、そんなのはうちには必要ありませんと言われたことがある。

日本ではなかなか、この問題意識が芽生えてこない。例えば、仕組みと実行。言うけど、やらないとトップマネジャーが嘆いている企業をたくさん知っている。しかし、そこは個人の問題で片付けられ、組織としての問題に切り込まれることはない。

453231037709この後、もう一冊、同じ問題で、米国でベストセラーになった本の翻訳が出版された。ラリー・ボシディとラム・チャランの経営は「実行」―明日から結果を出す鉄則である。戦略やビジョンを実行するためのアイディアやノウハウを書いた本であるが、この本もあまり売れなかったらしい。

そして、今年、ジェフリー・フェファー、ロバート・サットンと同じ問題意識をうたった1冊の本が出版された。

ハイケ・ブルック、スマントラ・ゴシャールの書いた「意志力革命」である。427000063501lzzzzzzz

これに影響をうけたわけではあるまいが、ジェフリー・フェファー、ロバート・サットンの本が復刊された。これが、冒頭に掲げた「実行力不全」である。なかなか、インパクトのあるタイトルだ。

この本も意志力革命と同じく、綿密な企業調査の上で書かれている。その期間は4年間にも及ぶそうだ。行動ができない組織で、何ゆえに行動できないかを分析し、さらには、ギャップを乗り越えた企業では、どのようにして、あるいは、どのようなメカニズムでギャップを乗り越えたかを解説している。

上の3冊は、すべて、トップマネジャー、ミドルマネジャー必読の一冊。

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