イノベーション Feed

2007年8月15日 (水)

成功事例で学ぶ顧客視点に立った成長

4903241580 江口一海、矢野英二、木島研二、郷好文「顧客視点の成長シナリオ―モノづくりの原点」、ファーストプレス(2007)

お奨め度:★★★★1/2

顧客中心型経営手法を3つのコンセプトと事例を中心にしてまとめた一冊。

3つの活動コンセプトとは

・顧客価値の本質を実現する、顧客との接点を再編する活動
・顧客価値の本質にマッチする商品とサービスを提供する活動
・売り方と商品が実現する価値を顧客網上に構築する活動

の3つであり、序章では、この3つを、iPod、日亜LED発光ダイオード、キーエンス、デル、スターバックス、ユニクロ、アサヒビール、などのよく知られたベストプラクティスから導きだしている。

その後、第1部では、事例研究編として、コエンザイムQ10サプリメント、新幹線インバーター装置開発の2つのケーススタディでこの3つの活動コンセプトを分析している。

第2部は実践編ということで、この3つの活動コンセプトを実現するための事業モデル、成長シナリオについて提案している。

読みモノとしても面白いし、顧客価値の本質がどこにあるのか、自社のコンピタンスをその本質にあわせこんでいくにはどうすればよいのかについて多くの気付きを与えてくれるよい本である。

また、新幹線のインバーターの開発の事例はプロジェクトマネジメントの視点からも、顧客視点にたった場合に、トレードオフのマネジメントをどうするかといった重要な問題に対するたいへんよい答えになっているので、事業マネジャーだけではなく、プロジェクトマネジャーにとっても得るところの多い一冊である。

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2007年7月25日 (水)

女子高生の目からみた会社経営

483341855x 甲斐莊正晃「女子高生ちえの社長日記―これが、カイシャ!? 」、プレジデント社(2007)

お奨め度:★★★★1/2

TBSの日曜日のドラマで「パパとムスメの7日間」というのをやっている。父とムスメが電車事故で幽体離脱して入れ替わって、それぞれの立場で会社に行ったり、学校にいったりするというコメディドラマ。究極の世代間コミュニケーションだ。この中で、ムスメがパパとして仕事をして、常識にとらわれない発想をし、活躍する様子はなかなか興味深い。

知らないことの強さのようなものもあるが、どうも、余計なことを考えすぎている部分も少なくない。シンプルに考えると別の世界が見えてくるわけだ。問題に遭遇したときに、もし、自分が常識も組織に関する情報もまったく持っていなかったとすればどう判断するか?

これが求められるような時代になったきたように思う。

このビジネスノベルは17歳の女子高生が、父親の急死で、突然社長に―。主人公ちえにとっては、知らないことばかり、「これが、カイシャ!?」と、つぶやく「発見」の毎日といったストーリー。

この本は単に経営の入門書というだけではなく、商品開発、営業、工場での生産などを、女子高生という素人の目から見て、どう見えるかを示しているのがミソ。たいへん、わかりやすいので、入門書としてもよいが、ある程度、経験がある人も新たな発見があるのではないかと思う。

なかでも、日本組織の特徴である人間関係に関する部分が面白い。日本人は何にこだわっているのかという思いになるのではないかと思う。

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2007年7月13日 (金)

改善を科学する

4820744372 オフィス業務改善研究会「業務改善がよくわかる本―すぐに実行できるオフィス業務の改善アイディア」、日本能率協会マネジメント 出版情報事業(2007)

お奨め度:★★★★1/2

オフィスワークの業務改善の視点、方法、スキルをまとめた1冊。

業務改善を以下の8つのアクションにまとめている。

1.テーマの設定する
2-1.現状把握・監察する
2-2.現状把握・取材する
2-3.現状把握・図式化する
2-4.現状把握・定量化を試みる
3.問題点をまとめる
4.問題を掘り下げ、原因を探る
5.改善方法を決める
6.改善策を決める
7.改善を実行する
8.改善レポートを作成する

そして、それぞれのついて、具体的な進め方を解説している。

その上で、36のベストプラクティスを提示して、それぞれの事例でどのような方法で改善を進めて行ったかを述べている。

いままでありそうでなかった本だ。

戦略経営の3つのイネーブラは人材とITと業務改善である。

前の2つがいろいろと体系化されているのに比較すると、改善に関する体系的なアプローチの本はなかったし、本以前に、改善はどろどろとやるものだと考えられていた。一方で、問題解決の本を読むと、結構な数の例題が改善を取り上げている。ずっと、こんな本が出ないかなと思っていたが、やっと出たという感じだ。

特に、マネジャーの方は、ひとごとだと思わず、一度、読んでみて欲しい。人材育成の方向性のヒントになるだろう。

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2007年6月29日 (金)

顧客起点のマーケティング

4492555838 平井孝志「顧客力を高める、売れる仕組みをどうつくるか」、東京経済新報社(2007)

お奨め度:★★★★

この本もまた、「組織力を高める」の著者の一人が書いたマーケティング論。顧客中心型のマーケティングと、その具体的な実現方法、仕組み作りについて述べている。

顧客力とはあまり耳にしない言葉だが、著者のいう顧客力は

 顧客起点で売れるモノやサービスを継続的に生み出す能力

であり、これは

 マーケティング脳:顧客と共鳴できるユニークで柔軟な発想力

 場の構築力:顧客のまわりに業務連鎖を設計・構築する能力

の2つの掛け算で生まれるというのが、この本の考えである。

そして、この本では、マーケティング脳の作り方、および、場の構築プロセスを具体的に解説している。デル、スターバックス、トヨタなどを例にとりながら説明されているので、納得性がある。

最後に、顧客力を組織力に高める方法について述べている。前著の組織力を高めるとの関連がここにあるようだ。

その方法とは、マーケティングの専門部隊を置き、それを組織のマーケティング脳にしていく。そして、その部隊を中心に

・場の見える化

・標準化の推進

・現場での適応化

の3つを行うことだという。この部分はさらなる検討がほしいところだが、方向性としては共感できる。

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2007年6月22日 (金)

変革を定着させる

4862760074 佐藤文弘「チェンジマネジメント―組織と人材を変える企業変革プログラム」、英治出版(2007)

お奨め度:★★★★1/2

企業変革の本というと、話は分かるが具体的にどうするの?という本が多い。その中で、定着に重点を置き、具体的な施策を述べている貴重な一冊。

この本では、

プラニング

  ⇒コミュニケーション

    ⇒教育

      ⇒サポート

というステップで進めていくとし、各ステップで使う手法やツールについて解説している。

前提として、

 ・人はルールを守らない

 ・組織は戦略に従わない

といった現実的な(問題のある)前提で展開されているので、現実的である。このあたりも、よくある、それなら変革はいらないだろうという前提の変革本とは一線を画している。

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2007年6月 8日 (金)

ビジョンマッピング

4569655505 吉田 典生「ビジョンマッピング やる気を創る技術」、PHP研究所(2006)

お奨め度:★★★★

吉田典生さんというと、斬新な視点からの人材育成論が印象的である。たぶん、最も多くの人が読んでいるのは

吉田典生「なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか? 」、日本実業出版社(2005)

4534040032

4534040741吉田典生「 「できる人」で終わる人、「伸ばす人」に変わる人」、日本実業出版社(2006)

の2冊ではないかと思うが、この本は、これらの本の本質が何かを明確に教えてくれる一冊である。

展開の中で、いまもっとも大切な「ビジョンマッピング」へ落とし込む。その具体的な手法と意義をつかみ、自分に応用できることを目的に書かれている。

ある自動車販売代理店で生じた危機からの再生物語をネタにして

危機―会社が消える

出発―何のための仕事なのか

火種―生命力の源

接続―意味づける力

連携―協働する場

促進―ギャップを埋める

共創―一枚の絵を全員で描く

管理―変わらない姿勢で変え続ける

の流れの中で、「思い」がいかに凄い力を持つかを説こうとしている。ストーリー仕立てで、かつ、簡潔に書かれているので、ポイントが手に取るように分かる。

「仕事が面白くない」、「部下にやる気がない」、「組織力をもっと高めたい」といった悩みを持つマネジャーにお奨め。

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2007年6月 6日 (水)

イノベーションの実態

4569690661 片山修「イノベーション企業の研究 日本型成長モデルは現場がつくる」、PHP研究所(2007)

お奨め度:★★★★

日本のイノベーション書籍は学術研究的なものが多い。理論的な仮説を持ち、その仮説を検証する形で書かれている本が多い。そのような中で、研究者というよりはジャーナリストの目から見て、イノベーションによる成長企業に何が起っているかをまとめたこの本は、イノベーションのヒントを得る上で、非常に貴重な一冊だと思う。取り扱っている視点もユニークである。企業は、何かとよく取材される企業が多いが、

・キヤノンを支える本社力
・JR東日本の事業創造力
・ホンダのモノづくり基礎力
・トヨタのブランド創造力
・日本精工の部品力
・全日空の構造改革力

という風に独自の視点で取材をし、分析をしている。というか、実はこのテーマは、外部からこれらの企業をみたときに、真っ先に見える顔というのはこの当たりではないかと思う。その意味で、ジャーナリズム本であるし、読んでいて楽しい。

この中で、著者が着目しているのは、トップとのコミュニケーションに裏打ちされた現場力である。例えば、キャノンの本社力であれば、

・トップが現場にいけば、現場は刺激をうけ、張り合いを倍加させる

・全体最適がただのお題目ではなく、会社全体がひとつになって動くような仕組み作りをしなくてはならない

・経営のスピードはコミュニケーションの伝達の速さと深さによる

といったポイントをあげている。

プロジェクトX的な本はあるが、組織の取り組みをこのような視点で取り上げた本は珍しく、ありそうでなかった本。

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2007年5月17日 (木)

CGMは何をどう変えるか?

4839923094 伊藤史「CGM-消費者発信型メディア―Web2.0時代のマーケティング戦略」、毎日コミュニケーションズ(2007)

お奨め度:★★★★

Web2.0がいろいろな変化を期待されている中で、大いに注目されているCGM(Consumer Generated Media)について、体系的にまとめた一冊。非常に分かりやすく書かれている。

まず、第1章で、CGMの定義や最新動向、CGMが発達する要因について述べられている。CGMが何かよく分からない人もこの章を読めば大枠を把握することができる。

2章以下では、CGMが消費者行動を変えつつあることと丹念に述べている。
 ・語り始める
 ・つながりはじめる
 ・能動化する
といった切り口から消費者行動の変化をまとめている。その上で、企業はそれにどのようなマーケティングで対応すればよいかを述べている。

さらに、それを踏まえて、変化に対応するというより、もう少し、プロアクティブな意味で、企業がどのようにCGMを活用していけばよいかをまとめている。

あまり知らなかった分野だが、この本を一冊読んでだいたいのことが分かった。ただ、ひとつだけ残った疑問がある。それは消費者行動が変わるという議論ではなく、消費者という概念そのものはこれからどう変わって行くかという疑問。能動化する消費者のところで少し触れられているが、そもそも、生産者と消費者という区分そのものが意味があるのかという気もしてくる。Web2.0が、単に、google化、amazon化だけではなく、パラダイム変化を引き起こす可能性があるのはこの辺りではないかと思われる。場合によっては、マーケティングの概念そのものを変えるポテンシャルも秘めているのではないかと思う。

そこも含めて、興味深いコンセプトであるCGMを理解するには最適の一冊である。

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2007年4月20日 (金)

クリエイティブ・クラスを目指そう!

447800076x_01__sclzzzzzzz_v23679609 リチャード・フロリダ(井口典夫訳)「クリエイティブ・クラスの世紀~新時代の国、都市、人材の条件」、ダイヤモンド社(2007)

お奨め度:★★★★1/2

リチャード・フロリダは都市経済学者である。フロリダによると、今、経済はクリエイティブ・クラスと呼ばれる人材がリードするという時代に入ったという。本書はその論文である。

クリエイティブ・クラスというのをひと言で言うのは難しいが、新しい概念ではない。15年前にピーター・ドラッカーがナレッジワーカーの時代であると指摘したが、クリエイティブクラスそのものはナレッジ・ワーカーである。

ただし、ナレッジワーカーの中で、リードしていける、イノベーションを引き起こすることのできるナレッジワーカーであり、フロリダの主張はそのようなクラスのナレッジワーカーが経済を引っ張り出しているというのだ。

ドラッカーのいうように、いまや、先進国におけるほとんど仕事は知識労働になっている。言い換えると、労働者の多くはナレッジワーカーである。知識労働における価値の増大はイノベーションが全てであるといってもよい。そう考えると、この流れは自然な流れである。

表紙で紹介されているカーデザイナーの奥山清行氏の言葉が印象的である。

「トヨタの成功の理由は製造現場のクリエイティブ・クラスにある」

マネジャーのクリエイティブ・クラスとは、通常ではできないような目標をイノベーションによりクリアしていくような人材であろう。クリエイティブであるかどうかが、これからのマネジャーの評価基準になることをこの本は教えてくれる。

特に30代の人は時間をとってでもじっくりと読んでみて欲しい。人生観が変わるかもしれない。

2007年4月13日 (金)

人をあきらめない組織

4820717030_01__aa240_sclzzzzzzz_v2488359_1 HRインスティテュート(野口吉昭編)「人をあきらめない組織―育てる仕組みと育つ現場のつくり方」、日本能率協会(2007)

お奨め度:★★★★1/2

如何に人を育てるかという切り口で、あるべき人を育てる組織になる方法を説いた一冊。

非常に力強いメッセージ「人をあきらめない組織」を作るには、

 プリンシプル(絶対的な人づくりへの理念と意志)
 ウェイ・マネジメント(人づくり遺伝子の仕組み化)
 モチベーション・エンジン(やる気を挽き出すコミュニケーション基盤と進化)

という3つの要素が必要であり、それぞれについて以下のような要素が必要であると説いている。

プリンシプルには

・トップマネジメントの行動・意志

・人に対する信念の存在

・周囲の意識・行動から見える浸透

などが必要である。ウェイマネジメントには

・尊敬できるリーダーシップがあるか

・人材育成・開発の仕組み

・習慣・口ぐせ

が必要である。三番目のモチベーションエンジンには

・オープンコミュニティ

・自己主張・提案できる環境

・チーム意識を醸成する環境

が必要である。

この本では、それぞれの要素について、診断を踏まえて、どのような取り組みをすればよいかをフレームワークとして提示しているので、実践的に使える一冊だ。

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