イノベーション Feed

2008年5月25日 (日)

プログラムマネジメントのツボ

4798115274ベナム・タブリージ(新井宏征訳)「90日変革モデル 企業変革を加速させる3つのフェーズ」、翔泳社(2008)

お薦め度:★★★★

原題:Rapid Transformation:A 90-day Plan for Fast Effective Change

最初に手前ミソな話になって恐縮だが、われわれが提唱しているスキームの中で、90日間がキーワードになっているものが2つある。ひとつは、「プログラムマネジメント」のスキームであり、そして2つ目はそのプログラムマネジメントのスキームを応用したプロジェクトマネジメントの導入・定着化スキームである。いずれも、変革のマネジメントであるが、90日間に拘っているところに経験的な意味がある。それは、変革に巻き込む人のモチベーションを最初の掛け声だけで維持できる限界が90日くらいだと思われるからだ。その意味で90日で何らかの成果を出すということがきわめて重要なことだ。この成果がなくては、求心力が弱くなり、変革は絵に描いた餅になる可能性が高くなる。

さて、この本だが、この90日の間に、クロスファンクショナルチームを作り、

フェーズ1:診断(30日)
フェーズ2:未来を描く(30日)
フェーズ3:準備をする(30日)

という3つのフェーズを実行することによって、

・参加型の変革
・包括的かつ統合的な変革
・迅速な変革

を実現しようというものである。ここで述べられているフェーズは、変革の期間ではなく、そのシナリオを計画と描く期間である。その後、変革実行を6~12か月で行うとされている。

このモデルの近い事例として、3M、ベリサイン、ベイネットワーク、アップル、ACIなど56ケースの事例から、その有効性を説いている。

本書では、まず、最初に変革の準備として何をすべきかを述べた上で、変革の取り組み体制であるクロスファンクショナルチームについて、なぜ、クロスファンクショナルチームがよいのか、そして、どのようにクロスファンクショナルチームを結成して、変革に取り組んでいくかを解説している。

次に各フェーズについてその詳細を解説するとともに、上の事例で、各フェーズにおいて、何をやったかをプラクティスとして紹介している。そして、90日間で、変革の実行をするにあたって、どのような点に留意すればよいかを説明している。

訳者があとがきに書いているように、ここで展開されているモデルは、変革手法として一般的に述べらているものとそんなに大きな違いがあるわけではない。ただ、非常に評価できるのは90日間というスケジュールの設定をしている点も含めて、非常に具体的である点だ。どのような会議を開くか、その会議でどのようなアジェンダを議論するかまで含めて説明されている。その点で、非常に実践的な本である。

特に冒頭にも述べたように、90日を如何に合理的、かつ、効果的に活動するかは極めて重要であり、そこにこれだけ具体的な方法論を提供してくれる点で素晴らしい本だと思う。

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2008年5月24日 (土)

ジョン・ネスビッツは、何をみて、どう考えているか?

447876106xジョン・ネスビッツ(本田 直之監修、門田 美鈴訳)「マインドセット ものを考える力」、ダイヤモンド社(2008)

お薦め度:★★★★★

マインドセットは

経験、教育、先入観などから形成される思考様式、心理状態

という意味でつかわれる言葉である。人間の思考様式や、心理状態というのは一面的に捉えることはできず、多面的にとらえるために、「セット(集合)」として認識される。

まず、このマインドセットの言葉の意味を念頭において欲しい。

さて、本書は世界の未来像を描き、社会に大きなインパクトを与えた「メガトレンド」の著者、未来学者ジョン・ネスビッツが書いた未来を読み解くためのマインドセットを書いた本である。

序文の中で、ネスビッツは、私には未来が予測でき、多くの人には予測できない理由はマインドセットの違いにあると指摘し、このマインドセットを身につければ、ジョン・ネスビッツのごとく、未来を予測できると説く。

さて、そのマインドセットとは以下の11である。

マインドセット1 変わらないもののほうが多い
マインドセット2 未来は現在に組み込まれている
マインドセット3 ゲームのスコアに注目せよ
マインドセット4 正しくある必要はないことを理解せよ
マインドセット5 未来はジグソーパズルだ
マインドセット6 パレードの先を行きすぎるな
マインドセット7 変わるか否かは利益次第である
マインドセット8 物事は、常に予想より遅く起きる
マインドセット9 結果を得るには、問題解決よりもチャンスを生かすべし
マインドセット10 足し算は引き算の後で
マインドセット11 テクノロジーの生態を考える

社会的な問題だけではない。たとえば、自分の会社の将来の姿を見たいとき、自分の事業の先を考えてみたいとき、この11の視点から考えることによって、適切な未来像が見えてくるだろう。

第2部では、この11のマインドセットを用いて、実際にジョン・ネスビッツが未来図を描いてみせている。メガトレンドと似ているものもあるが、この本のマインドセットの解説を読んでから読んでみると、また、別の面白さがある。

ついでだが、この本、「レバレッジ・リーディング」の著者、本田直之氏の監訳で、コメントを寄せている。このメッセージを読むと、レバレッジ・リーディングってこういうことかって分かる(笑)。

最後にもう一つ、おまけ。本書に併せたわけでもないだろうが、未来のリーダーシップ論として、ピーター・センゲの「出現する未来」とともに注目されているハワード・ガードナーの「Five Minds for the future」が翻訳された。

4270003308ハワード・ガードナー(中瀬 英樹)「知的な未来をつくる「五つの心」」、ランダムハウス講談社(2008)

この本もいずれ書評しようと思うが、この本は、未来のリーダーは

・熟練した心
・統合する心
・想像する心
・尊敬する心
・倫理的な心

の5つのマインドセットが必要だと説いている。未来リーダーを目指す人は併せて読んでみてほしい。

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2008年5月 1日 (木)

シンプルは売れる

4492556079 ジョン・マエダ(鬼澤 忍訳)「シンプリシティの法則」、東洋経済新報社(2008)
お薦め度:★★★★★
原著:The Laws of Simplicity

世の中がだんだん複雑になっていく中で、複雑性への対処方法の本は花盛りである。ビジネス書の杜で取り上げている範囲でも、システム論、編集、データマイニング、シナリオプラニング、心理学、など、科学、人文社会にまたがって多くの手法の活用が見られる。

そんな中で、この本は一読の価値がある。この本は、複雑さを引き起こさないために、製品デザインや組織デザイン(制度デザイン)は何を考えればよいかを、「シンプル」に100ページで考察した本である。著者は、MITメディアラボ教授である、ジョン・マエダ。2006年に話題になった本だが、やっと翻訳された。

ジョン・マエダの言うシンプルの法則とは

1.削除 シンプリシティを実現する最もシンプルな方法は、考え抜かれた削除を通じて手に入る。
2.組織化 組織化は、システムを構成する多くの要素を少なく見せる。
3.時間 時間を節約することでシンプリシティを感じられる。
4.学習 知識はすべてをシンプルにする。
5.相違 シンプリシティとコンプレクシティはたがいを必要とする。
6.コンテクスト シンプリシティの周辺にあるものは、決して周辺的ではない。
7.感情 感情は乏しいより豊かなほうがいい。
8.信頼 私たちはシンプリシティを信じる。
9.失敗 決してシンプルにできないこともある。
10.1.シンプリシティは、明白なものを取り除き、有意義なものを加えることにかかわる。

の10個だ。これに合わせて、この法則によりシンプリシティ達成のための3つの鍵を提示している。

1.アウェイ:遠く引き離すだけで、多いものが少なく見える
2.オープン:オープンにすれば、コンプレクシティはシンプルになる
3.パワー:使うものは少なく、得るものは多く

このためのシンプルプロセスのコアコンセプトは、「SHE」
1.縮小(SHRINK)
2.隠蔽(HIDE)
3.具体化(EMBODY)

この本のもっとも重要なメッセージは、「シンプルは売れる」ということだろう。本ではiPodだとか、googleなどを例示しているが、この本に書かれている法則は複雑化し過ぎた世の中で真に求められている。

ぜひ、一度読んで、自分たちに求められているシンプリシティ、その実現について考えてみてほしい。薄い本であるが、議論の奥行きは極めて深い。これこそが、シンプリシティの持つパワーなのだろう。

訳はよいと思うが、この本は英語の単語のニュアンスにも奥行きがある。その意味で、英語で読んでみるのもよいのではないかと思う。

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2008年4月14日 (月)

創造力を生かす

4422100432 アレックス・オスボーン(豊田晃訳)「創造力を生かす」、創元社(2008)

お薦め度:★★★★★

アレックス・オズボーンの名前は一度くらい聞いたことがあるのではないだろうか?オズボーンの名前を聞いたことがなくても、ブレーンストーミングという発想法であればだれでも知っているだろう。ブレーンストーミングは、1938年、当時、広告代理店の副社長だったオズボーンが考案した発想法である。ちなみに1938年は昭和13年である。

そのオズボーンが、創造力の発揮をテーマに1948年に書いた本がある。「Your Creative Power」という本。この本は日本では、1969年に創元社から「創造力を生かせ」というタイトルで紹介された。

この本、筆者が大学の専門課程の最初の年に教科書として使ったのが出会いで、それ以来だから30年近いファンということになる。今年になって、この本の新装版が出た。今までも、この本はよく紹介していたが、よい機会なので、ブログで取り上げておきたい。実は、もう、どんな本をブログで取り上げたかはっきりとした記憶がないのだが、おそらく、この本がブログで取り上げた本の中で、もっとも古い本だと思う。

分野を問わず、行動原則についてまとめて書いた本でもっとも多くの人に読まれているのは、デール・カーネギーの「人を動かす」、比較的、新しいところでは、スティーブン・コヴィーの7つの習慣だと言われている。

4422100513 4906638015デール・カーネギー(山口 博訳)「人を動かす 新装版」、創元社(1999)

スティーブン・コヴィー、ジェームス・スキナー(川西 茂訳)「7つの習慣―成功には原則があった!」、キングベアー出版(1996)

この2冊はリーダーシップに関する行動原則について書いた本である。

オズボーンの本は、これらの匹敵するくらい多くの人に読まれている本である。これを見ると、やはり、組織にとっての2大課題がリーダーシップと創造であることを物語っているように思え、興味深いところだ。

しかし、日本でオズボーンの名前を知る人はそんなに多くないと思う。オズボーンの名前を知らなくても、ブレーンストーミングを知っているのは日本くらいではないかと思うが。

そんな本であるが、創造についてすべてが書かれている本といっても過言ではない。内容をおおまかに分けると、まず、創造力が何をもたらすか、そして、創造力とはどのようなものなのかといったあたりを中心にした概論が述べられている。具体的な構成でいえば

アラジンのランプは今も輝く
創造的努力の報いは大きい
創造力を持たぬものはない
創造力は教育や年齢には関係がない
創造力は場所を選ばない
イマジネーションの種類
創造的イマジネーションの種類
創造力のランプを満たす油

といったあたりである。

そして、次に、創造力を高めるためのさまざまな工夫や手法、テクニックについて述べられている。ここには

連想力は記憶とイマジネーションを結ぶ
創造力を推進する感情的な力
意志のあるところアイディアあり
判断力はアイディアを殺すことがある
自己の創造力をそこなわないこと
創造的な努力は賞賛を好む
創造力の訓練は楽しい
まず肚をきめること
目標を定めよう
問題を分析し事実を挿入する
試案を得る
利用法を考える
借用を翻案
一ひねり変化させてみよう
拡大しよう
縮小しよう
置き換えてみよう
配置換え・再調整をしよう
反対を考えてみよう
結合させる
心の窓をあげて精神を遊ばせよう
幸運の女神は絶えず追う者にほほえむ

のようなタイトルが並んでいる。さらには、チームや組織による創造についても言及をしている。また、社会的な扱いについても触れている。

アイディアはアイディアの上に成り立つ
「三人寄れば文殊の知恵」か?
アイディア創造のふさわしいチームの作り方
提案制度
創造的力は人生を明るくする
統制における創造力
科学における創造力
教育界への要望

ということで、よいとか、悪いとかいう次元の本ではないので、書評は避けるが、とにかく、この本をきっちり一冊読めば、上にあげた本と同じく、間違いなく、世界が変わる本であることは間違いない。

もちろん、ブレーンストーミング(この本ではブレーンストーム会議)についてもたびたび、言及されているし、ブレーンストーミングとはそもそも何なのかということを感じることができるので、そのようなニーズで読んでいるものいいだろう。

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2008年4月 1日 (火)

BMWができるワケ

4478082790 トーマス・アレン、グンター・ヘン(日揮株式会社監修、糀谷利雄、冨樫経廣訳)「知的創造の現場―プロジェクトハウスが組織と人を変革する」、ダイヤモンド社(2008)

お薦め度:★★★★★

なぜ、BMWはあんなに革新的で、ドライバーをわくわくさせ、美しい車を作れるのであろうか?著者もそのひとりであるが、こんな疑問を持っている人は多いと思う。

その答えがこの本の中にある。

この本は、組織内でのコミュニケーションパターンが、「組織構成」と「空間構成」の2つの相互作用によって決まるのではないかという仮説のもとに、MITスローンの教授で技術系組織のコミュニケーション手法を専門とする研究者トーマス・アレンと、ドイツの著名な建築家であるグンター・ヘンがコラボレーションした本。

この本の中心をなすのは「スパイン(背骨)」というコンセプトである。スパインは文字通り、背骨のような形をしたオープンスペースであり、ここで組織を超えたコミュニケーションが行われ、気づきが生まれ、イノベーションが起こる。

グンター・ヘンはBMWにスパインを応用したプロジェクトハウスを作った。BMWのプロジェクトハウスでは、スパインが垂直に立っているが、ここに試作車を置き、さまざまな活動の中心となり、プロジェクトにかかわる人々の流れや活動は自然とここに引き寄せられるような設計になっている。さらに、プロジェクトハウスの周辺部門からもブリッジを渡って参加でき、プロジェクトに参加できる(連絡調整、情報収集)。このようにして、他のプロジェクトや製品にかかわるメンバーとの出会いも生まれ、インスピレーションを誘発するコミュニケーションが生まれる。

この状況はトーマス・アレンが専門とするコミュニケーション手法を実現することになる。このように、建築(プロジェクトハウス)と組織構造を組み合わせることによって、高い成果が生まれることを具体的な事例を分析しながら、述べた本。

プロジェクトワークプレイスというのは重要であるという認識はあるが、せいぜい、コロケーション(同一場所でプロジェクト作業をする)くらいで、一方で、マトリクス組織のコンフリクトに悩むという図式がある。

そろそろ、こんなことを考えてみる時期に来ているのではないだろうか?BMWのような車を作りたければである。

ちなみに、京都に本社のある企業で、スパインコンセプトだと思われる研究所を作っている企業がある。組織構造やプロジェクトマネジメントがどうなっているかは知らないが、公開情報で知る限り、かなり、創造的な成果を上げているようだ。やはり、このコンセプトは一定の効果があるのだろう。

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2008年1月17日 (木)

「変人力」が改革の決め手

4478000832_2 樋口泰行「変人力~人と組織を動かす次世代型リーダーの条件」、ダイヤモンド社(2007)

お薦め度:★★★1/2

ダイエーの再建のリーダーとして乞われた樋口泰行氏が1年半にわたる活動から得られた変革型リーダーの在り方をまとめた本。エピソードを中心につづられており、リアリティのある話で、物語としても面白く読める。

ダイエーがどのような状況だったかを示すエピソードがある。ダイエーはかつて、野菜に強かったが、いろいろな問題で、その強みをなくしていた。ヒューレットパッカード社の社長だった樋口氏は、HP社の送別会で、いろいろな店で買ってきた野菜を並べ、どれがダイエーのものかを当てるというゲームをやらされる。もっとも鮮度が悪いのがダイエーのものだった。それが原因でもないのだと思うが、まずは、野菜改革に取り組み、一定の成果を出す。これを契機にして、風土改革を行い、ダイエーをなんとか再建のめどがつくところまでひっぱていく。

その際に、樋口氏が再建(変革)プロジェクトのリーダーとして必要だと思った力が

・現場力
・戦略力
・変人力

だという。現場力とは、「現場の創意を最大限に引き出す力」である。戦略とは「人や組織をただしい方向に導く力」である。そして、この本のタイトルでもある変人力とは「変革を猛烈な勢いでドライブする力」である。

これらの定義はこの本のそれぞれの章の副題として書かれているものなのだが、僕自身は本文中にもっと強烈なインパクトのあるフレーズがあった。特に変人力では、本文中にその定義として

エモーション
周囲が何を言おうとも自分の信念を貫きとおす力
底知れない執念で変革をやり遂げようとする力

といった表現があるが、エモーションとか、信念とか、執念といったキーワードの方がぴったりとする。

この本を読んでいると、タイトルにあるとおり、やっぱりキーになっているのが変人力である。もちろん、方向が間違っていたり、現場がしらけていたりしたのでは話にならないが、逆にいえば、このあたりはそれなりにできる人が多い。特に、樋口氏の、松下電器、ボスコン、HPというキャリアをみれば不思議ではない。

ダイエーでこの時期に樋口氏が果たした役割に対して、本当の意味での評価がされるのはもっと後だと思うが、丸紅という会社の支援を受けることができるようになったのは大きな成果だ。その意味で、成功したプロジェクトだと言えると思うが、樋口氏でなくてはできなかったとすれば、エモーショナルに動くことができたことではないかと思う。本として見れば、現場力に最も力が注がれていて、変人力のあたりが薄いのは多少物足りないなと思った(ただ、主役は現場なので、書いているうちにそのようになったのだろうというのは容易に推測できる)。その点で★を3つ半とした。内容的にはもうひとつ★を増やしてもよい本だ。

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2007年12月 7日 (金)

イノベーションのウソ・ホント

4873113458 Scott Berkun(村上雅章訳)「イノベーションの神話」、オライリー・ジャパン(2007)

お薦め度:★★★★

昨年出版されたプロジェクトマネジメントの本の中では群を抜いて面白く、昨年のベスト1に選んだ「アート・オブ・プロジェクトマネジメント」の著者Scott Berkunが独特の視点でイノベーションの陰に隠れた真実を引き出そうとした一冊である。

この本は以下のパターンで10の神話を取り上げている。
(1)イノベーションにまつわる神話を洗い出す
(2)なぜそれが有名になっているかを解説する
(3)真実という観点からそれを探求し、教訓とする
の3つである。要するに、一般的に言われている神話は必ずしも正しくないというのがこの本の趣旨だ。
神話として俎上に上げているのは

・ひらめきの神話
・私たちはイノベーションを理解している
・イノベーションを生み出す方法が存在する
・人は新しいアイディアを好む
・たった一人の発案者
・優れたアイディアは見つけづらい
・上司はイノベーションについてあなたより詳しい
・最も優れたアイディアが生き残る
・解決策こそが重要である
・イノベーションは常に良いものをもたらす

の10個。これをニュートンからグーグルまで引っ張り出してきた「小話」で説明し、また、反例を上げている。
「アート・オブ・プロジェクトマネジメント」ほど面白いとは思わなかった。何が違うのかなと思って考えてみたが、結局、このアンチテーゼの元になっている神話そのものが誰もが信じていることだけではないということに尽きるのだろう。僕の場合でいえば、このうちの8つくらいは反例を思いつくような神話だ。
その点は差し引いても、相変わらずアンチテーゼの視点や事例引用は鮮やかであるので、読んでいて刺激を受けることは間違いないし、イノベーション読本としては、間違いなく一級品である。

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2007年12月 5日 (水)

プロジェクトXの経営学

462304873x 佐々木 利廣「チャレンジ精神の源流―プロジェクトXの経営学」、ミネルヴャ書房(2007)

お薦め度:★★★★1/2

プロジェクトXにはまっています。なぜから、こういう連載を始めたからです。

プロジェクトXにみるスポンサーシップ

プロジェクトXというと、そのネーミングからか、プロジェクトマネジメントの視点から取り上げられることが多い。しかし、プロジェクトXというのはプロジェクトマネジメントについて問われるべきものではなく、「プロジェクトのマネジメント」について問われるべきものである。つまり、経営組織がプロジェクトをどのように行っていったかをテーマにしているものは極めて多い(もちろん、純粋なプロジェクトものもあるが)。

ということで、八重洲ブックセンターにいきプロジェクトXの本を探していたら、面白い本があった。これがこれ。

まとめ方も面白く、NHKのプロジェクトXはなぜ、面白いかという視点からまとめている。まとめたのは、京都産業大学の先生たち。分析視点は
・新規事業創造
・製品開発と企業間協調
・イノベーションと産業発展
・新市場の開拓とマーケティング戦略
・経営の国際化と組織学習
・組織間の異種協働
・リーダーシップとリーダー・フォロワーの関係
の関係。この視点の設定はたいへん、面白いし、参考になった。NHKのストーリーがプロジェクトにフォーカスしているので、その背後や環境をうまく抽出する視点だからだ。

ただし、分析は、教科書のような分析なので、経営学の教科書かと突っ込みたくなるような内容。もう少し、突っ込んでほしかった(実際に教科書として使っているようなので、そのためかもしれない)。

ということで、試みは評価したいし、この本を読んでプロジェクトXを見ると、見方が変わると思う(実際にやってみたらそうだった)。その意味でも意味があると思う。本当は★3つ半くらいにしたいのだが、★1個はその点でのおまけ。

また、プロジェクトマネジャーが、自分の置かれている立場を確認するためにも読んでほしい1冊である。

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2007年11月 7日 (水)

寓話で読む変革型リーダーシップ

4478000344 ジョン・コッター(藤原和博訳)「カモメになったペンギン」、ダイヤモンド社(2007)

変革リーダーシップのグル、ジョン・コッターが自らの説くチェンジマネジメントを寓話として描いた一冊。

ペンギンたちの住むコロニーが氷山の内部の融解により、崩壊の危機にあることを1人のペンギンが発見する。相手にされないままに何人かに伝えるが、やっと聞いてくれる人に出会う。そのペンギンはボスに窮状を訴える。ボスは抵抗勢力の抵抗をかわしながらも、問題解決に取り組む。

最初はみんな真剣だったが、よいアイディアが出てこず、だんだん、士気が低くなる。そうしたある日、カモメが飛んでいるのを発見する。何をしているのかと尋ねたところ、次に住む場所を偵察しているのだという。

これに刺激され、遊牧構想が生まれてくる。そこで、カモメにならい、次に住む場所を探す偵察を出すことにするのだが、大きな問題に直面する。ペンギンは自分の子供以外に餌をとってやらない。これでは偵察に出たペンギンの子供は飢えてしまう。

このような問題に対して、ほかの子供ペンギンが、偵察にいくペンギンをたたえるイベントを企画する。イベントにはみんなが餌を持ってくることになった。

こうして偵察隊を出すことができ、安全な住処を見つけ、難を逃れる。その後、ペンギンたちは、この制度をどんどん、改善していく。偵察への報償は大きくなり、その分、より条件のよい住処を探してくるようになる。

ざっとまとめるとこんな話だが、8つのプロセスのチェンジマネジメントで出てくるかなり多くのポイントが寓話の形で盛り込まれており、たいへん、役に立つ。

変革をする際の大きな問題に、多くの人が変革プロセスそのもののイメージができないという問題がある。このため、抵抗勢力とならなくても、変革の足を引っ張ることが多い。この問題に対して、寓話の形で変革ストーリーを共有するというのはよいアイディアではないだろうか?

コッターの考え方で変革に取り組む企業は多い。そんな企業のすべての人にお薦めしたい一冊である。

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2007年11月 5日 (月)

プロジェクト・ブック

4395241018 阿部仁史、本江 正茂、小野田泰明、堀口徹「プロジェクト・ブック」、彰国社(2005)

クリエイティブなプロジェクトのマネジメントについて書かれた本というと、まっ先にトム・ピーターズの「セクシープロジェクト」

トム・ピーターズ(仁平和夫訳)「トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦〈2〉セクシープロジェクトで差をつけろ!」、阪急コミュニケーションズ(2000)

が思う浮かぶ。この本は素晴らしい本だと思うが、トム・ピーターズに負けない本があった!

それがこの本。

さぁ場所をつくろう
キャラ立ちしたチームメンバーを集めよう
ワークスタイル
スケーリング
デザインツール
地図を語れ
キャスティングしてみよう
ライフスタイル
ミーティングは30分×4セット

など、クリエイティブなスタイルにこだわり抜いた創造の極意が63個、書かれている。効能は

コラボレーションしたいとき、行き詰ったとき、ひまなとき、プロジェクトを始める前、プロジェクトを終えてから、人を使うとき、課題が出たら、卒業設計のとき、独立して事務所を開いたら、所長に怒られたとき、人間関係が辛いとき

など。

創造的なプロジェクトなど、ほかの世界の話と思っているIT系の人にもお薦め。プロジェクト感が変わること間違いなし!

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