プロジェクトXの経営学
佐々木 利廣「チャレンジ精神の源流―プロジェクトXの経営学」、ミネルヴャ書房(2007)
お薦め度:★★★★1/2
プロジェクトXにはまっています。なぜから、こういう連載を始めたからです。
プロジェクトXというと、そのネーミングからか、プロジェクトマネジメントの視点から取り上げられることが多い。しかし、プロジェクトXというのはプロジェクトマネジメントについて問われるべきものではなく、「プロジェクトのマネジメント」について問われるべきものである。つまり、経営組織がプロジェクトをどのように行っていったかをテーマにしているものは極めて多い(もちろん、純粋なプロジェクトものもあるが)。
ということで、八重洲ブックセンターにいきプロジェクトXの本を探していたら、面白い本があった。これがこれ。
まとめ方も面白く、NHKのプロジェクトXはなぜ、面白いかという視点からまとめている。まとめたのは、京都産業大学の先生たち。分析視点は
・新規事業創造
・製品開発と企業間協調
・イノベーションと産業発展
・新市場の開拓とマーケティング戦略
・経営の国際化と組織学習
・組織間の異種協働
・リーダーシップとリーダー・フォロワーの関係
の関係。この視点の設定はたいへん、面白いし、参考になった。NHKのストーリーがプロジェクトにフォーカスしているので、その背後や環境をうまく抽出する視点だからだ。
ただし、分析は、教科書のような分析なので、経営学の教科書かと突っ込みたくなるような内容。もう少し、突っ込んでほしかった(実際に教科書として使っているようなので、そのためかもしれない)。
ということで、試みは評価したいし、この本を読んでプロジェクトXを見ると、見方が変わると思う(実際にやってみたらそうだった)。その意味でも意味があると思う。本当は★3つ半くらいにしたいのだが、★1個はその点でのおまけ。
また、プロジェクトマネジャーが、自分の置かれている立場を確認するためにも読んでほしい1冊である。
目次
はしがき
一 製品をつくる
1 新規事業創造
事業創出と持続的成長の実現
2 製品開発と企業間協調
3 イノベーションと産業発展
テレビ産業の競争と革新
二 市場を拓く
4 新市場の開拓とマーケティング戦略
5 経営の国際化と組織学習
三 組織を束ねる
6 組織間の異種協働
多様な組織による社会的課題の解決
7 リーダーシップとリーダー・フォロワーの関係
8 制作現場から見た「地上の星たち」
あとがき 「チャレンジ精神の源流」の試み
コメント