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2009年3月

2009年3月31日 (火)

【ほぼ日 読書日記】2009年3月30日

なんかよくわからないがチームマネジメントの本が立て続けに出た。チームマネジメントの本を読んで、これは役立ちそうと思うことは少ないが、珍しくそんな本に当たった。

石川 和幸「チームマネジメントがうまくいく成功のしかけ」、中経出版(2009)

なんでそう思ったかというと、プロジェクトマネジメントを念頭において、補完的にチームマネジメントの議論をしているため。チームマネジメントだけの本というのは、いいとこ取りのような使い方はできるが、それだけ。この本は、スキームとして体系的に使える可能性がある。議論が尽くされていない部分があるようにも思ったが、良い本。

もう一度読んで、紹介記事を書きたい。

もう一冊、目を通した。

岡島 幸男「ソフトウェア開発を成功させるチームビルディング 5人のチームを上手に導く現場リーダーの技術」、ソフトバンククリエイティブ(2009)

こっちも、結構よい。岡島さんの本は好きだ。プロジェクトファシリテーションは、平鍋さんを中心にして、結構、人材がいて、だんだん、進化しているような印象があるが、結構、使えるところまできているのではないかな。そろそろ、一度、体系化して欲しいなあと思うが、それは次の本に期待しよう。

ただ、読んでいてふと思ったのだが、話が結構重くなってきているのではないだろうか?もう少し、習慣化のような議論をして、方法論は軽くすることを考えた方がよい時期にさしかかっているのかもね。

2009年3月30日 (月)

フレームワークを使いこなすにはこの本!

4534044399 手塚 貞治「戦略フレームワークの思考法」、日本実業出版社(2008)

お奨め度:★★★★★

この1年くらい、やたらとフレームワークの辞書のような本が目につく。さしあたって、このような流れを作ったのは、また、勝間和代さんではないかと思われるので、すごい影響力だ。

4887596391 勝間和代「勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力 ビジネス思考法の基本と実践」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2008)

数ある勝間本の中では、僕はこの本がもっともよい本だと思うが、フレームワーク本としては、もっとお奨めなのがこの手塚さんの本だ。

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現場力強化の鍵はミドルが握る

4492556303_2遠藤功「現場力復権~現場力を「計画」で終わらせないために」、東洋経済新報社(2009)

お奨め度:★★★★1/2

日本における「現場力」ブームの発端になった、ローランド・ベルガー会長の遠藤功さんの著書

4492531718遠藤功「現場力を鍛える~「強い現場」をつくる7つの条件」、東洋経済新報社(2004)

の続編。事例の紹介をしながら、それらの事例に見られるベストプラクティスや、問題点の解決方法の提言をしている。

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システム思考で「匠に呪縛」から解放されよう!

4532260361 木村 英紀「ものつくり敗戦―「匠の呪縛」が日本を衰退させる」、日本経済新聞出版社 (2009/03)

お奨め度:★★★★★

日本の技術が苦手なのか、「理論」、「システム」、「ソフトウエア」を3つだという仮説に基づく、システム思考を中核に据えた技術マネジメント論。

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【ほぼ日 読書日記】2009年3月29日

今日は軽く、新書を2冊。

1冊目。

竹内 薫(嵯峨野 功一構成)「理系バカと文系バカ」、PHP研究所(2009)

ブログの読者の人は関東の人が多いのではないかと思うが、関西が日本に誇るローカルの情報番組は、

「たかじんのそこまで言って委員会」(読売)
「ムーブ!」(朝日)

の2つ。

「ムーブ!」は平日の16時くらいからやっていた情報番組(春の番組改編で終わってしまった、残念!)。「ムーブ!」の中に、「サイエンスコーナー」というのがあって、「宇宙エレベーター」などの話題をしている。

そのコーナーの担当がこの本の筆者竹内 薫さん。たいへん、おもしろいコーナーなので、この本も期待しながら読む。

なぜ、こんなネタフリをしたかというと、ムーブではなんで、「宇宙エレベーター」なんてやっているんだと昔から思っていた。もっといえば、サイエンスコーナーがある情報番組など、NHK以外にないだろう。

その秘密がこの本を読んでわかった。「ムーブ!」のディレクターには2人も理系がいたらしい。

この本にも書いてあるし、結構、複数の人から聞いた話だが、アメリカのメディアには、結構、理系の人がいる。だから、「ナショナル・ジオグラフィック」といったすばらしい番組ができる。日本にはいないから、文系人間が自分の頭で考えて、興味のないネタは絶対に取り上げない。ゆえに、薄っぺらな番組しかできないっていう話。

そうだなあって思うよなあ。

今、読者プレゼントをしている高橋さんからシステムシンキングの本ができるときの編集エピソードを聞いた。紹介記事にも書いているが、システムシンキングの柱はロジックと時間変化である。前者は因果ループというツールで扱い、後者はトレンドグラフというツールで扱う。後者はそんなものかいても誰も興味持たないからという理由で、詳細説明はすべて没になったらしい。まさに、この本で指摘されていることだ。

ただ、このように見ることそのものが、この本で指摘されている理系の特徴、文系の人をワンランク下にみているってことかもしれない(苦笑)。

竹内さんの話も戻るが、関西の人以外だとこっちの方が有名か。このベストセラーの筆者のサイエンスライターです、はい。

竹内 薫「99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方」、光文社(2006)

「理系バカと文系バカ」は、おもしろかったのであとで紹介記事を書こう。

もう一冊。

山田 日登志「自分で考える社員のつくり方」、PHP研究所(2009)

大野耐一の直系の弟子だという山田 日登志さんの本は、なんとなく、買うし読んでしまう。基本的にそんなに話の幅にレパートリーがあるわけではないので、どうしても、同じ内容の看板の掛け替えっぽい。

今回の本、ちょっと興味を持ったのは、なぜ、トヨタがトヨタショックと呼ばれるような経営の失敗を引き起こしたかを知りたいと思っているから。

残念ながら、あまり、ヒントはなかったな。「時には立ち止まって考えることが必要だった」という以前から持っている仮説を覆すようなものは見つからなかった。

2009年3月29日 (日)

【ほぼ日 読書日記】2009年3月28日

セミナーのあとで、京都に移動。なんとなく、買ってしまった本を読み出して思いっきりはまった。

ジョー・マクモニーグル(杉本 広道訳)「遠隔透視ハンドブック」、東洋経済新報社(2009)

ジョー・マクモニーグルは名前は知っていたが、もっとうさんくさいものだと思っていた。どうして、どうして、科学的じゃないですか。びっくり。

こういう方法論が確立されているというのは、やっぱり、米国は大国だ。

僕が特に興味深かったのは、7章の「透視者は訓練で何を学ぶか」という章。透視というのは何かというのがこの章でなんとなくイメージできた。

2009年3月28日 (土)

【ほぼ日 読書日記】2009年3月27日

書き忘れていたが、書籍プレゼント、新しくなりました。今度はシステム思考。今日に日記にあった感じ。こちらです。

高橋 浩一「レバレッジ・ポイントを見つけ出せ! 問題発見力養成講座 “木を見て森も見る”システム・シンキング」、日本実業出版社(2009)

さて、年度末に駆け込みで新規セミナーを2本やったので、その準備に追われて、最近、あまり本を読んでいなかった。っていうか、明日、久しぶりに戦略論の講義をするので、この際と思って、本を買い集めて、15冊くらい読んだので、他の本を読む気にならなかったというのが正しい。

以前からの持論であるが、戦略論や戦略思考の本は著者を決めて読んだ方がよい。複数の人の本を読むと、訳がわからなくなる。その中で、この本はいい感じだと思った。好みです。

谷口 和弘「戦略の実学 際立つ個人・際立つ企業」、NTT出版(2006)

ということで、今日、やっと明日やる「ビジネスマンのための戦略論」というセミナーの資料を作り終え、久しぶりにゆっくりと本を読んだ。

木村 英紀「ものつくり敗戦―「匠の呪縛」が日本を衰退させる」、日本経済新聞出版社 (2009/03)

木村先生は、大学時代から、制御のエンジニアとしてのキャリアの中でいろいろな形でお世話になった先生だ。先生の論文に影響を受けたこともあるし、学会で有益なアドバイスをもらったこともある。

この本を見たときに、別人かと思ってすぐにプロフィールを見たらご本人だった。この本をよく日経プレミアム文庫から出したなと思うくらい、堅い内容の本。論旨は明確。システム的な発想をせずに戦争に負けたののと同じ道をビジネスでもたどろうとしているぞという、システムを軽視する日本人への警鐘。

思えば、システムズアプローチというのが一瞬だけ脚光を浴びた時期があった。米国ではアポロで人類が月面着陸を成し遂げ、日本では新幹線という次世代のビークルが登場した。すべてシステムズアプローチのなせる技で、零戦や戦艦大和とは一線を画すものだった。

実は、これが僕が大学に入った前後の10年。僕はシステム工学という道を選んだ。世紀の愚策だと思うが、この後、どんどん、システム工学系の学部は情報系に切り替えられてしまう。今では、40代前半までの世代で、ちゃんとシステムズアプローチを勉強したことのある人材はほとんどいないのではないかと思う。これが国際競争力の劣化につながっていることは間違いない。とくに、システムを基本とするマネジメント系の弱さが目立つ。木村先生の指摘は、得意だった技術分野で、システムズアプローチ(システム思考)の欠如により、どんどん、負けているというもの。

これは、これからローブローのように効いてくると思う。あと、15年くらいは競争力が取り戻せないような気がする。ひょっとすると、ずっと追いつけないかもしれない。

ただし、今回の不況に引き金になった金融工学もシステムズアプローチであり、すべてがよいという風にはみんなが考えなくなってきた。足が止まれば少しでも追いつくチャンスだ!

まあ、そんなことを考えながら読んで見て欲しい。ただし、システム論が結構出てくるので、読みづらいことは覚悟の上で。。。

2冊目。

八幡 紕芦史「人はなぜオバマに魅せられるのか?」、PHP研究所(2009)

僕は、八幡紕芦史さんの古くからのファンだが、最近、こういうソフトな読み物的な感じの本が増えてきた。この本、八幡さん独自の視点から、オバマ大統領のリーダーシップを分析しており、なかなか、読ませるし、おもしろい。

ただ、オバマというのはリーダーシップ研究の対象になりうる人物なのだろうかという疑問は持っている。この本を読んで改めてそう感じた。

マネジメントの研究のおもしろさはケースの選び方にかなり依存する。その意味で、あまりおもしろい分析だとは思わなかった。むしろ、それでも本としてうまくかいている八幡 さんの筆力に感心という趣の本だ。

ついでも、もう一冊、読んだ。「シュガー社員が会社を溶かす」を読んでいっぺんにファンになってしまった社労士の田北百樹子さんの新作。

田北 百樹子「ブラック企業とシュガー社員」、ブックマン社(2009)

「悪いのはどっちだ?」って、おっもしろいところに目をつけたなあ。本当にこの人の着眼点はすごいと思う。思いっきり本質を突いているよなあ。この本、紹介記事かきます。

今、シュガー社員のアマゾンのページみたら、あまり、みかけない★の付きかたをしている。★★が0なのに、★が20%もついている。世の中がこういう反応をするというのは、やっぱり、この話は本物だと思う。今度の本は、シュガー社員より、一段とグレードアップしている。

2009年3月25日 (水)

【ほぼ日 読書日記】2009年3月23日

日記が遅れているが、これは23日の日記です。

数日前の日記に、物語の基本的パターンというのを学んで、気になってしかたないという話を書いた。

メルマガでシステム思考の連載記事を書こうと思って準備をしているのだが、物語の件があって、ちょっとおもしろいことを思いついた。

自己啓発本を10冊ほど取り出して、その中に書いてある教訓を変数にして、因果ループ図を作ってみた。およそ、200。暇と言えば暇だが、まあ、ネタ仕込み。

できるだけ分野とかキーワードが離れているものを取り出したのだが、ほとんどの変数はつながってしまった。前々からうすうすと思っていたが、結局、自己啓発本というのは同じことを手を変え、品を変え(著者を変え、編集を変え)作っているのだと思う。

そんなことをした後で、まだ、因果ループが頭の中に残っているのだが、これは独立した変数があるのではないかと思われる本に出会った。

白取 春彦「考えすぎない思考術 成功体質になる24の習慣」、宝島社(2009)

そんなに共感するわけではないが、とにかく、変わったことを言っていることは確かだ。

さて、もう一冊。パコさんの本に目を通した。

渡辺 パコ「「先読み力」養成講座 未来を導くクリティカル・ティンキングの実践法」、ビジネス社(2009)

サキヨミという言葉は村中さんのプロアクティブが先鞭をつけた感があるが、本当の意味でのサキヨミというのはこちらではないかと思う。派手さはないが、パコさんらしい、良い本だ。

2009年3月24日 (火)

初対面の相手に信用を得るための手練手管

4062724669 佐藤 六龍「江戸秘伝 職養道のすすめ」、講談社(2007)

お奨め度:★★★★★

職養道とは、「職を養う道」のことで、江戸時代に年季明けで独立していく職人たちに、師や親方が授けた職業上の心得の集大成である。

江戸時代に、日用品や食料品を売る「生業」と呼ばれる仕事で一応の信頼を得ることは難しいことではなかった。実際にものを売るからだ。これに対して、医者や髪結い、大工、左官、易者など、「九流之術師」と呼ばれる仕事では、初対面相手から信頼を得ることは難しく、そのために各職業には「職養道」と呼ばれる仕事の上の心得が伝えられていたという。職養道は口述だったので、明治維新の近代化の波に飲まれて衰退し、戦後は完全に消滅したと思われていたが、橘哲州という占術家によって継承されており、橘哲州と箱根で一夜をともに過ごすことになった著者が話を聞き、あまりのおもしろさに著者の主催する運命学の教室で、「怪しげな職業の人間が相手の信用を得るための手練手管」として教えているそうだ。

それを書籍化したのが本書である。

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2009年3月23日 (月)

【ほぼ日 読書日記】2009年3月22日

むう、書評家が本を出すというのは難しいなあ。

僕は小飼さんのブログは好きで時々、読む。ブログの方はおもしろいし、普段あれだけ言っているのだから、さぞかしおもしろいだろうとハードルを上げてしまうなあ。

小飼 弾「小飼弾の「仕組み」進化論」、日本実業出版社(2009)

マーケティングの行き届いた本だとは思うが、なぜか響かないなあ。昔、ある研究機関の仕事で、ヒット商品の成功要因を自動的に抽出して、組み合わせて商品を企画するという仕事をしたことがあるが、その仕事を思い出した。

さて、思いっきりはまってしまったのがこの本。

佐藤 六龍「江戸秘伝 職養道のすすめ (講談社プラスアルファ新書)」、講談社(2007)

実は20日の神戸大学のMBAコース20周年イベントで、加護野先生が紹介されていたので、読んでみたのだが、実におもしろい。

これは必ず紹介記事を書くが、例えば、「嘘をついても人をだますな」というのは加護野先生の十八番。

水槽のカマスに餌をやるとすぐに食べる。そこで、水槽を透明なガラス板で仕切って、入れないところに餌を入れても、暫くは食べようとするが、何度かガラス板に激突して目的が叶えられないことを学習するとやがてカマスは餌を入れても反応しなくなる。一旦、こうなってしまうと、次に仕切りのガラスを取り除いて同じように餌を入れてもカマスは餌に喰いつこうとしなくなる。

と振っておき、ミドルマネジャーにガラス板は「あなた」ですと指摘するネタ。カマスの話は(たぶん)嘘だ。

最近、僕の別のブログのゆでガエル現象の記事に「実際にやってみたのか?やってみたらカエルは跳びだしたぞ、嘘を書くんじゃない」というコメントがついていた。

これも同じ。世の中には実際に実験した人もいるが、カエルは飛び出すらしい(僕はしらない)。つまり、この話そのものは嘘だ。

ただ、カマスの話も、カエルの話も、それでいっていることは正しい。知見に富んでいるし、示唆的である。つまり、聞いた人をだましているわけではない。

こういうのが、「嘘をついても人をだまさない」ということだ。これはプロデュースには不可欠である。この本の紹介記事はまた書く。

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