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2005年5月

2005年5月31日 (火)

ピーエムアタマを作る

メールマガジンをはじめてから知り合った人で、もう2年以上付き合っている人がいる(Aさんと呼ぼう)。あるメーカで技術系人材の人材育成を担当している人であるが、今のところ、会社としてのお付き合いはなく、個人的なお付き合いにとどまっている(この記事、読んでいたら、たまには仕事を依頼してください!;笑)。

こういうお付き合いがメルマガ開始後、3年間で40人くらいはできたと思う。その中でもAさんとは考え方がよく合う。組織文化のシャイン博士のいう「基本的仮定」のレベルで考え方が共有できているように思う。一言でいえば

「いくら手法を身につけても、そんなにすごいプロジェクトマネージャーは生まれない」

という点で価値観が一致している。プロジェクト手法や、ノウハウを否定しているのではない。これらはもちろん、大切である。問題はこれらに対して、パターンのようなものがどれだけ通用するかどうかである。

ちょっと話がそれるが、1年くらい前に、「ジアタマ」のよしあしが話題になったことがある(漢字では地頭と書く)。世の中で人間の頭の良さをいうのに、

 知識-思考力-パフォーマンス

というモデルが使われることがある。知識と思考力はわかると思う。パフォーマンスは、あまたの回転の速さとか、ひらめきの多様さとかをいう。

このモデルだと、ジアタマというのは思考力の部分が中核になる。もちろん、知識やパフォーマンスが不要ということではないが、中核になるのは思考力である。

このモデルが面白いのは、思考力というのは育てることができるからだ。つまり、ジアタマはよくすることができる。これが思考法ブームの正体だったという説がある。

さて、話がもとに戻るが、Aさんと僕の共通の認識は、プロジェクトマネージャーを育てるというのはジアタマの強い人材を育てることだということである。つまり、経験知のようなものを教え込むのではなく、プロジェクト、あるいはプロジェクトマネジメントの中でのクリティカルシンキングやシステムシンキングを具体的に教えるといったことが必要だということ。われわれはこれを、「ピーエムアタマ」と呼んでいた。

ここまではよいのだが、ご承知のように、今年度、うちで2本の新しいオープンセミナーを開発した。ひとつは、まさに、このジアタマ強化セミナーで

  ◆システム思考によるプロジェクト統合マネジメント
  日時:8月2~3日(終日)
  場所:ヴィラフォンテーヌコンファレンスセンター
  講師:好川哲人(プロジェクトマネジメントオフィス)
  参加料:84,000円(税込)
  詳細・お申込 http://www.pmos.jp/juku/regular/pmp-system.htm

である。これは、Aさんとの議論をきっかけに開発したセミナーである。しかし、もう1本の

  ◆プロジェクトを成功させる10のベストプラクティス
  日時:6月16~17日(終日)
  場所:ヴィラフォンテーヌコンファレンスセンター
  講師:好川哲人(プロジェクトマネジメントオフィス)
  参加料:94,500円(税込)
  詳細・お申込 http://www.pmos.jp/juku/regular/pmp-practice.htm

にAさんは異議を唱えてきた。なぜ、そんなセミナーをやるのか?と。いつも言っていることと違うのではないか?と。

このAさんの意見は、おそらく、ベストプラクティスというものに対する誤認であると思った。ベストプラクティスというのをノウハウとか、経験知という風に考えている人が多い。確かに、そういう側面があるのは事実だ。「こういうケースはこうやればうまくいった」というパターンに見えるからだ。しかし、ベストプラクティスというのは単なるノウハウではない。

世の中でよく、成功事例と失敗事例という並びで議論をすることがある。オブジェクト指向でいえば、パターンとアンチパターンである。ところが、よく考えてみると、この2つは似て非なるものである。失敗事例というのはまさに事例であり、知識である(失敗に学ぶというのはちょっと違うが)。ところが成功事例というのは知識ではない。

日本人は、「ちょっとでもよいところを取り入れられるとよい」という発想をする。これはこれで、向上心が強く、ポジティブだという意味ですばらしいことである。ところが、これで大やけどをすることがある。たとえば、こんな話に身に覚えはないだろうか?どこかで顧客の声に耳を傾けようという話を聞いてきた。なるほど、これは大切だと思う。偉いのは、ここから、さらに独自に研究し、よりよい取り組みをしようとする。その結果、顧客絶対主義とも呼ぶべき風潮がはびこったことがある。心当たりのある企業もあるのではなかろうか。

なぜ、こんなことが起こるか。成功を部分的に切り出しているからだ。いわゆるいいところ取り。しかし、トレードオフのある問題でそんなうまい話はあるはずがない。

つまり、成功事例というのはシステムであり、思考法なのである。システムとして、思考法を伴って切り出さなくてはならない。

ベストプラクティスというのも成功事例であるが、単に事実としての知識ではない。それを思考法に昇華したものだ。昇華する思考法としては、やはり、システム思考法が適切だろうと思うのだ。このセミナーはそういう意味でのプロジェクト思考法のセミナーである。半日のプロジェクト思考法セミナーでは、ものの考え方を議論している。しかし、ベストプラクティスのセミナーでは、プロジェクトマネジメントとしてそのような考え方をどのように展開していくかを議論している。

つまり、僕にしてみれば、ベストプラクティスのセミナーもピーエムアタマの強化セミナーということになるのだ。幸い、Aさんはこの説明で納得してくれた。

みなさんは如何でしょうか?

by 好川哲人

◆関連セミナーURL

プロジェクトを成功させる10のベストプラクティス

http://www.pmos.jp/juku/regular/pmp-practice.htm

2005年5月30日 (月)

コラム「プロジェクトマネジメントにおけるベストプラクティスとは(1)」

ベストプラクティスというのはよく分かったような、分からないような言葉である。プロジェクトマネジメント実行のベストプラクティスというと

 画期的な成果をあげたプロジェクトマネジメントプロセス
 プロジェクト業務推進の方法
 プロジェクトマネジメントノウハウ

といったものが思い浮かぶ。

では、なぜ、ベストプラクティスということを考えるのだろうか?理由は簡単。「答えがないから」である。「経営はこのようにすれば絶対に成功する」、「プロジェクトはこのようにすれば絶対に成功する」というのは考えにくい。ある方法をとって成功するかどうかは、ケースバイケースである。もっといえば、「成功」の定義そのものがケースバイケースである。

このような状況で考えることは何か?自分たちのやりたいことをうまくやっている事例を探してきて、分析し、そのやり方に学ぶということを誰もが考えるだろう。

さて、話をプロジェクトに絞ってみよう。「こうすればプロジェクトは絶対にうまく行く」といううまい話はない。したがって、上に述べたように、事例を探してくる。そのためには、まず、自分たちにとって何がベスト(成功)なのかということを決める必要がある。これもさまざまである。プロジェクト期間の短縮が成功である場合もあれば、品質向上が成功である場合もある。いずれにしても、成功の評価の指標と数値目標を決め、その目標を達成している事例を探す必要がある。そして、その事例の中から本質的な成功要因を抽出する。この成功要因をベストプラクティスという。自分たちと同じ条件での成功事例だと思っておけばよい。

そして、ベストプラクティス決まれば、それに対して、自分たちがどのようなレベルにあるかを判断し、ベストプラクティスとの差異を分析し、その差異を小さくする方法を検討する。このような一連のオペレーションをベンチマーキングと呼ぶ。

ここで考えなくてはならないことは、プロジェクトマネジメントのベストプラクティスの対象は何かという点だ。まず、プロジェクトマネジメントそのもののやり方が対象になる。プロジェクトマネジメントのやり方には

 ・プロセス
 ・マネジメント行動

の2つがある。

しかし、プロジェクトマネジメントのベストプラクティスはこれだけではない。これ以外にも

 ・マネジメントによるプロジェクトのサポート
 ・PMOによるプロジェクトマネジメントのサポート
 ・人材育成
 ・組織文化

などが大きな影響を持っていると思われる。

今回は、言葉の説明だけになったが、とりあえず、ここまで。

by 好川哲人

◆関連セミナーURL

プロジェクトを成功させる10のベストプラクティス

http://www.pmos.jp/juku/regular/pmp-practice.htm

2005年5月28日 (土)

セミナー「プロジェクトを成功させる10のベストプラクティス」

プロジェクトの目標とするQCDを達成し、プロジェクトを成功させるには、さまざまな視点からのマネジメントが必要になります。スコープのマネジメント、QCDのマネジメント以外にも、リスクのマネジメント、人のマネジメント、チームのマネジメント、調達のマネジメントなどです。プロジェクトをマネジメントするには、メインのマネジメントの流れを組み立てるスキルが必要であることはいうまでもありませんが、それだけでは不十分です。これらのマネジメントに対するベストプラクティス(もっとも優れたプロジェクトマネジメントの実践方法)をどれだけ知っているかが成功と失敗の分かれ道になります。

このセミナーでは、プロジェクトマネジメントオフィスが、エンジニアリング、製造業、IT、製薬などのさまざまな業種、商品開発、受託開発、研究開発、イベント、新規事業、ビジネスプロセス改革、コンサルティングなどさまざまな業務で蓄積してきたベストプラクティスの中から、重要だと考えるものを10個チョイスし、適用事例を紹介しながら、解説していきます。
ベストプラクティスの説明は、プロジェクトの立ち上げから、計画、コントロールといった時間の流れに従って、各局面でのベストプラクティスとして紹介していくため、自然に把握でき、また、セミナー終了後の適用もスムーズに行うことが期待できます。

さらに、演習として、いくつかのベストプラクティスに対してベンチマーキングをしてみます(注)。これにより、紹介されたベストプラクティスをセミナー終了後により適用するヒントを得ることができます。

注)ベンチマーキングとは、ひとことで言えば「ベストに学ぶ」ということです。ベスト・プラクティス(経営や業務において、もっとも優れた実践方法)を探し出して、自社のやり方とのギャップを分析してそのギャップを埋めていくためにプロセス変革を進める、という手法です。現行の業務を測定し、それをベスト企業の業務と比較する継続的プロセスであり、数値評価を行うことで、判断に客観性をもたせ、社員に具体的な目標を与えることができます。

◆セミナーURL

プロジェクトを成功させる10のベストプラクティス

http://www.pmos.jp/juku/regular/pmp-practice.htm

◆セミナー関連コラム

・プロジェクトマネジメントにおけるベストプラクティスとは(1)

https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2005/05/post_3e71.html

・プロジェクトマネジメントとは(1)

https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2005/05/post_6854.html

(by:プロジェクトマネジメントオフィス

セミナー「WBSを使ったメンバーのセルフマネジメント」

プロジェクトを計画するのはプロジェクトマネージャーやチームリーダーのプロジェクトマネジメントチームですが、その計画を実行するのはメンバーです。

プロジェクト成功には、メンバーがプロジェクト計画を理解し、確実に実行する力「メンバーシップ力」が必要です。

本セミナーでは、プロジェクトマネジメントの要であるWBSの有効利用によりメンバーシップ力の向上を目指します。

まず、担当分のWBSをプロジェクト全体のWBSと整合性を取りながら、メンバーがいかに作成するかを解説し、次に、WBSを使ってメンバーがすべきことを取り上げています。

それは、作業を実行するための、時間の使い方、作業の効率化、進捗報告、リスクに対する考え方です。メンバーのセルフマネジメントをこの4つの観点から行うことを提示します。

メンバーシップ力を向上させたい方のご参加をお待ちしています!!

◆セミナーURL

WBSを使ったメンバーのセルフマネジメント

http://www.pmos.jp/juku/membership/pmm-wbs.htm


上記セミナーは終了していますが、新しいパラダイムで次のセミナーを開催しています。

自己リーダシップによるプロジェクトマネジメント

セミナー「ITプロジェクトのリカバリーマネジメント」

プロジェクトの中でもとりわけリカバリーマネジメントの必要性が高いのが、SIプロジェクトに代表される、受注型のプロジェクトです。受注型のプロジェクトでは、プロジェクトの失敗は単に社内の問題にとどまらず、顧客との取引の中での「信用問題」になるという現実があります。一方で、トラブルが顧客に起因することも多く、トラブルの防止が難しい面があることも現実です。

このような現実の中で、最近、急速に注目を浴びるようになってきたのが、「リカバリーマネジメント」です。リカバリーマネジメントは、あまり、耳になじまない言葉ですが、要するにトラブルが発生した際に、仕切り直しをして、プロジェクトの納期、コストのダメージを最小にとどめるというマネジメントのことです。

一般的に、トラブルの際には、いくつか守るべき鉄則があります。しかし、何よりも大切なことは、トラブル対応であるということを明確に意識し、対処していくことです。プロジェクトを進めていくと、是正では対応できず、計画変更を余儀なくされる場合があります。そして、計画を変更しただけでは、プロジェクトの当初目標を達成できないケースがでてきます。これがトラブルです。

トラブルには、損失が伴います。したがって、いかにプロジェクトを完了まで持っていくかよりは、如何に損失の少ないゴールを設定し、そのゴールに向かって如何にプロジェクトを安定させるかに専心する必要があります。これがリカバリーマネジメントです。

これを通常のプロジェクトとして、単に計画変更だけで乗り切ろうとすると、傷をどんどん深くする場合が多く見受けられます。その意味で、プロジェクトを安定させる、つまり、傷を深めないようにすることが重要なのです。

今回のセミナーでは、IT系のプロジェクトに的と絞り、プロジェクトのリカバリーマネジメントについて、ポイント、事例、プロセス、計画について解説します。さらに、SIプロジェクトのリカバリーにおける状況評価、リカバリー計画の策定、リカバリーモードの完了評価について、演習を通じて学びます。

トラブルで手痛い経験のある方、ぜひ、ご参加ください!

◆セミナーURL

ITプロジェクトのリカバリーマネジメント

http://pmos.jp/pmstyle/seminar/it_project_recovery.html

by:プロジェクトマネジメントオフィス

コラム「プロジェクトマネジメントとは(3)」

ひとつは、どのような場面でどのようなマネジメント手法を繰り出すかをよく考える必要がある。この選別がうまくできないと、逆効果になることもある。例えば、どう考えても設定されている予算内で完了させるのが難しいプロジェクトの計画を作っている。このときに、安く調達するために綿密な調達マネジメントをするというのは、不適切だ。調達マネジメントにマネジメントコストをかけるのであれば、チームマネジメントに力を入れてチームの生産性を上げる方が筋である。こんな話だ。

さらに考えたいことは、そうは言いながらも、自分はどのようなマネジメント手法が得意かということをよく考える必要がある。例えば、上の例で交渉力に自身があれば、ステークホルダを口説き落とし、予算の増額を認めてもらうという選択もないわけではない。

それは極端な例だとしても、例えば、リスクマネジメントを重視し、リスクの発生を極力抑え、無駄なコスト発生を防止し、結果として予算を守るという考え方もあるだろう。

要するにこれが「スタイル」であるが、二つ目は特に前提条件、制約条件が厳しいプロジェクトに取り組むときには、自分のスタイルを確立し、自分の武器として磨き上げていくことが重要である。プロジェクトマネジメントの達人という人たちは、やはり、自分のスタイルを持っている。スタイルは磨き上げることによって、必殺技になるのだ。

スタイルを作り、磨き上げ、必殺技にするにはどうするか?まず、自分のスタイルをイメージする必要がある。その上で、そのスタイルを実行するには

 ・どのようなアビリティ(知識)
 ・どのようなコンピテンシー
 ・どのような行動規範

が必要かをよく考え、それを習得する必要がある。

ここでアビリティと言っているのは、主に知識で、WBSを作るとか、見積もりをするとか、PERTを使ってスケジュールを作るとかである。ところが、これだけでは実際のプロジェクトマネジメントには歯が立たない。自分のアビリティをどのように使うかを判断できないからだ。これがコンピテンシーである。コンピテンシーとは、状況を把握し、相手の期待にこたえる行動をする能力である。さらには、自分のプロジェクトマネージャーとしてのポリシーとしての行動規範を持つ必要がある。

この中で、アビリティは本を読んだり、研修を受けたりすることによって習得できる。しかし、コンピテンシーや行動規範を身に付けるには行動が必要だ。これについては次回。

by 好川哲人:Tetsuto Yoshikawa

◆関連セミナーURL

プロジェクトと成功させるリーダーのマインドとスキルを知る

http://www.pmos.jp/juku/regular/pmp-style.htm

プロジェクトを成功させる10のベストプラクティス

http://www.pmos.jp/juku/regular/pmp-practice.htm

◆関連コラム

・プロジェクトマネジメントとは(2)

https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2005/05/post_7baf.html

コラム「プロジェクトマネジメントとは(2)」

前回、さまざまな問題が動く中で、QCDSの目標を達成するために管理だけではだめで、プロジェクトマネジメントが必要であるという話をした。今回はマネジメントとは何かという話から入りたい。

マネジメントの誤ったイメージとして、何か(課題)を実現したい時に魔法の杖のような手法があり、それをすればうまくいくというイメージがある。ボクシングでいえば、幻の右ストレートで一撃といったイメージである。これは誤解だ。

むしろ、課題を実現するために、手を変え、品を変え、何とかして課題を解決していくというイメージが適切だ。ボクシングでいえば、ジャブやストレートなどのいろいろなパンチを繰り出し、最後に相手を倒すというイメージである。

さて、マネジメントとは、さまざまなパンチで、QCDSを計画通りに持っていくことだと例えると、パンチに当たるのは何だろうか?

これがリスクマネジメントであり、調達マネジメントであり、コミュニケーションマネジメントなどのマネジメント手法である。また、チームマネジメントやステークホルダマネジメントも役立つだろう。

このようなハードなマネジメント手法だけではない。リーダーシップ、ネゴシエーション、メンタリングといったいわゆるヒューマンソフトマネジメントも大いに役立つ。

つまり、このようなさまざまなマネジメント手法、ソフトマネジメントを駆使して、いろいろな併せ技で目標とするQCDSを達成するのがプロジェクトマネジメントなのだ。つまり、パンチの種類を増やせば増やすほど、プロジェクトの成功の確率は高くなる。

ただし、ここで気に留めておきたいことが2つある。

◆関連セミナーURL

プロジェクトと成功させるリーダーのマインドとスキルを知る

http://www.pmos.jp/juku/regular/pmp-style.htm

プロジェクトを成功させる10のベストプラクティス

http://www.pmos.jp/juku/regular/pmp-practice.htm

◆関連コラム

・プロジェクトマネジメントとは(1)

https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2005/05/post_6854.html

・プロジェクトマネジメントとは(3)

https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2005/05/post_600f.html

コラム「プロジェクトマネジメントとは(1)」

プロジェクトマネージャー養成マガジンを発行しだして、3年になる。この前から時間を見て、過去の戦略ノートを読み返している。このメールマガジンでは戦略ノートがスタートであり、また、メインでもある。3年前の記事を読んでみて、論説の稚拙さを感じるものもあれば、大切なことを忘れていることに気づいてはっとするものもある。書いた本人がいうもの変だが、なかなか、興味深いものだ。

で、改めて気がついたのだが、プロジェクトマネジメントとは何かという議論を一度もしていないことに気がついた。昨日配信した戦略ノートもそのような気づきに基づいて書いたものである。

pm_learning_styleコラムとして何回かこの問題について考えてみたい。

プロジェクトは

 ・成果物とその品質

を定義し、その成果物を定められた

 ・スケジュール(納期)
 ・コスト(予算)

で生み出す活動である。いわゆるQCDSである。

これらに対しては、「管理」が行われる。つまり、計画(ベースライン)を作って、計画通りにプロジェクト作業を進めていく。これが「プロジェクト管理」である。

しかし、いくら計画を立てたところで、計画通りに成果物を実現できるという保証はない。
意外と認識されていないが、プロジェクトマネージャーには命令権がないのが普通である。平たく言えば、プロジェクトマネージャーはそれぞれの作業についてやってほしいとお願いはできても、やれと命令できない。基本的には指揮命令権はラインの権限であり、プロジェクトに命令権が必要だと考える組織はライン組織を使ってプロジェクトを実施するという形をとることが多い。

このように考えると、計画通りに実現できないと考える方が一般的である。ここが、プロジェクトマネジメントで現実を直視できていない部分であり、誤解でもある。

実現できない理由を考えてみるといろいろある。計画通りに要員が確保できない、プロジェクトを取り巻く環境が変わる、メンバーが自分の持つ力を最大限に発揮してくれない、予算が削られる、納期が前倒しになる、要求される成果物をはっきり決めれない、成果物の要求が変更になる、コミュニケーションに行き違いがある、調達先にちゃんとしたサービスや成果物を提供してもらえないなど、枚挙に暇がない。

このような要因を考えてみると、命令権をもって命令をしたところで、計画通りに実行できるものではないということはすぐにわかる。

そこで、さまざまな「計画」を達成できなくする要因がうごめく中で、なんとかして「計画」を実行し、成果物を達成するのが「マネジメント」である。したがって、QCDSが計画通りに達成できないケースが想定される場合には、管理だけではだめで、マネジメントが必要である。

by 好川哲人:Tetsuto Yoshikawa

◆関連セミナーURL

プロジェクトと成功させるリーダーのマインドとスキルを知る

http://www.pmos.jp/juku/regular/pmp-style.htm

プロジェクトを成功させる10のベストプラクティス

http://www.pmos.jp/juku/regular/pmp-practice.htm

◆関連コラム

・プロジェクトマネジメントとは(2)

https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2005/05/post_7baf.html

コラム「型を持とう!」

最近、メルマガ読者の方や、クライアントさんから、よく聞かれるのが、なぜ、スタイルにこだわるのかということです。「pmstyle って何」とよく尋ねられるのです。

スタイルは日本語で言えば、「型」です。「型」といえば何を思い浮かべられるでしょうか?柔道、剣道などの武道には「型」があります。茶道や華道にも「型」があります。ビジネスにもこれらと同じ型があってよいだろうというのが、pmstyleの主張です。

「型があると何がよいのか」。ポイントはここです。

一言でいうと、

自分の型を持つことによって、その型にいろいろな自分の経験や気づきが信念となり、練りこまれていき、より強い型になっていく

これに尽きます。これは組織を見ているとよく分かります。トヨタ自動車がその代表ですが、成長、あるいは学習をしている組織は必ず自分たちの型があり、その型に新しい経験や英知を練りこんでいくことで成長や学習を繰り返しています。

個人においても全く同じことです。

ビジネス分野では、型という言葉からの連想は、「型にはまる」というのが強く、これは、限界的なイメージがあり、あまり良い印象がありません。ゆえに、「型破り」な人材が求められます。

しかし、型破りというのは型を持たないことを言っているわけではありません。型破りな人は、そのときに「自分を取り巻く社会や組織の型」と異なる「自分の型」を作っている人のことです。これは、最近、世の中をにぎわしているライブドアの堀江社長を見ているとよく分かります。非常に明確な「型」を持っている人です。

こういう人は、失敗しても動じません。変化があっても動じません。いといろなものが練りこまれた自分の型というのは強いものです。自分の型が確立されていると、その型で成功する方法、成功する分野を探していくという戦略が取れます。

私は仕事柄、多くのプロジェクトマネージャーとお会いしていますが、組織の中で評価されているプロジェクトマネージャーは必ずといってよいくらい「自分の型」を持っています。その型が組織の型と違っても日本の企業は許容するようです。この辺りが日本企業の強さ、日本人の強さかもしれません。欧米系の企業だと間違いなく、他へ言ってくれといわれるでしょう。だから、エントリーのところでお互いのスタイルをぶつけ合います。

型とは「規範」です。もし、プロジェクトマネージャーとしての自己実現を目指すキャリアを歩んでいこうと思うなら、必ず、自分の型(スタイル)を作り、そこに新たしく得た経験、知識、知見を練りこんでいくようにしたいものです。

by 好川哲人:Tetsuto Yoshikawa

◆関連セミナーURL

プロジェクトと成功させるリーダーのマインドとスキルを知る

http://www.pmos.jp/juku/regular/pmp-style.htm

2005年5月27日 (金)

ワークショップ「プロジェクトを成功させるリーダーのマインドとスキルを知る」

本講座は、pm_learning_styleのエントリーになる講座です。

pm_learning_styleでは、まず、本講座を受講し、自分自身のキャリアに対するスタンスを決定し、その上で、スキルアップを図っていくという流れになっています。

pm_learning_styleでは、プロジェクトマネージャーには、マインド、ハードスキル(テクニカルスキル)、ソフトスキル(ソフトマネジメントスキル)の3つの柱が必要だと考えています。

ハードスキルはPMBOKに代表されるプロジェクトマネジメントの手法やプロセスに関する知識です。ソフトスキルは、その知識の適用をスムーズに行えるためのヒューマンスキルや、ノウハウです。そして、マインドは、プロジェクトの目的を達成するための心構え、言い換えると目的意識です。

この3つは自転車に例えると

 ハードスキル=後輪
 ソフトスキル=前輪
 マインド=自転車に乗る人

という関係になります。どれが欠けても、自転車は前に進むことができません。

 プロジェクトマネジメントも同じで、単にKKD(勘・経験・度胸)だけではだめです。しっかりとした目的意識のもとで、体系化された知識を使って、経験に裏打ちされた判断や、ヒューマンソフトスキルを駆使して、初めてプロジェクトは成功します。

このセミナーでは、まず、皆様の現状のレベルを知って戴くためにスキルとコンピテンシーのアセスメントを行います。

そして、それを念頭におき、

  プロジェクトマネージャーが成功する法則―プロジェクトを牽引できるリーダーの心得とスキル

の著者である好川哲人が、この本をテキストに、プロジェクトマネジメントに必要なマインドやスキルを概観し、いかにプロジェクトや日常業務に取り組んでいけば、それらを身につくかをお話します。

その上で、皆様に自身のプロジェクトマネージャーとしてのビジョンを作っていただき、そのビジョンを実現するためのプランを作成していただきます。

◆セミナーURL

プロジェクトを成功させるリーダーのスキルとマインドを知る

http://www.pmos.jp/juku/regular/pmp-style.htm

(by:プロジェクトマネジメントオフィス