PMstyle 2024年5月~7月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

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2020年5月 1日 (金)

レジリエンス(回復力/再起力)を高める

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◆はじめに
 
緊急事態宣言も5月末までに延長になり、いよいよ、先が見えなくなってきました。PMstyleでも
 
「日常的な実践を振返り、整理し、強化し、レジリエンスを高める」
 
というコンセプトを決め、本格的にオンライン講座を導入することになりました。
 
【お知らせ】公開講座の中止、およびZOOMセミナー開催について
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2020/04/zoom-067d.html
 
このような動きに対して、レジリエンス(resilience)とは何かという問い合わせも頂いており、また参考になりそうな本を教えてほしいという依頼もあり、レジリエンスについて簡単に説明するとともに、より詳しく勉強するために読むことをお薦めする本のご紹介をしたいと思います。
 

◆レジリエンスの広まり
 
レジリエンスは、元々はストレスとともに物理学の用語でした。ストレスとは「外力による歪み」であり、レジリエンスはそれに対して「外力による歪みを跳ね返す力」として使われています。
 
その後、精神医学でも用いられるようになりました。精神医学では、レジリエンスは「極度の不利な状況に直面しても、正常な平衡状態を維持することができる能力」という意味で使われます。
 
さらに、2013年のダボス会議で国際競争力としてのレジリエンスが取り上げられ、それ以降、政治、経済、環境、技術、人材育成などさまざまな分野で使われるようになってきています。ビジネスやマネジメントの世界ではレジリエンスは「困難な状況にもかかわらず、うまく適応できる力」の意味で使われます。
 
日本で、ビジネスにおけるレジリエンスが注目されるようになったのは、100年「LIFE SHIFT(ライフ・シフト): 100年時代の人生戦略」で有名になったリンダ・グラッドソン教授が「未来企業 レジリエンスの経営とリーダーシップ」という本でレジリエンスを議論したことがきっかけだと思います。この本については後で紹介します。
 
このようにレジリエンスにはいくつかの領域がありますが、この記事ではビジネスやマネジメントの視点からレジリエンスについて勉強するために読みたい本を紹介したいと思います。
 
 
◆レジリエンスのバイブル
 
まず、レジリエンスといえばこの本がバイブルです!

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アンドリュー・ゾッリ、アン・マリー・ヒーリー(須川 綾子訳)「レジリエンス 復活力--あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か」、ダイヤモンド社(2013)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478012334/opc-22/ref=nosim
 
これは特に分野を限定せず、レジリエンスをシステムとして解説した本です。災害や大混乱によって破綻するシステムと安定を取り戻すシステムの違いは何か、急激な状況変化に適応できる組織や機関、システムはどうすれば構築できるかを、レジリエンスという概念を使うことによって説明した本です。
 
少々概念的ではありますが、まず、レジリエンスというのを正しく理解するためには、特定の分野での本を読むより、こういうアプローチの本を読んだ方がよいと思います。この本の後で出版された本を見ていると、大体、この本て少々されているシステム構築のスキームに包含されていると思われます。
この本が今回、紹介する中で、今、最も読んで欲しい本です。
 

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2015年9月 9日 (水)

【PMstyle Proposition:006】あなたならどう伝えますか?

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                                 あなたならどう伝えますか?       
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ビバリーヒルズ高校のピーターズ校長は今朝、職員の研修旅行を決めた。来週木曜、職員全員でサクラメントに行き、新たな教育メソッドに関する会議に参加する。当日は人類学者のマーガレット・ミードや教育学者のロバート・M・ハッチンズ、カリフォルニア州知事のパット・ブラウンによる講演も予定されているというものだ。

さて、あなたがピーターズ校長ならこれを職員一同にどのように伝えますか

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2015年7月 9日 (木)

【PMstyle Proposition:005】ビーイング・コンセプチュアル

Conceptual6問題解決や意思決定など、いろいろな場面でロジカルシンキングだけではうまく行かないという認識が強くなっています。

問題は、+αとして何を考えるかです。キーワードとしては

センス、発想、洞察、直観、決断

などいくつかありますが、これらの要素を思考の中に取り込んでいくことにより、

「見えないものを把握し、価値を判断し、全体を描き、思考や行動をすること」

、つまり、「コンセプチュアルである」ことが求められているのです。

PMstyleではこのような流れを

ビーイング・コンセプチュアル

と呼んでおり、ビーイング・コンセプチュアルを実現する思考法を「コンセプチュアル思考」と呼んでいます。

コンセプチュアル思考とは「論理」に+αとして、センスや発想、洞察、直観、決断などを加えた思考法です。

PMsytleではビーイング・コンセプチュアルを実現するためのセミナーを開催しています。

ビーイング・コンセプチュアルの入門セミナーは「コンセプチュアルスキル入門」です。「ビーイング・コンセプチュアル」の概要を理解し、コンセプチュアル思考の中核になる「本質」の扱い方を体験するセミナーです。

━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆コンセプチュアルスキル入門~本質を見極め、行動するスキル ◆(7PDU's)
  日時・場所:東京:2015年 07月 30日(木)  10:00-18:00(9:40受付開始)
           銀座ビジネスセンター(東京都中央区)
        京都:2015年 08月 04日(火)  10:00-18:00(9:40受付開始)
           KYOTO de MEETING(京都市南区)   
  講師:好川哲人(エム・アンド・ティ コンサルティング代表)
  詳細・お申込 http://pmstyle.biz/smn/conceptual_skill.htm
  主催 プロジェクトマネジメントオフィス、共催:PMAJ
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  【カリキュラム】                     
  1.概念的に考えて、具体的な行動をする
  2.本質を見極めるスキル
  3.洞察力を高める
  4.応用力を高める
  5.コンセプチュアルが行動を変える~ケーススタディ
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2015年6月18日 (木)

【PMstyle Proposition:004】「センス」としての「コンセプチュアルスキル」

SensePMsytleではコンセプチュアルスキルの定義を

周囲で起こっている事柄や状況を構造的、概念的に捉え、事柄や問題の本質を見極めるスキル

だとしている。これは、提唱者であるロバーツ・カッツの定義を採用したものである。

ところが、この定義、「よく分からない」ということで、あまり評判がよくない。何かと、聞かれることが多くなってきたので、記事にしておく。

実はコンセプチュアルスキルを持ち出す前から、コンセプチュアルスキルに関する活動はしていた。

「センス」

である。

センスの定義もあるようでないのだが、例えば、一橋大学の楠木建先生によると、スキルではカバーできないものということになる。楠木先生は、会計やファイナンスはスキルでカバーできても、戦略策定はセンスでしかできないとおっしゃっている。

確かにその通りであるが、僕はもう少し広くというか、構造的に考えている。スキルによる活動のクオリティを上げる、あるいは成果を大きくするのがセンスだ。会計には会計なりのセンスが必要であり、戦略策定には戦略策定なりのセンスが必要だ。

コンセプチュアルスキルは、カッツの言葉でいうと、テクニカルスキルやヒューマンスキルによる業務の質を向上させるものである。

カッツは職位が上がるとコンセプチュアルスキルの重要性が増してくるといっているが、本質的には、職位が上がると上流で業務をしなくてはならない。上流の業務をするにはコンセプチュアルスキルが必要だということだ。

まあ、これをセンスだと言ってしまうと実も蓋もないので、あまり言わないようにしている。

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2015年2月18日 (水)

【PMstyle Proposition:003】使えるプロジェクトの教訓とは~使える教訓にする2つのポイント

Furikaeri◆教訓を使っているのは4人に1人

IPMA Conference 2000の発表論文「Managing Projects Management Knowledge」の中に以下のような調査があります。

・プロジェクトから教訓を感じる 75%
・プロジェクトの教訓を覚えている 62%
・教訓を誰かに伝える 55%
・教訓を別のプロジェクトに適用する 25%

簡単にいえば、プロジェクトマネジャーの4人に3人はプロジェクトで何かの教訓を感じているのに、教訓を別のプロジェクトに適用する人は4人に1人にすぎません。つまり、半分のプロジェクトマネジャーは何か教訓を感じても、何もしていないということになります。

これはナレッジギャップの問題と呼ばれますが、なぜ、こんなことが起こるのでしょうか?いろいろな原因があると思われますが、根本的な問題として

別のプロジェクトへ適用しようとしたときにできない

という問題があります。

この問題の本質は、そのプロジェクトで起こった事象をそのまま伝えていることにあります。

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2015年2月17日 (火)

【PMstyle Proposition:002】チームでいいアイデアを出す方法

Conceptual5◆KJ法はコンセプチュアルスキルが必要

コンセプチュアルスキルはその生い立ちも「マネジャーに必要なスキル」として提唱されたものだし、スキルとしても思考スキルの側面が強いので、おのずと人のスキルだと考えらている。

しかし、よく考えてみるとそうでもない。

たとえば、コンセプチュアルスキルの一つのスキルとして、抽象と具象を行き来してものごとを考えるというスキルがある。

実はこれはチームのスキルとして非常に大切なスキルである。これをフレームワークにしたのが、フィールドワークの方法として生まれたKJ法である。

KJ法では、まず、具体的な事象なり、現象なり、観察事実なりを片っ端から上げていく。そして、それをグルーピングし、抽象的なラベルを付ける。つまり、概念化するわけだ。そして、その概念に対して、さらなる観察事実はないかと考えたり、あるいは、経験的な事実はないかと考えてみる。新しい事実が出てくれば、もう一度、その概念を見直して、今の概念で適切かを検討する。チームでこの繰り返しをする、すなわち、チームで抽象と具象を行き来していることになる。



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2015年1月 8日 (木)

【PMstyle Proposition:001】プロジェクトマネジメントはもっとコンセプチュアルになる

コンセプチュアルスキル講座では、いろいろな仕事をコンセプチュアルにするをテーマに「コンセプチュアル仕事術」シリーズのセミナーを提供しています。

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第1弾のエンジニアに続き、第2弾として「プロジェクトマネジャー」の仕事術を取り上げました。

今、プロジェクトマネジメントの対象は、比較的、具体的な計画が立てやすいルーチン性の高いプロジェクトを中心に行われていますが、最近増えている

・不確実性の大きいプロジェクト
・規模が大きく、複雑なプロジェクト

では、確定的な計画を作ることが難しく、その中で成果を上げていくことが求められます。この方法としてPMstyleが提唱しているのが

コンセプチュアル・プロジェクトマネジメント

というコンセプトです。

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2014年11月 5日 (水)

【PMstyle Proposition】仕事のクオリティを高める2つのステップ

◆仕組みは役立っていますか

Shigoto

みなさんの会社には業務を支援するためのいろいろな仕組みがあると思いますが、その仕組むは十分に役に立っていますか?

仕組みづくりをするときに難しいのは仕組みを決めることよりも、むしろ、その仕組みが役立つように機能することです。

たとえば、業務の計画をする仕組みを作ったとしましょう。仕組みを作ること自体である程度、業務が計画的になるといった効果は生まれます。しかし、業務が計画的になったからといって業務の成果が飛躍的に大きくなるとは限りません。

計画を作る能力は人によって異なり、非常に生産性が高くリスクにまで配慮した計画をする人もいれば、なんとか制約に収めただけ計画しかできない人もいます。一言でいえば仕組みを作ることによって最低限の計画の形はできますが、計画のクオリティは人によって異なります。

そこで、仕組みを使った業務のクオリティを上げるために必要なのが、コンセプチュアルスキルなのです。

PMstyleではコンセプチュアルスキルによる仕事のクオリティの向上を2つのステップで見ています。

コンセプチュアルな思考によって行動をコンセプチュアルに変え、行動を変えることによって業務のクオリティを高めるという2ステップです。

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