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プロデューサーの走り書き Feed

2015年6月19日 (金)

【プロデューサーの走り書き(3)】モノ的発想とコト的発想の本質的な違い

Kotoよくモノづくりから、コトづくりへといわれるが、これらはどのように違うのだろうか?

たとえば、「荷物を積んだドローン」というモノと、「ドローンで荷物を運ぶ」というコトはどう違うのだろうか?

「荷物を積んだドローン」というモノは客観的なものであり、それを見ている人間の主観に関係ないものだ。ところが、「ドローンで荷物を運ぶ」というコトはドローンという客観的なモノだけではない。そこに何らかの形で関わる「わたし」がいて、主観が入ることで初めて「ドローンで荷物を運ぶ」というコトが生まれるのだ。「荷物を運ぶ」というのは「わたし」がそう思っているだけであって、あくまでも主観であることに注意をしてほしい。第三者にはドローンを飛ばして楽しんでいるだけにみえているかもしれない。

言い換えると、「荷物を積んだドローン」はモノであり、誰がみても「荷物を積んだドローン」なのだが、コトはそれを経験している人間の主観も含んでおり、「荷物を運ぶ」という主観が相俟って「ドローンで荷物を運ぶ」ということになる。これが、モノとコトの本質的な違いだといえる。

さて、このように考えたときに、重要なポイントは、モノは個人の主観を排除した分析的な視点でも見えるが、コトは見えないということだ。

そのように考えると、個人の主観を排除した分析的な視点では、モノは見えても、コトは見えない。従って、コトづくりにおいては、「わたし」(あるいは人間)が主体となり、何と何を結び付ければ、顧客に対して新しい関係性(コト)を生み出すことができるのかを考えなくてはならないことだ。

ここでポイントになるのがコト的な価値としてのコンセプトである。

コトづくりの天才というと必ず出てくるスティーブ・ジョブズは、iPodを創ったときにシンプルな卓越したデザインのハードウエア(モノ)を作り上げると同時に、「どのレコード会社のミュージシャンの曲もネットワークからいつでもデジタル情報のまま取り込んで楽しむことができる」というコトの価値を見出し、創り上げた。これが、iPodの成功要因になった。

この例がおそらく、コトづくりの威力を世の中に知らしめた例であると同時に、コンセプトの重要性を知らしめた例だといえる。

この例から分かるように、コトづくりは主観だけではなく、モノという客観とコトという主観のバランスを取ることが求められる。

2015年4月21日 (火)

【プロデューサーの走り書き(2)】ビジネスのヒントを非ビジネス書から得られるか

Booksこのブログとは直接関係ないが、ビジネス書の杜ブログを休止して1年になる。今でも初めて会うひとから「ブログを読んでいます」といわれることがあるし、それなりにアクセスもあるので、若干、複雑な気持ちでもある。

著者から感謝のメールをもらったとか、出版社からクレームをつけられたとか、いろいろと思い出もあるが、1年経ったので言えることもある。

その一つが止めた理由。一つの理由は、書籍情報のサービスはかれこれ、25年くらい続けてきたので飽きたというのがあるのだが、もっと本質的な理由は、ビジネス書で本当にビジネスに必要な知識が得られるということについて懐疑的になったことにある。

今でもフェースブック版はやっているので誤解のないように言っておくが、ビジネス書が役に立たないといっているわけではなく、ビジネスに必要な知識を得る入口としてはビジネス書がいいと思う。

ただ、ある程度、その分野のことが分かってしまうと、ほとんどのビジネス書は役に立たない。実は、もうやめようと思ったきっかけになったのは、HONZの成毛眞さんが何かに書かれていた

ビジネスのヒントは「ビジネス書」からではなく「非ビジネス書」から発見すべきだ

という言葉に出会ったこと。

これを見つけてしばらく、ビジネス書の杜を非ビジネス書も含めてビジネスに役立つ本という方向転換をすることを考えたのだが、無理だと思い、結局、止めた。

無理だと思った理由は2つあって、一つは非ビジネス書という分野が広すぎて、一人でブログするにはとてもクオリティが保てないと思ったからだ。

もう一つの理由は、どれだけの人が、非ビジネス書からビジネスのヒントを発見できるかということが疑問だったからだ。

たとえば、営業の方法を書いたビジネス書であれば営業という視点から評価すればよい。ところが、動物の求愛行為から得られるビジネスのヒントは営業だけではなく、極論すれば無限にある。つまり、非ビジネス書がビジネスにどのようなヒントを与えてくれるかを明確に書くことはできない。

すると、非ビジネス書を読んで何を得られるか、得られないかは読む人次第である。その際、何よりの問題はコンセプチュアルスキルが必要となることだ。コンセプチュアルスキルの高い人は多くのヒントが得られ、低い人は何も得られない。

ビジネスの中ですら、営業の人たちの経験は自分たちの参考にはならないと言ってはばからないエンジニアが多いことを考えると、動物の行為から何かを学ぼうというのはハードルが高すぎる。

そう考えて、ビジネス書の杜ブログを続けるより、コンセプチュアルスキルをトレーニングすることに時間を使うことを選んだ。これがビジネス書の杜を止めたもっとも大きな理由である。

2014年5月30日 (金)

【プロデューサーの走り書き(1)】:お家騒動がもたらしたトレードオフ

新幹線の隣に席に座っている人が「一澤帆布」のラベルのついた新しいバックを持っていたので、「おっ」と思い、さっそくググってみた。帆布ファッションの草分けの「一澤帆布」をめぐる10年のお家騒動は完全決着したようだ。


一澤信三郎帆布が、一澤帆布の店舗に戻り、一澤帆布の商品も復活させているとのこと。現在の一澤帆布のホームページはこんな感じになっている。Tairitu
成り行きとはいえ、微妙だなあ。

相続をめぐる本家、分家の暖簾争いは京都のお家外のようなものだが、このパターンは珍しいのではないだろうか?相続騒動がおこらなければ、「一澤帆布」から、別のブランドが生まれることはなかったようにも思う?

一澤信三郎帆布は結構人気があるらしい。ただ、これから、「一澤帆布」はCoachと同じような道をたどるような気がする。

トレード・オフ」を書いたケビン・メイニーなら「一澤帆布」をどのように評価するのだろうか?

(2011年9月4日)