コラム「プロジェクトマネジメントとは(1)」
プロジェクトマネージャー養成マガジンを発行しだして、3年になる。この前から時間を見て、過去の戦略ノートを読み返している。このメールマガジンでは戦略ノートがスタートであり、また、メインでもある。3年前の記事を読んでみて、論説の稚拙さを感じるものもあれば、大切なことを忘れていることに気づいてはっとするものもある。書いた本人がいうもの変だが、なかなか、興味深いものだ。
で、改めて気がついたのだが、プロジェクトマネジメントとは何かという議論を一度もしていないことに気がついた。昨日配信した戦略ノートもそのような気づきに基づいて書いたものである。
pm_learning_styleコラムとして何回かこの問題について考えてみたい。
プロジェクトは
・成果物とその品質
を定義し、その成果物を定められた
・スケジュール(納期)
・コスト(予算)
で生み出す活動である。いわゆるQCDSである。
これらに対しては、「管理」が行われる。つまり、計画(ベースライン)を作って、計画通りにプロジェクト作業を進めていく。これが「プロジェクト管理」である。
しかし、いくら計画を立てたところで、計画通りに成果物を実現できるという保証はない。
意外と認識されていないが、プロジェクトマネージャーには命令権がないのが普通である。平たく言えば、プロジェクトマネージャーはそれぞれの作業についてやってほしいとお願いはできても、やれと命令できない。基本的には指揮命令権はラインの権限であり、プロジェクトに命令権が必要だと考える組織はライン組織を使ってプロジェクトを実施するという形をとることが多い。
このように考えると、計画通りに実現できないと考える方が一般的である。ここが、プロジェクトマネジメントで現実を直視できていない部分であり、誤解でもある。
実現できない理由を考えてみるといろいろある。計画通りに要員が確保できない、プロジェクトを取り巻く環境が変わる、メンバーが自分の持つ力を最大限に発揮してくれない、予算が削られる、納期が前倒しになる、要求される成果物をはっきり決めれない、成果物の要求が変更になる、コミュニケーションに行き違いがある、調達先にちゃんとしたサービスや成果物を提供してもらえないなど、枚挙に暇がない。
このような要因を考えてみると、命令権をもって命令をしたところで、計画通りに実行できるものではないということはすぐにわかる。
そこで、さまざまな「計画」を達成できなくする要因がうごめく中で、なんとかして「計画」を実行し、成果物を達成するのが「マネジメント」である。したがって、QCDSが計画通りに達成できないケースが想定される場合には、管理だけではだめで、マネジメントが必要である。
◆関連セミナーURL
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◆関連コラム
・プロジェクトマネジメントとは(2)
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