思考法 Feed

2007年6月20日 (水)

組織を巻き込むチーム問題解決

4788907461 福山穣「チームで取り組む問題解決の考え方・すすめ方―組織全体を巻き込んで現状打破する方法論」、実務教育出版(2007)

お奨め度:★★★★

チーム問題解決について書かれた実践書。

基本的な話は要因追求型とビジョン設定型の2つの方法であるが、読者の経験からくるさまざまなノウハウが書かれているので、読んでいて、役にたつことが多い。また、チーム問題解決を阻害する原因についても整理されているので、取り組みの切り口も見えてきやすい。その2つの意味で、実践的な一冊である。

全体的なトーンとしては、チームによって問題解決をし、チャレンジをしようというトーンだ。それを小さなリスクで行うために、組織のサポートが問題になってくる。それを如何に引出すかが問題解決のひとつのポイントになるが、その方法について具体的に示されている。

また、マネジメントサポート、組織サポート、人材開発の3つの視点から組織としてはチームのそのようなニーズにどう応えていくべきかについても述べられている。

チーム問題解決というと何か、難しいことをしているように思うが、この本では、非常に現場的で、泥臭いことをやろうといっている。そのため、現場の現実の問題に容易に適用できるだろう。

その意味で、類書がなく、ぜひ、読んでおきたい一冊である。

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2007年3月13日 (火)

フランクリン・コビー流プロジェクトマネジメント

4906638619_01__aa240_sclzzzzzzz_v4196786_1 リン・スニード、ジョイス・ワイコフ(フランクリン・コヴィー・ジャパン訳)「PQプロジェクト・マネジメントの探究」、キングベアー出版(2007)

お奨め度:★★★★1/2

7つの習慣で有名なフランクリン・コビー社のプロジェクトマネジメントスキルPQ(Planning Quest)の解説書。

PQには3つのポイントがある。

一つ目は時間管理であり、この部分には、同じくフランクリン・コビーの「TQ(Time Quest)」を取り入れている。TQについては、目標の設定、計画的行動、そして安心領域からの脱出を主軸にした時間管理で、効率だけではなく、「心の安らぎ、すなわち充足や幸福が最高潮に達した感覚」に到達することを目的としている。

4906638058_09__aa240_sclzzzzzzz_ハイラム・スミス(黄木信、ジェームス・スキナー訳)「TQ―心の安らぎを発見する時間管理の探究」、キングベアー出版(1999)

この中から、価値観の明確化が時間管理のベースであるとする生産性のピラミッドの考え方を取り入れている。

その上で、2つ目のポイントとして、プロジェクトのビジュアル化こそがプロジェクトマネジメントの成功要因だとしている。

これらの考え方に併せて3つ目のポイントは、マインドマップ使って思考の幅を広げることを提案している。

PMBOKのような分析的、体系的なプロジェクトマネジメントが必要な分野もあるが、多くのビジネスプロジェクトでは、多少、重い感じがある。そのようなプロジェクトに対するプロジェクトマネジメント手法として注目に値する方法である。

プロジェクトのビジュアル化こそがではこの方法をセミナーとして提供しているが、その前に、この本を読んでみて、自分の仕事に使えるかどうかの評価をしてみてはどうかと思う。ただし、実際に使おうとすると、ツールも含めて本だけでは不十分だと思われるので、セミナーを受けるべきだろう。

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2007年3月12日 (月)

コンサルタントの秘密の道具箱

4822281728_01__aa240_sclzzzzzzz_ ジェラルド・ワインバー(木村泉訳)「コンサルタントの道具箱」、日経BP社(2003)

お奨め度:★★★★
 

コンサルタントとしてのものの見方、行動の仕方を解説した本で、分野を限らず、コンサルティングのバイブルだといってもよい一冊である。

この本では、思考法や、行動法を道具に見立てて、コンサルタントはそれを道具箱に収め、必要に応じて取り出して、問題を解決するというメタファーを作っている。

それぞれのツールについても

イチゴジャムの法則
知恵の箱
金の鍵
勇気の棒
願いの杖
探偵帽と虫めがね
イエス・ノーのメダル
ハート

望遠鏡
魚眼レンズ
ジャイロスコープ
卵、カラビナ、羽根
砂時計
酸素マスク

といったメタファーで書かれたウィット満載の一冊である。コンサルタントやその志望者であれば読んでおいて損のない一冊だろう。

なお、この本にはシリーズが存在する。20年ほど前に出版された本だ。

4320025377_09__aa240_sclzzzzzzz_ ジェラルド・ワインバー(木村泉訳)「コンサルタントの秘密―技術アドバイスの人間学」、共立出版(1990)

今、読んでみると、荒削りな感じがするが、コンサルタントの道具箱の原点であるので、こちらもとてもよい本であるので、併せて読んでみるとよいだろう。
 

2007年1月15日 (月)

現場力を高める問題解決とは?

4820744070_01__aa240_sclzzzzzzz_v4841729問題解決実践研究会「組織の現場力を高める問題解決メソッド」、日本能率協会マネジメントセンター(2006)

お奨め度:★★★★

「問題を先送りにする組織」には

・問題解決の具体的な手順を知らないこと
・問題解決を実行していくような組織方針・組織風土がないこと

の2つの問題がある。これらの問題を解決し、「現場力の高い組織」に変えていくために必要なことをテーマにした本。

第1部では、問題解決の方法を課題設定型と構想設定型に分けて解説している。さらに、これらの問題解決に必要なコンピテンシーとして、協働誘発力、組織管理力の2つについて述べている。

第2部はマネジメントを進化させる学習する組織において問題解決がどのように役立つかを述べている。

フレームワークはシンプルで強い。精神論だけでは問題解決型の組織は作れないと感じている人は一読の価値があるだろう。

また、チームビルディングの方法論として読んでみると、問題解決を行う仕組みを作って、問題解決型のチームを創っていく方法になる。これは実務的なチームマネジメントの方法論かもしれない。

その意味ではプロジェクトマネジャーやリーダーも読んでみる価値アリ。

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2007年1月 1日 (月)

抜く

476319657x 上原春男「「抜く」技術」、サンマーク出版(2006)

お奨め度:★★★★

著者の上原春男先生は佐賀大学で「海洋温度差発電」という資源を必要としない発電方法の研究に一生をささげている方だ。業界では著名な方だが、その活動は、大学の研究者の域を超えており、産官学を巻き込んだ活動をアクティブに展開されている。大学のキャリアの最後は佐賀大学の学長を勤められ、退官後、「海洋温度差発電推進機構」というNPOの理事長を勤められている。

そのようなキャリアの上原先生が「海洋温度差発電」というライフワークを通じで、「抜く」技術を習得され、製品開発や企業経営の中に活用され、多くの企業やプロジェクトを指導されている。そのエッセンスをまとめた一冊である。

この本は「車のハンドルのあそび」から話が始まる。

ハンドルにあそびがないと、車は怖くて運転できない。あそびにより、人間の無理な操作を抜き、急速な動作を緩める。ここに抜きの技術がある。

その次に出てくるのが、建物の強度。マンション強度偽装が行われたのは、記憶に新しいが、このときに話が分かりにくいと思った人は少なくないだろう。構造物の安全性は、素材の硬度や強度だけでは決まらない。構造が問題になるので、分かりにくかったのだが、そこにもはやり、無理な力がかかったときに抜く技術がある。

ダンパーなどもそうだが、エンジニアリング技術にはこの抜くという技術がたくさん使われている。上原先生のいわれる抜く技術のポイントは「抜いたものを如何に有効に使えるか」だという。海洋温度差発電もまさにこの技術である。

これはビジネス全般にいえることだというのが上原先生の主張だ。最近は押し一辺倒になっており、うまく行かなくなっている。もっと抜きとしての「引く」ことをビジネスに取り入れるべきだと主張されている。

ビジネスの駆け引きを想像してみればこれはよく分かるだろう。サッカーとか、アイスホッケーでパワープレイというプレイスタイルがある。終盤でどうしても点がほしいときに、攻撃陣を厚くして、押しまくるプレイだ。最近のビジネスを見ていると、パワープレイだけでものごとを済まそうとしている。勝ち負けだけを考える。これが、日本型経営の崩壊になっているという指摘はまさにそのとおりだ。

抜く技術の一つが捨てることを考える技術だ。上原先生は、これを現場指向と結び付けている。目からウロコ。一昨年辺りから現場主義の重要性が盛んに言われだした。戦略経営に振りすぎた振り子のゆり戻しだと思うが、現場主義の本質は、確かに、無駄をしないことにある。

さらに人間関係でもこの「抜く」技術は重要であると説かれている。人間関係をフレックスにする例をいくつか上げている。

そろそろ、こういうことを考えてもいいのではないかと思う。今の米国中のパワープレイにうんざりとしている人にお奨めの一冊だ。

2006年12月29日 (金)

マーケターの日常

4820744062_01__aa240_sclzzzzzzz_v4840508 末吉孝生「マーケターの仕事術〔入門編〕」、日本能率協会マネジメントセンター(2006)

お奨め度:★★★★

マーケターの書いたマーケターのコンピテンシー。 

マーケターの業務シーンを想定し、それぞれのシーンで役立つ道具を「キット」としてまとめている。うまく構造化されているので、実践的である。

キットには

「チャート」:全体図

「ノウハウ」:実務上のノウハウ(手順、詳細)

「ステップアップ」:事例とトレンド

「ブック」:関連する書籍、資料

という4つの要素から構成されている。

シーンはマーケティングプロセスに沿って25準備されている(目次参照)。

解説スタイルは基本的なことをエッジを効かせて書いてある。なので読んでいて面白い。

また、この手のコンピテンシー本にありがちな、コンピテンシーの羅列という感じがない。一つ一つの道具に存在理由があることを意識し、その理由を一言かきくわえてあるかだらと思う。

たぶん、これが、マーケター末吉孝生の流儀なのだろう。

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2006年11月20日 (月)

人間と組織をどのように理解するか

4393641213_09__aa240_sclzzzzzzz_ ジョージ・ボーク、デヴィッド・トンプソン(斎藤彰悟、池田絵実)「リーダーのためのメンタルモデル活用術―人間と組織を理解する70のモデル」、春秋社(2000)

お奨め度:★★★★1/2

古い本だが読んでみてびっくりした。こんな本があったのかと、、、

何がすごいかというと、マネジメントやリードで使う手法に対して、メンタルモデルという考え方を使って手法の使い方を説明している。このような本をしっかりと参考にしながら、手法スキルの習得をしていけば、少なくとも振り回されることはないだろう。

扱われている手法は

・自己マネジメントのモデル
・リードとマネジメントのモデル
・変革のモデル
・戦略と組織構造のモデル
・目標達成のモデル
・プロジェクト、経営基準とモデル

の6つのジャンルで、70にある。かつ、そのメンタルモデルは、状況を理解し、マネジメントする上でもっとも効果的であったという著者たちの経験を踏まえたものである。

例えば、リードとマネジメントのモデルであれば次の17である

・リーダーとマネジャー

・行動重視のリーダーシップ

・リーダーシップ・スタイル

・マネジメントの機能

・動機づけのプロセス

・人々を動機づけるものは何か

・X理論とY理論

・チームワーク

・チームの役割

・柔軟性を持った自主管理チーム

・チームブリーフィング

・個人別能力開発シート

・個人と能力のマトリクス

・トレーニングの三角形

・コーチング

・行動の修正

コンピテンシーの中で、パフォーマンスコンピテンシーを高めるために非常に効果のある一冊である。

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2006年11月10日 (金)

脳を揺さぶる

448406235601 ジョエル・サルツマン(斉藤裕一訳)「シェイク・ブレイン-脳をゆさぶり、創造力をつけろ!-」阪急コミュニケーションズ(2006)

お奨め度:★★★★1/.2

久しぶりに、ガツンと来た本。創造的問題解決の本だが、その視点が極めてユニーク。心構え、行動、(アイディアの)売り込みの3部に分けて、以下のようなポイントを指摘している。

●心がまえ

1 大胆になろう!
2 心の準備をする
3 楽観的になろう!
4 まちがいの偉大さを学ぼう!
5 楽しもう!
6

自己嫌悪しないこと

行 動

7 先入観を疑おう!
8 問題設定のしかたが大事
9 「裏返し」の発想
10 絶対に「ノー」を答えにしない
11 エレガントな解決法を探そう!
12 「共感」してみよう!
13 「最悪」の解決法を考えてみよう!
14 ネガティブをポジティブに変えよう!
15 「まねはできないか?」と考えてみよう!
16 「あの人ならどうするだろうか?」と考えてみよう!
17 「見知らぬ他人」の助けを借りよう!
18 「イエス」を答えにしない
19 必ずメモしよう!
20 しばらく問題から離れてみよう!

●売り込み

21 自分自身に売り込む
22 他人に売り込む
23 形にしてみる
24 「POP」で価値を示す
25 味方をつくる
26 キャッチーな名前を付ける
27 粘り強く!
28 楽しみ続けよう!

すべて具体的な例を提示しながら説明している。その例が面白く、読んでいて、にやりと笑いたくなる。例えば、8 問題の設定の仕方が大切というところに出てくる例。

あなたはオフィスビルの管理者で、エレベータの待ち時間が長いというクレームが続出しているので、コンサルタントに相談することを決心する。何のコンサルタントに相談するかという例がある。

エレベータのコンサルタントと答えたなら、ぜひ、この本を読んでほしい!

2006年11月 3日 (金)

あなたは箱の中でリーダーしていませんか?

447979177901 アービンジャー・インスティチュート(金森 重樹監訳、富永星訳「自分の小さな「箱」から脱出する方法」、大和書房(2006)

お奨め度:★★★★1/2

PM養成マガジンブログ関連記事:プロジェクトという箱からでよう

この本の原題は「Leadership and self-deception」。deceptionは「騙す」という意味。米国でよく読まれるリーダーシップ読本の一つの邦訳。

邦題からも分かるように、「箱」という一風変わったメタファ(比喩)の中で、寓話を使ってリーダーシップの本質と構築方法をうまく説明している。

誰よりも努力し(ていると思っている)主人公は、ザグラム社という会社でよい職を得る。しかし、それまでのやり方がザグラム社では通用しないという事態に直面する。自分を守り、他人に影響を与えるとするやり方が、ザグラム社の風土に合わなかった。ザグラム社のリーダーシップは、自己原因性(すべての原因は自分にあるという考え方)に基づいていたためだ。

そこで、主人公は上司であるエグゼクティブからの問題指摘を受けると同時に、コーチングを受け、そのことに気がつき、箱の外に出て行くというストーリー。

このストーリーで、「箱」に並ぶキーワードが自己欺瞞。「自分への裏切り」と呼ばれている。自分への裏切りというのは自分の感情に反した行動を取った場合に、自分を正当化するためにさまざまな行動に出る。これが箱に入っている状態であり、人間関係、リーダーシップにさまざまな問題を引き起こすというのがこの本の考え方。「自己原因性(Personal Causation)」の議論として、感情に注目しているのはかなり面白いと思う。

この本では、この行動パターンがある限り、業績に結びつかないとしている。確かにその通りだ。

問題は箱から抜け出すにはどうすればよいか、これが問題だ。この本の示唆で非常に役立つのは、「箱に入っているときにしても無駄なこと」を明確にしている。

(1)相手を変えようとすること

(2)相手と全力で渡り合うこと

(3)その状況から離れること

(4)コミュニケーションと取ろうとすること

(5)新しいテクニックを使おうとすること

(6)自分の行動を変えようとすること

の6つ。この指摘は鋭い。確かに、多くの人が箱に入ったまま、これらの努力やトレーニングをしようとしている。無駄だというのも最初から読み進めていくとちゃんと納得できる。

最後に、箱から出る方法というのが書かれている。

「他の人々に抵抗するのをやめたときに、箱の外に出ることができる」

本の質と同じく感心したのが、翻訳の質が非常に高いこと。米国のオフィスを舞台にしたストーリーであるが、まったく違和感なく読める。米国発のこのスタイルの本は、ストーリーそのものに違和感があって落ちないが、この本にはまったくそれがない。

それからこの本を読んでいく中で、イラストの存在が非常に役立つ。ロジックが結構複雑なので、自分で図を書きながら読んでいかないとおそらく、頭が混乱してくる。それを代わりにやってくれるイラストが入っている。なんと、寄藤文平さんの非常に味のあるイラストだ。

最後に少し違う視点からのメッセージ。10年くらい前に亡くなった安部公房という作家がいる。哲学的な作品を多く残した作家で、抽象的ながらもプラクティカルな文学性は高く評価され、欧米にも多くの作品が紹介されている。その中の一つに、「箱男」という作品がある。

4101121168 安部公房「箱男」、新潮社(1982)

ダンボール箱を頭からすっぽりとかぶり、都市を彷徨する箱男。箱に隠れて覗きをしたり、普段はできないことをすることに快感を感じる。

そのような行動を繰り返しているうちに、やがて主人公は箱男から箱を買い取ろうとした医者の偽箱男へ、少年Dへ、露出狂の画家ショパンへとめまぐるしく移ってゆく。

そうしているうちに、誰が箱男か、箱男のエスノグラフィーを書いているのは誰なのかがわからなくなってしまう。

という話なのなのだが、「小さな箱から脱出する方法」の本質をより深く理解するためには、安部公房の「箱男」を読まれることをお奨めしたい。

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2006年10月18日 (水)

シナリオプラニングめったくたガイド

なぜか柔軟に対応できる戦略を策定する経営企画スタッフ、ヒット商品を連発するマーケッタ、失敗しないプロジェクトマネジャーなど、不確実性のある分野で、非常にうまく、やっている人たちがいる。この人たちに共通するのが、シナリオプラニングを駆使したプラニングである。

最近、(プロジェクト)コンサルティングの中でシナリオプラニングを紹介する場面が増えてきたので、とりあえず、本を整理してみた。

そういう人材を目指す人のために、シナリオプラニングの本を紹介しよう。

447849025209キース・ヴァン・デル・ハイデン(西村行功、グロービス訳)「シナリオ・プランニング「戦略的思考と意思決定」、ダイヤモンド社(1998)

お奨め度:★★★1/2

まず、最初は日本で最初に紹介されたシナリオプラニングの本。

この本はシェルにおけるシナリオプラニングの活用を詳細に説明した本である。背景編ー基礎編ー実践編ー制度編の4部構成になっており、実践的なのだが、抽象度が高い。目前のニーズがないと読了するのはつらいと思う。ただ、かなり、自分の仕事のやり方を考えないと読めないと思うので、最初に読む本としては、この本がよいかもしれない。

4492530886 ピーター・シュワルツ(垰本一雄、 池田啓宏訳)「シナリオ・プランニングの技法」、登用経済新報社(2000)

お奨め度:★★★★

シナリオプラニングというのが思考法のように捉えている人も多いが、単なる思考法ではないと思う。おそらく、哲学に近い部分が相当ある。未来とはなにか、不確実性とは何かということを中心に相当考えることがある。その意味で、この本はシナリオプラニングの本質を知るのに良い本。タイトルは技法となっているが、決して技法ではなく、方法論をきちんと述べた本である。

447849040609 西村行功「シナリオ・シンキング―不確実な未来への「構え」を創る思考法」、ダイヤモンド社(2003)

お奨め度:★★★★1/2

シナリオプラニングに関する一番のお奨め本はこの本。上に述べたように本質的に複雑で、抽象的な計画方法であるシナリオプラニングについて、実に分かりやすく、事例をふんだんに使って説明されている。

また、ある程度、プロセスに落とし込んでいるので、実践的な本になっている。とりあえず、シナリオを作ってみようという人にはこの本をお奨めしたい。

4492531440 池田和明、今枝昌宏「実践 シナリオ・プランニング―不確実性を利用する戦略」、登用経済新報社(2002)

お奨め度:★★★★

もう一冊、違った意味で実践的な本を紹介しておく。

実際に戦略策定の中で、実際にどのようにシナリオをプラニングを使いたいかを知りたい人にお奨めの一冊。コンサルティングの中で使っていると思われる、基本概念、構築ステップから、戦略への落し込み、実施体制・スケジュールまでをかなり詳細に解説した一冊。また、日本企業を念頭においた事例も掲載されている。この本も役立つだろう。コンサルタントの人にはこれがお奨め。

479810376409 ポール・シューメーカー(鬼澤忍訳)「ウォートン流シナリオプランニング」、翔泳社(2003)

お奨め度:★★★

最後にもう一冊。日本のMBAコースで戦略策定を定型的な手法を使って実施することを教えているコースは少ないと思うが、欧米のMBAコースでは普通に入っている(ちなみに、戦略策定の方法論としてのシナリオプラニングと、戦略実行の方法論としてのプロジェクトマネジメント)。

じゃあ、どんな内容を教えているのかと気になる人にはこの本をお奨めした。ただし、内容的には、上の2冊と較べて、実用性に乏しいが、体系的。知識としてシナリオプラニングを押さえておきたい人には適切な内容の一冊といえるかもしれない。

ということで、どんな目的にシナリオプラニングにアプローチするかによってどの本をお奨めしたいかが決まる。2冊も3冊も読んで何か収穫があるようにも思わないので、とりあえず、自分の目的に適した本を読んでみよう。

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