キャリアマネジメント Feed

2008年7月12日 (土)

退屈力がキャリアや人生にタメをつくる

416660628x 齋藤孝「退屈力」、文藝春秋社(2008)

お薦め度:★★★★★

先日、「ゆるみ力」の阪本 啓一さんと10年ぶりくらいにお話をする機会があり、この本を絶賛されていたので、読んでみた。素晴らしい本だ。ガ~ンという感じで、僕のバイブルの一冊になった。

文藝春秋のホームページには「齋藤哲学の極致」だと書かれているが、改めて、齋藤先生がいろいろな本で言われていることの意味がわかったような気がする。

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2008年7月 2日 (水)

ゆるみながら人生を考える

4532260078 阪本 啓一「ゆるみ力」、日本経済新聞社(日経プレミアシリーズ)(2008)

お薦め度:★★★★★

「今に生きる」をテーマに「ゆるんでがんばる」方法を書いた人生読本。久しぶりに出会った書評が似合わない本でもある。

ゆるみ力とは、心身のどこにも力が入っていない状態で、臍下の一点に心をしずめ、統一する状態で発揮される力。これを、桶にてぬぐいというなんとも素敵な表紙と、7つの湯という洒落た構成で解説してくれる。

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2008年4月14日 (月)

課長の教科書

4887596146 酒井穣「はじめての課長の教科書」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2008)

お薦め度:★★★★1/2

この本を本屋でタイトルを見たときに、おっ!と思った。

手にとり、目次を見たら、期待したとおりのものだった。本書は、スキルと問題解決、社内政治とキャリアの4つを軸に、課長の活動のノウハウを書きあげている。

まず、最初の章は課長の定義をしている。経営的意思決定に対する関与、業務にたいする関与、リーダーシップと管理などの観点から課長とはこういうものであることを説明している。そして、日本の企業では組織の原動力だった課長が、成果主義の普及に伴う組織のフラット化の中で存在が薄くなっていき、今日、また、成果主義の揺り戻しの中で再び重要な役割になってきたという経緯を述べている。まさに同感である。

そして、次の章は課長に必要なスキルということで
・部下を守り安心させる
・部下をほめ方向性を明確に伝える
・部下を叱り変化をうながす
・現場を観察し次を予測する
・ストレスを適度な状態に管理する
・部下をコーチングし答えを引き出す
・楽しく没頭できるように仕事をアレンジする
・オスサイト・ミーティングでチームの結束を高める
の8つが必要だとし、これらについてポイントを解説している。
次に、課長が巻き込まれる非合法なゲームということで
・ポストと予算をめぐる社内政治
について述べて述べ、これを切にけて行くにはどうすればよいかを解説している。

そして、次に課長が直面する9つの問題ということで、問題社員への対処、部下のリテンション、部下のメンタルケア、ダイバーシティ、自身へのヘッドハンティングへの対処、海外駐在とその後のキャリアマネジメント、コンプライアンス、部下の人事評価への対処、ベテラン社員への対処といった問題について処方箋を示している。

そして最終章では、自身のキャリアマネジメントとして、自身の弱点を知る、英語力の強化、緩い人的ネットワークの構築、部長を目指す、課長で骨を埋める、社内改革リーダーになる、起業を考える、ビジネス書を読むといった戦略を示している。

これらの4本の柱は適切だと思うし、その内容もいいことがたくさん書いてある。何よりも、こういう形で課長の活動を体系化した点に価値があると思う。特に、スキルにおいては、課長になって身につけるというものではないと思うので、課長にはこんなスキルが必要だと定義したというのは画期的なことではないかと思う。

また、もう一つ、日本ではあまり社内政治を書いた本がないが、そんなに多くの分量ではないが、課長がもっとも悩む社内政治についての1章を設けているのはたいへん、素晴らしいと思う。

ひとつだけ物足りなさがあるのは、キャリアの扱い方である。スキルにしろ、問題解決しろ、社内政治にしろ、課長レベルになると、キャリアを背景に行わざるを得ない。この点があまり明確にかかれておらず、4つの柱の項目間の関連づけがあまり明示されていない。たとえば、どの部下を評価するなどは、自身のキャリアをかけた判断だし、問題解決の多くは係長のように単に答えを出せばよいという立場にはなく、キャリアをかけた答えを出さなくてはならないことがほとんどではないかと思う。

そう考えると、課長のキャリア戦略というのはもっと奥の深いものがあるように思う。企画意義もあり、内容もよくできた本だし、部分的には著者のそのような意識も垣間見れるので、よけいに残念だ。

ちなみに、僕が15年前に神戸大学の金井壽宏先生のMBAコースのゼミでクラスメートと話をしたときに、三分の二くらいの人は中間管理職のマネジメントについて学びたいと話をしていたのをいまでもよく覚えている。当時、ミドルの問題に強い関心を持つ唯一の先生が金井先生だった(今は、先生の教え子をはじめとして多少増えたが、それでもマイナーだな、、、)

ということで、実は昔から非常に関心の高いテーマ。この本を契機にこのようなニーズにこたえる出版がもっとされるとよいなと思う。本書の著者も書いているが、海外では中間管理職などマネジャーの範疇にないので、この分野の本は日本人が書くしかないな。とりあえず、酒井氏の第2作に期待!

最後に、もう、課長の人はこの本を読めばいいと思うが、これから課長を目指す人は、とりあえず、この本を先に読んでみてはどうかと思う。

4822243788 重松 清「ニッポンの課長」、日経BP社(2008)

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2008年4月10日 (木)

「経営の神様」松下幸之助の物語

4478003122 ジョン.コッター(金井 壽宏監修、高橋 啓訳)「幸之助論―「経営の神様」松下幸之助の物語」、ダイヤモンド社(2008)

原書:MATSUSHITA LEADERSHIP(1997)
邦訳版:「限りなき魂の成長―人間・松下幸之助の研究」、飛鳥新社(1998、絶版)

お薦め度:★★★★

4870313456 リーダーシップの世界的な権威であるジョン・コッターが10年前に松下幸之助のリーダーシップについて書いた本の翻訳。監修者の解説によると、コッターが書いた唯一の分析的伝記だそうだ。リーダーシップのケースドキュメントとして、秀逸の一冊。

この本では、松下幸之助のリーダーシップを、松下幸之助自身、および、松下電器の成長段階に応じて

起業以前:故郷を失い、新興産業へ入って、活躍するまで
起業時期:夢を持ち、独特の経営戦略を持ち、成長する
成長:カリスマ性を発揮し、組織が発展し、BU制度を作るも、戦争が起こる
発展:世界の松下になっていく時期の総合的リーダーシップ
成熟:理想的なリーダーシップを求め、後継の育成をする

という段階で、松下幸之助がどうかわり、それによって松下電器がどのようになっていったかが述べられている。キーワードは「素直な心」。

経営の神様トム・ピーターズが提唱したビジネス慣習を戦後すぐに実践しているのは経営の神様たるゆえんだろう。

松下幸之助の経営リーダーとしての

 利益をあげているということは、社会に奉仕、貢献できている証である

という独自の哲学は、米国では過去のものになりつつある。80年代からの金融工学を応用し、実態経営と利益がかけ離れてきたためである。それが定着してきた90年代にこの本が出版されたのは興味深い。また、5年くらい前から日本でもこのような経営が普及の兆しが見られ、企業から松下の名前も消えようとしている。この時期にこの本が翻訳されるのも大変意義があると思う(1997年に一度出版されて、絶版されているらしい)。

もう一度、幸之助が唱えた企業活動の原点に戻るようなリーダーとリーダーシップの再生を願っている人は多いのではないだろうか?そのためには、「素直」な心が重要だということだろう。素直な心を失うと、利益を上げることが自社の利益にしからないことを教えてくれる一冊である。

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2008年3月 7日 (金)

「やる気要塞」を攻略しよう!

4903908046 金井壽宏「やる気!攻略本」、ミシマ社(2008)

お薦め度:★★★★

実務家向けのMBAコースではケースメソッドが中心になるが、リーダーシップやモチベーションなどのヒューマン系のケースとして最も意味のあるのが、すぐれたリーダーやマネジャーの「持論」であるというのがこの本の著者である金井壽宏先生の考えで、その考えの中で、このブログでも紹介した「働くみんなのモティベーション論」が書かれている。

やる気を自己調整する

この本は、その続編として位置づけられた本である。最後に述べるようにこの本の制作過程に多少かかわったのだが、そのときは、そういう話だったので、結構、固めの本だと思っていたのだが、出来上がりを見てびっくりした。

内容的には

(1)モチベーションのケースとしての持論の紹介
(2)持論に関係する理論の紹介

を金井先生自身の経験と、インタビューに基づいてまとめているのだが、それらをロールプレイングゲーム風に見ていきながら、区切り区切りでやる気TIPS(あなたはここでこのような視点を手にいれました)を得るという形で整理しながら、まとめられている。また、最後に、やる気語録が掲載されている。

僕はハウツー本が嫌いなので、ほとんど読まないし、このブログでもほとんど取り上げない。仮に、金井先生が書かれた本でもハウツー本であれば取り上げない。この本をハウツー本だと読んでしまう人もいると思うが、そのように読んでほしくない。この本はやる気を探す旅を本というメディアの中に構築した本だ。TIPSは一種のハウツーだと見えなくもないが、思考のもとであり、それを得たことにより、また、違った視点を持って次の旅に出る。そんな本である。

この本の特徴は、この構成にあるように思う。

モチベーションの本というのはリーダーシップと同じように恐ろしくたくさん出ている。本がたくさん、出ている分野というのは、いろいろな考え方がある分野であると同時に、これといった決定打がない分野でもある。モチベョンもそんな分野である。

この本のアプローチがすべての人に有効だとは思わないが、いろいろなアプローチがあるのなら、こんなアプローチにはまる人もいると思う。

その意味でよい本だと思う。もちろん、内容そのものはフィールドワークでは日本の第一人者の金井先生の作られた本であるので、文句なくよい。エピソードの切り込み方は絶品である。

最後に、この本を作るにあたって、金井先生からの依頼でインターシビューイの1人にならせて戴いた。編集者の方とライターの方が来られ、

人と組織の活性化研究会、加護野忠男、金井壽宏 「なぜあの人は「イキイキ」としているのか―働く仲間と考えた「モチベーション」「ストレス」の正体

で提案されている「イキイキ・サイクル・チャート」(この本では「やる気チャート」と呼んでいる)を書いてくれと言われて、書けなかった。デコボコがないのだ。

「イキイキ・サイクル・チャート」で落ち込んでいるところから立ち直るまでのところを分析したかったのだと思うが、僕の持論はプロフェッショナルは「やる気に左右されない」ということに尽きるので、やる気を意識しないようにしている。無駄足にしてしまったなと、そんな贖罪の思いを持ちながら読んだ。

2008年2月14日 (木)

女性化しているビジネスマン

4478731209 エイドリアン・メンデル(坂野尚子訳)「女性(あなた)の知らない7つのルール―男たちのビジネス社会で賢く生きる法」、ダイヤモンド社(1997)

お薦め度:★★★★1/2

原書:How Men Think: The Seven Essential Rules for Making It in a Man's World

珍しく、10年以上前に出版された本を紹介したい。今、企画中のセミナーのために読みなおして、意外な感想をもったからだ。

内容は、ビジネスは男中心のゲームであり、女性はそれを理解しないためにずいぶんと損をしているというもの。あまり記憶が確かではないが、この本を最初に読んだのは1999年だと思うが、米国でもそうなんだと、結構、新鮮な衝撃を受けた覚えがある。

改めて何を感じたかというと、米国の状況はよくわからないが、日本ではビジネスでの女性の活躍は当り前のことになってきた。おそらく、最初にこの本を読んだ頃には、活躍する女性は目立っていた。しかし、今は目立たない。たとえば、仕事がら、大手の企業の部長クラスとお会いすることが多いが、女性は珍しくない。

そして、その人たちは女性独特の世界を作り上げているかというとそうではない。もちろん、女性ならではのものの見方、考え方はあると場面場面である思うが、大きな流れは男性が作ったビジネスのルールに従って堂々と自らの地位を築き上げている。これは、この本が啓蒙していることでもある。

この本ではビジネスというゲームには7つのルールがあるとしている。

ルール1:できるふりをする
ルール2:自分を強く見せる
ルール3:つらくても継続する
ルール4:感情的にならない
ルール5:アグレッシブになる
ルール6:戦う!
ルール7:真のプレイヤーになる

という7つだ。そして、このビジネスゲームを楽しむには、女性には3つの欠点があるというのがこの本の指摘。その3つとは

欠点1:失敗を恐れすぎる
欠点2:消極的すぎる
欠点3:優先順位をつけられない

の3つ。

さて、なぜ、この本を紹介したか。上に述べたように女性がこのビジネスゲームのルールに適応してきたのに対して、キャリアの浅い年代を中心に、ビジネスマンが女性化してきたのではないかと思う。

この本の中に男女の行動特性の違いを説明するためにこんな実験が紹介されている。

ハインズ夫人は病気で特別な薬を飲まないと死んでしまうかもしれない。しかし、その薬はとても高い。夫にハインズ氏には薬を買うお金がなく、薬屋さんも安くは売ってくれない。

この状況で「ハインズ氏は薬を盗んでもよいでしょうか?」という質問を男の子と女の子に別々にこの質問をした。

多くの男の子は「大切なものは何か」という問題に置き換え、命よりも大切なものはない以上、ハインズ氏は薬を盗んでもよいという結論を導ける人が多いそうだ。したがって、問題解決ができる。

ところが女の子は、薬を盗んだら、人との関係にどう影響するかを考える。そして、財産と命を比較するのではなく、薬を盗まずにハインズ夫人を助ける方法はないかと考え始める。当然、そんな方法はなかなか、見つからない。銀行でお金を借りてこのジレンマを解消しようとする。

つまり、男の子はものを盗んではならないというルールは受け入れた上で、ルールの抜け道を探す。この場合だと、捕まったとしても裁判官が理由をつけて無罪にする方法はないかと考える。

女の子はルールをそのまま受け止め、場合によっては使えないと判断し、ルールを無視してしまう。このケースだと銀行は返済能力のある人にのみお金を貸すというルールを無視する。

このエクスサイズを読んでいると、男女をとわず、ビジネスマンが女性かしているのではいかとつくづく思うのだ。

ルールがあるからビジネスである。男女とも、本書を読んでもう一度、原点に戻ってはどうだろうか?

ただし、ビジネスのルールそのものが変わってきたと指摘する人もいる。たとえば、週刊東洋経済2008年2月9日号では、「働きウーマン~世界は女性を中心に回りはじめた! 」という特集を組んでいる。これを読んでいると、男性の作ってきたビジネスゲームのルールが変わってきたので、それに対するしがらみのない女性が台頭してきたと感じなくもない。

その意味でこの本でメンデルが示しているルールそのものが変わってきているような気がしないでもない。あるいは、近い将来変わるような気もする。

4063289990 この特集号で表紙に使っている「働きマン」の主人公・松方弘子は思いっきり男キャラで、それに時々女性目線が入って活躍するという話なので、今、求められているのは、まさに、そんな人材なのかもしれない。

その点も含めて、ルールがあるからビジネスなのだというこの本の指摘そのものは普遍性のあるもので、ゆえにゲリラはゲリラで、ゲリラがビジネスを支配することはないだろう。そして、そのルールに対して適合できるものが生き残るという指摘も、またただしいと思う。その意味でも、読んでみる価値のある一冊だ。

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2008年1月 7日 (月)

本物のプロフェッショナルとは

4901491687 松本 整「勝負に強い人がやっていること―ここぞという時に結果を出す考え方・行動の仕方」、ナナ・コーポレート・コミュニケーション(2007)

お薦め度:★★★★1/2

著者の松本整氏は競輪の世界で最年長のG1タイトル取得の記録を持つ競輪の名選手でありながら、現役時代から自分のトレーニングジムを開設し、独自のメソッドによるアスリートのトレーニングを行っているという変わったキャリアの持ち主。その松本氏が、自身のメソッドをまとめた本。

いくつもはっとするところが多い。

この本では最初にプロフェッショナルの定義から始まる。プロフェッショナルの定義はビジネスの世界ではいくつもあるし、わかったような概念になっているが、松本氏の定義はいたってシンプル。プロとは

 「常に勝ち続けることのできる人」

だという。この定義は「が~ん」という感じだ。人材育成の仕事をしていながら、なんとなくプロフェッショナルの定義はよくわからないという思いを持ち続けてきたが、これで納得。この定義は単純なようで、極めて深い。

おそらく、僕が知っているすべてのプロフェッショナルの条件はこれで片付く。

プロフェッショナルの条件でおそらくもっとも多くの人が納得しているのはドラッカー博士の定義だと思う。

プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか

での定義は

「成果をあげる」という絶対目標を持ち、自らの行動に「責任」を持つ人材

である。この本の定義はイメージしにくい。何がイメージしにくいかというと、ドラッカー博士のいうところの「成長」というキーワードだ。成長するというのはどういうことか?

たぶん、ここに松本氏のいう「続ける」というキーワードがくっついていることに気付かされた。

松本氏のメッセージは、スキルだけでいえばアマチュアの方が強い場合もある。プロフェッショナルとはその職業としてトップランナーとして継続的に食っていける人だという明確なメッセージ。特に、成果を上げることができるようになってからの継続が難しい。

一つの仕事で成果を上げることもそんなに簡単なことではない。しかし、継続するのはその何十倍も難しい。だから、(特に日本人は)長くやっていることを評価する。

ビジネスでいえば、マーケティングのプロフェッショナルといえばどんな状況で売れる商品を企画できる人。プロジェクトマネジメントのプロフェッショナルというとどんなプロジェクトでもそのプロジェクトに収益をもたらすことができる人のことだ。この状況では、売れなくても仕方ないとか、プロジェクトが成功しなくても仕方ないといっている間はアマチュアっていうことだ。

この本は、このプロフェッショナルにどのようになっていくかを「一般論」として論じている。たとえば話に自身の競輪の経験を使っているケースが多いが、スポーツ一般に通じる話だと思うし、僕の読む限りではビジネスにも通じる話だ。

前半は比較的ロジカルにかかれており、後半は読者に発破をかけるような記述が多い。これも意図したものだと思われる。本物のプロフェッショナルを目指す人、元気になりたい人にお勧めしたい一冊。

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2007年12月31日 (月)

目標達成のためのバイブル

4887596049 ジム・ドノヴァン(桜田直美訳)「望みの人生を実現する単純だけれど重要なこと」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2007)

お薦め度:★★★★1/2

「誰でもできるけど、ごくわずかな人しか実行していない成功の法則」の応用編。

4887591268 488759271x ジム・ドノヴァン(桜田直美訳)「誰でもできるけれど、ごくわずかな人しか実行していない成功の法則」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2000)

ジム・ドノヴァン(桜田直美訳)「誰でもできるけれど、ごくわずかな人しか実行していない成功の法則(2)」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2003)

ジム・ドノヴァンは最近流行っているいわゆる引き寄せ系だが、僕は感性が合う。「誰でもできるけど、ごくわずかな人しか実行していない成功の法則」にはすごく影響を受けている。この本にあるかなりのことを実行している。

今回の本は、その復習というか、実行方法をエクスサイズで教えてくれる素晴らしい本。

今回の本で印象に残ったいくつかの教訓。

・目標設定の前に「望まないこと」をはっきりさせておこう。潜在意識の抵抗を防ぎ、目標を確実に実現できるようになる。

・あなたの思考があなたの感情や行動、結果を決めている。人生の良い面に注目すれば、さらにいいことを引き寄せることができる

・目標を実現できない理由を数え上げてはいけない。目標に集中していれば、実現する道はいつか必ず見つかる

・自分で責任を持ち、人生に積極的に関わろう。そいうすれば、自分が経験する人生の質を、自分で決めることができるようになる。

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2007年12月27日 (木)

リーダーとしての真価は困難に直面したときにこそ証明される

4270002875 ジェフリー・ソネンフェルド、アンドリュー・ウォード(久野郁子訳)「逆境を乗り越える者 リーダーたちは失意のどん底からいかにして立ち直ったか」、ランダムハウス講談社(2007)

今年読んだ本の中でもっとも感動した本。

経営や専門家として上りつめた人々が何らかの事情でその名声を失うような苦境に立つ。そのときに、苦境を乗り越える人、そのまま消えてしまう人の差は何かを調査している。調査の人数は100名以上。論理的な主張を、この100人以上のエピソードをちりばめて固めている。

ひとつひとつのエピソードは短いが、その一つひとつのエピソードに教訓が凝縮されている。読んでいると感動を覚えるものが多い。

分析は結構、難解。行動科学や心理学の知識がないと本当のところは理解できないのではないかと思う。ただ、それを乗り越えて、訴えてくるエピソードが面白く、引き込まれてしまう。その意味で、理屈はよくわからない部分もあるが、言っていることへの納得性は高い。

また、これらのエピソードを読むだけで、この本が言おうとしている

リーダーとしての真価は困難に直面したときにこそ証明される

という主張は十分に理解できる。

論理的な分析の中では、キャリアシステムを4種類(野球チーム、アカデミー、要塞、クラブ)に分けて、それぞれの場合に、復活の要件を分析しているのは興味深い。日本で考えてみた場合に、挫折したものが復活する際のポイントというのはここにあるのではないかと思うからだ。

挫折したときに冷静に読める本ではないと思うので、挫折など無縁だと思っている人こそ、ぜひ、読んでみてほしい。

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2007年12月14日 (金)

あなたはマネジャーに向いているか!?

4534043236 津田 陽一「あなたはマネジャーに向いていない」、日本実業出版社(2007)

お奨め度:★★★1/2

経営コンサルタントである著者が、だめなマネジャーを10タイプに類型化して、その症状を説明し、さらに、タイプごとにだめマネジャー脱出方法を示唆した一冊。

とにかく面白い。10タイプというのは以下の10タイプだ。ネーミングを見ても笑えるし、特徴の中でも特に「よく口にするセリフ」というのを読んでいると、いるいるという感じ。

参考までに5タイプはよく口にするセリフを抜粋しておく。残りが、もっと詳細な特徴、あるいは、脱出策を知りたい人は本を読もう!

ちなみに、面白かったので、本屋で立ち読みでほぼ読み終わってしまった(その後で書評を書くのに買ってきたけど)。そのくらい面白い!

【以下、一部抜粋】

得意技はモグラ叩き「発生主義型」トラブルシューター
「まったく、俺がいないと現場は回らないだからな!困ったもんだよ。世話がかかるなぁ。おちおと休暇もそれやしない。まぁ、しかたないか、俺じゃないと解決できないんだからな!」

机上の空論芸術家「理想主義型」プランナー
「どうだ、このプラン凄いだろう!美しいだろう!問題はすべてカバーしているし、この通りに関係者が動けばすべてうまくいくはず。俺ってやっぱり頭イイだろう!」

能力賞味期限切れ「悲劇の主人公型」ナルシスト
「俺の黄金時代は凄かったんだぞ!あの頃はよかった。俺は運河ないんだ。あのことさえなかったら、あいつさえいなかったら、今頃は・・・。本当は俺は、こんなくだらないところにいる人材じゃない!このままでは俺があまりにもかわいそうだ・・・」

いつも一過性「熱烈感動型」ドリーマー
「面白い! いやぁ、感動した! すごいね。夢があるね。熱いね! ワクワクしてきたよ!彼のためなら、この企画のためなら、あの会社のためなら、オレも役に立ちたいね!」
段取りベタすぎ「抱え込み型」カーペンター
「部下に振っても、どうせ手直しが発生する。経験がなかったり、使えないやつに教える
もの面倒だ。どうせ言ってもわからないし、できないだろう。だったら自分がやるほうが
早い!これは俺の責任だ!休日出勤でも徹夜でもすれば何とかなる!とにかく私が何とか
する!」

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