リーダーとしての真価は困難に直面したときにこそ証明される
ジェフリー・ソネンフェルド、アンドリュー・ウォード(久野郁子訳)「逆境を乗り越える者 リーダーたちは失意のどん底からいかにして立ち直ったか」、ランダムハウス講談社(2007)
今年読んだ本の中でもっとも感動した本。
経営や専門家として上りつめた人々が何らかの事情でその名声を失うような苦境に立つ。そのときに、苦境を乗り越える人、そのまま消えてしまう人の差は何かを調査している。調査の人数は100名以上。論理的な主張を、この100人以上のエピソードをちりばめて固めている。
ひとつひとつのエピソードは短いが、その一つひとつのエピソードに教訓が凝縮されている。読んでいると感動を覚えるものが多い。
分析は結構、難解。行動科学や心理学の知識がないと本当のところは理解できないのではないかと思う。ただ、それを乗り越えて、訴えてくるエピソードが面白く、引き込まれてしまう。その意味で、理屈はよくわからない部分もあるが、言っていることへの納得性は高い。
また、これらのエピソードを読むだけで、この本が言おうとしている
リーダーとしての真価は困難に直面したときにこそ証明される
という主張は十分に理解できる。
論理的な分析の中では、キャリアシステムを4種類(野球チーム、アカデミー、要塞、クラブ)に分けて、それぞれの場合に、復活の要件を分析しているのは興味深い。日本で考えてみた場合に、挫折したものが復活する際のポイントというのはここにあるのではないかと思うからだ。
挫折したときに冷静に読める本ではないと思うので、挫折など無縁だと思っている人こそ、ぜひ、読んでみてほしい。
目次
挫折に負けるか、挫折を乗り越えるか
災難、失敗、挫折―試練の本質
復活をはばむ社会的障壁
復活をはばむ企業文化の壁
復活をはばむ離職理由の壁
復活をはばむ心理的ストレス
闘うか、闘いを放棄するか―問題に立ち向かう
味方とともに闘う―ソーシャル・ネットワークと周囲が受ける影響
名声を取り戻す
気概を示す
使命を再発見する
逆境を乗り越えて勝利をつかむ
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