チームマネジメント Feed

2007年7月30日 (月)

デジタル時代のチームマネジメント

4534042647 大橋悦夫、佐々木正悟「チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術」、日本実業出版社(2007)

お奨め度:★★★1/2

このブログでも紹介したことがあるが、デビット・アレンの提唱するGTD(Getting Things Done、デジタル時代のストレスフリーな仕事術)が日本でも大ブレークしている。

仕事を成し遂げる技術―ストレスなく生産性を発揮する方法

そのきっかけにもなった大橋悦夫さん、佐々木正悟さんの個人の仕事のパフォーマンスを3倍にするためのTips集「スピードハック」に続く第2弾。

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今度はチームのパフォーマンス向上のさまざまな方法を提案している。大橋さんと佐々木さんは、どうも、日本のGTD本の代表ライターになってきた感があるが、この本も重要なことがたくさん書かれている。

この本のポイントは、たぶん、メンバーシップ。最終章でリーダーシップからメンバーシップへの移行の重要性を説いているのだが、まあ、このあたりがGTD本の所以か?

この本もチームハックしたのだろうか?その辺も知りたかった(笑)

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2007年7月23日 (月)

チームビルディングの初歩から実践まですべてわかる本

4532313406_2 堀公俊、加藤彰、加留部貴行「チーム・ビルディング―人と人を「つなぐ」技法」、日本経済新聞社(2007)

お奨め度:★★★★1/2

ファシリテーション技術を使って行うチームビルディングの方法をまとめた一冊。

ベストセラー「ファシリテーション・グラフィック」の著者にもう一名の方が加わって書かれた本で、テーストは前著のテーストが貫かれている。入門書であり、また、実践書としても使える一冊になっている。

まず最初は基礎編ということで、チームの基本が書かれている。独自の目線もあるが、この部分はチームマネジメントの勉強をしたことがある人なら「フンフン」と読み流していけるところだろう。

次に準備編ということで、チームマネジメントの基本的理論が説明されている。この部分になってくると、単に人を集めなさいといった話だけではなく、例えば、どのように声をかけるかといったかなり具体的なノウハウが書かれている。

技術編では、多くのチームビルディングのためのアイスブレークや、エクスサイズを紹介している。

紹介されている手法は、全体の流れが明確であり、運用の細かな工夫まで書かれているので、実際の場で使ってみようかという気にさせる。

その後、実践編として、これらのエクスサイズを使ったチームづくりの推進として、ワークショップやイベントなどの使い方、進め方を解説している。この本の中ではこの部分が最も参考になる。

中で紹介されているアイスブレークやエクスサイズが別冊子としてまとめられているのもよいし、1冊で、チームビルディングの入門から、実践までカバーされている今までにはなかったタイプの本である。

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2007年7月11日 (水)

幻の組織構築論

4047100919 山本七平「日本人と組織」、角川書店(2007)

お奨め度:★★★★1/2

日本人論の金字塔だといわれる「日本人とユダヤ人」などの著書で多くの読者を持つばかりでなく、日本型組織論、日本型経営など、多くの分野での研究に多大な影響を与えている日本研究者山本七平先生の幻の組織論といわれる原稿がついに書籍化された。

この本は70年代にかかれたものである。従って、書かれていることについてはある程度、結論が出ていることも多い。その中にはもちろん、現実となっていない論考もあるが、重要なところでは恐ろしく当たっている。

組織のコミットメントに宗教(神)の議論を持ち込み、日本人の組織観の特殊性を説明したのが山本先生である。この本に書かれている大枠の話は他の研究者や評論家によって引用されることが多く、有名なものが多いのだが、この本を読むと、その背景の考え方が非常によくわかる。

この10年くらい、日本の企業も山本先生の描かれた日本型組織から徐々に外れつつあるが、そこに大きな軋みが生じつつある。なぜ、軋みが生じるか、どのように改革すればよいのかを明確に示されている本書は、このような時代であるからこそ、一読の価値があるといえよう。

マネジメントに関わるすべての人に一読することをお奨めしたい。

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2007年6月20日 (水)

組織を巻き込むチーム問題解決

4788907461 福山穣「チームで取り組む問題解決の考え方・すすめ方―組織全体を巻き込んで現状打破する方法論」、実務教育出版(2007)

お奨め度:★★★★

チーム問題解決について書かれた実践書。

基本的な話は要因追求型とビジョン設定型の2つの方法であるが、読者の経験からくるさまざまなノウハウが書かれているので、読んでいて、役にたつことが多い。また、チーム問題解決を阻害する原因についても整理されているので、取り組みの切り口も見えてきやすい。その2つの意味で、実践的な一冊である。

全体的なトーンとしては、チームによって問題解決をし、チャレンジをしようというトーンだ。それを小さなリスクで行うために、組織のサポートが問題になってくる。それを如何に引出すかが問題解決のひとつのポイントになるが、その方法について具体的に示されている。

また、マネジメントサポート、組織サポート、人材開発の3つの視点から組織としてはチームのそのようなニーズにどう応えていくべきかについても述べられている。

チーム問題解決というと何か、難しいことをしているように思うが、この本では、非常に現場的で、泥臭いことをやろうといっている。そのため、現場の現実の問題に容易に適用できるだろう。

その意味で、類書がなく、ぜひ、読んでおきたい一冊である。

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2007年6月 8日 (金)

ビジョンマッピング

4569655505 吉田 典生「ビジョンマッピング やる気を創る技術」、PHP研究所(2006)

お奨め度:★★★★

吉田典生さんというと、斬新な視点からの人材育成論が印象的である。たぶん、最も多くの人が読んでいるのは

吉田典生「なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか? 」、日本実業出版社(2005)

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4534040741吉田典生「 「できる人」で終わる人、「伸ばす人」に変わる人」、日本実業出版社(2006)

の2冊ではないかと思うが、この本は、これらの本の本質が何かを明確に教えてくれる一冊である。

展開の中で、いまもっとも大切な「ビジョンマッピング」へ落とし込む。その具体的な手法と意義をつかみ、自分に応用できることを目的に書かれている。

ある自動車販売代理店で生じた危機からの再生物語をネタにして

危機―会社が消える

出発―何のための仕事なのか

火種―生命力の源

接続―意味づける力

連携―協働する場

促進―ギャップを埋める

共創―一枚の絵を全員で描く

管理―変わらない姿勢で変え続ける

の流れの中で、「思い」がいかに凄い力を持つかを説こうとしている。ストーリー仕立てで、かつ、簡潔に書かれているので、ポイントが手に取るように分かる。

「仕事が面白くない」、「部下にやる気がない」、「組織力をもっと高めたい」といった悩みを持つマネジャーにお奨め。

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2007年5月30日 (水)

1+1が10にも100にもなる

4887595476_3 ローレンス・ホルプ(ディスカバリー・クリエイティウブ編)「マジマネ2 伸びるチームをつくる! 」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2007)

お奨め度:★★★★1/2

チームマネジメントの入門書として定評のある「Managing terms」の翻訳。チームリーダーのミッションを6つにまとめ、それぞれ、簡潔に説明されている。

興味深いのは、この知見は、1989年に米国企業としてははじめてのデミング賞を受賞したフロリダ電力の品質管理プログラムの中で、変化にうまく対応できたリーダーの特性であったということ。

・チームの活動を調整する

・優先順位をつける上でアドバイスを与える

・チームに必要なものを供給する

・問題解決のためのコーチングをする

・実行をサポートする

・公式もしくは非公式に部下の功績を評価する

の6つである。これを中心にチームマネジメントの方法をまとめた本で、各ミッションで3~4個のポイントを挙げている。

気楽に読める割には、結構深いことが書いてある一冊である。

なお、この本は、「マジマネ」シリーズとして刊行されており、第1弾はすでにこのブログで紹介した「できるマネジャーになる!」である。

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2007年5月11日 (金)

できるマネジャーを目指す人に!

4887595468 ローレン・ベルカー、ゲイリー・トプチック(ディスカバー・クリエイティブ編)「マジマネ1 できるマネジャーになる! 」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2007)

お奨め度:★★★1/2

新任マネジャー向けのマネジメント入門書。できるマネジャーになるための心構えと行動指針、マネジメントの仕事のポイントについて整理されている。

部下のやる気と強みを育てるという副題があるように、

どうやって部下をやる気にさせるか
プロフェッショナルな部下を育てるにはどうするか
褒め方や注意の仕方で気をつけるべき点は何なのか

といった部下との接し方を中心にした現場マネジメントのノウハウ以外にも、ユーモアとか、身だしなみといったマネジャーとしての振舞い方についても書かれているのが特徴。

このブログでも類書はいろいろと紹介しているが、何か、一冊本を読んで、マネジャーとしてのスタートを切りたいと思っている人にはお奨めしたい一冊である。

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2007年5月 9日 (水)

コミットメントを熟知しよう

4478000999 DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部編集「コミットメント 熱意とモラールの経営」、ダイヤモンド社(2007)

お奨め度:★★★★

ハーバードビジネスレビューの中から、コミットメント経営に関する論文をまとめた論文集。コミットメントというのは日本語でいえば、公約である。

日本では公約というのがそうであるように、コミットメントというのがどうも、かなり精神的な約束として理解されている気配がある。このため、人によっては、コミットメントを忠誠といった訳しかたをする人もいる。コミットメントとロイヤリティは強い関係があるが、別の概念である(この議論はこの本の8章でも出てくる)。

例えば、プロジェクトマネジメントの分野でコミットメントは計画に基づいて行われる。つまり、定量的な目標に対して、その達成を約束するのがコミットメントの管理である。

ある意味でわかりにくい概念であるが、この本は8つの論文をうまく集めて、コミットメントマネジメントを実行するために必要な要素をつまくつむいでいる。チームマネジメントの中核にコミットメントマネジメントをおきたい人にはお奨めした一冊である。

ハーバードビジネスレビューの論文集なので、決して読みやすい本ではないが、苦労して読めば、それなりの対価は得られるだろう。

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2007年5月 2日 (水)

プロジェクトを成功させるリーダーシップ

4062134543 ジョン・サルカ、バレット・ネヴィル(道幸武久監修、甲斐理恵子訳)「人を動かす 火事場の鉄則」、講談社(2007)

お奨め度:★★★★1/2

2004年に9・11テロの際にニューヨーク消防局のリーダーであったジョン・サルカが1冊の本を出して話題になった。日本でも、ビジネス誌で紹介されているのを見たことがある。

1591840252 John Salka、Barret Neville「First In, Last Out: Leadership Lessons from the New York Fire Department」、Portfolio(2004)

という本である。文字通り、最初に飛び込んで最後まで残るという行動規範(プロデュースした道幸氏の言葉では率先垂範)に基づくリーダーシップについて述べた本だ。

この本、読みたかったのだが、思わぬ形で翻訳が出た。翻訳というのは正しくないかもしれない。今、話題の新進気鋭のビジネスプロデューサ 道幸 武久氏が、単なる翻訳としてではなく、自らとのコラボレーション本としてプロデュースしたのだ。

消防士のように極限で、迅速な判断を要求される業務では、一人ひとりがリーダーシップを持たなくてはならない。リーダーや、マネジャーだけがリーダーシップを持っていても、全体は回っていかない。ジョン・サルカ氏のリーダーシップ論は、そのようなリーダーシップ論であり、そのような伝統的なリーダーシップがニューヨーク消防局にはあったので、多くの人を死なさずに助けることができた。

このようなリーダーシップこそ、プロジェクトを成功させるリーダーシップである。

このリーダーシップ論に共感する道幸 武久氏も、負けずと持論を展開し、全体として非常によくまとまった本になっている。この本の構成はオリジナルの本に章単位で道幸氏の章が混じっているような構成になっている。実は、最初、余計なものが入っている(失礼!)と思って、オリジナルの部分だけを選って読んだ。そのあとで、全部を通して読んだが、全部読んだ方がよい本だということがわかった。道幸氏の企画力はさすがである。

この本はいわゆるリーダーに読んで欲しい本なのだが、それ以上に、メンバーの立場で仕事をしている人と、管理職の立場で仕事をしている人にぜひ、読んで欲しい一冊である。

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2007年4月11日 (水)

鷲、龍、桜

4087203816_01__sclzzzzzzz_v44667512_aa24 キャメル・ヤマモト「鷲の人、龍の人、桜の人米中日のビジネス行動原理」、集英社(2007)

お奨め度:★★★★1/2

キャメル・ヤマモトさんは僕が共感を覚えるコンサルタントの一人だ。多数の著作を世に出しており、理論の深堀の度合いにはいろいろと批判もあるようだが、実践的なフレームワークを作っている点は深く評価したい。とくに、

4492532196_01__sclzzzzzzz_aa240_グローバル人材マネジメント論―日本企業の国際化と人材活用」、東洋経済新報社(2006)

や、

4532311160_09__sclzzzzzzz_v46957813_aa24稼ぐチームのレシピ」、日本経済新聞社(2004)

などで見られるダイバーシティに富んだマネジメント論は共感を覚える部分が多い。

さて、そのキャメル・ヤマモトさんの原点ともいえるような本が出た。この本。例によって、きっちりフレームワークにはめて説明している。この本では、日本、米国、中国の行動原理を、「行動文法」という規律で要約し、それをベースにして、金銭観、キャリア観、組織観の違いを説明している。

ベースになる行動文法は以下のようなもの。

米国:スタンダードを自由に決めて守らせる

日本:働く「場」のいうことをきく

中国:1対1の関係で仲間(圏子)を作る

この行動文法によって、金銭観、キャリア観、組織観に以下のような違いが出てくるというのがキャメル・ヤマモトさんの主張。

           米国人         中国人        日本人

・金銭観      カテバリッチ教    学歴圏金       結果金 
・キャリア観    アップ・オア・アウト  リスク分散       職人染色 
・組織的仕事観  分ける人           はしょる人        合わせる人

ステレオタイプかもしれないが、なかなか、面白い分析である。少なくとも、米国流の考え方を適用して失敗するケース、中国人を相手に仕事をしてトラブルケースでは、この分析は当たっていることが多いと思う。

問題はこれを知った上で、どのようにグローバル化をしていくか、どのようにダイバーシティを取り込んでいくかだ。その点で、上に上げた2冊の本も含めて、役立つ本である。  

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