鷲、龍、桜
キャメル・ヤマモト「鷲の人、龍の人、桜の人米中日のビジネス行動原理」、集英社(2007)
お奨め度:★★★★1/2
キャメル・ヤマモトさんは僕が共感を覚えるコンサルタントの一人だ。多数の著作を世に出しており、理論の深堀の度合いにはいろいろと批判もあるようだが、実践的なフレームワークを作っている点は深く評価したい。とくに、
「グローバル人材マネジメント論―日本企業の国際化と人材活用」、東洋経済新報社(2006)
や、
「稼ぐチームのレシピ」、日本経済新聞社(2004)
などで見られるダイバーシティに富んだマネジメント論は共感を覚える部分が多い。
さて、そのキャメル・ヤマモトさんの原点ともいえるような本が出た。この本。例によって、きっちりフレームワークにはめて説明している。この本では、日本、米国、中国の行動原理を、「行動文法」という規律で要約し、それをベースにして、金銭観、キャリア観、組織観の違いを説明している。
ベースになる行動文法は以下のようなもの。
米国:スタンダードを自由に決めて守らせる
日本:働く「場」のいうことをきく
中国:1対1の関係で仲間(圏子)を作る
この行動文法によって、金銭観、キャリア観、組織観に以下のような違いが出てくるというのがキャメル・ヤマモトさんの主張。
米国人 中国人 日本人
・金銭観 カテバリッチ教 学歴圏金 結果金
・キャリア観 アップ・オア・アウト リスク分散 職人染色
・組織的仕事観 分ける人 はしょる人 合わせる人
ステレオタイプかもしれないが、なかなか、面白い分析である。少なくとも、米国流の考え方を適用して失敗するケース、中国人を相手に仕事をしてトラブルケースでは、この分析は当たっていることが多いと思う。
問題はこれを知った上で、どのようにグローバル化をしていくか、どのようにダイバーシティを取り込んでいくかだ。その点で、上に上げた2冊の本も含めて、役立つ本である。
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