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2007年7月11日 (水)

幻の組織構築論

4047100919 山本七平「日本人と組織」、角川書店(2007)

お奨め度:★★★★1/2

日本人論の金字塔だといわれる「日本人とユダヤ人」などの著書で多くの読者を持つばかりでなく、日本型組織論、日本型経営など、多くの分野での研究に多大な影響を与えている日本研究者山本七平先生の幻の組織論といわれる原稿がついに書籍化された。

この本は70年代にかかれたものである。従って、書かれていることについてはある程度、結論が出ていることも多い。その中にはもちろん、現実となっていない論考もあるが、重要なところでは恐ろしく当たっている。

組織のコミットメントに宗教(神)の議論を持ち込み、日本人の組織観の特殊性を説明したのが山本先生である。この本に書かれている大枠の話は他の研究者や評論家によって引用されることが多く、有名なものが多いのだが、この本を読むと、その背景の考え方が非常によくわかる。

この10年くらい、日本の企業も山本先生の描かれた日本型組織から徐々に外れつつあるが、そこに大きな軋みが生じつつある。なぜ、軋みが生じるか、どのように改革すればよいのかを明確に示されている本書は、このような時代であるからこそ、一読の価値があるといえよう。

マネジメントに関わるすべての人に一読することをお奨めしたい。

目次

日本人の家族型組織観
契約の「上下関係」と「相互関係」
日本人の組織が持つ二重拘束性
ユダヤ人に学ぶ口伝律法
日本人の"盆地文化"
空間的組織観と時間的組織観
組織の解体と再生の必要性
聖なる世俗組織"キブツ日本"
「知」を窒息させる「信」の肥大化
組織と個人の矛盾
組織を"読み"、"注記"を加える
"索引づくり"による組織の再構築

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