「思い」を実現するマネジメント
一條 和生、徳岡 晃一郎、野中 郁次郎「MBB:「思い」のマネジメント ―知識創造経営の実践フレームワーク」、東洋経済新報社(2010)
お奨め度:★★★★★
目標管理(MBO)を補完する新しいコンセプトのマネジメント手法MBB(Management by Belief)=「思いのマネジメント」について、概念化し、ベストプラクティスを紹介しながら解説した一冊。MBOを左脳マネジメントとし、その限界を明確にし、新たに、右脳マネジメントとしてのMBBを提案している。
一條 和生、徳岡 晃一郎、野中 郁次郎「MBB:「思い」のマネジメント ―知識創造経営の実践フレームワーク」、東洋経済新報社(2010)
お奨め度:★★★★★
目標管理(MBO)を補完する新しいコンセプトのマネジメント手法MBB(Management by Belief)=「思いのマネジメント」について、概念化し、ベストプラクティスを紹介しながら解説した一冊。MBOを左脳マネジメントとし、その限界を明確にし、新たに、右脳マネジメントとしてのMBBを提案している。
申元東(前坂俊之監修、岩本永三郎訳) 「 ソニー、パナソニックが束になってもかなわない サムスンの最強マネジメント」、徳間書店(2010)
お奨め度:★★★★1/2
サムスンの人事部出身のコンサルタントがサムスンの人材マネジメントの全貌を紹介した本。単に制度や育成方法だけではなく、人材マネジメントシステムの背景、戦略などについても詳細に書かれている単行本1冊、1企業(グループ)の人材マネジメントだけについて書かれた本というのは珍しく、サムソンについて知る以外にも人材マネジメントの全貌を知るという意味でもお薦めの本。
サムスンには、「サムスンミステリー」という言葉があるという。サムスンが企業変革の際に世界的なコンサルティング企業マッキンゼーに経営診断を依頼した。マッキンゼーの診断結果は、
「サムスンは他の企業と比べて特に優れたところはない。しかし、客観的には不可能な目標を掲げ、それを成し遂げている。これがサムスンのミステリーだ」
というものだったという逸話がある。この本はサムスンミステリーを解き明かしてくれる本だ。
稲垣公雄、伊東正行「エンゲージメント・マネジメント戦略」、日本経済新聞出版社(2010)
お奨め度:★★★★★
この1~2年、課長本とか、マネジャー本、マネジメント本が続々と出ている。たくさん、あるのだが、「これで決まり!」という本がない。分野を区切ればとりあえず、「この本がお薦め」という本が存在するものだ。
例えば、戦略に関していえば清水勝彦先生の「戦略の原点」、意思決定に関していえば、昨年のAwardに選んだ「決めるマネジメント」をお薦めしている。動機づけに関していえば、最近話題になっているダニエル・ピンク氏の「モチベーション3.0」がその一冊だろう。リーダーシップであれば、ずっとマーティ・リンスキー氏の「最前線のリーダーシップ」をお薦めしていたが、今年の4月にジェームズ・クーゼスの「リーダーシップ・チャレンジ」が出たので、今はこちらを奨めることにしている。人間力に関していえば、ヘンリー・クラウド氏の「リーダーの人間力」だ。
しかし、マネジメント全般、あるいはマネジャー本で何がお奨めですかと聞かれると、答えに窮する。今、ドラッカーブームなので、「マネジメント - 基本と原則」という答えもあるかもしれないが、この本はそういう性格の本でもないように思え、帯に短く襷に長しの状況。
そんな中で、これが良いかもしれないと思わせる1冊。
日本経済新聞社「これからの経営学(日経ビジネス人文庫)」、日本経済新聞出版社(2010)
お奨め度:★★★★★
日経朝刊・経済教室面の人気連載「やさしい経済学」の“経営学のフロンティア”シリーズをビジネス人文庫として刊行。日本の経営学界の重鎮、気鋭の研究者17人が、変革・グローバル化の時代に必要な「一番知っておきたい」経営を具体的にやさしく講義した一冊。
太田 肇『「見せかけの勤勉」の正体』、PHP研究所(2010)
おすすめ度:★★★★★
この2~3年の間に読んだマネジメント書の中で、もっとも印象に残った一冊。「所有感」、「金魚すくいの法則」、「スイーパーリーダーシップ」の3つのキーワードで巧みに、「やらされ感」を持たせないマネジメントをいかに実現するかを問いている。
金井 壽宏編著『 「人勢塾」 ポジティブ心理学が人と組織を鍛える』、小学館(2010)
お奨め度:★★★★★
神戸大学大学院経営学研究科の金井 壽宏教授が中心になり、立ち上げた「ポジティブ心理学を組織と人事に応用する」ための研究会の内容を書籍化した一冊。ライブ感が伝わるような編集の工夫がされているため、逆に内容がすっと入って来ない。普通であれば、紹介しないのだが、あえて紹介したのは理由がある。記事の最後を見て欲しい。
濱田 秀彦「一冊ですべてわかる 課長のキホン」、河出書房新社(2010)
お奨め度:★★★★★
今月3冊目の課長本の紹介。この本が出たら、もう課長本は出しにくいのではないかと思うくらい、良くできている。明日、課長に昇進する人は、今日の帰宅時に買って帰って読んでおこう!
とりあえず、すぐに読んでほしいのは、課長の喜びの下り。
・人間的な成長
・経営感覚
・人脈
・DNAを残す
の4つだと指摘されている。
吉江 勝「あたりまえだけどなかなかできない 課長のルール」、明日香出版社(2010)
お奨め度:★★★★1/2
お馴染み、明日香出版の「ルール」シリーズの課長編。課長としてやっていくために必要なスキルを101のルールにまとめている。非常に具体的なルールから、かなりコンセプチャルなルールまで、混ざっている。このこと、自体が課長という仕事の本質を語っているのではないかと思う。
酒井穣「はじめての課長の教科書」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2008)
以来、多くの課長の本がでているが、ちょっと雰囲気が違うのは、課長になる前の人よりは、課長に読んでほしい本である。
ラリー・ボシディ、ラム・チャラン(高遠 裕子訳)「経営は「実行」―明日から結果を出す鉄則」、日本経済新聞社(2003)
お奨め度:★★★★★
2002年に原書が出版され、大変なベストセラーになった本。邦訳は、2003年に出版された。最近、経営リーダー向けの本がいろいろと出版されるようになってきた。手当たり次第読んでいるが、精神論とオペレーショナルな話だけに終始している本ばかりなので、古い本だが、経営の永遠を論じた本でもあるので、ぜひ、読んでほしいなと思って、紹介することにした。
この本のテーマはシンプルである。戦略の実行こそがリーダーの仕事であるにも関わらず、その方法を知らず、成果を上げることができないでいるリーダーは多い。そのようなリーダーのために、戦略実行には、体系があり、その体系をきちんと理解し、実践していくことで「実行」ができることを示すのがこの本のテーマである。
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