リーダーシップ Feed

2005年9月20日 (火)

リーダーシップに「心理学」を生かす

447836085509 DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部「リーダーシップに「心理学」を生かす」、ダイヤモンド社(2005)

お奨め度:★★★★1/2

この本、お奨め!

本では読めないような論文がずらっと並んでいる。論文といってもそんなに読みにくくはない。素人の僕にはよく分からないが、背景にいろいろな心理学の理論があるのだと思うが、少なくとも表に出てきている内容は、「ほ~」という感じのことばかりで、引き込まれるように読めるものが大半だ。

特に、お奨めは2点。

マイケル・マコビーの「転移の力:フォロワーシップの心理学」。フォロワーシップの特性を転移という現象から議論している。

もうひとつは、エドガー・シャインの「学習の心理学」。学習とリーダーシップ、組織文化の関係を議論している。強制的な説得の怖さを指摘した上で、学習にも組織文化の構築にも強制的説得が必要なことを主張している。

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2005年9月18日 (日)

リーダーシップ魂

427000084809 トム・ピーターズ(宮本善一訳)「トム・ピーターズのマニフェスト(2) リーダーシップ魂」(トム・ピーターズのマニフェスト 2)、ランダムハウス講談社(2005)デザイン魂

お奨め度:★★★★1/2

待望のトム・ピータースの新作。相変わらずというか、やっぱり、いい!読むと心が洗われる思いだ。

以下の対立軸を見てほしい。一つでも、右側に共感できれば、ぜひ、読んでほしい!それを実現させるための具体的なアイディアが満載である!

部下を変える vs 部下を燃えさせる

指令と統制 vs 環境づくり

計画、計画、計画 vs 実践、実践、実践

きれいごと vs 矛盾だらけ

大もうけする vs 足跡をのこす

自分のイメージこそ大切 vs 自分の想像力の活用が大切

手出しする vs 部下に任せる

トップダウン vs 草の根式

仕事を指示する vs ストーリーを語る

同時発売で、同じシリーズでもう一冊ある。こちらもいいぞ!

427000083x09 トム・ピーターズ(宮本善一訳)「トム・ピーターズのマニフェスト(1) デザイン魂」(トム・ピーターズのマニフェスト 2)、ランダムハウス講談社(2005)

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2005年9月13日 (火)

支援型リーダーシップを身につける

486063119609 堀公俊「ファシリテーション型リーダーシップが身につくスキル―自律型の人と組織が成果をつくる」、あさ出版(2005)

お奨め度:★★★★

プロジェクトマネジメントで必要になるのは、ファシリテーション型のリーダーシップである。これはプロジェクトにおけるメンバーとプロジェクトマネージャーの関係に起因する。つまり、プロジェクトにおいてメンバーはその道のプロフェッショナルであり、そのスキルでマネージャーを超越した存在であることが多い。そのため、マネージャーはメンバーに対して指示をするという形でプロジェクトを動かすことができず、ファシリテーションによって、チームを動かしていくしか方法がないのだ。

078797070001日本でファシリテーションが注目されだしたきっかけになったのは、フラン・リースの「The Facilitator Excellence Handbook」の翻訳が出版されたことだと思う。この本は、ファシリテーションの分野ではバイブル的は本の1冊である。

この本はファシリテーションの技術が書かれていると同時に、ファシリテーションの位置づけが綿密に書かれており、その重要性を日本に定着させた本である。ファシリテーションというと、会議術のようなイメージが定着してきたが、この本ではもう少し、広い視点から、リーダーシップのあり方としての重要性が説かれている。

翻訳書は

483341741309 フラン・リース(黒田由貴子訳)「ファシリテーター型リーダーの時代」、プレジデント社(2002)

であり、しっかりと翻訳されたよい本である。

それから、1年ほどして、日本ファシリテーション協会という組織ができた。その会長が堀公俊さんである。堀公俊さんは、ファシリテーションの普及のために数多くの著作をされているが、僕はこの本が一番よい本ではないかと思う。

ファシリテーションに興味のある人も、ない人も、ぜひ、一度、お読みいただきたい。

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2005年8月28日 (日)

木を見る西洋人 森を見る東洋人

4478910189リチャード・ニスベット(村本由紀子訳)「木を見る西洋人 森を見る東洋人思考の違いはいかにして生まれるか」、ダイヤモンド社(2004)

お奨め度:★★★★1/2

まず、この本の原題は ”The Geography of thought”である。このタイトルも素晴らしいが、訳者の村本さんのつけられたタイトルはなんと素晴らしいのだろうと感動ものだ。

日本の比喩に「木を見て、森を見ず」という比喩がある。広辞苑によると

 細かな点に注意をし過ぎて大きく全体をつかまない

こととある。たぶん、10年くらい前までは、日本人の非常に重要な価値観であったように思うが、今は、あまり言われることがなくなった。

この本では、思考の普遍性に対するパラダイムの議論を、東洋と西洋という切り口からさまざまな視点で行っている。結論としては、普遍性がないということになるが、そこで取り上げられている事象は自分たちの立ち位置を確認するために非常に貴重な視点である。

好川は、第3章にある、自己に関する考察が興味深かったが、その人が興味を持っている事項が一通りを入っているのではないかと思う。

ここでは、米国人は

・ひとはそれぞれ、他者と違う個性を持っている。さらにひとは肝心な点で他者と違っていたいと思っている

・ひとは、だいたいにおいて自分の思うとおりに行動している。そして、自分の選択やこのみによって結果が決まると気分がよい

・・・

というのに対して、東洋では「出るくいは打たれる」というように、成功を集団目標とする傾向があるといった指摘から始まり、実にいろいろなことが指摘されている。

関連記事:森を見るか、木を見るか

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2005年7月21日 (木)

相手に最大の影響を与える

4887593848 K・モーテンセン(弓場隆訳)「心をつかむ技術」、ディスカヴァートゥエンティワン(2005)

お奨め度:★★★★

ビジネスやプライベートのさまざまな場面で使うことのできる「つかみ」のテクニックを紹介している。この種の本は結構多いが、新鮮味のある話が多い。

どんな場面にしろ、人を動かしたい人にはお奨めである。

技術1:ほめる

技術2:貸しをつくる

技術3:出し惜しみをする

技術4:期待をかける

技術5:「みんながこうしている」と思わせる

技術6:責任を感じさせる

技術7:連想させる

技術8:感情と論理の両方に訴える

技術9:絆をつくる

技術10:関わらせる

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2005年7月19日 (火)

リーダーシップコミュニケーション

4478360723 ロバート・メイ、アラン・エイカーソン(徳岡晃一郎訳)「リーダーシップ・コミュニケーション」、ダイヤモンド社(2005)

お奨め度:★★★★

リーダーシップとコミュニケーション。セットのような感じでもあるが、微妙な違和感がある組み合わせでもある。なんとなく気になるタイトルだったので、とりあえず、手にとってみた。そんな感じでであった本だ。

読んでみて違和感を持った理由がよく分かった。両方ともいやというほど使われている言葉にもかかわらず、新しい概念なのだ。リーダーシップコミュニケーションというのは、人間的なつながりを作っていくことである。

この本では、

 ・コミュニティ開拓

 ・ナビゲーション

 ・組織変革

の3つの場面で、リーダーはどのようにすれば有効なコミュニケーションを行っていくことができるかを述べている。

プロジェクトをコミュニティだと考えたい人には、ぜひ、このようなリーダーシップを身につけることをお奨めしたい。

(プロジェクト)リーダーにコミュニケーションが重要だということは散々言われているし、そこにさまざまなコミュニケーションスキルを持ち込もうとしている。その典型はコーチングである。しかし、このようなコミュニケーションはリーダーにとってあまり有用だとはいえない。その理由はこの本を読んでみれば、よく分かる。リーダーとしてのコミュニケーションと、フォロアとしてのコミュニケーションは根本的に違うのだ。

これはコミュニケーションマネジメントの必要性にも通じるが、そこをよく理解しておく必要がある。

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2005年7月17日 (日)

リーダーシップエンジン

4492530541 ノール・ティシー、イーライ・コーエン(一條和生訳)「リーダーシップ・エンジン―持続する企業成長の秘密」、東洋経済新報社(1999)

お奨め度:★★★1/2

企業(組織)にとって持続的発展することは重要なミッションである。さまざまな議論はあるが、この点は普遍性があるだろう。

では、どうすれば企業は持続的発展できるか?これにはいろいろな視点があるだろう。ノール・ティシーの主張の興味深い点は、リーダーの育成にこの視点を置いていることにある。

つまり、持続的な発展が可能な企業とは、現世代のリーダーが次世代のリーダーを生み出すことのできる企業であるという主張である。これはきわめて興味深い。これはむしろ、逆の現象を見るとよく分かる。飛躍的に発展した企業には、大抵、優れたリーダーがいる。ところが、そのリーダーが次の世代にリーダーを生み出せないと、尻すぼみになる。

優れたリーダーたちが創り出した商品や技術がそのライフサイクルを終えると、組織そのものも縮退してしまう。

そのような組織を作らないためには、リーダーシップがエンジンとして引き継がれていくことが重要である。そのような指摘をしている本だ。

なお、本書の続編で、教育する組織を作る具体的な方法論を述べた本がある。こちらも併せて読まれることをお奨めしたい。

4492521526 ノール・ティシー、ナンシー・カードウェル(一条和生訳)「リーダーシップ・サイクル―教育する組織をつくるリーダー」東洋経済新報社(2004)

2005年7月 3日 (日)

一度は孫子を!

482221026X 守屋淳、守屋洋氏特別寄稿「新説 孫子の兵法 勝ち抜くビジネス戦略

お奨め度:★★★★

孫子の兵法はビジネスとは切ってもきれない関係にあるし、出版物も多い。最近では、プロジェクトマネジメントでもその種の本が出版されている。リーダーシップを極めたい人は、思い切ってこの本に投資をしてみてはどうだろうか?

よいできです。

孫子に抵抗がある方は、モルガンのエコノミスト ロバート・A・フェルドマンが書いている7巻「米ビジネス界で孫子が読まれる理由」から読んでみてはどうだろうか?この部分だけでも読む価値がある。

【目次】

第一巻 まず負けない戦いを考えよ
~ライバル多数のなかで、どう生き残るか
第二巻 勝負を制したければ彼我を知れ
~戦争にやり直しは利かない
第三巻 不意をつけ、油断させよ
~戦争は、しょせん騙しあいに過ぎない
第四巻 敵と部下を手足のように操れ
~環境は自分の手でコントロールできる
第五巻 勢いに乗せよ、敵を分割せよ
~勝利への切り札は勢いと各個撃破
第六巻 リーダーこそ己と組織の弱みを知れ
~良い指導者・良い組織の条件
第七巻 米ビジネス界で孫子が読まれる理由
ロバート・A・フェルドマン(モルガン・スタンレー証券チーフエコノミスト)
第八巻 我、孫子の兵法でライバル企業を撃破せり
中條高徳(アサヒビール名誉顧問)

2005年6月30日 (木)

リーダーシップを学習する

B00011UZXK システム・テクノロジー・アイ「iStudy BB for Human Skills リーダシップ 建設的な影響力」(2003)

お奨め度:★★★1/2

偶然、あるところで、この教材を見た。ヒューマンスキルをeラーニングでやるというのは、有効であることが確認できた。21000円という価格をどう考えるかだ。リーダーシップの本を10冊買うより価値はあると思う。セミナーと較べると安い

ただ、頭で理解して、分かった気にならないようにするという点だけは使用上の注意としてあるだろう。

ちなみにこのeラーニングは以下の内容。

感受性と柔軟性の意義

・操縦と説得の違い

・影響力・圧力の危険性/人間関係の構築/ボディランゲージ

・相手のシグナル

・意識的身体心理コントロール/声のトーンと言葉遣い

・対人関係スキルと自己反省スキルのバランス/好みの情報スタイル

・指示の危険性

・前向きな質問

・捉え方の再構成/柔軟性を発揮した説得スキルの使い分

2005年6月15日 (水)

マネジメントはサイエンスか、アートか

4478374848 菅野寛「経営者になる 経営者を育てる」、ダイヤモンド社(2005)

お奨め度:★★★★1/2

面白い本だ。出井伸之・ソニー会長、稲盛和夫・京セラ名誉会長、金川千尋・信越化学工業社長、酒井秀樹・ヒロセ電機会長、鈴木敏文・イトーヨーカ堂会長、高原慶一朗・ユニ・チャーム会長、柳井正・ファーストリテイリング会長など、優れた経営者との議論を基に、リーダーシップに必要なエッセンス・スキルを抽出し、スキルセットを定義している。

そのような手法はともかく、スキルを「科学系」のスキルと「アート系」のスキルに区分し、「アート系」のスキルについて、非常に丁寧に論じているので、非常に面白い。

さらに、習慣化などを中心にして、アート系のスキルを身につけていく方法についても論じている。

米国では、CCLなどを中心に、科学的なリーダーシップ開発が進んでいるが、日本では残念ながら、OJTの域を出ていない。書籍をとってみても、日本のリーダーシップ本は、ハウツーものばかりが目につく。この中で、本書のように、科学的なリーダーシップ育成について論じた本は貴重である。

リーダーを育成しようと思っている人、リーダーになろうと思っている人は必読の一冊だろう。

ちなみに、CCLの活動を紹介した本が日本でも翻訳で出されている。

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