マネジメント Feed

2007年1月17日 (水)

社長はドライバー、会社はクルマ、さて経営とは?

4757304242_01__aa240_sclzzzzzzz_v4922894 前田隆敏「社長の作り方―経営参謀が贈る90分でわかる社長実務」、インデックス・コミュニケーションズ(2007)

お奨め度:★★★1/2

社長を「ドライバー」、会社を「クルマ」にたとえ、ドライバーとしてクルマを運転し、価値を生み出す仕組み、あるいは、安全運転の方法を解説している。

経営というのは複雑で分かりにくい。書いてあることを個別にみていくとそんなに変わったことが書いてあるわけではないのだが、クルマの運転のメタファで、意思決定、管理、ブランド、リソースマネジメント、資金のマネジメント、ステークホルダマネジメント、人事などの仕組みの関係がクルマの運転をできる人なら直感的に分かる素晴らしい一冊である。

特に、創業時のベンチャー企業の経営者に読んでほしい一冊である。

また、会社をプロジェクトに置き換えると、ほぼ、同じ関係が成り立つ。プロジェクトマネジャーが自分のやっている活動を振り返り、一皮むけたいときにもお奨めしたい一冊である。

2007年1月10日 (水)

意図された混乱

4478307040_01__aa240_sclzzzzzzz_v4801519 ヘンリー・ミンツバーグ(DIAMONDハーバード・ビジネスレビュー編集部編)「H. ミンツバーグ経営論」、ダイヤモンド社(2007)

お奨め度:★★★★

日本でも紹介されているミンツバーグのいくつかの著作を編集した本である。

456124218x09lzzzzzzz_1 マネジャーの仕事

戦略サファリ―戦略マネジメント・ガイドブック

の2冊がベースに、HBRのインタビューなどが加えられて一冊の本になっている。編集がよくて、ミンツバーグの特徴がよく現れた一冊になっている。

4492530649_09__aa240_sclzzzzzzz_このブログでもマネジャーの仕事は何度か紹介しているが、ミンツバーグは考えるネタを提供してくれる著作が特徴である。マネジメントは複雑であるという思いがあるのだそうだ。

この本の原題は、邦題より大きく書いてある「Calculated Caos」である。意図された混乱とでもいえばよいのだろうか?意図して混乱させ、考えさせる。そこにミンツバーグの著作の本質があるといえる。

この記事を書くのにアマゾンのページを見たら、take_dさんという方が、司馬遼太郎を読むような感覚で読んでみてはどうかと書かれていて、なるほどと思った。

日本人はこの手の考えさせる本は好きではない。ノウハウもの以外は本に金を払う価値はないと思っている人が多いように思う。しかし、言われてみると、時代小説は好んで読み、それをマネジメントや自分の仕事に活かすというのは好んでする人が多い。

時代小説には答えが書いてあるわけではないが、刺激がたくさんあるのだろう。確かにミンツバーグをそのような感じで読めば、非常に面白い著作が多いのは間違いない。ナイスアイディアだ。

2006年12月 9日 (土)

マネジャーへの刺激のシャワー

4756910300_01__aa240_sclzzzzzzz_v3371458 嶋津 良智「あたりまえだけどなかなかできない 上司のルール」、明日香出版社(2006)

お奨め度:★★★★

このブログでは、このシリーズの本は過去に何冊か紹介している。

あたりまえだけどなかなかできない 説明のルール

あまりまえだけどなかなかできない 仕事のルール

あたりまえだけどなかなかわからない 組織のルール

あまりまえだけどなかなかできない 会議のルール

これらの本のよさは、半分くらいは、当然だと思うような項目(どんな類書を読んでも書いてあるようなこと)が挙げられているが、残りの半分くらいは非常に尖がった指摘がされていることだ。これが非常に役立つ。中には読んだ瞬間に「はっ!」とすることもあれば、「えっ?」と思うようなことも混じっている。ただし、書かれていることは、やってできないことではない。

この本はこの意外性の割合が非常に高い。例えば、

・究極の仕事は自分の仕事を無くすこと

・判断に迷ったら部下に聞け

・切り離すな、優先順位と時間管理

・心の中に第三者の目を持て

・真実の15秒(エレベータテストステートメント)

・マネジメントは不公平でいい

といったことが連なっている。非常によいことが書いてあるのだが、シリーズの他の本で書かれていることに較べると、実行が難しいことが多い。これは本質的に上司の仕事とというのは難しいことが多いからかもしれないし、ひょっとすると、難しいことが結構、並べて書かれているからかもしれない。

という意味で、シリーズの中ではちょっと変わった一冊だと思うが、間違いなく言えることは、「とてつもない刺激を受ける」ということだ。この点は保証する。また、時々、読んで、長時間かけて自分の成熟度の向上に取り組んでいくには、非常によい視点がたくさんある。この点も保証できる。

2006年11月24日 (金)

創造的模倣

4479791817_01__aa240_sclzzzzzzz_v3471058 三田紀房「個性を捨てろ!型にはまれ! 」、大和書房(2006)

お奨め度:★★★★

ご存知、偏差値30台の高校生が現役で東大合格を目指す異色コミック「ドラゴン桜」の三田紀房氏の啓蒙書。三田紀房氏は、ドラゴン桜以外にも、ボクシングの世界チャンピオンがビジネス界でのチャンピオンを目指4063289095_09__aa240_sclzzzzzzz_4091846629_01__aa204_sclzzzzzzz_す「マネーの拳」というコミックスも書いている。

著者によると、コミックスではなく、もっと直接的に言いたいので本にしたとのこと。

ドラゴン桜にもマネーの拳にも共通する違和感がある。それは、「型」に対するこだわりと、組み合わせに対するこだわりだ。

世の中には成功するための型があり、成功するためには型にはまる必要があることを徹底的に主張している。これは著者の独自の主張というよりは、むしろ、多くの成功本で言われていることだ。

そして、より大きな成功をするには、その組み合わせが重要であるという2点。ここは、著者のオリジナリティだと思う。

誰もできないことをやるのは快感である。しかし、誰もできないことをやるよりは、成功していることがやっていることを「確実」にやるほうが難しい。競争するというのは結局そういうことであり、型にはまれという話は競争を恐れるな、同じ土俵で競争して勝てという王道を主張しているようにも思える。

もう、10年以上前になるが、この話を実証するような本が出版されている。

4641067813_09__aa240_sclzzzzzzz_ スティーヴン・P. シュナース(恩蔵直人、嶋村和恵、坂野友昭訳)「創造的模倣戦略―先発ブランドを超えた後発者たち」、有斐閣(1996)

お奨め度:★★★★1/2

この本は、後発企業が先発企業を逆転している例を集め、その要因を分析し、それらの要因を持つ戦略を創造的模倣戦略と呼んでいる。

・35ミリカメラ:キャノン:ニコン

・ボールペン:パーカー、ビック

・クレジットカード:VISA

・MRI:ジョンソン&ジョンソン、GE

・パソコンOS:マイクロソフト

・表計算ソフト:ロータス(さらに後発でマイクロソフト)

・ビデオ:JVC

・ビデオゲーム:任天堂

などの企業の事例を上げている。おそらく、二番手企業というイメージの企業はないだろう。むしろ、創造性の高いというイメージを持つ企業が多い。

イノベーションが注目されているが、イノベーションの議論というのは注意する必要がある。イノベータと呼ばれるのは主に、ドミナントデザインができた後で出てきた企業である。上の例を見てもそれは良く分かるだろう。

三田紀房の言い方を借りると、ドミナントデザインができた後で競争することが、成功の型にはまるということだろう。

続きを読む »

2006年11月14日 (火)

あなたが打ちやすいボールを送りたい

4761263482_01__bo2204203200_pisitbdp500a 三屋裕子「あなたが打ちやすいボールを送りたい―思いやりの心がビジネスを育てる」、かんき出版(2006)

お奨め度:★★★1/2

ご存知の方も多いと思うが、本書の三屋裕子さんは、バレーボールの名選手で、現役時代には全日本の中心選手としてオリンピックで銅メダルをとったチームの主力だった。引退後は教員として活動する一方で、大学院でスポーツ科学の研究をしていたが、2年ほど前に突然、シャルレの社長になり話題になった。

この本は、パレーボールでの経験をシャルレでの社長業でどのように応用したかをまとめた一冊。

スポーツの経験をマネジメントに活かすというのは珍しくはないアプローチであるが、ほとんどのケースはチームマネジメントなどのオペレーションマネジメントに適用している。三屋さんのようにトップマネジメントに活かした例というのは珍しいと思う。

内容は非常に新鮮である。既存の考え方にとらわれず、バレーボールでの経験から、ものごとの本質を捉え、問題を解決するというアプローチを徹底している。同じだけの経験をしている人はいても、経営の現場で三屋さんのようにものごとの本質を捉えることができるものではないだろう。そこにポイントがあるように思う。

三屋流を一言でいえば、タイトルにあるとおり、ホスピタリティである。「後工程をお客様だと思え」というのはトヨタ流を代表する言葉の一つだが、本質的には戦略の実行者になる社員に対して、如何に力を発揮できる課題を与えるか、そして、環境を与えるかに特徴がある。

そのような考え方に共感できる人は、ぜひ、読んでみてほしい。

続きを読む »

2006年11月13日 (月)

スピリチュアル・マネジメント

Spiritual 阪本啓一「スピリチュアル・マネジメント」(11/11/2006)
(株)JOYWOW創業記念作品 非売品

お奨め度:★★★★★

阪本さんが新しい会社を作られた記念に創業された本。創業記念パーティーでのみ配布。

JOY(楽しみ)とWOW(感動)をだれよりもまず自分が感じ、そしてお客さんに与え続ける

というい阪本流スピリチュアル・マネジメントを実現するための36法則について書かれている。

内容はかかない。気になる人は(株)JOYWOWに問い合わせてみよう!

2006年11月 7日 (火)

「実行」とは何か

453231037709_2 ラリー・ボシディ、ラム・チャラン(高遠裕子訳)「経営は「実行」―明日から結果を出す鉄則」、日本経済新聞社(2003)

お奨め度:★★★★★

物事をきちんと行うための体系的なプロセスを「実行」というコンセプトのもとに、失敗例、成功例をまじえて解説した一冊。

著者のラリー・ボシディはハネウエル・インターナショナルの前会長で、GEのジャック・ウェルチなどにも大きな影響を与えた経営者である。

この本では、実行を

実行とは体系的なプロセスであり、戦略に不可欠である
実行とはリーダーの最大の仕事である
実行は企業文化の中核であるべきである

だと位置づけ、何をどうするかを厳密に議論し、質問し、絶えずフォローし、責任を求める体系的なプロセスだと定義している。非常に良く分かる。

昨今、実行ということが盛んに言われるようになってきたが、概念的に実行を唱えるだけではなく、もう少し、体系的、論理的にアプローチをしたい人にはぜひお奨めしたい一冊である。

続きを読む »

2006年10月27日 (金)

イノベーションマネジメントの全てが分かる一冊

456965546701 大浦勇三「イノベーション・ノート―会社が劇的に変わる! 」、PHP研究所(2006)

お奨め度:★★★★

イノベーションマネジメントのポイント(論点)が実に要領よくまとめられた1冊。以下の6つの視点にまとめられている。

・事業戦略は適切か

・実現に向けた仕組み/プロセスは明確か

・必要なコンテンツ(情報・知識・知恵)は十分か

・推進体制は必要か

・人材教育/人材育成は万全か

・外部連携に死角はないか

それぞれの項目につき、さらに5つの中項目にブレークダウンし、それぞれの中項目に対して、5項目の小項目を、1項目1ページで、図表を駆使して視覚的に理解できるように実にうまくまとめられている。また、各項目とも8行ほどの解説があるが、この解説も分かりやすい。

この本を読んで、まず、最初に思いついた用途は、自社のイノベーション能力のチェックである。政府が政策目標にイノベーションを掲げ、担当大臣を置いた。また、経団連でも「イノベート日本」というキャッチフレーズを掲げた。

イノベーションへの関心の高まりは否が応でも増してくるだろう。そんなときに、とりあえず、何か一冊本を読んで、マネジメントとして何をすればよいかを把握したいときに、絶好の一冊だ。

ただ、中は、いわゆる図解的な入門書ではない。図解であるが、内容はかなり本格的なイノベーションマネジメントの解説書であるので、それなりの覚悟をして読む必要があると思うし、自分の関心の持てた項目については、他に参考書を探して深堀する必要があると思う。

続きを読む »

2006年10月25日 (水)

技術者のためのマネジメント入門

453213324601 伊丹敬之, 森健一編「技術者のためのマネジメント入門―生きたMOTのすべて」、日本経済新聞社(2006)

お奨め度:★★★★1/2

仕事柄、エンジニア出身のマネジャーにマネジメントの勉強をすることをお奨めすることが多い。確かにその目的に適う書籍は、日本にも結構あるのだが、視座がマネジメントにある本がほとんどである。つまり、経営の中でどのように技術を役立てていくかという視点がある。

しかし、この本は珍しく、視座が技術にある。技術を中心に経営をしていくにはどうしたらよいかを説明している。技術者に薦めたい本である。

内容もとてもよい。そんなに高度な内容ではないが、必要最小限の問題として、戦略のあり方、マーケティング活動のあり方、組織のあり方、プロジェクトマネジメントなど一通りの経営プロセスの解説がある。同時に、新事業創造、マーケティングコミュニケーション、ビジネスモデルといった事業マネジメントについても触れられている。

書き方も事例を中心にかかれており、実践的である。

特に、素晴らしいと思うのは、日本のMOTの本はなぜかあまり正面からプロジェクトマネジメントを取り上げていない。この本は経営プロセスの一つとして1章を割いて解説されている。拍手したい!

最後に、どうでもいいが、著者もなんとも豪華。編者の伊丹敬之先生、森健一先生は、もちろんだが、常盤文克先生、徳重桃子先生、佐々木圭吾先生、坂本正典先生、宮永博史先生、齊藤友明先生、西野和美先生。

続きを読む »

2006年10月23日 (月)

現場主義の真髄

476319708801高原慶一朗「理屈はいつも死んでいる」、サンマーク出版(2006)

お奨め度:★★★★1/2

ユニ・チャームを創り上げた高原慶一郎会長の現場論。自らの考え、ユニ・チャームの社員の考えなど、豊富なエピソードを交えながら、非常にインパクトの強い本になっている。

最近、現場の重要性を説く人は多い。

が、現場をイメージだけで捉えている人も少なくない。現場主義をいうからにはもっとも重要なことは、先入観を持たず、すべてを現場から得ることである。

中村先生は臨床の知という概念を唱得られた。エスノグラフィーに熱心に取り組んでいらっしゃる経営論の先生も多い。現場主義というのは、このような活動のように、現場から謙虚に学ぶことである。

臨床の知

https://mat.lekumo.biz/books/2005/08/post_73ea.html

にも関わらず、現場のイメージを「適当に」作り上げてしまっているケースは多い。コンサルティングをやっていて、「現場ではこうやっている」といわれて、実際に調査するとそんなことはないという経験は結構多い。要するに、現場マネジメントを行うような立場の人が、現場を自分の主張の道具に使っているようなケースが多いのだ。そのようなにおいのする本も多い。

この本は、そんな偽者の現場主義を喝破するようなことがたくさん書いてある。

例えば、ユニ・チャームの話で商品開発を担当している男性社員が、生理用ナプキンをつけて、生活するといったエピソードが出てくる。まさに肌で感じてているわけだ。現場から学ぶというのはまさにこういうことだろう。

この本には、このような現場重視経営のための金言があちこちにちりばめられている。すばらしい本だ。

続きを読む »

PMstyle 2025年12月~2026年3月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

アクセスランキング

カテゴリ

Powered by Six Apart

Powered by Google

  • スポンサーリンク
  • サイト内検索
    Google