2008年1月 1日 (火)

「主客一体」がビジネスの基本

2008年第1号です。本年もよろしくお願いいたします。 今年のスタートはこの本から。

リクルートワークス編集部「おもてなしの源流 日本の伝統にサービスの本質を探る」、英治出版(2007)

お薦め度:★★★★1/2

リクルートワークスが「おもてなし」とは何かを考えるために、旅館、茶道、花4862760333街、祭など「おもてなしの場」を調査し、その道の第一人者の話を聴いた連載「おもてなしの源流」を書籍化したもの。ワークスの連載のときから興味深く読んでいたが、改めて、書籍化され、まとめて読んでみると本質がはっきりしてくる。

欧米流のサービスは主と客が分離され、その関係構築に主眼を置く。これに対して、この本があぶりだしている日本のもてなしは、主客の立場が入れ替わることさえ許容し、主と客が共にその場をつくる「共創」の関係を持つことを基本としている。

これは旅館、茶道、花街、祭など、いずれにおいてもその傾向がはっきり見られる。そして、このスタイルを評価し、それを求めて欧米の人々がやってくるという。

非常に興味深い話である。

本書はサービスマネジメントの本として位置づけられているのだと思うが、これらはおそらく、すべてのビジネスにおける主客関係の基盤になっていると思われる。

たとえば、メーカに頼んでものをつくることを考えてみてほしい。メーカとユーザが協力することは比較的あたりまえだととらえられてきた。そうして初めて、ユーザは自分たちが役立つものを手に入れることができると考えらてきたのだ。

これに対して、欧米では、まず、契約ありき。契約で主客と明確にし、それぞれの領分をきちんと守ることによって、メーカは良いものを作ることができ、ユーザは役立つものを作ることができると考えられてきた。

この根底には、専門性に対して社会的な敬意を払い、たとえスポンサーといえどもその専門領域に手を突っ込むべきではないというプロフェッショナリズムがある。

今、日本もまさにこの方向に向かっている。

職人というと、自分の技術に自信を持ち、顧客はそれを対価として受け入れてくれるようなイメージがある。しかし、これは誤ったイメージではないかと思う。鮨屋で「おれの握ったすしが食えねえのか」の世界があるというが、京都のある(有名)鮨屋の店主にそんなのは職人ではないという話を聞いた。職人とは、「相手に悟られないように相手のニーズを聞き出し、そこに洞察を加えて客を満足させることができる」ものだという。ゆえに、無愛想な客と愛想のよい客で、出す鮨の品質が違うのもやむなしだそうだ。だから、客も作法をわきまえている必要があるし、品質を維持するためにわきまえない客は断る。だから、一見さんは断るのだという。これは花街にも通じる話だ。

少なくとも日本流のプロフェッショナルとはこれ、つまり、客と一緒に場を作れる人ではないのか?

そんなことを考えさせてくれる一冊である。

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2007年12月31日 (月)

「品格」ブームについて考える

◆「品格」ブーム

2005年に出版された藤原正彦さんの「国家の品格」がベストセラーになって以来、「品格」がブームになっている。

4106101416_3 藤原 正彦「国家の品格」、新潮新書(2005)

その中で、昨年から今年にかけては、坂東 眞理子さんの「女性の品格」が大ベストセラーになっている。

4569657052_3 4569697070_3 坂東 眞理子「女性の品格」、PHP新書(2006)

坂東さんは、今年、新たに

坂東 眞理子「親の品格」、PHP新書(2007)

という本を出された。本屋さんで平積みされているところを見ると、減っており、こちらも順調に売れているようだ。

また、2006年には、川北 義則さんが、坂東さんより一歩早く、

4569652115_2 4478001383_2 川北義則「男の品格―気高く、そして潔く」、PHP研究所(2006)

を出版されており、これもかなり売れたらしい。この本が坂東さんの大ベストセラーを生み出したともいえるかもしれない。ちなみに、坂東さんの「親の品格」に先立つ形で、

川北 義則「父親の品格」、ダイヤモンド社(2007)

という本も出版されている。僕は「男の品格」よりこの本の方が良いと思うのだが、あまり、売れていないようだ。

さらに今年は、ビジネスの分野での品格論が出てきた。

4344980530 小笹 芳央「会社の品格」、幻冬舎新書(2007)

4569692346 4569668313 皆木 和義「企業の品格」、PHP研究所(2007)

B000piszrm 今泉 正顕「上司の品格―人の上に立つ者の心得」、PHP文庫(2007)

ハケンの品格(2007) 

などがある。

そもそも、品とはなんだろうか?広辞苑によると

 人や物にそなわる(好ましい)様子、風格、くらい、人がら

とある。したがって、これらの本はそれぞれの著者の考える好ましいあり方を示したものということになるのだろう。

たとえば、川北義則さんは「男の品格」の中で

品格とは何か? 美学である。
美学とは何か? やせ我慢である。
やせ我慢とは何か? 遊び心、ゆとり心である。

と展開している。つまり、遊び心、ゆとり心だと言っているわけだ。この言葉で思い出すのは、柳沢きみおの大市民。

4063530280 柳沢きみお「大市民」、双葉社(1992) 

◆品格=コンピテンシー?

僕はさまざまなビジネス分野でのコンピテンシーマネジメントの仕事を手掛けているので、代表的な品格本はおおよそ読んでいる。その限りでは、品格という議論はコンピテンシーの議論である。

では、コンピテンシーではなく、何ゆえに品格なのか?品格の持つ言霊だと思われる。

問題はどんな言霊かだ。今年は政治の世界もいろいろなことがあったが、ここにきて、小泉政権のときの市場原理資本主義推進が一挙に締め出されるような気配が出てきた。なぜか?もともと、竹中平蔵大臣の弁舌に納得しながらも、釈然としない人が多かった。この根源にあるのが品格ではないかと思う。つまり、多くの人は米国型の市場原理資本主義は品がないと感じていたのではないかと思う。これに比べると欧州型の資本主義は品があると感じる人が多かったのではないだろうか。

このように書くと、規制型資本主義を肯定しているように取れれかねないが、日本の規制というのはもともと、品格として事業家のイメージにあったものを徹底するために法制化していただけだ。その後、官僚の逆機能があって、今のような本末転倒になっているだけである。その意味では現在の規制資本主義を肯定しているわけではない。欧州型の資本主義が日本人の感覚にあうのは、さまざまな意味での共生の思想があることだと思う。

つまり、日本人は「品」の言霊、つまり、「好ましさ」として共生というのが強いように感じる。

◆なぜ、今、品格なのか?

これが、なぜ今品格なのか?ということの答えではないだろうか?多くの人がグローバル化の中で、生活、仕事、人生などさまざまな場面での価値観(アイデンティティ)喪失の危機を感じているのではないだろうか?品格という言葉に託して、抵抗しているように思える。

最近、日本人というのは品格が大切だなと思う出来事があった。あるダイバーシティマネジメントの専門とする組織コンサルタントと話をする機会があった。いろいろとよいことを言われているのだが、最後に出てきた言葉は

「日本人も変わらなくては」

なのだ。

「日本人は日本人のやり方がある。ダイバーシティマネジメントを推進するのに、それを否定してかかるというのはナンセンスだ」

といったら、怒り出してしまった。これでは、米国流市場絶対主義資本主義を押し付けているのとなんら変わらない。ダイバーシティマネジメントは、多様性を認めないという個性があることを理解し、認めない限り絶対に進まない。今、ダイバーシティを推進しようとしている企業の共通の悩みだ。ダイバーシティがユニバーサルな概念だと思うのは勘違いであり、ある意味で傲慢だ。人を否定するようなダイバーシティなどあり得ない。

このような状況で真っ先に頭に浮かぶのが品格という言葉なのだではないだろうか?

この問題は来年も考えてみたい。

この記事で、2007年の投稿は終わりです。本年、本当にたくさんの方にお読みいただき、感謝の念に堪えません。ありがとうございました。

来年もよろしくお願いいたします。

目標達成のためのバイブル

4887596049 ジム・ドノヴァン(桜田直美訳)「望みの人生を実現する単純だけれど重要なこと」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2007)

お薦め度:★★★★1/2

「誰でもできるけど、ごくわずかな人しか実行していない成功の法則」の応用編。

4887591268 488759271x ジム・ドノヴァン(桜田直美訳)「誰でもできるけれど、ごくわずかな人しか実行していない成功の法則」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2000)

ジム・ドノヴァン(桜田直美訳)「誰でもできるけれど、ごくわずかな人しか実行していない成功の法則(2)」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2003)

ジム・ドノヴァンは最近流行っているいわゆる引き寄せ系だが、僕は感性が合う。「誰でもできるけど、ごくわずかな人しか実行していない成功の法則」にはすごく影響を受けている。この本にあるかなりのことを実行している。

今回の本は、その復習というか、実行方法をエクスサイズで教えてくれる素晴らしい本。

今回の本で印象に残ったいくつかの教訓。

・目標設定の前に「望まないこと」をはっきりさせておこう。潜在意識の抵抗を防ぎ、目標を確実に実現できるようになる。

・あなたの思考があなたの感情や行動、結果を決めている。人生の良い面に注目すれば、さらにいいことを引き寄せることができる

・目標を実現できない理由を数え上げてはいけない。目標に集中していれば、実現する道はいつか必ず見つかる

・自分で責任を持ち、人生に積極的に関わろう。そいうすれば、自分が経験する人生の質を、自分で決めることができるようになる。

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2007年12月30日 (日)

ビジネス書の杜コラム

ビジネス書の杜コラムを始めます。

ビジネス書の杜は書籍を取り上げて、紹介することを基本スタイルにしています。まれに、そのテーマに関する雑文を書くことがあります。

ビジネス書の杜コラムは、テーマありきで、本を紹介する記事です。そんなに沢山はかけないと思いますが、とりあえず、2008年目標として25本というのを考えています。

「ビジネス書の杜コラム」というカテゴリーがありますので、時々、覗いてください。

人脈づくりのためのパーティーマナー

4887596057 西出 博子「接待・パーティのマナーを学べ!! マジビジシリーズ9」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2007)

お薦め度:★★★★

任天堂DSソフト「私のハッピーマナーブック」の監修者としても有名な、カリスママナー講師、西出博子氏によるマナー解説書。マジビジシリーズらしく、若いビジネスマン向けにまとめてある。

接待もそれなりに難しいが、若いビジネスマンということになると、人脈形成の切り札になるのが立食パーティ。これが意外と簡単なようで、成果を得ようとすると相当難しい。この本は、立食パーティについて相当、詳しく書いているので、ぜひ、お勧めしたい。

それから、僕の好みかもしれないが、接待には中華が意外と効果的。しかし、和食や洋食に比べるとパーティに近いのでその分難しい。一度、本を読みたいと思っていたのだが、この本はなかなか良かった。ただし、中国では通用しないような部分もあるように思うので、その点はあくまでも日本での中華のマナーだと心得ておいた方が良いような気がする。
もちろん、和食、洋食などについてもきちんと書いているし、また、そのような機会設定についてもきっちり書かれている。

パーティで社交的にふるまいたいといった思いを持つ人にはぜひ、読んでみてほしい。

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2007年12月27日 (木)

リーダーとしての真価は困難に直面したときにこそ証明される

4270002875 ジェフリー・ソネンフェルド、アンドリュー・ウォード(久野郁子訳)「逆境を乗り越える者 リーダーたちは失意のどん底からいかにして立ち直ったか」、ランダムハウス講談社(2007)

今年読んだ本の中でもっとも感動した本。

経営や専門家として上りつめた人々が何らかの事情でその名声を失うような苦境に立つ。そのときに、苦境を乗り越える人、そのまま消えてしまう人の差は何かを調査している。調査の人数は100名以上。論理的な主張を、この100人以上のエピソードをちりばめて固めている。

ひとつひとつのエピソードは短いが、その一つひとつのエピソードに教訓が凝縮されている。読んでいると感動を覚えるものが多い。

分析は結構、難解。行動科学や心理学の知識がないと本当のところは理解できないのではないかと思う。ただ、それを乗り越えて、訴えてくるエピソードが面白く、引き込まれてしまう。その意味で、理屈はよくわからない部分もあるが、言っていることへの納得性は高い。

また、これらのエピソードを読むだけで、この本が言おうとしている

リーダーとしての真価は困難に直面したときにこそ証明される

という主張は十分に理解できる。

論理的な分析の中では、キャリアシステムを4種類(野球チーム、アカデミー、要塞、クラブ)に分けて、それぞれの場合に、復活の要件を分析しているのは興味深い。日本で考えてみた場合に、挫折したものが復活する際のポイントというのはここにあるのではないかと思うからだ。

挫折したときに冷静に読める本ではないと思うので、挫折など無縁だと思っている人こそ、ぜひ、読んでみてほしい。

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2007年12月24日 (月)

500エントリープレゼント当選発表

ビジネス書の杜の500エントリー記念&年末恒例プレゼントは昨日で締切ました。おかげさまで、157名様のご参加を戴きました。アンケートの結果は

アンケート結果

にありますので、ご参照ください。

また、取り上げてほしい本に書いて戴いたものについては、できるだけ取り上げるようにしますので、お楽しみにお待ちください。また、半分くらいはすでに取り上げているものが見つからなかったようです。使いやすさに課題を残す結果になりました。改善を考えたいと思っています。

さて、次にお楽しみのプレゼントです。

まず、1万円から。推奨本を書いてくださった方は122名でした。選ばれたベスト3は

【1位】

世界一わかりやすいプロジェクト・マネジメント」(推奨者11人)

【2位】

プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル」(推奨者7人)

【3位】

アート・オブ・プロジェクトマネジメント」(推奨者6名)

【4位】

意志力革命」(推奨者5名)

自分の小さな「箱」から脱出する方法」(推奨者5名)

でした。

ということで、「世界一わかりやすいプロジェクト・マネジメント」を推奨された11名様の中から、抽選の結果、

 lebiaさん

がアマゾンギフト券1万円に当選されました。おめでとうございます。

また、アマゾンギフト券5千円に当選された方は以下の10名です。おめでとうございます。

(1)queue様
(2)まつ様
(3)impreza様
(4)aki様
(5)ZEE様
(6)大志の父様
(7)Ryo@alalnana様
(8)しかぞう様
(9)nisi様
(10)NABENABE様

なお、上記の方にはすでにアドレス確認のメールを差し上げております。自分の応募名があるにも関わらず、確認メールが届いていない場合には、「応募されたアドレス」よりご連絡をください。同じ応募名の方が複数いらっしゃいます関係で、メールアドレスが異なる場合には、本人と認めかねますので、あらかじめご了解ください。

連絡先:info@pmstyle.jp (クリック)

プロジェクトマネジャーの仕事

490324167x メアリー・グレース・ダフィー(大上 二三雄、松村 哲哉、上坂 伸一、エム・アイ・コンサルティンググループ株式会社訳)「プロジェクトは、なぜ円滑に進まないのか (ハーバード・ポケットブック・シリーズ 1) 」、ファーストプレス(2007)

お薦め度:★★★★1/2

ビジネス書の杜ブログで、新任のマネジャーやプロジェクトマネジャーのためのマネジメントの入門書としてお薦めしているのがクイン・ミルズの「ハーバード流」シリーズ

ハーバード流リーダーシップ「入門」
ハーバード流マネジメント[入門]

ハーバード流 人的資源管理[入門]

である。

このシリーズを出版しているファーストプレスがハーバード・ポケットブック・シリーズなるシリーズを投入してきた。その第1弾が本書。このほかに

限られた時間を、上手に活用する 
コーチング術で部下と良い関係を築く

の2タイトルあるが、いずれも良い本である。

さて、この本はプロジェクトスムーズに進めるプロジェクトマネジメントのポイントを

・必要なリソースを見きわめる
・目標をはっきりと定める
・途中で必要な修正を施す

に絞り、やさしく説明し、また、実際にできるような形で解説している。シンプルであるが、プロジェクトマネジメントの教科書には書いていないようなことも結構書いている(マネジメント視点からプロジェクトマネジメントをとらえている)。

また、自己診断がついているのも、行動の助けになるだろう。

プロジェクトマネジメントの本に対する評価として、難しいという本がよくある。これは理系の人がたくさん本を書いているからではないかと思う。

理系の人は知識を増やすために読む人が多い。したがって、プロジェクトマネジメントの本も、それなりに難しいことを書いていないと満足しない人が多いようだ。実際に、長尾さんの本とか、峯本さんの本などを読んで高い満足を得ているのは、すごいことだと思う。ビジネス書の杜でも取り上げているようにこの2冊はたいへんよい本だが、この本に書いていることを実践しようとすると、たぶん、10年はかかるだろう。

一方で、文系の人は、ビジネス書は行動(実践)するために本を読む人が多い。この目的でももっともよい本は、サニー・ベーカー+キム・ベーカー+G・マイケル・キャンベルの書いた「世界一わかりやすいプロジェクトマネジメント」だと思う。この本は、行動することにフォーカスしていると思う。ただ、網羅的に書いてあるので、やはり、これだけのことをできるようになろうとすれば5年はかかるなという感覚がある。残念なことに優先順位もつけられていない。

この本は、とりあえず、3つのポイントにフォーカスしている点が素晴らしい。勉強して、行動する。そして、行動できるようになれば、再び、勉強してまた行動する。このサイクルを作るための最初の一歩としてお薦めしたい本だ!

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2007年12月17日 (月)

右脳プロジェクトマネジメント

1567262066_2 B. Michael Aucoin「Right-Brain Project Management: A Complementary Approach」、Management Concepts(2007)

お薦め度:★★★★1/2

久しぶりの原書。これは英語に苦労しても損はない!(たぶん、この出版社の本は翻訳されない)

合理的な判断、論理的思考、分析的思考、数学的分析、事実に基づく思考や判断などはいずれも、左脳によるものであるといわれる。このような思考法だけでは、対応が難しいプロジェクトがある。スコープがあいまい、スコープが変化する、プロジェクト目標が大きくストレッチされているといったプロジェクトである。

この本は、このようなプロジェクトに対して、左脳プロジェクトマネジメントに加えて、右脳プロジェクトマネジメントの有用性を説き、ツールを解説した本である。

この本では、7つのツールを提唱している。

1. 人を引き付ける目的を見つける
2. プロジェクトを理解する
3. スコープや開発方法など、さまざまなことを試し、採用していく
4. 新たな現実を生み出す
5. 行動し、信用を作り上げていく
6. スイートスポットにヒットする
7. 実施したプロジェクトを「遺産」として残す

この考え方が面白いのは、最初にステークホルダがもつ動機(感覚)を探ることによって、プロジェクトを始めていくという考え方だ。左脳のプロジェクトマネジメントは、プロジェクトを実施することとありきで、ステークホルダの動機ではなく、ニーズを探し、目的とする。そのようなやり方は、曖昧性が少ない場合は有効だが、曖昧性があると、その対処が難しい。

これに対して、右脳プロジェクトマネジメントは、計画を立てる前に、感覚を意識的に扱うため、早めにプロジェクトのあいまいさを受け入れ、プロジェクトの早期の時間を計画を作ることに費やすのではなく、動機を高めたり、意味づけをすることに費やす。これにより、プロジェクトの後期において、画期的な成果とパフォーマンスを生み出すことを可能にするという考え方である。

これは、トム・ピーターズが提唱しているWOW!プロジェクトマネジメントに通じるものがある。WOW!もはやり、右脳プロジェクトマネジメントなのだ。

エンジニアリングプロジェクト、IT系のプロジェクトなど、管理対象の大きなプロジェクトにはこのような手法は向かないとされている。この本を読んでみるとこれは誤解であることがわかる。右脳か左脳かという議論であれば、確かに、左脳が重要である。しかし、そのようなプロジェクトにおいても、右脳プロジェクトマネジメントによって、左脳プロジェクトマネジメントで得られる成果を大きくするというのが基本的な発想である。

その意味で、特にPMBOKのプロジェクトマネジメントを実施しているプロジェクトマネジャーやPMOに読んでみてほしい一冊だ。

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ビジネス書の杜 500エントリー突破記念アンケート(プレゼントアップグレード)

Thank いつも、「ビジネス書の杜」ブログをお読み頂き、ありがとうございます。

「ビジネス書の杜」も皆様に支えられ、エントリー(記事)が500本を超えました。つきましては、今後、より、皆様に役立つサイトになるように、アンケートを行うことにしました。

毎年、年末の恒例にしているアフェリエイツの収益の還元を兼ねて、アンケートにご回答戴いた方の中から、抽選で10名様にアマゾンギフト券5000円をプレゼントさせて戴きます。

さらに、問4(ビジネス書の杜で紹介されている本で、あなたの部下に読ませたい本があれば一冊だけ教えてください)で推薦の最も多かった書籍を推薦して頂いた方の中から1名様にアマゾンギフト券1万円分をプレゼントします

(推薦者数が同数の場合は、記事の掲載年月日の古いものを選ばせて頂きます)。

当選者の方へはクリスマスプレゼントとして24日にお届けします!奮ってご参加ください。

締切2007年12月23日 24:00

終了しました。157名のご参加をいただきました。ありがとうございました。当選者はこちらです。

500エントリープレゼント当選発表

※重複応募は無効とさせていただきます。メールアドレスで判断します。

=====

アマゾンギフト券についてはこちら

本だけではなく、アマゾンで売っているものなら、CD、DVDから、ゲーム、キッチン用品、おもちゃ、電気製品など、何でも買えます。

2007年12月14日 (金)

あなたはマネジャーに向いているか!?

4534043236 津田 陽一「あなたはマネジャーに向いていない」、日本実業出版社(2007)

お奨め度:★★★1/2

経営コンサルタントである著者が、だめなマネジャーを10タイプに類型化して、その症状を説明し、さらに、タイプごとにだめマネジャー脱出方法を示唆した一冊。

とにかく面白い。10タイプというのは以下の10タイプだ。ネーミングを見ても笑えるし、特徴の中でも特に「よく口にするセリフ」というのを読んでいると、いるいるという感じ。

参考までに5タイプはよく口にするセリフを抜粋しておく。残りが、もっと詳細な特徴、あるいは、脱出策を知りたい人は本を読もう!

ちなみに、面白かったので、本屋で立ち読みでほぼ読み終わってしまった(その後で書評を書くのに買ってきたけど)。そのくらい面白い!

【以下、一部抜粋】

得意技はモグラ叩き「発生主義型」トラブルシューター
「まったく、俺がいないと現場は回らないだからな!困ったもんだよ。世話がかかるなぁ。おちおと休暇もそれやしない。まぁ、しかたないか、俺じゃないと解決できないんだからな!」

机上の空論芸術家「理想主義型」プランナー
「どうだ、このプラン凄いだろう!美しいだろう!問題はすべてカバーしているし、この通りに関係者が動けばすべてうまくいくはず。俺ってやっぱり頭イイだろう!」

能力賞味期限切れ「悲劇の主人公型」ナルシスト
「俺の黄金時代は凄かったんだぞ!あの頃はよかった。俺は運河ないんだ。あのことさえなかったら、あいつさえいなかったら、今頃は・・・。本当は俺は、こんなくだらないところにいる人材じゃない!このままでは俺があまりにもかわいそうだ・・・」

いつも一過性「熱烈感動型」ドリーマー
「面白い! いやぁ、感動した! すごいね。夢があるね。熱いね! ワクワクしてきたよ!彼のためなら、この企画のためなら、あの会社のためなら、オレも役に立ちたいね!」
段取りベタすぎ「抱え込み型」カーペンター
「部下に振っても、どうせ手直しが発生する。経験がなかったり、使えないやつに教える
もの面倒だ。どうせ言ってもわからないし、できないだろう。だったら自分がやるほうが
早い!これは俺の責任だ!休日出勤でも徹夜でもすれば何とかなる!とにかく私が何とか
する!」

流血勝負師「完全主義型」デザイナー
人間不信「性悪説型」レギュレーター
永遠の傍観者「予言者型」コメンテーター
横道愛好会主宰「果てしない物語型」エクスプローラー
適当こそ美徳「やり過ごし型」サバイバー

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2007年12月12日 (水)

人生と仕事が重なった

4822246108 クリス・バラード(渡辺佐智江訳)「バタフライハンター 10のとても奇妙で素敵な仕事の物語」、日経BP社(2007)

お薦め度:★★★★

自分の運命は自分の手中にあります・・・だからカービンで仕事をチャンスが訪れたとき、私はまた夢を見始めました。夢を見るだけでなく、夢を生き始めたのです。

このようなカービンでの仕事でうまくいかなかった著者が自分探しの旅にでる。そこで、人生と仕事を重ねた人たちとの出会いを通じて、天職を見つける。

スカイウォーカー
目玉職人
きこりレディ
鉄道模型製作者
仕事学者
声のセールスマン
キノコ採掘師
筆跡探偵
アメフト伝道師
バタフライハンター

そんな話である。インターネット、とくにWeb2の時代と言われるようになってから、やりたいことを仕事にするということをいう人が増えている。

スカイウォーカーは壁を登るのが好きだった、高いところに登りたかった人。目玉職人は目玉をこよなく愛している。筆跡探偵は、文字にはこころが宿るから。バタフライハンターは、「青虫の声」を聴きに行きたいから。それぞれ、そのような仕事を選んだ理由がある。

このご時世でやりたいことを仕事にしたいと言っている人になんとなく違和感を感じるのはなぜだろうか?リチャード・フロリダの「クリエイティブ・クラス」で、「興味深いものはすべて周縁に生じる」と述べている。この本に書かれている10人の仕事人と比べると、多くの人がやりたいと言っていることは真中に近いのだと思う。これが違和感がある理由。自由に生きることと、やりたいことを仕事にすることは違う。

そんなことを考えさせてくれる一冊。

2007年12月10日 (月)

権威を使わずに人を動かす原理―レシプロシティ

4419050500 アラン・コーエン、デビッド・ブラッドフォード(高嶋薫、高嶋成豪訳)「影響力の法則―現代組織を生き抜くバイブル」、税務経理協会(2007)

お薦め度:★★★★★

原題:Influnence without Autohrity

原書はいろいろな本や論文で取り上げられてるコミュニケーションの名著である。僕も買って読もうとしたが、組織論やマネジメントの本では見かけない単語が並んでいて、諦めた経緯がある。

この本では「reciprocity」が影響力の源泉であるというのが基本コンセプトになっている。安部前首相が首相になってすぐに中国を訪問し、その際に「戦略的互恵関係」の構築をうたってきた。米国的な言い方をすれば、ギブアンドテイクだとこの本にも書いている。ただし、単なるギブアンドテイクではなく、良好な人間関係に立脚したギブアンドテイクである。このようなギブアンドテイクを「影響力の法則 コーエン&ブレッドフォードモデル」としてフレームワーク化している。

これは影響力を及ぼすための6つの法則から構成されるフレームワークだ。

法則1:味方になると考える
法則2:目標を明確にする
法則3:相手の世界を理解する
法則4:カレンシーを見つける
法則5:関係に配慮する
法則6:目的を見失わない

この本では、この6つの法則について、具体的な実現方法を体系的に示すとともに、ケースを多用して、その意味を直感的にわかるようにしている。体系的な説明のところでは、例が非常に多く、有用である。たとえば、カレンシー(通貨:価値交換の道具)だと
・気持ちの高揚や意欲を喚起するカレンシー
・仕事そのものに役立つカレンシー
・立場に対するカレンシー
・人間関係に関するカレンシー
・個人的なカレンシー
という分類をし、たとえば、最初の気持ちの高揚や意欲を喚起するカレンシーであれば、
・ビジョン
・卓越性
・道徳的/倫理的な正しさ
というのを上げている。このようにひとつひとつの例に非常に深い意味と、気付きをこめて作られた本である。

また、最後の2章は、それぞれに、「影響力の法則 コーエン&ブレッドフォードモデル」を使って、上司と部下にどのように影響を与えるかという説明になっていて、この部分は極めて実践的である。

この手の本は決して少なくない。しかし、ハウツーものはほとんど役に立たないと思う。ハウツーにできるような単純な問題ではないからだ。自分の行動を内省しながら、考えながら読まないと、行動に移せない。一方で、ハウツーものを欲しがる人も多い。

この本はそのような読者に対しても、一定の満足を与えながら、はやり、基本は考えさせることに置いているように思う。つまり、かなり、具体的な行動イメージが持てるまで、「例示」をし、そこでとどめてある。そこからは自分で考えましょうという書き方になっている。その点でも非常に参考になったし、よくできている。

組織で働くすべての人に一度は読んでほしい本だ。

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2007年12月 8日 (土)

プロジェクトマネジメントオフィスに対する基本認識

4820117408 トーマス・ブロック、デビッドソン・フレーム(仲村 薫)「プロジェクトマネジメントオフィス―すべてのプロジェクトを成功に導く司令塔プロジェクトオフィスの機能と役割」、生産性出版(2002)

お薦め度:★★★1/2

※ PMstyle.jp書籍プレゼントのために書き直し

プロジェクトマネジメントオフィスの基本事項についてまとめた本。マネジメント支援、組織へのコンサルティング、標準化と手法開発、研修などについて、書かれている。

出版は5年前。原書の出版は10年前。出版当時(2002年)には当り前のことしか書いていないという印象があったのが、今、改めて読んでみると、基本的であるが、重要なことがたくさん書かれているという印象が強い。

当時は、プロジェクトマネジメントオフィスを作っている企業はプロジェクトマネジメントに関して、先進的な企業であり、この本に書かれているようなことはやっているようなところが多かったように思う。ところが、現在、PMOの数は当時と比較のしようがないくらい増えてきたが、どうも、このあたりのこと、特に「組織」という視点が弱くなってきたように感じる。

結果として、プロジェクトマネジメントオフィスは、プロジェクトの便利屋さんのような位置づけになってしまった企業が少なくない。

プロジェクトマネジメントオフィスとは何か、何のために作るのか、そして、経営にとってどのような意味があるのかを再度認識するには、この本はうってつけだ。

最近、この本の訳者である仲村薫さんがPMOのプラクティスをまとめた本「PMO構築事例・実践法―プロジェクト・マネジメント・オフィス」を出版されたが、プラクティスを知る前にまずこの本を読んで、基本的な認識をもたれることをお勧めする。

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2007年12月 7日 (金)

機能不全に陥った上司・部下関係を救う

4492532374 豊田 義博「「上司」不要論。」、東洋経済新報社(2007)

お薦め度:★★★★

良い上司になるには、上司を使うには、といった「上司・部下」本は八重洲ブックセンターにいけば100冊はくだらないだろう。本屋にこの本が平積みされているのを発見したときに、東洋経済新報もついにこの種の本に出したかと、意外感を持って、手に取った。

手にとって、納得。僕は初めての著者の名前のときには、中身ではなく、奥付にある著者のプロフィールをまず見る。この本の著者の豊田義博さんは日本でも有数の人材マネジメントのシンクタンク「リクルートワークス研究所」の主任研究員なのだ。ご本人もまえがきで書かれているが、主任研究員なので、当然部下はいる。

このあたりで、俄然、興味が高まり、とりあえず、買ってホテルに戻り、一気に読んだ。

面白い!

というより、痛く共感。

リクルート ワークス研究所による職場意識調査の成果をもとに、今までの「上司・部下」本では触れられてこなかった視点から、今日の上司・部下問題を書き起こした一冊。この本に書かれていることを簡単にいえば、職業意識が変わっている中で、当然、上司と部下の心理的な関係も変わる。にも関わらず、新しい関係構築がされていない。これでは、上司と部下の関係は機能不全に陥って当たり前。この問題を解決する方法は関係のリストラクチャリング以外にない。

書き方も工夫されている。ステレオタイプの上司のキャラクタとその行動をマンガで描き、そのキャラクタを使って分析結果を説明するという書き方をしているので、内容そのものは固いのだが、結構、気軽に読める。

ただ、この本、パレートの法則でいうところの20%しか、見ていないような気がする。調査の詳細が書かれていないので、推測にすぎないが、たとえば、僕が最近、はまった本、
田北百樹子「シュガー社員が会社を溶かす」、ブックマン社(2007)4893086715

といった80%の現実に、どのように答えるのだろうか?という疑問は残った。まあ、パレートの法則だから20%に対処すればよいという気もするが、、、

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イノベーションのウソ・ホント

4873113458 Scott Berkun(村上雅章訳)「イノベーションの神話」、オライリー・ジャパン(2007)

お薦め度:★★★★

昨年出版されたプロジェクトマネジメントの本の中では群を抜いて面白く、昨年のベスト1に選んだ「アート・オブ・プロジェクトマネジメント」の著者Scott Berkunが独特の視点でイノベーションの陰に隠れた真実を引き出そうとした一冊である。

この本は以下のパターンで10の神話を取り上げている。
(1)イノベーションにまつわる神話を洗い出す
(2)なぜそれが有名になっているかを解説する
(3)真実という観点からそれを探求し、教訓とする
の3つである。要するに、一般的に言われている神話は必ずしも正しくないというのがこの本の趣旨だ。
神話として俎上に上げているのは

・ひらめきの神話
・私たちはイノベーションを理解している
・イノベーションを生み出す方法が存在する
・人は新しいアイディアを好む
・たった一人の発案者
・優れたアイディアは見つけづらい
・上司はイノベーションについてあなたより詳しい
・最も優れたアイディアが生き残る
・解決策こそが重要である
・イノベーションは常に良いものをもたらす

の10個。これをニュートンからグーグルまで引っ張り出してきた「小話」で説明し、また、反例を上げている。
「アート・オブ・プロジェクトマネジメント」ほど面白いとは思わなかった。何が違うのかなと思って考えてみたが、結局、このアンチテーゼの元になっている神話そのものが誰もが信じていることだけではないということに尽きるのだろう。僕の場合でいえば、このうちの8つくらいは反例を思いつくような神話だ。
その点は差し引いても、相変わらずアンチテーゼの視点や事例引用は鮮やかであるので、読んでいて刺激を受けることは間違いないし、イノベーション読本としては、間違いなく一級品である。

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2007年12月 6日 (木)

ミシュランガイド東京

4930774314_4 MICHELIN GUIDE東京 2008

京都で、こんなガイド本は考えにくい。いずれ、出るんだろうけど。

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2007年12月 5日 (水)

プロジェクトXの経営学

462304873x 佐々木 利廣「チャレンジ精神の源流―プロジェクトXの経営学」、ミネルヴャ書房(2007)

お薦め度:★★★★1/2

プロジェクトXにはまっています。なぜから、こういう連載を始めたからです。

プロジェクトXにみるスポンサーシップ

プロジェクトXというと、そのネーミングからか、プロジェクトマネジメントの視点から取り上げられることが多い。しかし、プロジェクトXというのはプロジェクトマネジメントについて問われるべきものではなく、「プロジェクトのマネジメント」について問われるべきものである。つまり、経営組織がプロジェクトをどのように行っていったかをテーマにしているものは極めて多い(もちろん、純粋なプロジェクトものもあるが)。

ということで、八重洲ブックセンターにいきプロジェクトXの本を探していたら、面白い本があった。これがこれ。

まとめ方も面白く、NHKのプロジェクトXはなぜ、面白いかという視点からまとめている。まとめたのは、京都産業大学の先生たち。分析視点は
・新規事業創造
・製品開発と企業間協調
・イノベーションと産業発展
・新市場の開拓とマーケティング戦略
・経営の国際化と組織学習
・組織間の異種協働
・リーダーシップとリーダー・フォロワーの関係
の関係。この視点の設定はたいへん、面白いし、参考になった。NHKのストーリーがプロジェクトにフォーカスしているので、その背後や環境をうまく抽出する視点だからだ。

ただし、分析は、教科書のような分析なので、経営学の教科書かと突っ込みたくなるような内容。もう少し、突っ込んでほしかった(実際に教科書として使っているようなので、そのためかもしれない)。

ということで、試みは評価したいし、この本を読んでプロジェクトXを見ると、見方が変わると思う(実際にやってみたらそうだった)。その意味でも意味があると思う。本当は★3つ半くらいにしたいのだが、★1個はその点でのおまけ。

また、プロジェクトマネジャーが、自分の置かれている立場を確認するためにも読んでほしい1冊である。

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2007年12月 4日 (火)

楽天ブックスへのリンク

まだ、アンケートも途中ですが、とりあえず、今までの結果をみて、今後、紹介する書籍には、アマゾンへのリンク以外に、楽天ブックスへのリンクをつけることにしました。

ご活用ください!

楽天ブックス

2007年12月 3日 (月)

P2Mガイドブック

4820744690 日本プロジェクトマネジメント協会「新版 P2Mプロジェクト&プログラムマネジメント標準ガイドブック」、日本能率協会マネジメント出版情報事業(2007)

お薦め度:★★★★1/2

P2M(プロジェクト&プログラムマネジメント)は日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)が推進しているプロジェクトマネジメント方法論であり、PMBOKと同じ個別プロジェクトのマネジメントに加えて、プログラムマネジメントとポートフォリオマネジメントを統合した(広義での)プログラムマネジメントのフレークワークである。

本書はP2Mのガイドブックの新版(第2版)。内容的に第1版と比較すると、
・フレームが明確になり、しっかりとしてきた
・プロファイルなどの独自概念がこなれてきた
などの改良点が見受けられる。

ガイドブックとしては第1版は読むのに苦労するくらい、読みにくい部分が多々あったが、これがすっきりとしてきて、読みやすくなっている。その意味で、第1版はPMC、PMSなどの資格試験を受験する人以外には薦めにくかったが、今回のバージョンはプログラムマネジメントを必要とする実務家に薦めることができる内容だといえよう。

PMBOK(R)を推進しているPMIでも昨年プログラムマネジメント&ポートフォリオマネジメントの標準を発表し、この3つを合わせるとちょうど、P2Mと同じ位置づけになる。内容的には、P2Mに一日の長がある。また、PMIのこのドキュメントは現在のところ、ガイドラインというよりはホワイトペーパーに近い(来年の改定でどこまで変わるか!?)

P2Mも第1版はホワイトペーパーだったと思うが、やっとガイドラインと言えるものになってきた。この点でもPMIと比較すると一日の長がある。この進化がどれだけ普及に役立つかは見ものだ!興味ある人は、とりあえず、本書を読むところから始めよう!

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なお、今回の改定の中で、実務に適用しようとすると改善された理由に含蓄のありそうな部分が少なくない。その意味で、実務適用を考えるに当たっては、第1版との併用をお勧めしたい。今回、新版が出たことでいずれは廃番されるのだろうから、買っておくなら今のうちだ!

45696283894569628370  P2Mプロジェクト&プログラムマネジメント標準ガイドブック〈上巻〉プログラムマネジメント編

P2Mプロジェクト&プログラムマネジメント標準ガイドブック〈下巻〉個別マネジメント編

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