« 2009年3月 | メイン | 2009年5月 »

2009年4月

2009年4月17日 (金)

【ほぼ日 読書日記】2009年4月16日

香取一昭さんと久しぶりに会う。香取さんのマルチタレントぶりは相変わらずで、今度はこんな本を出された。

香取 一昭、大川 恒「決めない会議―たったこれだけで、創造的な場になる10の法則」、ビジネス社(2009)

会議本はハウツーもののイメージがついて回るが、この本は決してハウツー本ではない。コンセプチャルな本である。AI、OST、ワールドカフェ、フューチャーサーチなどについて簡潔に解説されている。

このあたりの対話的な問題解決アプローチは、イノベーター、アーリーアダプターの時期は終わり、アーリーマジョリティが登場する時期にさしかかっているような気がするので、こういう本がでるタイミングとしてはよいと思う。

この分野、最近でいえば、清宮さんの「質問会議」のように簡単にかつ、エッセンスだけ押さえて1冊にしたが出版されて結構売れている。

願わくば、ワールドカフェや、OSTで、質問会議的なレベルの本を作ってほしいなあ。

2009年4月16日 (木)

【ほぼ日 読書日記】2009年4月15日

この日記で取り上げたある著者の方から、紹介記事をはやく書けという催促を受けた。そのうち、書きますので、お待ち下さい。現在、キューは20冊くらい。月1~2冊は、すぐに紹介したいと思う本があるので、月に捌けるのは4~5冊。気長にお待ち下さい。

まあ、新刊紹介をするブログは山ほどあるので、棚に戻ったあとで、紹介する人がいてもいいでしょう。

さて、ちょっと気になるシリーズが登場。

リクルートワークス研究所は、人と組織の研究所で、ユニークな研究で有名。「Works」という雑誌の定期刊行もしていて、こちらも他の雑誌で見られないような特集が並ぶ。

いろいろな意味で、リクルートでなければ、できないような展開だが、今度は、プレジデントと組んで、研究者の研究を書籍にして出すという試みをはじめたようだ。「ワークス人と組織選書」。

とりあえず、配本があったのは、

笠井恵美「サービス・プロフェッショナル」、プレジデント社(2009)
谷口智彦「見どころのある部下」支援法」、プレジデント社(2009)
豊田義博「戦略的「愛社精神」のススメ」、プレジデント社(2009)

1冊20分と限定して、1時間でできる限り、読んだ。

人に勧めるのは難しい本だが、松岡正剛流の2R(リスク&リスペクト)の精神で読むのであれば良い本。

この中の1冊だけは、もう一度、読み直してみようと思っている。なんでしょう?読んだら、紹介記事を書きます。

2009年4月13日 (月)

【ほぼ日 読書日記】2009年4月13日

最終ののぞみで京都から東京に移動。もう本屋が閉まっていたので、キオスクで新書を2冊買い込む。

まずは松岡正剛さんの本から読み出す。

松岡正剛「多読術」、筑摩書房 (2009)

本にリスクがつきまとうというのは名言だなあ。このブログを読んでくださっている人から何度か、何でそんなにたくさんの本を読むんですか?と聞かれることがある。

一応コンサルタントという商売をしているわけで、ビジネス書という限定でいえば、「効用」を求めて読むのが普通だと思うが、ビジネス書だって、ジャンルを問わずに読めば、効用があるとは限らない。やっぱり、松岡さんのいうように、知らないことを知りたいから読むという感覚が強い。

どうも書籍ブログなるものが出てきて、世の中的に、この感覚が薄れているのが残念だ。と、僕がいうのもアレか。

ただ、僕は紹介記事は書いても、書籍ブログとか、メルマガは絶対に読まない。ディレクトリとしても参考にしない。

って、ある出版社の人に言ったら、「土井さんとか、松山さんの話をしているじゃないですか」と突っ込まれた(苦笑)

そう、僕は本を読み終わったらgoogleで検索し、書評とか紹介記事を見つけたら片っ端から読む。これがまた、楽しい。感じ方が違うし、ツボも違う。これがまた、本を読むのと同じような楽しみがある。

結局、本を読む楽しみは、知らないことを知る楽しみであり、当り/外れのリスクがあることじゃないかと思う。

さすが、松岡さんはいいこというなあと思いながら読んでいたら、新富士を過ぎてしまった。次の本にかかる。

岡本薫「世間さまが許さない!―「日本的モラリズム」対「自由と民主主義」」、筑摩書房(2009)

「世間さま」というモラルの共有を前提にした社会についての考察。今年読んだ本の中で、もっともおもしろかった。読書傾向として僕はこういう本にはまる傾向があるが、これこそ、知らない世界を見せてくれる本。

旅に喩えれば、東京に住んでいて、中央線で通勤している人が、高尾山で感動するっていうような感じかな。日常の中のサプライズという感覚。京都ではないな。

読書を旅だと思える人にはお勧め。

2009年4月12日 (日)

【ほぼ日 読書日記】2009年4月12日

ここまで割り切って本を作るというのはある意味ですごい。

杉山 浩一「図解入門ビジネス 最新リーダーシップの基本と実践がよーくわかる本」、秀和システム(2009)

こういう書き方をすると皮肉っぽく読めるかもしれないが、そうではない。説明は簡単ながらもきちんとしているし、一つ一つの項目に確かに実践につながる知識も含まれているように思う。その意味でもしっかりとした本であるし、これでその気になってやってみて、いろいろと気づくというのは、貴重な体験だと思う。

少なくとも今までにはないタイプかもしれない。

グロービスのMBAシリーズの中に

グロービス・マネジメント・インスティテュート(大中忠夫監修) 「MBAリーダーシップ」、ダイヤモンド社 (2006)

というリーダーの行動技術に焦点を当て、理論との関係を説く本があるのだが、強いていえばこの本に近い。しかし、杉山さんの本はもっと割り切っている。リーダーシップTIPSである。

さて、休みに読もうと思っていた本を3冊読む。3冊ともビジネス書といえなくもないが、2冊は範疇が違うような気もするので、書名の紹介にとどめる。2冊とも★5つ。

市川 力「探究する力」、知の探究社(2009)
西水 美恵子「国をつくるという仕事」、英治出版 (2009)

両方とも深い感動を覚える。

もう一冊は、この本。この本はなかなかの力作である。こちらは成果主義は原理的に間違っていると言った社会の本質に触れた提言もしている。

増田 悦佐「格差社会論はウソである」、PHP研究所(2009)

エリック・スティーブン レイモンドの「伽藍とバザール」を引き合いにだし、日本は欧米が向かおうとしているバザール型の社会だと指摘。格差社会論を、バザール型の社会を維持し続けることができなくなってきた今の知的エリートが、自らの権威を維持し続けるためのレトリックだと斬っている。僕も何となくだが、そのようなうさんくささを感じており、データに基づいてこの議論を展開している本書に拍手。

【ほぼ日 読書日記】2009年4月11日

22時過ぎに事務所のある宇治市のとなりの城陽市にある「上方温泉一休京都本館」という日帰り温泉に行った。温泉から出てしばらく休憩。万城目学の「プリンセス・トヨトミ」を読み出したら、おもしろい!やっぱ、天才。100ページくらいまで読み進んだところで、ツレが帰ろうというので後ろ髪を引かれつつ帰路に。

ビジネス書は読むことが目的なのでかなりスピードが早いが、それ以外は意外と遅い。万城目学も1時間くらいで100ページってかんじだ。

帰りに事件。宇治川ラインと呼ばれる国道を通ったのだが、ローリング族がうじゃうじゃ。老眼が出てきてむちゃくちゃな運転はしないようにしているのだが、少しだけ燃えた。

さて、今日は午前中は業務をしていたが、午後は、思索タイム。

今年になってから盛んに、システム工学的なプロジェクトマネジメントではできないプロジェクトに関する情報発信をしているが、2~3ヶ月前に読んで気になっていたこの本を今日、再び、読んだ。

奥山 清行「伝統の逆襲―日本の技が世界ブランドになる日」、祥伝社(2007)

どうも、職人と現場の切り分けがうまくできない。この本の中には、何かメッセージがあるのだが、うまく読み取れない。なんだろう。。。

全然、関係ないのだが、疲れてきたので別のことを考え出した。

西村克彦「「わかる」のしくみ」、新曜社(1997)

会社に入って3年目からやめるまでのほぼ、5年間、いろいろな形で、ずっと認知科学の研究開発をやっていた。基本というよりも、認知科学を機械の設計にどう応用するかとかいった話。その中で、わかるというのはさんざん議論したのだが、いまだによくわからない。

最近の問題意識としては、「わかったつもり」をどう回避するかという問題がある。企業教育がわかったつもりにすることに力を入れすぎているように思うからだ。

・事例研究
・フレームワーク

などすべてこの方向のものだな。

こういう手法を使うと、盛んに腑に「落ちる」といっているが、どうも、この三分の二くらいは、わかった気になっているだけのような気がして仕方ない。

ある大学の先生にその相談をしていたら、この本を薦められた。読んだ。読み切れていないが、いくつか参考になった。何度か読む価値はありそう。ただ、この本で指摘していることを本当に研修プログラムに反映できるかどうかは別。

できないとすれば、研修は所詮研修、わかった気にすればよいと割り切るしかないかな。

全然、関係ないが、最近、仕組みという言葉が、言ったモン勝ちみたいな大安売りされている。これが仕組みかっていうようなものを平気で仕組みだといっている。言うのは勝手だが。仕組みというのはそんなに軽いものではないと思うのだが、、、

その意味でも、この本は仕組みに興味がある人は読んでみる価値がある。

仕事を終わって夕食のあとで、この本をぱらぱらとめくる。

アエラ編集部「プロ力 仕事の肖像」、朝日新聞出版(2009)

伊勢崎賢治さんの記事を読みたかったんだが、一番、おもしろかったのは、女優の山口智子さんの話。ファンだというのもあるが、共感した。その前の記事が、勝間和代さんという並びも際立たせているように思った。

2009年4月10日 (金)

【ほぼ日 読書日記】2009年4月10日

セミナー教材で使う事例になるのではないかと思って、読み始めたら、思いっきりはまってしまって、そんな目的はすっ飛ばして完読!おもしろい!スポーツマネジメントに関わらない人も読む価値のある一級品のマネジメント解説書である。野球に興味のある人であれば、マネジメントの勉強のために読むことをお奨めする。楽しめて、勉強になる。

小寺 昇二「実践スポーツビジネスマネジメント―劇的に収益力を高めるターンアラウンドモデル」、日本経済新聞出版社 (2009)

もちろん、紹介記事を書く。

仕事の終わったあとで、この本を読む。

ハイラム・スミス、竹村 富士徳(フランクリンコヴィージャパン訳)「勝利のタイム・マネジメント―古代ローマのグラディエーターに学ぶ」、キングベアー出版(2009)

ハイラム・スミスは世界でもっとも有名なタイムマネジメントのスキームを考案した人だが、この本はライフワークバランスをかなり意識して、どのような意識やツールを持てばよいかを、古代ローマのグラディエーターをメタファに解説している。まあ、よくも悪くも、コヴィーだ。

プロジェクトマネジメントとチームマネジメントのマリアージュ

4806133183 石川 和幸「チームマネジメントがうまくいく成功のしかけ」、中経出版(2009)

お奨め度:★★★★1/2

チームマネジメントとプロジェクトマネジメント。相性がよさそうなのだが、実は、結構、取り合わせが難しい。プロジェクトマネジメントのライフサイクルと、チームのあり方について明確な関連付けがされていないためだ。

この背景にはチームマネジメントに対する位置づけがある。PMBOK(R)では、チームマネジメントはパフォーマンスマネジメントの手段であって、MUSTではない。スコープマネジメントの方法にもよるが、チームが形成されていなくでもできるように分担するのが計画するという仕事である。

しかし、この議論には見過ごしてはならない前提がある。

続きを読む »

【ほぼ日 読書日記】2009年4月9日

ずっと夜の打ち合わせが続いていて、本を読まない日が続いていた。当然、日記もお休みなので、お知らせが遅れたが、新しい本のプレゼントをはじめた。

ちょっと訳ありなのだが、昨年、出版された「ワークショップデザイン」という本。良い本なので、ぜひ、入手して欲しい。プレゼント応募はこちら

昼間の移動時間などの隙間時間で、今週、1冊だけ読んだ本がある。ちょっと前に発行された本。

桜井 章一「人を見抜く技術──20年間無敗、伝説の雀鬼の「人間観察力」」、講談社(2009)

やっぱり、人間観察というのはおもしろい。15年くらい前に、中国からの留学生が言っていたが、中国人は起業家に投資するときに麻雀をして人を見るらしい。だから、麻雀ができないとベンチャーの社長にはなれないと言っていた。今でもネタだと思っているが、結構、インパクトがあったので、今でも覚えている。

ところが、桜井さんの本を読んでいてうちに、単なるネタではなく、「よくできたネタ」に認識が変わった。麻雀を通じてこういう人の観察ができるなら、麻雀を打ってみて金を貸すというのは一理ある。僕が、一番、気に入ったところは、PMサプリに書いた。「縦・横関係の十字ラインを持つ」。

さて、今日は京都から東京に移動する新幹線の中で久しぶりにまとめて本を読んだ。

小泉 吉永「江戸に学ぶ人育て人づくり」、角川書店(2009)

ライフワークバランスがなぜしっくりこないか、よくわかった。いくら、時間のバランスをとっても、プライベートではない価値観が「仕事だからOK」などと言っていたら、分裂症になってしまう。やはり、生活で持つ価値観が仕事で通用するというのが基本だろう。江戸時代のすばらしさはそこにあるように思う。

逆にいえば、今は、親がビジネスでしか通用しない価値観で子供を育てているのではないかと思う。そう考えると、モンスターというのはよくわかる現象だ。

ローザ・セイ(本田 直之監訳、 庭田 よう子訳)「アロハ・マネジメント」、講談社(2009)

この本、好きだ。

本田さんの監訳というのが何ともいえないが、意外とこの辺りにレバレッジの原点があるのだろうか?それはともかく、こういう感覚はおもしろい。やはり、言葉は文化である。言葉で説明できないことは行動も具現化もできない。

日経コンピュータの編集長になった谷島さんが昔から、プロジェクトマネジメントを大和言葉で描きたいと言っているが、まあ、同じような感覚なのだろう。紹介記事を書きたい。

もう一冊読んだ。「不機嫌な職場」の著者河合大介さんの新作。

河合 太介「アンサー―「転覆の時代」を乗り越える職場」、経済界(2009)

これはビミョウだな。一面だけを切り取っているような気がする。問題は見えないところに何があるのかだ。

2009年4月 5日 (日)

【ほぼ日 読書日記】2009年4月4日

春ですねえ。

さくらを見ながら食事のできる料亭で、ランチ。そのあと、本屋をぶらついていたら、オビに「おくりびと」が生まれた秘密とあって、購入。ちょっと微妙な本。

小山 薫堂「もったいない主義―不景気だからアイデアが湧いてくる!」、幻冬舎(2009)

松岡正剛先生は、

松岡 正剛「山水思想―もうひとつの日本」、五月書房(2003)

の中で、枯山水は水を感じさせるために水を抜いていると指摘。これは、日本人の究極の「引き算の美学と思想」だと述べた。

例えば、戦略とは何かを捨てることだというのは、マイケル・ポーターの名言だが、よく理解されていないと思うのは、捨てることが大切だと思っている人が多い。選択と集中というわけだが、ここまでではポーターの理解として浅いのではないかと思う。

ポーターは松岡先生のいう「引き算の美学」がある戦略こそ、よい戦略だといっている。

と僕は思っている。

さて、小山 薫堂さんの本だが、引き算をして強調したいところにもう一度、何か置こうとしているように感じる。確かに、この行為こそが、企画マンの神髄だといえなくもないし、単なるお節介だともいえる。

もっといえば、もったいない(勿体無い)とは、「物体(もったい)」がない、つまり、物のあるべき姿がなくなることに対する感情である。だからこそ、引き算の美学があるともいえるが、その点でどうか。

まあ、興味があれば読んで考えてみて欲しい。僕は基本的にお節介は好きではないが、おくびとをみていると、確かにいっていることもわかるような気もする。

2009年4月 4日 (土)

【ほぼ日 読書日記】2009年4月3日

久しぶりに、読んだ本を即、紹介記事として書いた。半年ぶりくらいだ。これは、今年のAward候補だ。

村上龍「無趣味のすすめ」、幻冬舎(2009)
https://mat.lekumo.biz/books/2009/04/post-cacc.html

とりあえず、今日はこれだけ。

夜、トーマス・フリードマンの「グリーン革命」を読み出したのだが、上の途中でインタラプトされて中断。これについては、読み終えたところでコメントする。

そういえば、読者プレゼントで画期的な出来事があった。

読者プレゼントは、当選者を決めて、連絡し、プレゼントの送付先をご連絡戴いた段階で、その当選者に確定する。3回通知して、連絡がなければ次選の方に権利を移すという方法で抽選している。過去53回で1回の連絡ですべての当選者が確定したことはない。それがなんと54回は初めて、1回で即日、当選者がすべて決まった。著者の高橋さんの神通力か(笑)。なんか、うれしい。

ということで、気持ちよく、55回を開始。

55回はワークショップ本です。

堀 公俊、 加藤 彰「ワークショップデザイン――知をつむぐ対話の場づくり」、日本経済新聞出版社(2008)
http://pmstyle.jp/honpo/present/20090403.htm

PMstyle 2024年5月~7月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

アクセスランキング

カテゴリ

Powered by Six Apart

Powered by Google

  • スポンサーリンク
  • サイト内検索
    Google