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2005年6月

2005年6月 4日 (土)

プロジェクトマネージャーに必要なすべてがここにある

4757211465 マイケル・ワトキンス(村井章子 )「ハーバード・ビジネス式 マネジメント - 最初の90日で成果を出す技術」、アスペクト(2005)

お奨め度:★★★★1/2

管理職のキャリアで成果をあげることができるかどうかは、最初の90日間の間にどのような成果を挙げることができるかにかかっているという主張のもと、その90日を乗り越える方法を実践的に解説した本である。米国でも発売以来ベストセラーになっており、その実用性には定評がある本。

一種の成功法則本である。が、巷の成功法則は一般的な人を対象に書かれているし、精神論的な部分が多い。これに対して、本書はプラクティカルに書かれているので、読めば明日から仕事に使うことができる。これが、第1のポイント。

読んでみると、あることに気がついた。それは、この90日間に求められることは、プロジェクトマネージャーに求められることとまったく同じだ。僕は実は組織の中での管理職の経験がないのでよく分からなかったが、気がついた後で考えてみれば、当たり前のことである。「目からうろこ」だった。管理職の経験にある方にはすぐに分かるだろう。

プロジェクトマネジメントの方法論として書かれているわけではない。しかし、多くの部分はプロジェクトマネジメントですべきこととオーバーラップしており、その効果的な実行方法について述べられている本書はまさに、プロジェクトマネージャーのバイブルといってもよいだろう。

パイロットが空から学んだ一番大切なこと

475730305X 坂井優基「パイロットが空から学んだ一番大切なこと」、インデックス・コミュニケーションズ (2005)

お奨め度:★★★★

著者は国際線のパイロット。基本的には、どうすれば、安全が確保できるかについて書いた本。

いったん、空に出てしまうと、安全に注意するといってもできることは知れている。それゆえに、著者は、「飛ぶ以前の準備」の重要性を説く。それは人間関係の構築であったり、リスクマインドであったりする。JR西日本で報道されているようなことの正反対である。

この本を紹介した理由は安全について考えようということではない。フライトというのはひとつのプロジェクトである。プロジェクトを成功させるようとしたときに、何が必要かという点において、非常に学ぶことが多い本である。

特にリスクマネジメント、チームビルディングというプロジェクト思考の本質の部分で学ぶことが多いので、ぜひ、読んでみてほしい。

ちみなに、この本を読んで、このドラマを見直してみると、面白い!

B00008MMW8GOOD LUCK !!

2005年6月 2日 (木)

日本のソフトウエアエンジニアリグの夜明けはくるか

4822207951 情報処理推進機構ソフトウェア・エンジニアリング・センター、日経コンピュータ「ソフトウェア開発データ白書―IT企業1000プロジェクトの定量データを徹底分析」、日経BP社 (2005)

お奨め度:★★★★

米国ではソフトウエア開発の実態を定量的分析した本は、何冊もあるし、名著もあるが、日本ではおそらく、初めての本。

その米国では、ソフトウエアエンジニアリングでは、CMMで有名なカーネギーメロン大学のSEI(Software Engineering Institute)が頂点にある。ビジネススクールでいえば、ハーバードみたいな存在。

ちなみに、中国で、ソフトウエア産業が歴史が浅い割には、やたらとCMMで高レベルの企業が多いのは、ここに留学して帰国したエンジニアの力が大きいといわれている。

日本でも、昨年、日本版SEIを目指すIPAのソフトウェア・エンジニアリング研究機関「ソフトウェア・エンジニアリング・センター」(SEC)ができた。まだまだ、未知数だが、期待されている。

そのSECが中心になり、10社を超えるシステム・インテグレータから、およそ1000プロジェクト分のソフトウェア開発に関する定量的なデータを収集。そのデータを工期、生産性、品質に関して徹底分析し、「工期と生産性・品質の関係」、「適切な工期とは何か」、「品質と外注率の関係」など分析するとともに、課題を提起している。

分析はともかく、データとしては非常に面白いし、ソフトウエア以外の分野でも参考になる部分がある。

日本のソフトエンジニアリングの夜明けがくるか、、、きてほしいなあ!

とりあえず、期待をこめて、今月の1冊は、この本にする。

PMOのすべてがこの1冊に

0849321735 Gerard M. Hill「The Complete Project Management Office Handbook」、Auerbach Pub(2003)

お奨め度:★★★★

プロジェクトマネジメントオフィスについて、その形態、機能を体系的に1冊の本にまとめている。

これから、PMOを構築しようとしている企業、あるいは、今、あるPMOをもっと改善していきたいと考えている企業には不可欠。

この中には、プロジェクトガバナンスのような耳慣れないが、きわめて重要な話も含まれている。PMOの仕事をしている人は一読の要あり!

2005年6月 1日 (水)

システム・シンキング入門

4532110416西村行功「システム・シンキング入門」、日本経済新聞社(2005)

お奨め度:★★★

システムシンキング(システム思考)を軽く勉強したい人にはお奨め。

なかなか、よい事例が結構な数あるのだが、残念ながら、基本理論の説明が大雑把なので、この本だけでは理解できないのではないかと思われる。

とりあえず、雰囲気を学ぶには手軽でよい。

リーダーとしてキャリアをかけた決断をどう乗り越えるか

4492531793 ジョセフ・L. バダラッコ(金井寿宏、福嶋俊造訳)『 「決定的瞬間」の思考法―キャリアとリーダーシップを磨くために』、東洋経済新報社(2004)

お奨め度:★★★★

リーダーとしての意思決定は時として、キャリアをかけたものになることがある。たとえば、あたなが会社から、部下のリストラ計画があることを知らされる。部下の家庭事情などはよく分かっている。その場合、あなたは、その情報を得た時点で、部下に知らせるべきか、知らさざるべきかを悩むことになる。

今までの日本の会社であれば、こんな問題は一笑に付されていただろう。会社がすべてであれば、答えは決まっている。知らせる必要はないのだ。しかし、本当にそれでいいのだろうか?

このような場面は実際のキャリアの中では結構多い。この本はいくつものケースをもちいて、そのような状況におかれたリーダーはどのような思考をすべきかを議論している。

みずから変化をつくりだせ!

4478300615 ピーター・ドラッカー(上田惇生訳)「チェンジ・リーダーの条件―みずから変化をつくりだせ! 」、ダイヤモンド社(2000)

お奨め度:★★★★

チェンジマネジメントに関するドカッカーの見識は他の分野よりも一層、含蓄深いものである。そのような論文を集めた論文集である。

ドカッカーの根本的な思想は、社会、組織(企業、NPO)、個人などのあらゆるレベルにおいて、自己責任、自己変革である。現在の社会においては、変化は常態になりつつあり、変化への対応が迫られている。

その中で、自ら変化を創り出し、起こりうるだろう変化を飲み込んでいくという発想が必要であるというのがドラッカーの主張だ。

分かりやすい問題として、昨今、話題になっている郵政民営化問題がある。現時点では事業としても問題がない。将来も問題がないと思われる。しかし、可能性としてはもっと良質の事業になるかもしれない。当然、リスクもある。このような状況において、リーダーが如何に変化を起こしていくか。難しい問題であるが、ここで変化が必要だということに共感できる人には、ぜひ、お奨めしたい本である。

イノベーターの条件

4478300623 ピーター・ドラッカー(上田惇生訳)「 イノベーターの条件―社会の絆をいかに創造するか」、ダイヤモンド社(2000)

紙版><Kindle版

お奨め度:★★★★★

ドラッカーの論文集第3弾で、社会構造の変革について述べた著作を集めている。ひとつひとつの論文を見ると、さすが、ドラッカーという含蓄の深い論文ばかりであり、また、言及している範囲も経済だけではなく、政治、教育など、非常に広範な範囲で言及されており、深く読むと、これらが、非常に深く関連していることが分かる。

ドラッカーの社会論の中で興味深いのは、NPOの議論である。NPOの重要性を古くから訴えてきた一人がドラッカーであるが、ここにきてやっと、予測した未来が現実のものになりつつある。その流れを検証するにも絶好の1冊である。

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PMBOK、相変わらず好調!~2005年5月ベストセラー

ビジネス書の杜 5月の月間ベストセラーです。今月は売り上げが少し減ってきました。その中でも、PMBOKは相変わらず、売れています。今月も29冊売れました。

藤巻氏のチームの教科書が売れてきました。とてもよい本だと思うので、いいですね!最近、チームの本が増えてきました。出版業界にはチームの本は売れないというジンクスがあるそうですが、果たして打ち破ることができるでしょうか?

【2005年5月ベスト5】

(→)第1位 A Guide To The Project Management Body Of Knowledge: Official Japanese Translation (29)

(↑)第2位 チームリーダーの教科書―図解 (13)

(↑)第3位 世界一わかりやすいプロジェクト・マネジメント(7)

(↑)第4位 ソフトウエア企業の競争戦略 (6)

(↓)第5位 プロジェクトマネージャーが成功する法則―プロジェクトを牽引できるリーダーの心得とスキル (5)

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