プロジェクトマネジメント(PM) Feed

2006年10月16日 (月)

プロジェクトマネジメントはサイエンスかアートか

487311299001 スコット・バークン(村上 雅章訳)「アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法」、オライリー・ジャパン(2006)

お奨め度:★★★★★

著者がマイクロソフトで養ったプロジェクトマネジメントの技を披露した本。ソフトウエアプロジェクトの本だと、必ずといってもよいくらい、開発マネジメントのテクニカルな話題に重心が置かれるが、この本は違う。目標のマネジメント、人のマネジメント、組織のマネジメント、コミュニケーションのマネジメント、アイディアのマネジメントなど、本来のプロジェクトマネジメントのイシューを中心にして組み立てられている。具体的な内容は、目次を参考にしてほしいが、開発マネジメントについても、手法ではなく、仕事の進め方としてのポイントが書いてある。

ソフトウエア開発プロジェクトは、ハードウェアのプロジェクトとは違うと主張する人がよくいる。プロジェクトファシリテーションなどが妙にはやっているのもその流れだと思割れる。

しかし、この本を読んでいると、決してそんなことはないと思い知らされるだろう。ソフトウエアという商品の特性は確かにある。

しかし、そこで必要なマネジメントはハードウェアや、ソフトウエア以上にソフト的なサービス開発プロジェクトとなんら変わらない。マイクロソフトという会社のやり方は昔から何かと批判の対象になることが多かった。古くはDOSをめぐるビジネスのスタンス、Windowsに代表されるGUI環境ビジネス、最近ではインターネットへのアプローチなどだ。しかし、結局、最後に勝つのは、MSだった。

その秘訣はマネジメントがビジネスを意識したものであることと無縁ではないだろう。この本は、プロジェクトマネジメントに関心を持つ人に読んでほしいのはもちろんだが、もう少し、広く、マネジメントに関心をもつ人にもぜひ読んでほしい一冊である。ソフトウエアエンジニアリングの知識がない人が読んでも分からないところは少ないだろう。

マーケティングは50%がアートで、50%がサイエンスだといわれる。プロジェクトマネジメントもそういった側面がある。特に、MSが展開しているようなビジネスを強く意識したプロジェクトマネジメントはアートの要素が多い(エンジニアの人は自分たちの領域の方がアートの要素が多いと思っているかもしれないが、それは勘違い)。

その意味で、この本に書いてあることはまさに、プロジェクトマネジメントのアートの部分だ。

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2006年10月12日 (木)

PMBOKのITプロジェクトへの適用の具体的方法

488373232001 山本需「PMBOK第3版を活用するITプロジェクトマネジメントへの適用と実践」、ソフトリサーチセンター(2006)4883732320

お奨め度:★★★★

PMBOK第3版をITプロジェクトに適用する方法を体系的に述べた本だが、いろいろ、ある本の中でもっとも具体的に書かれている本だ。

PMBOKのプロジェクトマネジメントプロセスに従って淡々と書かれている中に、著者の知見やノウハウがTips的な形で埋め込まれており、特に初心者が使いやすい内容になっている。

なによりよいのは、テンプレートが豊富であり、それが非常に役立つだろう。

PMBOKをITに適用するというのは何冊か類書がある。非常に興味深いのは、その方法が異なることだ。その中で、もっともオーソドックスなのは、この本と同じ出版社から出版されている佐藤義男さんの書かれた本である。この本はもともとは、日本プロジェクトマネジメント協会(当時は日本プロジェクトマネジメントフォーラム)のSIG活動で原型ができただけあって、非常にオーソドックスにまとまっている。どのようなIT組織にも使えるだろう。その一方で、教科書的という批判もある。

佐藤さんの本に較べると、教科書的なイメージはなく、文字通り、実践的な本である。その分、PMBOKの適用に関して、著者のオリジナルの視点が含まれているので、読む際には佐藤さんの本と比較しながら読んでいかれることをお奨めしたい。

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2006年9月29日 (金)

プログラムマネジメントに興味を持つ人の必読書!

482224541109 桑嶋健一「不確実性のマネジメント 新薬創出のR&Dの「解」 」、日経BP社(2006)

お奨め度:★★★★

新薬開発の分野はプロジェクトマネジメントに対する関心が高いが、その理由がよく分かる本である。著者は大学の先生だが、よくフィールドワークをしていて、分析、提言とも実践的であり、実務家に有益である。

この本では、製薬会社の競争優位源泉を「go ro no-goの判断」だという仮説を設定し、武田薬品をはじめとする数社のベストプラクティスの調査をし、その仮説検証をしている。この分析の過程で判明したベストプラクティスはまさにプログラムマネジメントのベストプラクティスである。プログラムの中でポートフォリオを使って不確実性への対処をするという発想は、P2Mなどで提案されている手法である。

第4章の産業間の比較も非常に興味深い。問題解決モデルを作って、新薬開発のプラクティスで実施されていることを分析していいる。非常に合理的なプロセスになっていることが分かる。研究所としてみた場合には、(少なくともこの本にある書かれている範囲では)強引な結論を出しているという感じがするが、全体としては説得力があり、プログラムマネジメントの実践を知る上では、非常によい本である。

その意味で、製薬業界の方はもちろんだが、いろいろな業界の人が読む価値のある一冊である。

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2006年9月11日 (月)

ぴったりサイズのプロジェクトマネジメント

479811080901 カーティス・R・クック(中西全二訳)「実務で役立つプロジェクトマネジメント」、翔泳社(2006)

お奨め度:★★★

Just Enough Project Management: The Indispensable Four-Step Process for Managing Any Project Better, Faster, Cheaper

の翻訳書。

007144540401 タイトルの通り、プロジェクトマネジメントの最低限の知識を解説した本。ただし、その範囲でのテンプレートやチェックリストが掲載されている。また、シングルプロジェクトだけではなく、マルチプロジェクトマネジメントにも言及されており、入門書というより、最も「手抜きなプロジェクトマネジメント実践書」といった感じ。

中嶋さんがオビに

ベテランの方の知識、経験の総整理に最適

と書かれているが、この使い方が最も有効な本だと思う。初心者向けになっているが、初心者がこの本を使いこなすのは難しいと思う。

おそらく、初心者がこのようなことをやろうとすると、なぜ、それだけしかしないのかと聞かれたときに答えられないし、ちょっと考える人なら本当にこれだけでよいかと不安になると思う。体験的にプロジェクトマネジメントの本質を知っている人向き。

その意味で、★★★としているが、経験のある人が読む本として限定すれば、★★★★。

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PMBOKの原点を知る

487268567901  188041030301プロジェクトマネジメント協会(PMI東京支部訳)「プロジェクトマネジメント プリンシプル - 変革の時代を生き抜くための人と組織の挑戦」、アイテック(2006)

お奨め度:★★★1/2

10年前に米国PMIが纏めたPMの名著
The Principles of Project Management

をついにPMI東京の有志の方が翻訳し、日本でも出版された。一説によると、PMBOKガイドを意識して、PMBOKガイドのプアな部分を重点的に書かれたという本。

PMBOKの功罪はさまざまで、トータルすると圧倒的に功が大きい。その中で、罪の部分で最も大きいのは、プロジェクトマネジメントを矮小化している点だ。これはPMBOK自体の問題というよりも、PMBOKガイドの書き方による部分も大きいが、本来、プロジェクトマネジメントはプロジェクトだけの活動ではなく、組織全体の活動である。

それがプロジェクトチームを中心にした説明をしているので、すべてがプロジェクトマネジャーやプロジェクトマネジメントチームのタスクだと誤解されている傾向が強い。

決してそんなことはなく、プロジェクトマネジメントを有効に実施するためにはこの整理から始める必要がある。その原点を整理するには最高の本である。まさに原理である。

僕がこの本の原書を読んだのは6~7年前だが、当時感じたことと較べて感じたことが2つある。

一つは、当時、目からウロコのなんと素晴らしい本だと思ったが、今はこのレベルの本は何冊かある(残念ながら、和書ではないが)。もう一つは、経営学(マネジメント論)で議論されるようになってきたことが相当多いことだ。

いずれも、プロジェクトマネジメントが世の中に普及し、進歩してきたことによるものと思われるが、これらはこの本の価値を損なうものではない。

ただし、一つだけ苦言がある。この内容の本を日本で3500円で出されると高い。この点が★一つ減。値段が気にならない人には、この本は★★★★1/2 である。

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2006年8月 5日 (土)

プロジェクトマネジメント危機脱出マニュアル

447837521601 デイビッド・ニクソン、スージー・シドンズ(中嶋秀隆訳)「プロジェクト・マネジメント 危機からの脱出マニュアル―失敗ケースで学ぶ」、ダイヤモンド社(2006)

お奨め度:★★★★1/2

さっと読んでみて、いよいよ、こんな本が出てくるようになったかという思いを持った一冊。さすが、PMに対する独自の視点と見識をもたれる中嶋秀隆さんが選んで翻訳された本という感じ。

プロジェクトの失敗をきちんと体系的に整理し、問題領域を特定し、問題領域に対してソリューションを提供している。同じ狙いで書かれた本に、伊藤健太郎さんのベストセラー

伊藤健太郎:「プロジェクトはなぜ失敗するのか―知っておきたいITプロジェクト成功の鍵

https://mat.lekumo.biz/books/2005/01/it.html

がある。この本は今でも一番売れたPM本らしい。

伊藤さんの本はプロジェクトマネジャー向けに書かれているのに対して、この本は、組織マネジャー、あるいはプログラムマネジャー向けに書かれた本である。プロジェクトマネジャーに役に立たないという意味ではないが、ソリューションがプロジェクトマネジャー一人では実行できないようなものがかなり入っているし、問題分析の視点も組織からの視点である。また、人事制度とのプロジェクト失敗の関係、PR(パブリックリレーション)との関係にまで言及されており、広範な内容をコンパクトに纏めた非常に参考になる本である。

特にプログラムマネジャーにお奨めしたい本だ。ただし、2つ注意がある。マニュアルと書かれているが、コンパクトに纏めるためか、記述の抽象度が高い。原書を読んでないのでなんともいえないが、訳は読みやすいと思うので、原書の書き方の問題だと思う。2つめは、これにもつながるが、相当、マネジメントに関する基本的な知識を持たないと読みこなせない本である。これはプロジェクトマネジャーより組織マネジャーを対象にした本だからだと思う。

久しぶりに★5つをつけようと思いとどまった。理由はエンパワーメントとガバナンスに関する踏み込んだ議論がないことだ。これらの問題に触れてないわけではなく、いろいろな側面から触れている。また、このような構成になる理由も分かる。しかし、これだけ工夫された本であるので、もう少し頑張って欲しかったなと思う。そこだけが、若干、不満であるが、それ以外、文句なし。

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2006年6月27日 (火)

経営や組織からみたプロジェクトマネジメント

49602634 林伸二「組織が活力を取りもどす―プロジェクトの立案から監査まで」、同友館(1997)

お奨め度:★★★★

林先生は組織論の研究者である。この本はプロジェクトマネジメントを組織の視点から捉え、どのように実行されているか、また、どのような仕組みが作られているかを事例研究した書籍である。

プロジェクトマネジメントが普及してきたことは望ましいことだが、あまりにもテクニカルな側面が強調されすぎ、オペレーションマネジメントのような認識がだんだん強くなってきた。

プロジェクトのオペレーションをする分にはそれでもかまわないが、プロジェクトの成否の評価をするためには、組織的な位置づけの議論は欠かせないだろう。

この本では、そのような視点からプロジェクトマネジメントを捉えるとともに、プロジェクトマネジメントは「マネジメント」として何をすべきかを強調したプロジェクトマネジメント論である。

同じような視点から書かれた本に、ポール・C・ディンスモアのエンタープライズプロジェクトマネジメントがある。

447847058809 ポール・C・ディンスモア「エンタープライズ・プロジェクトマネジメント ― プロジェクト型組織による全社経営」、ダイヤモンド社(2002)

この本もよい本である。内容的には

1.エンタープライズ・プロジェクトマネジメントとは何か(すべてはプロジェクトに通じる―機能別組織からプロジェクト志向型組織へ
・プロジェクトマネジメントを全社経営に生かす―エンタープライズ・プロジェクトマネジメントの実際
・企業戦略とプロジェクトのベクトルを一致させる―構想立案段階からのプロジェクトマネジメント
・エンタープライズ・プロジェクトマネジメントを普及する―経営システム変革までの段階的アクション ほか)

2.エンタープライズ・プロジェクトマネジメントの実践(経営トップは質問の技術を磨け―経営者生き残りへのアドバイス
・プロジェクトマネジメントの基本を学ぶ―必要となるマネジメント要素と管理項目
・トレーニングプログラムを準備する―プロジェクトマネジメントの専門教育
・能力評価基準を確立する―プロジェクトマネジメントのコンピタンス ほか)

といった内容で、マネジメントにプロジェクトマネジメントを導入していく際に必要なことが一通り書かれている。この本は林氏の本よりもう一段踏み込み、複数のプロジェクトを如何に管理するかについてまで議論されている。プログラムマネジメント、ポートフォリオマネジメントなどの導入の下地の作り方を解説した本であり、その意味で今後のために読んでおく必要のある一冊である。

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2006年6月20日 (火)

こんなPM本がほしかった!

074944555601 Jason Westland「The Project Management Life Cycle: A Complete Step-By-Step Methodology For Initiating, Planning, Executing & Closing A Project Successfully」、Kogan Page Ltd(2006)

お奨め度:★★★★1/2

プロジェクトマネジメントの中でもっとも分かりにくく、また、重要な議論は、計画の詳細的段階化の話である。言い換えると、プロジェクトマネジメントライフサイクルの議論だ。実際のところ、PMBOKを読んでも書いてないわけではないが、読んでも分からない。段階的詳細化の議論を、理論的にしても何も分からない。ツールを使って具体的にどのように詳細化をしていくかを解説する必要がある。

この本は150以上のテンプレート、チェックリスト、テーブルを提示し、それらを使ってプロジェクトマネジメントライフサイクルをどのようにまわしていくかを解説している。英語の本なので、ツールをそのまま使うというわけには行かないだろうが、コンサルタントとして、多くの企業で、多くのツールを見てきたが、こんなにすばらしいツールにはお目にかかったことがないくらいすばらしい。

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プロジェクトメトリクスのサンプル集

156726166301 Parviz F. Rad「Metrics for Project Management: Formalized Approaches」、Management Concepts Inc(2005)

お奨め度:★★★★1/2

プロジェクトマネジメント品質のメトリクスについて体系的にまとめている。PMBOKがベースに、一通りのメソドロジーの構成要素に対して、評価のためのチェックリスト、定性的評価の方法を示しているので、英語である点を除くと、すぐにでも使える実用書である。

メトリクスの内容は計測することに対してよく配慮されており、具体的で、評価しやすいものをうまく設定している。

例えば、WBSの評価を一つとっても、30項目にもわたる非常に細かくチェックリスト(グレイディングつき)が示されている。

プロジェクトマネジメントの改善を目指すPMOの人には、ぜひとも読んでほしい一冊である。

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2006年6月14日 (水)

デスマーチ

4901280376 エドワード・ヨードン(松原友夫、山浦恒央)「デスマーチ──なぜソフトウエア・プロジェクトは混乱するのか」、シイエム・シイ(2001)

お奨め度:★★★★1/2

ソフトウエアプロジェクトがなぜ、失敗するのかを、プロジェクトをシステムとして捉えて、悪循環の構造について分析した名著。デスマーチという言葉は非常にインパクトがあり、流行語にもなった。

この本ではデスマーチプロジェクトとして、

 ・与えられた期間が、常識的な期間の半分以下である
 ・エンジニアが通常必要な半分以下である
 ・予算やその他のリソースが必要分に対して半分である
 ・機能や性能などの要求が倍以上である

といったことがあげられており、そのようなプロジェクトへの対処方法が述べられている。心当たりがある人は、とりあえず、読んでみよう!

なお、2006年に第2版が同じ著者、同じ訳者で、日経BP社から出版されている。ただ、第2版であるが、違う本ではないかと思うくらい違う。僕は第1版の方が価値があるのではないかと思う。

482228271601

デスマーチ 第2版 ソフトウエア開発プロジェクトはなぜ混乱するのか」、日経BP社(2006)

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