プロフェッショナル Feed

2005年10月 3日 (月)

ザ・プロフェッショナル

447837501109 大前研一「ザ・プロフェッショナル」、ダイヤモンド社(2005)

お奨め度:★★★★

「お~、ついに出た」と思い、手にしたが、次の瞬間にがっかりした。

プロフェッショナル論としては間違いなく一級品である。しかし、誰もが言っているようなことを大前流にまとめただけの本である。

大前は日本のビジネスマンでプロフェッショナルというときに、真っ先に出てくる一人であり、僕のもっとも尊敬するビジネスプロフェッショナルだけに、あえて、厳しい評価をしたい。

この本がで大前が言っているのは、先見する力、構想する力、分析する力(議論する力)、矛盾を適応する力、21世紀経済に対する正しい理解と洞察があって、ビジネスプロフェッショナルとなれるということである。

知りたいのは、どうすれば大前研一になれるかである。

大前研一は、80年代には間違いなく、トムピーターズと同じくらいの影響力を持っていたように思う。日本人では初めて、経営論のグルになる人だと思っていた。

しかし、年齢を重ねるとともに、普通の人になってきたように思う。それでも、同分野ではトップを走り続け、後塵を拝していないのだから、たいしたものだが、昔からの大前研一のファンは、だんだん欲求不満になっているのではないかと思う。

特に、ビジネススクールを作ってからはグルではなく、教育者になってしまったように思う。その延長線上にこの本があるように思える。

なぜ、大前研一があるのか?一般論的なプロフェッショナル論ではなく、彼の生き様をプロフェッショナルという視点から知りたい。次は、ぜひ、そんな本を出してほしい。

ちょっと書きすぎた嫌いもある。繰り返すが、大前研一の本としてみなければ、間違いなく一級のプロフェッショナル論である。

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2005年8月 8日 (月)

経営者の格付け

4794214219有森隆「経営者を格付けする」、草思社(2005)

お奨め度:★★★

とりあえず、よみものとしてとても面白い。

日本を代表する46社の経営者を、「状況判断力」「目標設定力」「後継者育成力」「遂行力」「決断力」の5つの指標で斬っている。

その上で、勝ち組と負け組みを分けるものは何かを考察している。取り上げられている経営者には

張富士夫―トヨタ自動車・副会長
カルロス・ゴーン―日産自動車・社長兼CEO
鈴木修―スズキ・会長兼CEO
中村邦夫―松下電器産業・社長
秋草直之―富士通・会長
出井伸之―ソニー・前会長兼CEO
御手洗冨士夫―キヤノン・社長
永守重信―日本電産・社長
和田紀夫―NTT・社長
後藤卓也―花王・会長

などがいる。

この本の特長はエピソードをふんだんに盛り込んで、考察している点にある。とりあえず、立ち読みコーナーにライブドア堀江社長の章の一部があるので、読んでみてほしい。

堀江貴文(ほりえ・たかふみ)  ライブドア 社長兼CEO

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2005年7月31日 (日)

テクノロジストの条件

4478300720 ピーター・ドラッカー(上田惇生訳)「テクノロジストの条件    はじめて読むドラッカー (技術編)」、ダイヤモンド社(2005)

紙版><Kindle版

お奨め度:★★★★★

ドラッカーの著作を読んでいると、その端々に、技術に対する非常に深い造詣を感じることがある。ただ、その全体像が見えなかった。

このように著作集として整理されると、改めて、ドラッカーの技術に対する造詣の深さに改めて驚かされるばかりである。

MOTにかかわっている人はもちろんであるが、技術者として、目先の技術を追いかけるだけではなく、高い志をもち、技術による社会貢献に取り組んで行きたいと考えている人に特にお奨めしたい。

また、最近、MOTブームの一方で、飛行機や鉄道などでは、技術軽視によると思われる災害、事故が目につく。また、携帯電話などの電子商品では技術、あるいは技術者の社会的な責任を全うしていない事例が目につく。もう一度、技術者、あるいは技術のスタンスを考え直す時期に来ている。

そのような時期にぜひ読んでみたい1冊である。

また、あわせて、

プロフェッショナルの条件~いかに成果をあげ、成長するか

https://mat.lekumo.biz/books/2005/02/post_4.html

チェンジリーダーの条件~みずから変化をつくりだせ!

https://mat.lekumo.biz/books/2005/06/post_7754.html

イノベーターの条件~社会の絆をいかに創造するか

https://mat.lekumo.biz/books/2005/06/post_234dB0084066JM.html

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2005年5月23日 (月)

成功の教科書

409837661X 原田隆史「成功の教科書」、小学館(2005)

お奨め度:★★★★1/2

「生活指導の神様」とまで言われる著者の「成功の技術」を体系化した本。

成功は「それ自身が技術である」と断言し、したがって、方法論ができるというのが著者の信念。そして、それを「原田塾」で教え、学校教育のみならず、ビジネス、企業でも大きな効果を挙げている。

成功とは

 自分にとって価値のあるものを未来に向かって目標として設定し、決められた期限までに達成すること

だと定義しているが、そこで展開されている方法論は、納得性が高い。

特に共感できるのは、目標に業績目標と、「ルーチン目標」という2つの目標を設定していること。ルーチン目標とは、業績を上げるために一見無意味にさえ思える目標行動を繰り返し行うことで、「心作り」をするためのもの。

著者の指導する生徒で、砲丸投げで日本一になった生徒が、

 「皿洗いと部活動を毎日欠かさなかった」

ことを勝因としてあげているというエピソードが書かれている。この手の話は、ビジネスの中でも誰もが感じていることだろう。

たとえば、毎日、プロジェクトで朝礼をやって成果を挙げているプロジェクトを知っているが、ルーチン目標の設定というのは間違いなく効果がある。しかし、多くの人は、それを精神論として言うだけであり、ゆえに、ほとんど実践されることはない。

この本では具体的にルーチン目標の立て方と実行の仕方を議論している。これだけでも読んでみる価値がある。

2005年5月 3日 (火)

再生巨流

4104753017楡周平「再生巨流」、新潮社(2005)

お奨め度:★★★★1/2

帯にある「このプロジェクト、死んでも成功させる」というフレーズが気になり、読んでみた。経済小説。

佐川急便をモデル化した運送会社スバル運輸で、豪腕ゆえに、新規事業開発事業部という新設ポストに左遷された主人公吉野公啓が、アスクル(小説中ではプロンプト)に対抗するビジネスモデルを構築するプロジェクト小説。アスクルは文具店を代理店としているが、このモデルでは、街の電気屋さんを代理店とし、文具だけでなく、日用雑貨、電気製品などを総合的に取り扱うネットワークの構築を行う。

このビジネスモデルは昔から話題に上ることが多いものだが、相当、具体的にかかれており、それだけでもなかなか読み応えがある。

この小説の真骨頂は、プロジェクトマネジメントである。商社からスバル運輸に転職した主人公は立ち上げ屋のイメージがあり、立ち上がるといなくなってしまうタイプの人間。それが左遷の原因にもなる。この小説で描かれているプロジェクトでも立ち上げ前のプロセスが詳細に書かれているが、最後は社主に直談判して実現にこぎつけた総額90億円の投資プロジェクト。運用ベースに乗るまで逃げるわけに行かない。その中で、人を育てるということを知る。

ステークホルダマネジメント、チームマネジメント、リーダーシップ、リスクマネジメントの教科書ともいえるくらいよくできたストーリーになっている。まさに、プロジェクトマネジメントのすべてがここにある。プロジェクトマネジメントを「説明」するために、いくつかの小説が書かれたが、さすが本職。それらとは比べ物にならない出来だ!

ビジネスモデルの構築の中で、SIがスケジュールが間に合わないとごねるシーンがある。ここに対しても非常に明確な解答を与えている。まあ、楡氏の得意分野ではあるが、、、

エンディングは書かないが、プロジェクトマネジメントというより、マネジメントのすべてがここにあるといってもよいかもしれない。

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2005年4月14日 (木)

フリーエージェント社会の到達

4478190445ダニエル ピンク (池村 千秋、玄田 有史訳)「フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか」ダイヤモンド社(2002)

お奨め度:★★★★

この本はいいね。何回か読んだが、非常に人間社会の本質を捉えた論だと思う。

いろいろな観点から分析をしているが、結論は

プロジェクトのための適材適所のための人材を集められるプロジェクトマネージャが従来の管理職にとって変わるだろう

というところにある。

Think! 2005年春号

4492830146 Think! 2005年春号、東洋経済新報社(2005)

お奨め度:☆☆☆1/2

どちらかといえばこの雑誌、手法系のイメージがあったが、今回の特集はなかなか面白い。

大前研一氏による「先見力と構想力」、公認会計士田中靖浩氏による「数字を読む、使う」、藤井正嗣氏による「究極の英語交渉力」などの記事が掲載されている。

2005年2月15日 (火)

プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか

4478300593.09.LZZZZZZZ P.F.ドラッカー「プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか」、ダイヤモンド社(2000)

紙版><Kindle版

お奨め度:★★★★★

ドラッカーの小論文を 自己実現という観点からまとめた1冊である。

横串のテーマで見ると改めてドラッカーの知見の深さに感動するし、また、体験談をベースに書かれている部分は、ドラッカーの生き方そのものに感動を覚える。

しかし、本としてみれば少し物足りない気がする。 その物足りなさは、一つ一つの論文が深いにもかかわらず、前後に並んでいる論文との関連性が薄いという編集上の問題である。また、少し全体的に散漫な気もした。すでにドラッカーの本を何冊か読んでいる人にとって、ドラッカーの価値を高める一冊にはなりにくいだろう。

ただし、タイトルにあるように「はじめて読むドラッカー」というコンセプトなので、このコンセプトであればまあ、納得できるレベルである。

プロフェッショナル・シンキング

4576040413.09.LZZZZZZZ

児玉 光雄 「プロフェッショナル・シンキング―松井秀喜・イチローに学ぶ」、二見書房(2004)

お奨め度:★★★1/3

好川塾プロフェッショナルコース「第2期」テキスト。

ビジネス論とスポーツ論は共通点が多い。特に、組織、リーダーシップといった部分では、かなり参考になる部分が多い。この本は、児玉 光雄氏がプロフェッショナリズムについてマリナーズのイチローとヤンキースの松井を取り上げていろいろな視点から分析している。

驚くことにイチローや松井の行動は、ドラッカーが知識労働者を念頭において展開しているプロフェッショナルのイメージに極めて近い。

プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか
ドラッカーの著作は抽象度が高く、それが人気のひとつらしいが、ドラッカーの主張を手軽に知るのであれば、この本はお奨めである。

もちろん、ドラッカーとは無関係に、この本で展開されているプロフェッショナル論は秀逸であり、非常に読み応えがある。

2005年2月 4日 (金)

プロ論

4198619611.09.LZZZZZZZ

B-ing編集部「プロ論」、徳間書店(2004)

お奨め度:★★★1/2

ファーストインプレッション 微妙な本である。

この本は、リクルートの雑誌「B-ing」の巻頭インタビューを2000年から2004年まで集めた50編のインタビュー記事から構成されている。メンバーはというと

秋元康、安西水丸、石橋貴明、井筒和幸、糸井重里、今井彰、 おちまさと、乙武洋匡、金子勝、香山リカ、カルロス・ゴーン、北川正恭、北村龍平、木村剛、邱永漢、清宮克幸、小谷真生子、齋藤孝、櫻井よしこ、佐々淳行、佐藤可士和、笑福亭鶴瓶、重松清、白石康次郎、鈴木光司、高橋がなり、高橋源一郎、田原総一朗、堤幸彦、野口悠紀雄、中島義道、中村修二、成毛眞、野口健、日比野克彦、藤子不二雄A、藤巻幸夫、古舘伊知郎、堀紘一、三木谷浩史、宮内義彦、柳井正、横山秀夫、平尾誠二、 養老孟司、松本大、本宮ひろ志、森島寛晃、和田アキ子、和田秀樹

こんな感じになっている。微妙だといったのは、さすがにどの方も日本を代表するプロフェッショナルであり、言葉は心に突き刺さる。

が、その人の活動を知っているのと知らないのでは、面白さが違うことに気がついた。一人の割いているページは5~6ページだが、知っている人だと、本当にその人の本質をうまく抉り出したインタビューをしていると感動する。知らないと(もちろん、50名すべて名前だけなら知っている人は少なくないと思うがそのレベル)、ああ、この人、こんな子といっているんだで終わってしまう。

この本の構成は、最後に「成功の哲学」というフレーズが掲載されている。ちなみに好川の印象に残ったフレーズをいくつか上げておく。誰の言葉かは、本を読んでのお楽しみ、、、

 今を自分らしく生きない人には、次の道は開けない

 必ず自分の頭で考えてみる。それがオリジナリティを生む

 誰かの役に立つと思えたとき、その仕事は面白いものになる

 先が見えなくたってまずは一歩を踏み出してみること

 プロになる近道は好きなことを仕事にすること

 目標をしっかり定めていれば、チャンスは必ずやってくる

おまけ。最近、話題の中村修二先生は

仕事は会社のためではなく、自分のためにするものだ

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