奥出 直人「デザイン思考の道具箱―イノベーションを生む会社のつくり方」、早川書房(2007)
お奨め度:★★★★1/2
デザイン戦略やデザイン思考について勉強しようとしたら、まずはこの本だろう。古くから、デザイン思考について実践的な研究を続けてきた著者の書いたデザイン思考の解説書。哲学、ビジョンをしっかりと説明しながら、自らが実践するデザイン思考のフレームワークである「創造の方法」について紹介している。
紺野 登「ビジネスのためのデザイン思考」、東洋経済新報社(2010)
お奨め度:★★★★★
デザインに対する関心が高くなってきた。20世紀の工業デザインに変わり、21世紀の知識社会におけるデザインである知識デザインのあり方としてのデザイン思考について述べ、さらに、デザイン思考に必要な3つの方法論として、エスノグラフィーなどの質的研究方法論、ビジネスモデルデザイン、および、シナリオデザインについて解説した一冊。
遠藤功「「日本品質」で世界を制す!」、日本経済新聞社(2010)
お奨め度:★★★★★
最近の品質事故を引き合いに出しながら、「品質」管理の問題を分析し、これからの品質管理の視座を示すと同時に、それが日本企業のグローバル競争力となり、In-Outにも、Out-Inにも決定力になることを示唆した一冊。現場の品質管理担当者に新たな視点を与えるととにも、経営スタッフに品質管理への取り組みの視座を与える。製造業、IT業、サービス業などを中心にすべての人に読んでほしい本。
渡辺 英夫、「超感性経営」編集委員会「超感性経営―ソニー伝説のストラテジストが授けるデザインマネジメント・メソッド:25」、ラトルズ(2009)
ソニーファンで、マネジメントに興味のある人には、垂涎の一冊。
ある方から頂戴し、あっという間に読んだ。おもしろい。
プロダクトマネジメントに携わっている人であれば、渡辺英夫氏の名前を知らない人はいないと思うが、昨年、病気で他界された。闘病中、デザインマネジメント論をまとめておきたいという願いをもち、同僚や後輩に託したまま、他界されたそうだ。
渡辺氏の机のなかから、出てきたノートの最初のページに書いてあった「感性経営」という言葉を頼りに同僚や後輩たちは本作りを始めた。
しかし、誰一人として、渡辺氏から「感性経営」とは何かということを聞いた人はおらず、渡辺氏の残した資料や講義録、そして元部下や同僚のインタビューから、感性経営を編集し、できあがったのがこの本。ちなみに、「超」とついたのは、この分野が今後、渡辺氏の思想のさらなる広がりと飛躍を祈ってとのこと。
エンツォ・マーリ(田代 かおる訳)「プロジェクトとパッション」、みすず書房(2009)
お奨め度:★★★★★
イタリアの巨匠エンツォ・マーリのプロジェクトデザイン論。
エンツォ・マーリは伝説的なモダンデザインの工房「ダネーゼ」とのコラボレーションを開始して、世界中に名を覇せた工業デザイナーである。日本では無印良品のデザイナーとして有名である。この本は自身のプロジェッティスタとしての考えをまとめ、後輩に伝えることを目的として書かれたプロジェクト哲学の書である。こういう本を書いてくれる人がいるというのがイタリアだと思わせる一冊。
■■■■■■【目次】■■■■■■
第1章 斧の一撃のものがたり
第2章 三つの地平線
第3章 必要、そしてまた必要
第4章 自然の方法論
第5章 学生へのいくつかの助言
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