セルフマネジメント Feed

2006年11月 8日 (水)

持論でやる気を自己調整する

475712153901 金井壽宏「働くみんなのモティベーション論」、NTT出版(2006)

お奨め度:★★★★

モチベーションに関する持論を持つことにより、やる気の自己調整をすることを提案した本。

第1章から第4章までが、モチベーションにおける持論の重要性を説き、第5章以降では、世の中のモチベーション理論をサーベイし、持論の構築に役立てるという2段構えになっている。

机上の理論ではなく、調査を積極的に行なった結果からまとめられているので、書かれていることも納得性が高い。特に、前半の持論の構築では、企業人、MBAコース、大学生などへのアンケート結果により構成されている。とても興味深い。このアンケートについては、PM養成マガジンブログに掲載しておく。

この結果、動機理論を緊張系、希望系、持論系の3つに分け、それぞれに対して次のようなキーワードがあることを発見している。

緊張系:緊張、ズレ、未達成感、不協和、圧力、ハングリー精神、できないという自覚、危機感、焦り

希望系:希望、目標、意味、夢、ロマン、なりたい姿、楽しみ、憧れ、達成感、自己表現

持論系:マイペース、自分が主人公、任されること、自分の考えと行動スタイル、自律性、やる気の自己調整ができること、自分できめたこと、言いだしっぺとして実行、自分の持論を持っていること

あなたは、どのタイプのモチベーションが高いのだろうか?

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2006年10月26日 (木)

億万長者との会話

487771191001 マイク・リットマン、ジェイソン・オーマン(河本隆行訳)「史上最高のセミナー」、きこ書房(2006)

お奨め度:★★★★

この本、原題は「Conversations with Millionaires」である。著者のマイク・リットマンとジェイソン・オーマンが

ジム・ローン、マーク・ビクター・ハンセン、ジェイ・コンラッド・レビンソン、ジャック・キャンフィールド、ロバート・アレン、シャロン・レクター、マイケル・ガーバー

といった面々に、その成功の秘密をインタビューで解き明かしている。

あなたはこれらのメンバーをどのくらい知っているだろうか?

「ワン・ミニッツ・ミリオネア」のロバート・アレン、「こころのチキンスープ」のハンセンを知らない人はあまりいないだろう。ジム・ローンも超有名人だ。実は、他の面々も、このレベルの成功者である。

その成功者がかなり本音トークをしている。訳者の河本氏はロバート・キヨサキの通訳で有名な人だが、彼のつけたタイトルが「史上最高のセミナー」。河本氏の指摘しているように、ネットで時々見かける彼らのセミナーの料金は数万円である。

それが一冊の本で、しかも、まとめて読める。確かに画期的な本であるし、米国で大ベストセラーになっているのも当然だろう。

内容についてはいずれも、桁外れの成功者の持論であり、確かに面白い。しかし、本当にそれで成功できるかどうかがよく分からない部分がある。僕はこの本に出てくる人のセミナーを受けた経験はないが、このような感覚はおそらく、セミナーでは生じないのだと思う。

その辺りが、この企画の限界だともいえるが、それにしてもお得感のある一冊だ。

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2006年10月24日 (火)

変化を受け入れる

448900742601 トニー・ブザン(佐藤哲+田中美樹訳)「トニー・ブザン頭の自己変革―未来を築く7つのツール」、東京図書(2006)

お奨め度:★★★★

日本でも昨年、マインドマップの公式ガイドが出版され、トニー・プザンを多くの人が知るようになってきた。そのプザンが書いた自己変革のガイドがこの本。

この本で、プザンは7つのツール

1+変化志向指数

2+ヴィジョンとフォーカス

3+TEFCASモデル

4+マインドマップ

5+メタポジティブ思考

6+変化の達人たち

7+変革日記

を使って、自己変革を行う方法について述べている。書き方は平易だが、内容はかなり概念的であり、また、哲学的ですらある。

マインドマップを読んだ人であれば、マインドマップに託されたプザンの思想

 個人は大きな存在である

 どんな変化でもポジティブなエネルギーになる

といったものを感じ取れるだろう。もちろん、マインドマップを読んでなくても、読めない本ではないが、まず、マインドマップを読み込んでから、本書を読んで、自分の変化を如何に受け入れるかをじっくり考えてみることをお奨めしたい。

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2006年7月 2日 (日)

Presence

406282019601 ピーター・センゲ、オットー・シャーマー、ジョセフ・ジャウォースキー、ベティ・フラワーズ(野中郁次郎, 高遠 裕子訳)「出現する未来」、講談社(2006)

お奨め度:★★★★★

人格の成長を前提とした問題解決を行うU理論を中心にして、個人や企業の在り方を問う一冊。

久しぶりの5つ星。「The Fifth Discipline」(邦訳「最強組織の法則」)を書いた組織学習のグル ピーター・センゲの新著。15年前に「The Fifth Discipline」を最初に読んだときには、何かよく分からなかった。学習する組織には

システム思考(systems thinking)
自己マスタリー(personal mastery)
メンタル・モデルの克服(mental models)
共有ビジョン(shared vision)
チーム学習(team learning)

の5つのディシプリンが必要だという理論を目の前にして、一つ一つの要素の意味と、組織学習の関係はなんとなく分かるが、この5つといわれたときに、ピンとこなかったのをよく覚えている。その後、何度か読み直して、本当に分かったのは、守部信之氏による翻訳本を読んだときだった。これは一つには言葉の壁があった。例えば、masteryという言葉があるがこの言葉は日本語にはないと思う(ちなみに、この本のフィールドブックの翻訳者であるスコラコンサルティングの柴田氏は「自己実現」と訳されている)。しかし、今回の本は、日本語で読んでも難しい点がたくさんある。

この本の原著のタイトルは「Presence」である。たぶん、この言葉に適切に対応する日本語はないのではないかと思う。著者の野中先生と高遠さんは「出現する未来」という訳をつけられている。この訳はよく分かる。

今回の本は、「U理論」なる理論を提唱する本である。一言でいえば、自らが唱えているアクションラーニングについて書いた本であるが、この本の視座としては、学習には人間の生き方があるというものである。

U理論は仏教に基づく考え方で、二元論的な判断を中止し、全体を内省することによって、より正しい行動が直感的に生まれ、結果として自然に、素早くできるようになるという考え方。

具体的には、以下の3つのステップで構成される。

第1ステップ(Sensing):見るということを知る。
1.保留 - 習慣的な思考の流れから自分自身を切り離す
2.転換 - 生成過程に目を向ける
3.心の目でみる - 我執などを捨てること。これは presensing にもかかわる
第2ステップ(Presensing):プレゼンス
1.手放す - sensingにもかかる。
2.受容
3.結晶化 - 気づき(Mindfullness)が明確に現れること。これはrealizingにも関わる
第3ステップ(Realizing): 自然の力になる
1.目的の結晶化
2.プロトタイピング
3.システム化

前著もそうだが、この本はもっと深く考えないと理解できない。いよいよこの領域に入ってきたかという感じの一冊である。

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学習する組織のバイブルから、未来のマネジメントのバイブルへ

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ピーター・M. センゲ:「最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か」、徳間書店(1995)

お奨め度:★★★★★

組織学習のバイブル。組織がシステムであることを正視させる本。組織論の分野でも大きな影響を与えている1冊である。

この本では、学習する組織では

自己マスタリー(personal mastery)
メンタル・モデルの克服(mental models)
共有ビジョン(shared vision)
チーム学習(team learning)

の5つの原理と、これらを統合するシステム思考(systems thinking)の5つの原理が必要だと述べている。

組織論として、ひとつの理論だが、ビジネスシステムという概念で企業やビジネスを見た場合、本書のような視点で組織を捉える意味は大きく、また、発展性がある。90年代終わりからずっとビジネス、とりわけ組織に大きな影響を与えてきた1冊であるが、真価がはっきりするのはむしろ、これからかもしれない。

ビジネスマンとしては、ぜひ、読んでおきたい1冊である。

また、この本には、2冊のフィールドブックがある。

453231075x09 一冊は5つの法則を如何に適用していくかを解説した本である。

ピーター・センゲ(柴田昌治訳)「フィールドブック 学習する組織「5つの能力」 企業変革を進める最強ツール」、日本経済新聞社(2003)

フィールドブックであるので、5つの原則が何を言っているのかが具体的な行動像を通じてよく分かる。もちろん、フィールドブックとして実際に使えるようなレベルのものである。

もう一冊は、5つの原則を実行するために、組織にはどのような変革課題があるかを解説し、その課題を解消するためのフィールドブックがある。上のフィールドブックとの関係としては問題解決編453231131409_1という位置づけになっている。

ピーター・センゲ(柴田昌治、牧野元三、スコラコンサルト訳)「フィールドブック 学習する組織「10の変革課題」―なぜ全社改革は失敗するのか?」、日本経済新聞社(2004)

学習する組織の構築の具体的なヒント、フィールドワークの指針も得られる貴重な本だ。必ず併せて読みたい。

(初稿:2005年3月2日)

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2006年3月19日 (日)

7つの習慣を具体的に実践する

490663841401lzzzzzzz_1 スティーブン・コヴィー(フランクリンコヴィージャパン訳)「ビジネスに活かす12のストーリー―「7つの習慣」実践ストーリー<1> 「7つの習慣」実践ストーリー-希望とインスピレーションあふれる- (1)」、キングベア出版(2006)

お奨め度:★★★

コヴィーの7つの習慣を12のストーリーで説明している本。7つの習慣は、

主体性を発揮する
目的を持って始める
重要事項を優先する
Win-Winを考える
理解してから理解される
相乗効果を発揮する
刃を研ぐ

というリストを見る分には、「お~、そうだ」と思う。

しかし、本を真剣に読んでみても、なかなか難しいものがある。書いてある内容が難しく、ぴんとこないという人が多いのだ。

490663801509lzzzzzzz_1
スティーブン・コヴィー、ジェームス・スキナー(川西茂訳)「7つの習慣―成功には原則があった!」、キングベアー出版(1996)

昨年、このツール集が出た。フランクリンコヴィージャパンでは、7つの習慣を実行するためのツールを開発して、販売しているが、これを書籍として一般公開したものだ。

4906638384_1 スティーブン・コヴィー「7つの習慣 演習ノート―ビジネス、プライベート、家庭で、効果的な人生を送るための 成功への原則がよくわかる!」、キングベア出版(2006)

これをいろいろな人に紹介してみたが、やはり、ファシリテータがいないとツールを使いこなすのは難しいようである。

そこで、今回の本ということになろう。

12のストーリーで説明しようとしているが、いずれもショートショートであるので、これで具体的なイメージを持つのは難しいだろう。

ただし、同じ境遇にあれば、ぴんとくる可能性は多い。タイトルからも分かるようにこれからもシリーズ化をしていくようなので、そのうち、自分の抱えている問題に一致するものがでてくるかもしれない。気楽に待つとよいだろう。

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トヨタ版7つの習慣

447930017109lzzzzzzz_1 若松義人「最強トヨタの7つの習慣―なぜ「すごい工夫」が「普通」にできるのか」、大和書房(2006)

お奨め度:★★★★1/2

トヨタの組織マネジメントのコンピテンスを7つの習慣になぞらえて書いている。著者はカルマンの若松社長だが、彼はトヨタについて数多くの分かりやすい著書があるが、この本が一番、気に入った(すべての著書を読んでいるわけではないが10冊は読んでいる)。

さて、トヨタの7つの習慣とは以下の7つである。

第1の習慣 「ケタちがい」の発想から入る
第2の習慣 「わが社」を主語にしない
第3の習慣 「なぜ」を五回繰り返す
第4の習慣 成功体験をリセットする
第5の習慣 成功より成長を目ざす
第6の習慣 忙しさを恥じる
第7の習慣 「みんなの力」を心から信じる

いずれもトヨタウェイとして有名なものである。コヴィーの7つの習慣は明らかに理論的な体系があるが、トヨタの7つの習慣は7つ大切なものを書き出してみたという感じであり、多くのエピソードの支えられている。

その分、凄みがあると思う。

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2005年12月25日 (日)

タレントになろう!

427000085609lzzzzzzz トム・ピーターズ(宮本喜一訳)「トム・ピーターズのマニフェスト (3) タレント魂」、ランダムハウス講談社(2005)

お奨め度:★★★★1/2

トムピーターズのマニュフェスト第3弾。タレント魂なるものについて書かれている。

トムピーターズがタレント魂と言っているのは、「自分の才能を見極め、極限まで高め、仲間を作り、シナジーを産み出しながらイノベーションを起こしていくこと」である。そこには、「すごいプロジェクト」が必ず実現される。

「セクシープロジェクト」で展開されているトムピーターズのプロジェクト論、あるいはプロジェクトマネジメント論をタレントという視点から見て、どのようなタレントが必要か、どのようにしてそれを身につけていくかを考えさせてくれる一冊。

いわゆるスキル論で、自己完結型の能力論を考えている人には、ぜひ、読んでいただきたい1冊。

ちなみに、同時発売は、第4弾である「トレンド魂」。

427000086409lzzzzzzz トム・ピーターズ(宮本喜一訳)「トム・ピーターズのマニフェスト (4) トレンド魂」、ランダムハウス講談社(2005)

こちらは、男女の特性に注目したマーケティング戦略の専門家、マーサ・バーレッタと一緒に、これからのビジネスの潮流と、注目べき市場について述べている1冊。併せて読んでみよう!

ちなみに、

 第1弾 リーダーシップ魂

  第2段 デザイン魂

こちら

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2005年10月29日 (土)

思考と行動のエッセンス

31608250 井上明人「30歳からの進化論―仕事の仕方を成長させる29の知的ノウハウ」、文芸社(2005)

著者の井上明人さんがキャリアの中で培われてきた仕事のノウハウを1冊の本としてまとめられている。面白いのは、思考ノウハウと、行動ノウハウにきちんと分けてあること。こういう本を読んでコンピテンシーを高める上で、この区別をきちんと認識して読んでいくことは極めて大切で、それを表示してあるのはすばらしい。

内容は、キャリア(ビジネスマン人生)、問題解決力、コミュニケーション力、メンタル力という4つの視点で整理されており、数はそんなに多くないが、凝縮されたものが多い。

例えば、問題解決力の思考ノウハウの最初に

鳥のように上空から大きく全体を眺めて方向性を絞り、対象を見つけたらそこへ一気にズームアップして具体策の仕上げを行う

というのがある。大局観であるが、大局観をこのような凝縮された言葉で表現できるというのは並大抵のことではない。このような凝縮したノウハウが29個(行動7、思考22)、並んで、事例も提示しながら、解説されている。

1冊読めば、コンピテンシーは間違いなくあがるだろう。

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「理系ビジネスマン」になろう!

488759360009lzzzzzzz 泉通博「理系ビジネスマンが書いた ― 人生をプロジェクトマネジメントしよう!」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2005)

お奨め度:★★★1/2

著者の泉さんは電子機器メーカーでPMの仕事をされている方である。その泉さんが、よい仕事ができれば幸せな人生を送れるという前提で書かれた広い意味でのキャリア本。

タイトルの人生のプロジェクトマネジメントというのはちょっとしたお遊びだが、実は、この本の特徴をより現している言葉は「理系ビジネスマン」という言葉。技術者でも、エンジニアでも、理系サラリーマンでもなく、「理系ビジネスマン」。「理系ビジネスマン」とは何かという定義をした本でもある。

内容は、エンジニアらしく、論理的に構成されており

「思考の基本鉄則」⇒「行動の基本鉄則」⇒「実生活の応用鉄則」

という順序で考えていけるようになっている。書かれていることにも説得力があるし、納得できる。何よりも、著者の真摯な面がひしひしと伝わってくる。日本の強みを作っている現場を垣間見るような本である。

僕もエンジニアというのはこういう人生を送ってほしいなと思うし、エンジニアの方にはぜひ手にとって読んでみてほしい本である。

実際に、僕のクライアントにはメーカが多い。現場でエンジニアリングを担当している人には泉さんのようなタイプの人が多い。僕も技術者だった時分にはこういう考え方をしていた。

同時に、メーカの中心になるエンジニアがこのようなキャリア観を持っていることが、青色発行ダイオードの中村修二さんのようなトラブルを起こす企業風土を作っている一面も生み出している。

その辺りで、これからのエンジニアの人には十分なダイバーシティを持ってほしいなと思う。この泉さんの本は、その点のヒントも隠されているように思う。

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