リーダーシップ Feed

2006年10月30日 (月)

リーダーシップの5レベル。あなたはどのレベル?

447836094401 ジョン・マクスウェル(宮本喜一訳)「あなたがリーダーに生まれ変わるとき―リーダーシップの潜在能力を開発する」、ダイヤモンド社(2006)

お奨め度:★★★★1/2

日本ではあまり知られていないが、リーダーシップのグル(権威)であるジョン・マクスウェルのリーダーシップ育成の名著「Developing the leader within you」の翻訳。リーダーシップ育成の方法が体系的にまとめられており、使い勝手の良い本だ。

この本のベースになっているのは、リーダーシップの能力レベル。これがなかなか興味深いので、抜粋しておく。

レベル1:地位

権利。部下が従うのは義務だから

レベル2:相互理解

人のつながり。部下が従うのは、それを望んでいるから

レベル3:成果

結果。部下が従うのは、組織のために積み上げられたリーダーの実績を評価しているから

レベル4:人材育成

再生産。部下が従うのは、リーダーが彼らのためにしたことを、部下自身が評価しているから

レベル5:人間性(人間味)

尊敬。人がついてくるのは、リーダーの人となり、そしてそのリーダーが体現しているものの両方を評価しているから

この階段を昇っていく方法を示している。その示し方としてはTips(断片的な知識)を与えているので、柔軟に使うことができる。まず、自分がどのレベルにあるかを知り、何ができるようになれば次のステップにいけるかを確認し、必要なTipsを読み、実践していく。

そんな方法で使うと非常に役立つ一冊である。また、さすがはジョン・マクスウェルの本だと思えるくらい、読み応えもある。

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2006年10月21日 (土)

偉大なる経営論

B000ion7te01 Harvard Business Review2006年 11月号

 【創刊30周年記念号】偉大なる経営論

お奨め度:★★★★★

ハーバードビジネスレビューの創刊30周年記念号。30年間に発表された名論文の中から30本が採録されている。下にリストがあるので見てほしい。経営学にまったく縁のない人でも4~5人くらいは知っている人が多いのではないかと思う。

ほとんどの論文が実践の中で使われるようになってきた概念を示したものだ。これはすごいことだと思う。かつ、この2~30年の間に新しく生まれたマネジメント手法はほぼ、網羅されている。

つまり、そのくらいハーバードビジネスレビューは実務家のマネジメントに貢献している学術論文誌である。

マネジャーという肩書きのある人、あるいは、将来マネジャーを目指している人、いずれも、この記念号はぜひ持っておき、通勤の行き帰りにでも読んでほしい。

最後に神戸大学の加護野先生の「マネジメントの古典に触れる」という提言がある。この提言も味がある。

ちなみに、東京で本屋を探したが、最初の3件は売り切れだった。よく売れているようだ。

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2006年10月16日 (月)

プロジェクトマネジメントはサイエンスかアートか

487311299001 スコット・バークン(村上 雅章訳)「アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法」、オライリー・ジャパン(2006)

お奨め度:★★★★★

著者がマイクロソフトで養ったプロジェクトマネジメントの技を披露した本。ソフトウエアプロジェクトの本だと、必ずといってもよいくらい、開発マネジメントのテクニカルな話題に重心が置かれるが、この本は違う。目標のマネジメント、人のマネジメント、組織のマネジメント、コミュニケーションのマネジメント、アイディアのマネジメントなど、本来のプロジェクトマネジメントのイシューを中心にして組み立てられている。具体的な内容は、目次を参考にしてほしいが、開発マネジメントについても、手法ではなく、仕事の進め方としてのポイントが書いてある。

ソフトウエア開発プロジェクトは、ハードウェアのプロジェクトとは違うと主張する人がよくいる。プロジェクトファシリテーションなどが妙にはやっているのもその流れだと思割れる。

しかし、この本を読んでいると、決してそんなことはないと思い知らされるだろう。ソフトウエアという商品の特性は確かにある。

しかし、そこで必要なマネジメントはハードウェアや、ソフトウエア以上にソフト的なサービス開発プロジェクトとなんら変わらない。マイクロソフトという会社のやり方は昔から何かと批判の対象になることが多かった。古くはDOSをめぐるビジネスのスタンス、Windowsに代表されるGUI環境ビジネス、最近ではインターネットへのアプローチなどだ。しかし、結局、最後に勝つのは、MSだった。

その秘訣はマネジメントがビジネスを意識したものであることと無縁ではないだろう。この本は、プロジェクトマネジメントに関心を持つ人に読んでほしいのはもちろんだが、もう少し、広く、マネジメントに関心をもつ人にもぜひ読んでほしい一冊である。ソフトウエアエンジニアリングの知識がない人が読んでも分からないところは少ないだろう。

マーケティングは50%がアートで、50%がサイエンスだといわれる。プロジェクトマネジメントもそういった側面がある。特に、MSが展開しているようなビジネスを強く意識したプロジェクトマネジメントはアートの要素が多い(エンジニアの人は自分たちの領域の方がアートの要素が多いと思っているかもしれないが、それは勘違い)。

その意味で、この本に書いてあることはまさに、プロジェクトマネジメントのアートの部分だ。

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2006年10月 4日 (水)

堀紘一流リーダーシップ開発論

456964579801 堀紘一「実践的リーダーシップの鍛え方」、PMP研究所(2006)

お奨め度:★★★

堀紘一さんは尊敬するビジネスパーソンの一人だ。実務家としての顔を持っているためだと思うが、評論家のような大胆な発言をするにも関わらず、有言実行しているように見える。特に彼のリーダーシップ論は注目している。3年近く前に出版された

447836052909リーダーシップの本質―真のリーダーシップとは何か」、ダイヤモンド社(2003)

が、本としてはどうかなと思いながらも、内容には非常に共感できたので、今回の書籍も早速購入して読んでみた。今回の著作は前著よりはよくまとまっている。堀氏率いるドリームインキュベータの考え方を使いながら、ご自身の考えるリーダー論を語られている。

ちなみに、ドリームインキュベータでは、5つの採用条件があるそうで、これがおおむね、堀氏の考えるリーダーの資質だと考えてよいのだと思う。

・地頭がよい

・学習能力がある

・素直かつ謙虚である

・好奇心が旺盛である

・攻撃力がある

共感できる。今回の本でもやはり、リーダーシップの育成についても書かれている。今回の本の中ではここが非常に実践的であり、ぜひ、多くの人に読んでほしい。

一例を挙げると

・人生の長期計画を立てる

・5つの自分

・異質の人と付き合う

などが並んでいる。どれを読んでもなるほどと納得できる内容である。

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2006年9月30日 (土)

企業統合で学ぶプログラムマネジメント

482226206501 金巻龍一、河合隆信、丸山洋、IBMビジネスコンサルティングサービス「企業統合―あるPCメーカー、成功の舞台裏」、日経BP社(2006)

お奨め度:★★★★1/2

PCメーカがM&Aを行い、契約完了後に、プログラムマネジメントを行うことにより、スピーディーに事業統合をする様子をストーリー形式で書いている。M&Aのストーリーとして読んでも面白いのだが、プログラムマネジメントのストーリーとして読んでみると、非常に学ぶところが多い。

プログラムマネジメントは単に単純なコンカレントだと思われている節もあるが、違う。プログラムマネジメントは、組織間の調整、プロジェクト間の調整にマネジメントフォーカスすることによって、調整要素の多い複雑な仕事をスピーディーに進める手法である。この本を読むと、M&Aのマネジメントプロセスを通してそのことがよく分かる。

実話に基づいているらしいが、これだけスムーズに進めていくには、相当なプロジェクトマネジメントの組織コンピテンシーが必要だろう。そこが逆にIBMの実話を読んでも、あまり参考にならない(つまり、IBMはもともとコンピテンシーが高い)ような気がしないでもない。その点が、読了後にこんなにM&Aがうまく行くのかとふと疑問を持った源泉かもしれない。

2006年7月 2日 (日)

学習する組織のバイブルから、未来のマネジメントのバイブルへ

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ピーター・M. センゲ:「最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か」、徳間書店(1995)

お奨め度:★★★★★

組織学習のバイブル。組織がシステムであることを正視させる本。組織論の分野でも大きな影響を与えている1冊である。

この本では、学習する組織では

自己マスタリー(personal mastery)
メンタル・モデルの克服(mental models)
共有ビジョン(shared vision)
チーム学習(team learning)

の5つの原理と、これらを統合するシステム思考(systems thinking)の5つの原理が必要だと述べている。

組織論として、ひとつの理論だが、ビジネスシステムという概念で企業やビジネスを見た場合、本書のような視点で組織を捉える意味は大きく、また、発展性がある。90年代終わりからずっとビジネス、とりわけ組織に大きな影響を与えてきた1冊であるが、真価がはっきりするのはむしろ、これからかもしれない。

ビジネスマンとしては、ぜひ、読んでおきたい1冊である。

また、この本には、2冊のフィールドブックがある。

453231075x09 一冊は5つの法則を如何に適用していくかを解説した本である。

ピーター・センゲ(柴田昌治訳)「フィールドブック 学習する組織「5つの能力」 企業変革を進める最強ツール」、日本経済新聞社(2003)

フィールドブックであるので、5つの原則が何を言っているのかが具体的な行動像を通じてよく分かる。もちろん、フィールドブックとして実際に使えるようなレベルのものである。

もう一冊は、5つの原則を実行するために、組織にはどのような変革課題があるかを解説し、その課題を解消するためのフィールドブックがある。上のフィールドブックとの関係としては問題解決編453231131409_1という位置づけになっている。

ピーター・センゲ(柴田昌治、牧野元三、スコラコンサルト訳)「フィールドブック 学習する組織「10の変革課題」―なぜ全社改革は失敗するのか?」、日本経済新聞社(2004)

学習する組織の構築の具体的なヒント、フィールドワークの指針も得られる貴重な本だ。必ず併せて読みたい。

(初稿:2005年3月2日)

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2006年6月14日 (水)

デスマーチ

4901280376 エドワード・ヨードン(松原友夫、山浦恒央)「デスマーチ──なぜソフトウエア・プロジェクトは混乱するのか」、シイエム・シイ(2001)

お奨め度:★★★★1/2

ソフトウエアプロジェクトがなぜ、失敗するのかを、プロジェクトをシステムとして捉えて、悪循環の構造について分析した名著。デスマーチという言葉は非常にインパクトがあり、流行語にもなった。

この本ではデスマーチプロジェクトとして、

 ・与えられた期間が、常識的な期間の半分以下である
 ・エンジニアが通常必要な半分以下である
 ・予算やその他のリソースが必要分に対して半分である
 ・機能や性能などの要求が倍以上である

といったことがあげられており、そのようなプロジェクトへの対処方法が述べられている。心当たりがある人は、とりあえず、読んでみよう!

なお、2006年に第2版が同じ著者、同じ訳者で、日経BP社から出版されている。ただ、第2版であるが、違う本ではないかと思うくらい違う。僕は第1版の方が価値があるのではないかと思う。

482228271601

デスマーチ 第2版 ソフトウエア開発プロジェクトはなぜ混乱するのか」、日経BP社(2006)

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2006年4月15日 (土)

行動に注目したリーダーシップ

447872026601lzzzzzzz_2 グロービス・マネジメント・インスティテュート「MBAリーダーシップ」、ダイヤモンド社(2006)

お奨め度:★★★★1/2

ついに出たという感じの一冊。

グロービスのMBAシリーズは経営戦略とか、アカウンティングだけではなく、クリティカルシンキングだとか、オペレーション戦略だとか、結構、マニアックなテーマもあるのに、なぜ、今まで、リーダーシップがなかったのか不思議。

内容はよい。リーダーシップ行動(コンピテンシー)に焦点を当てているので、具体的で分かりやすく、実践的である。

まず、序章では、ショートケースを使ってリーダーシップ行動のイメージ作りをしている。ここで使われているケースは

・家電メーカマーケティング室製品開発プロジェクトチームの導入

・ミドルマネジャーの悩み

・F工場技術伝承プロジェクト

の3つで、いずれも「よくある話」である。ケースはこの章に限らず、すべての章で要点でケースによる説明が行われている。

第1章はリーダーシップの行動モデルを網羅的に説明している。一つ例を挙げると、エンパワーメント型のリーダーシップについて

1)目標の共有

2)自由度の実現

3)支援体制の実現

ということで、それぞれの方法をかなり具体的に示している。

さらに2章、3章では、リーダーシップ行動をとるために必要な技術を解説している。2章は、変革リーダーシップ、3章は条件適合リーダーシップという分類でまとめている。

内容自体は結構難しいし、行動説明をしている部分にしても、非常に難しいなあと思われるものがあり、それを実行するためのツールにしてもそんなに簡単に活用できるものではないものが結構多い。

しかし、今までにあるリーダーシップ本と較べると格段に実践的であり、また、コンピテンシーだけでリーダーシップの説明をした本に較べると、理論的な側面も書いてあり、MBAを目指すようなレベルの人にとっては非常に役立つと思う。そんな意味で、決定版かなと思わせる1冊である。

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2006年3月31日 (金)

実践的なリーダーシップ論

483555656909lzzzzzzz 新里聡「実践リーダーシップ「リーダーは君だ!」―リーダーシップ実践のための12ステップ」、文芸社(2003)

お奨め度:★★★★

実践という名前の通り、非常に実践しやすい形でリーダーシップを12のステップで身につけようという提案をしている。偶然見つけたが、かなり、優れもの。

1時間目:リーダーは夢を持て!

2時間目:リーダーシップを発揮するとは?

3時間目:破壊から創造への自己リーダーシップ

4時間目:人の力を引き出し、組織力を高めるリーダーの派だライムとは

5時間目:プラス思考のリーダーシップ

6時間目:自己解放のリーダーシップ

7時間目:生まれてきたことは、スゴイこと!

8時間目:パートナー型リーダーシップへの転換

9時間目:ミッションが人と組織を活かす!

10時間目:実践ミッション経営の極意!

11時間目:リーダーはコミュニケーションのプロフェッショナル

12時間目:実践コミュニケーション

と12ステップが続く。

リーダーシップは「お化け概念」だとよく言われるが、そのお化けを、いろいろな角度から非常にやさしく解説している。お奨めです!

2006年3月29日 (水)

リーダーシップの開発方法

490324110609lzzzzzzz D・クイン・ミルズ(アークコミュニケーションズ監修、スコフィールド・素子訳)「ハーバード流リーダーシップ「入門」 」、ファーストプレス(2006)

お奨め度:★★★★

リーダーシップのライフサイクルという、ある意味で当たり前で、ある意味でコロンブスの卵のようなリーダーシップ論である。

追記にある目次に注目してほしい。第1部のリーダーになるでは、リーダーシップの重要性を説き、リーダーになる方法について議論している。第2部では、リーダーとして成功するということにフォーカスして、職場のリーダーシップやパートナーシップについて議論している。第3部では、キャリアとリーダーの関係、そして、第4部では人生におけるリーダーシップについて議論している。

全体として、キャリア発達(ライフサイクル)の中で、リーダーシップをどのように捉え、どのように扱っていけばよいかの指南書になっている。

以前、キャリア開発とリーダーシップ開発の具体的方法論を解説した本として、HRインスティテュート「リーダーシップのノウハウ・ドゥハウ」を紹介したことがあるが、この本よりもさらに突っ込んで、リーダーシップのライフサイクルに踏み込んでいる。

HRインスティテュートの本のようにツールを提案しているわけではないが、議論に非常に具体性があり、リーダーシップ開発の具体的なイメージを得ることができる。上の記事にも書いたが、リーダーシップは、コミュニケーションスキルやネゴシエーションスキルなどと異なり、ヒューマンスキルとして開発できるものではない。

そのような考え方がフィットする人はこの本は大変貴重な本であろう。

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